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PIONEER F-007 修理調整記録1

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 ・2016年9月、PIONEER F-007の故障品が届きました。
 ・独特の同調方式、またPBLD検波機として貴重な機種です。
 ・以下、作業記録です。

F00710

■製品情報------------------------------------------------------------

 ・オーディオ懐古録 PIONEER F-007 ¥95,000(1978)
 ・オーディオの足跡 Pioneer F-007 ¥95,000(1979年頃)
 ・Hifi Engine PIONEER F-28 ※輸出機サービスマニュアルあり

F00702F00704

■分布定数形遅延線検波-------------------------------------------------

 ・この検波方式は PIONEER F-26を入手したときに少し勉強しました。
 ・パイオニアではこの検波方式を「超広帯域直線検波」とカタログに表記しています。
 ・F-26以降では「Parallel Balanced Linear Detector:PBLD」と称されます。

 【超広帯域直線検波】
  ・1974年 Pioneer TX-9900    140,000円
  ・1974年 Pioneer TX-8900     65,000円
  ・1975年 EXCLUSIVE F-3     250,000円
  ・1976年 Pioneer TX-8900Ⅱ    65,800円
 【Parallel Balanced Linear Detector / PBLD
  ・1977年 Pioneer F-26      135,000円
  ・1978年 Pioneer F-007          95,000円

 ・F-26、F-007、TX-8900比較一覧表

■動作確認------------------------------------------------------------

 ・フロントパネルはほぼ無傷、ただしプッシュボタンに錆。
 ・ボディと背面パネには全体にボツボツと金属錆が目立ちます。
 ・背面端子は可変出力端子以外は酷く錆びています。
 ・FMアンテナを接続して電源オン。
 ・周波数窓の照明点灯。インジケータ類点灯
 ・ただ、FM放送を受信できません。全くの無音。
 ・マルチパスH端子は局間ノイズのみ。
 ・REC CAL信号は聞こえます。

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■内部確認------------------------------------------------------------

 ・フロントエンド=5連バリコン+バリキャップOSC
 ・IF回路 WIDE / NARROW 切替
 ・M5109PR PBLD検波
 ・PA3001A クアドラチュア検波(同調点検出、Sメーター駆動)
 ・PA1001A PLL MPX
 ・PA1002A AF、MUTING動作
 ・回路構成や動作原理について ひろくん様のサイトで詳しく解説されています。
 ・シンセサイザー回路は輸出版回路図と随分異なります。

F28_schematic

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■修理記録:フロントエンドOSC回路--------------------------------------

 ・全く受信できない状態です。
 ・調べてみるとフロントエンドからIF信号が出ていません。
 ・VT電圧12.5Vで変化しない。OSC回路が発振していない?
 ・フロントエンド内 Q4 2SC1923 → 2SC1923を新品に交換。
 ・これでFM放送を受信するようになりました。
 ・念のためフロントエンド内 Q5,Q6 2SK61 も新品交換。
 ・これで良さそうです。

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■調整記録------------------------------------------------------------

・ひろくん様のサイトとサービスマニュアルを参考に調整してみました。

F007

【シンセサイザー基板】
 ・シンセサイザー基板から同軸ケーブルを抜く
 ・TP3 周波数カウンタ接続 → TC調整 → 10.2343MHz
 ・TP6 オシロスコープ接続 → 2ND,6TH調整 → 61.4MHz波形最大
 ・シンセサイザー基板に同軸ケーブル接続
 ・指針を76.1MHzにセット
 ・TP4 オシロスコープ接続 → LPF調整 → 399.8kHz方形波
【OSC VT電圧調整】
 ・TP9 電圧計セット
 ・指針を76.1MHzにセット → L6調整 → 1.07V
 ・指針を83.2MHzにセット → TC6調整 → 7.89V
【RF調整】
 ・SSG76.1MHz 30dB無変調 → L1~L5調整 → Sメーター最大
 ・SSG89.9MHz 30dB無変調 → TC1~TC5調整 → Sメーター最大
【IF調整】
 ・SSG83.0MHz 30dB無変調 → T1調整 → Sメーター最大
【同調点調整】
 ・TP28~TP29間 DC電圧計セット
 ・83MHz受信 → T8調整 → 電圧ゼロ
【IF歪調整】
 ・IF BAND=WIDE
 ・83MHz受信 → T1調整 → 高調波歪最小
 ・IF BAND=NARROW
 ・83MHz受信 → T2調整 → 高調波歪最小
【IF中心周波数調整】
 ・IF BAND=WIDE
 ・83MHz受信 → シンセサイザー基板TC調整 → 高調波歪最小
【PBLD検波調整】
 ・83MHz受信 → VR1調整 → 高調波歪最小
【コンパレータ調整 DC Null】
 ・TP23~TP24間 DC電圧計セット
 ・83MHz受信 → VR5調整 → 電圧ゼロ
【MUTING調整】
 ・83MHz20dB受信 → VR2調整 → ミューティング作動
【Sメーター調整】
 ・83MHz100dB受信 → VR3調整 → Sメーター100dBf
【REC LEVEL調整】
 ・83MHz 1kHz 100%変調 → オーディオ出力レベル記録
 ・REC LEVEL CHECKオン → VR4調整 → -6dBセット
【VCO調整】
 ・TP3 周波数カウンタ接続
 ・83MHz変調オフ → VR1調整 → 76kHz
【パイロットキャンセル調整】
 ・83MHzステレオ変調 → VR2,T1調整 → 19kHz成分最小
 ・左右バランス注意
【セパレーション調整】
 ・IF BAND=WIDE
 ・83MHzステレオ変調 → VR3調整 → 反対ch漏れ信号最小
 ・IF BAND=NARROW
 ・83MHzステレオ変調 → VR4調整 → 反対ch漏れ信号最小

■試聴----------------------------------------------------------------

 ・周波数ズレ皆無、気持ちよく同調します。
 ・歪率、セパレーションとも良い数値を示します。
 ・操作ボタンのサビ、ボディのサビが気になりますが仕方がない無いですね。
 ・稀少機として大切に残したい機種です。

F00712


YAMAHA T-4DB

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 ・2016年9月、YAMAHA T-4DBの修理調整を承りました。
 ・発売当時から愛用されているワンオーナー品とのこと。
 ・型番からは T-4 を連想しますが、中身は T-5 に似ていました。
 ・以下、作業記録です。

Yamaha_t4db07

■製品情報------------------------------------------------------------

 ・オーディオの足跡 YAMAHA T-4D ¥28,000(1982年頃)
 ・T-4DBはT-4Dのブラックモデルという意味ですね。
 ・価格帯からは入門機の位置付けが想像できます。

Yamaha_t4db01Yamaha_t4db09

■動作確認------------------------------------------------------------

 ・経年の汚れがあるものの、フロントやボディに目立つキズはない。
 ・FMアンテナ(PAL端子)を接続して電源オン。
 ・周波数窓の照明が切れているのか?それとも元々照明は無いのか?
 ・T-7やT-9と同じTメーター一体型指針。左右の光量で同調点を判断。
 ・+0.4MHzほどの周波数ズレがあるものの名古屋地区のFM局を受信。
 ・ステレオランプ点灯。実際にステレオ感あり。
 ・付属のAMループアンテナで名古屋地区のAM局を受信OK。
 ・ただしAM周波数ズレが+500kHzほどと大きい。
 ・音声出力コードが基板から直出し。

Yamaha_t4db03Yamaha_t4db04Yamaha_t4db10Yamaha_t4db11Yamaha_t4db12

■内部確認------------------------------------------------------------

 ・基板サイズは本体サイズの半分ほど。小さな電源トランス。
 ・FM3連AM2連バリコン搭載のフロントエンド。これはT-5と同型です。
 ・レシオ検波+LA3381によるPLL MPX。
 ・T-5からSメーター回路を省略した感じです。
 ・AMはICを使っていません。

Yamaha_t4db20Yamaha_t4db21Yamaha_t4db22Yamaha_t4db23Yamaha_t4db24
Yamaha_t4db25Yamaha_t4db26Yamaha_t4db27Yamaha_t4db28Yamaha_t4db29

■修理記録------------------------------------------------------------

 ・フロントパネル正面から見て左側に照明電球が1個ありました。
 ・これが切れていたので、ストック品から同等品に交換。
 ・緑色の目盛りと周波数が浮かび上がっていい感じになりました。
 ・電球切れ以外に不具合は無かったです。

Yamaha_t4db40Yamaha_t4db42

■調整記録------------------------------------------------------------

【FMフロントエンド調整】
 ・OSC調整 TC103,L103
 ・RF調整 TC101,TC102 / L101,L102
 ※L103がボンド固定されているので83MHzにて調整
【レシオ検波調整】
 ・NVcc~TM間にDC電圧計セット
 ・T101コア調整 → 電圧ゼロ(=左右の光量一致)
 ・VC101調整 → 高調波歪最小
【MPX調整】
 ・TP19kHzに周波数カウンタ接続
 ・VR4 VCO
 ・VR3 19kHzパイロット信号最小
 ・VR1 セパレーション調整Lch
 ・VR2 セパレーション調整Rch
【AM調整】
 ・OSC調整 AMTC2,T103
 ・RF調整 AMTC1,T102

Yamaha_t4d

 ※付随回路をすべて省略した超シンプル設計です。
 ※その割に左右独立セパレーション調整VRだけ豪華な造り。
 ※セパレーション調整では60dB近く確保できました。

■試聴----------------------------------------------------------------

 ・緑色目盛りが浮き上る照明窓が上品な印象です。
 ・入門機の位置付けですが意外に良い音で鳴っています。

Yamaha_t4db08

KENWOOD L-01T 修理調整記録4

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 ・2016年10月初め、L-01T の修理調整を承りました。
 ・以下、修理作業の記録です。

L01t08

■製品情報------------------------------------------------------------

 ・オーディオ懐古録 KENWOOD L-01T ¥160,000(1979年)
 ・オーディオの足跡 KENWOOD L-01T ¥160,000(1979年頃)
 ・Hifi engine KENWOOD L-01T※ 輸出機のサービスマニュアルが入手できます。
 ・KENWOOD L-01T 1号機の記録
 ・KENWOOD L-01T 2号機の記録
 ・KENWOOD L-01T 3号機の記録

L01t01L01t10

■動作確認------------------------------------------------------------

 ・電源オン、オレンジ色照明が綺麗に点灯。
 ・Wide/Narrow、Direct/Normal の青い三角形表示もすべて点灯。
 ・二つのメーター照明点灯。
 ・名古屋地区のFM局を受信OK。ただ-0.2MHz程度周波数ズレ。
 ・Tメーター中点とSメーター最大点が一致しない。
 ・STEREOランプは赤く点灯。固定出力、可変出力ともOK。
 ・マルチパスH端子からも正常音声が聞こえる。
 ・NHK-FMを聴くと多重放送による特有のノイズを確認。
 ・底板に修理記録あり。1993年に電球9個が交換されたようです。

L01t02L01t03L01t04L01t05L01t42

■内部確認------------------------------------------------------------

 ・照明用豆電球8個と指針用電球が交換されていました。
 ・電球にマイナス端子はすべてハンダ付けされていました。

L01t20L01t21L01t22L01t23L01t24
L01t25L01t26L01t27L01t28L01t29
L01t30L01t31L01t32L01t33L01t34
L01t35L01t36L01t37L01t38L01t39
L01t40L01t41

■調整記録------------------------------------------------------------

【FMフロントエンド】
 ・OSC調整83MHz → OSC coil
 ・トラッキング調整76MHz → L1,L2,L3,L4,L5,L6
 ・トラッキング調整90MHz → TC1,TC2,TC3,TC4,TC5,TC6
 ・IFT調整 → L17,L19,L21 → Sメーター最大
【Tメーター調整】
 ・LA1231Nクアドラチュア検波調整 → L6 → Tメーター中央
【ミューティング調整】
 ・VR2
【WIDE GAIN調整】
 ・Narrow受信 → Sメーターレベル記録
 ・Wide受信 → VR1調整 → Narrow受信時と同レベルに
【Sメーター調整】
 ・VR3
【第2IF調整】
 ・83MHz受信 → L8調整 → TP=1.96MHz ※実測1.85MHz
【VCO調整】
 ・無変調 → VR6調整 → TP(R117) → 76kHz
【Pilotキャンセル】
 ・VR7,L16調整 → 19kHz漏れ最小へ
【ステレオ歪調整】
 ・フロントエンドL21調整 → 高調波歪最小へ
【SCA調整】
 ・MEGURO DARC ENCODER MSG-2170でFM多重信号を生成
  ※L&R=80%、Pilot=10%、DARC=10%
 ・L10,L11調整 → D36カソード側DC電圧最大へ
 ・VR5調整 → IC9-1pin電圧測定 → +電圧が-電圧に変わる位置※
  ※+7.5V→安定して-6.6Vを示す位置
 ・IC9-1pin電圧が+→-に変わることでSCAフィルター回路のスイッチオン
【ノイズアンプ調整】
 ・離調状態  VR4調整 → Q6(2SC2785)エミッタ電圧 → 8V
【SUB調整】
 ・83MHz L-R信号受信 → VR8調整 → Lch最大
 ・同上  → VR9調整 → Rch最大
【セパレーション調整】
 ・Wide受信時 VR10→Rch、VR11→Lch
 ・Narrow受信 VR1(X13-2690基板)

L01t

■試聴----------------------------------------------------------------

 ・漆黒のフロントパネルに映えるオレンジ照明が抜群に美しいです。
 ・今回も調整によってFM多重放送ノイズを回避できました。
 ・その他再調整によって良い性能を取り戻したと思います。

L01t06

Technics ST-8600 修理調整記録

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 ・2016年9月末、ST-8600の中古品を入手しました。
 ・この機種は2008年に取り上げたことがあります。
 ・でも、古い記事を読み直すとお粗末な内容で恥ずかしくなります。
 ・今回はキチンと記録を残すことが目的です。

St860011

■製品情報-------------------------------------------------------------

 ・オーディオの足跡 Technics ST-8600 ¥72,800(1975年発売)
 ・オーディオ懐古録 Technics ST-8600 ¥72,800
 ・取扱説明書 ST-8600 PDF形式

St860002St860013

■取扱説明書「特長」より抜粋------------------------------------------

新開発の周波数直線型5連バリコン採用の信頼性の高いFMフロントエンド部

 FMアンテナ入力端子は、指向性の鋭いFM専用アンテナと妨害雑音に強い75Ω同軸ケーブルを使用し、本機の受信性能を最高に引きだしていただくため、300Ω端子を廃止し75Ω端子のみとしております。
 バリコンは、電気的精度はもとより、温度変化や経年変化にも強い信頼性の高い新開発の周波数直線型5連バリコンを採用し、4極MOS型FET[3SK40]使用のRF増幅段をはさんで複同調回路を2段設けるなど、高い混信妨害排除能力を得ています。局部発振回路は、高周波低雑音トランジスタ、アルミコア入り発振回路の採用とテクニクス 独自の設計手法を採用するなど、周波数ずれの極めて少ない高品位の局部発振を得ています。さらにそれをバッファ回路を通して4極MOS型FET[3SK40]2石によるバランスドミキサーに供給しています。これらの結果、優れた妨害排除能力、優れた諸特性をもつ、信頼性の高いFMフロントエンド部を構成しています。

群遅延特性と選択度特性を重視した信号系IF回路と独立した制御系IF回路

 独立した信号系IF回路により優れた群遅延特性と高い選択度特性を得ています。選択素子には、従来よりさらに厳しい基準で開発した2素子構成の群遅延平坦型セラミックフィルタを4個使用するとともに、優れた振幅特性を得るため、シングルインラインIC3個[uPC555,uPC555,uPC577]の使用を含め差動増幅6段の信号系IF回路を構成し、選択度85dB、S/N比80dB以上等モノラル、ステレオ時とも諸特性を大幅に向上させています。
 制御系IF回路では、AGCのかかった5段構成の増幅部と狭帯域セラミックフィルタを2個有しており、入力によって直線に変化する電界強度計用とし、理想的な特性を得ております。さらに独立したLC復同調回路による帯域制限回路とのアンド回路によりミューティング回路を形成し、2段の入カレベル制御を行なっています。

PLL方式採用のMPXステレオ復調回路

 MPX部の38kHzスイッチング信号は、PLL方式による純電子式位相保持方式で抜群の環境特性、経年変化特性を有していますから、長期にわたり安定したスイッチング信号を供給し続けます。スイッチング回路は、二重差動方式を一つの高密度集積IC[SN76115N]で構成し、前段の優れた高周波特性と相まって、ステレオ歪、非直線クロストーク、セパレーション特性が低~高周波領域にわたって大幅に向上されています。さらにテクニクス独自の19kHzパイロット信号キャンセル回路を採用することにより19kHz成分のリークキャリアを-65dBに抑えながら周波数特性を18kHzで(+0.2dB,-0.8dB)相遅延特性平担を得、より忠実な波形伝送特性を得ています。さらに位相比較入力として、コンポジット信号より19kHzパイロット信号のみを取りだすジッタ防止回路を採用することによって、より安定なステレオ復調を行なっています。

FMエアチェックの理想を追求したFMローノイズ録音システム

 本機では、より優れたFMエアチェックを行なうため、FM放送局の送り出しのときに用いられる、プリエンファシスを巧みに利用したFMローノイズ録音システムを内蔵しています。このシステムは、テープ録音をする場合、放送局のプリエンファシスがかかった状態で録音をし、再生時にディエンファシスをかけることにより、テープ録音の宿命であるテープヒスノイズを軽減し、低雑音の録音・再生を可能にしたシステムです。さらには、ピンクノイズ出力をもち、録音時のレベル設定の目安に、またスピーカの音質検討に、あるいはスピーカの位相合わせに等、数多くの利用価値をもった機能を有しています。

高安定受信状態を実現する電子微同調機能を有するサーボ・チューニング・システム

 独自のサーボ・チューニング・システムにより、いかなる条件下でも、優れた性能を最良の状態で発揮します。たとえば、選局時の同調ズレ、周波数ズレや放送局の周波数ドリフトまでも±10kHz以内にロックインする機能を有しており、絶対精度を追求するシンセサイザー方式よりも柔軟性をもち、より優れた働きをおこない、極めて安定度の高い受信状態を確保することができます。

周波数直線型バリコン使用のAM部

 ミキサー回路、局部発振回路、IF2段増幅回路のオーソドックスな回路とLCフィルタの採用により、定評のある受信と音質を確保しています。また、同調も容易に行なえるよう周波数直線型バリコンを採用しています。

定電圧電源使用の完全コンプリメンタリSEPP低周波増幅回路

 前段で得られた高品位の音質を忠実に増幅するため、低周波増幅回路は、完全コンプリメンタリSEPP回路構成のICを採用し、電源は安定化された正負2電源を使用しております。この結果、高S/N、低歪率、広帯域を確保しています。

■動作確認-------------------------------------------------------------

 ・巨艦サイズ。奥行約40cmはレコードプレー並み、重量約8.6kgはアンプ並み。
 ・フロントパネルは分厚いアルミ板。周波数窓の造りが凝っています。
 ・背面パネルには見慣れない端子がたくさん並んでいます。※詳細は後述
 ・全体にキズの少ない個体で保存状態は良いです。
 ・FMアンテナを接続して電源オン。オレンジ色の照明窓が浮かび上がります。
 ・電球切れなし。選局ツマミを回して名古屋地区のFM局を受信することを確認。
 ・二つのメーター動作OK。ただTメーター中点とSメーター最大点が一致しない。
 ・中央付近で-0.2MHzの周波数ズレ。
 ・STEREOランプ点灯。MUTING動作OK。ピンクノイズ発生OK。
 ・背面バーアンテナでAM放送も受信OK。
 ・再調整だけで復活しそうです。

St860003St860004St860005St860006St860007
St860008St860009St860014St860015St860017

■背面端子の活用方法---------------------------------------------------

 ・取扱説明書に操作方法が掲載されています。
 ・また日本語版サービスマニュアルにも詳しい解説がありました。

FMローノイズ録音再生方法~抜粋~

 FM-MPXを経たFM信号の周波数特性は高域レベルの高い信号です。この信号にはFMノイズも含まれており、テープデッキを経た信号にはさらにテープのノイズも含まれています。一般にノイズは周波数の高い方がレベルも高いので、FM-MPX後の信号をそのまま録音し、再生した信号をディエンファシスに通すことによってFM信号をフラットな特性にするとともにノイズレベルも通常録音時より約10dB/10kHz下げることができます。

Technics_st8600_lownoise

■内部確認-------------------------------------------------------------

 ・FM5連AM3連バリコン搭載
 ・信号系IF、制御系IF の2系統
 ・信号系IF=セラミックフィルタ×4個+IFアンプ
 ・制御系IF=セラミックフィルタ×2個+IFアンプ
 ・レシオ検波
 ・SN76115N:PLL MPX IC ※SN76115NはHA1156(MC1310)のコンパチ品。

St860020St860021St860022St860023St860024
St860025St860026St860027St860028St860029
St860030St860031St860032St860033St860034
St860035St860036St860037St860038St860020_2

■調整記録-------------------------------------------------------------

 ・ST-8600サービスマニュアルを基にして一部アレンジ

St8600

【メインIF調整】
 ・フロントエンド内 TP1 にSSG出力10.7MHz(*)注入
 ・TP101 オシロスコープ接続
 ・フロントエンド内T1調整 → 波形最大かつ左右対称
 ※CFの色 → 緑(10.6MHz)、黒(10.65MHz)、赤(10.7MHz)、白(10.75MHz)、黄(10.8MHz)
 ※本機のCFは黒(10.65MHz)でした。
【ミューティングIF調整】
 ・フロントエンド内 TP1 にSSG出力10.7MHz(*)注入
 ・TP251 DC電圧計セット → T251,T252調整 → 電圧最大
【レシオ検波調整】
 ・アンテナ入力なし
 ・T101(緑色コア)調整 → Tメーター中点
【OSC調整】
 ・SSG76MHz → L6調整 → Sメーター最大
 ・SSG90MHz → CT5調整 → Sメーター最大
【RF調整】
 ・SSG76MHz → L1,L2,L3,L4調整 → Sメーター最大
 ・SSG90MHz → CT1,CT2,CT3,CT4調整 → Sメーター最大
【検波歪調整】
 ・音声出力をWaveSpectraに接続
 ・SSG83MHz → T101(茶色コア)調整 → 高調波歪最小
【Sメーター振れ調整】
 ・SSG83MHz → VR561調整 → Sメーター振れ調整(※100dB=4.7)
【ミューティング調整】
 ・muting ON(中間位置)
 ・SSG83MHz 14dB → VR562調整 → ミューティング作動
 ・muting ON(deep位置)
 ・SSG83MHz 30dB → VR563調整 → ミューティング作動
【VCO調整】
 ・TP601 周波数カウンタ接続
 ・SSG83MHz → VR601調整 → 19kHz±30Hz
【パイロットキャンセル調整】
 ・音声出力をWaveSpectraで観測
 ・SSG83MHz → VR602,VR603調整 → 19kHz信号最小
 ・左右chバランス注意
【OUTPUT端子セパレーション調整】
 ・OUTPUT端子の音声出力をWaveSpectraで観測
 ・SSG83MHz → VR801調整 → 反対chへの漏れ信号最小
【RECOUT端子セパレーション調整】
 ・RECOUT端子の音声出力をWaveSpectraで観測
 ・SSG83MHz → VR701調整 → 反対chへの漏れ信号最小
【ピンクノイズレベル調整】
 ・SSG83MHz 400Hz 60dB 100%変調  → RECOUT端子の出力レベル確認
 ・pink noiseスイッチON → VR351調整 → -6dB位置へ
【AM OSC調整】
 ・SSG AM600kHz → T403調整 → Sメーター最大
 ・SSG AM1500kHz → CT403調整 → Sメーター最大
【AM RF調整】
 ・SSG AM600kHz → T402、バーアンテナ内L401調整 → Sメーター最大
 ・SSG AM1500kHz → CT401,CT402調整 → Sメーター最大
【AM IFT調整】
 ・SSG AM1000kHz → T404,T405,T406調整 → Sメーター最大

■試聴-------------------------------------------------------------

 ・大きなボディ+凝ったフロントフェイス=存在感がありますね。
 ・オレンジ色に映える照明窓と二つのメーターが良い雰囲気です。
 ・背面端子がたくさんありますが通常音声は OUT PUT端子から取り出せば良いです。
 ・お洒落なインテリアとしてリビングに一台いかがでしょう。

St860010

TRIO KT-9700

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■謹賀新年2017

 ・2017年が皆様にとって良い年になりますように。
 ・私は相変わらずジャンクチューナー整備に精を出します。
 ・今年もよろしくお願いします。

Kt970009

さて、
 ・2016年11月初め、KT-9700の修理調整作業を承りました。
 ・発売当時に購入したワンオーナー品だそうです。
 ・KT-9700は初体験機種です。

■製品情報------------------------------------------------------------

 ・オーディオ懐古録 TRIO KT-9700 ¥150,000 1976年
 ・Hifi Engine KENWOOD Model 600T $650 1976
 ・KT-9700はトリオがパルスカウント検波を搭載した最初の機種です。

Kt970001Kt970010

■パルスカウント検波機の系譜------------------------------------------

 ・cooltune様のサイトにTRIO/KENWOODチューナー一覧表があります。
 ・ここからパルスカウント検波機だけを年代順に抽出しました。
 ・並べてみると進化の歴史がよく分かります。

【1976年】パルスカウント検波チューナー登場 ※検波回路はディスクリート構成
 ・KT-9700 ¥150,000 FM専用9連バリコン
 ・KT-8000 ¥ 69,800 FM専用7連バリコン

【1978年】検波回路のIC化(TR4010/TR4010A)
 ・KT-9900 ¥200,000 FM専用9連バリコン
 ・KT-8300 ¥ 63,000 FM専用5連バリコン
 ・KT-8100 ¥ 42,000 FM4連AM2連バリコン

【1979年】検波回路のIC化(TR4010A)
 ・L-01T ¥160,000 FM専用7連バリコン ※初のKENWOODブランド機
 ・L-07TII ¥130,000  FM専用7連バリコン
 ・KT-80 ¥ 37,000 FM専用4連バリコン ※システムコンポの一部

【1980年】ニューパルスカウントシステム登場、専用IC進化(TR7020+TR4011)
 ・KT-1000 ¥69,800 FM5連AM3連バリコン
 ・KT-900 ¥49,800 FM4連AM2連バリコン

【1981年】ニューパルスカウントシステム、専用IC(TR7020+TR4011)
 ・KT-9X ¥64,800 FM5連バリキャップ ※唯一のシンセサイザー機

【1982年】ニューパルスカウントシステム、専用IC(TR7020+TR4011)
 ・KT-1100 ¥73,800 FM5連AM3連バリコン
 ・KT-990 ¥53,800 FM4連AM2連バリコン

■動作確認------------------------------------------------------------

 ・電源コードの印字 1976。
 ・年代相応の汚れ、天板後部に錆び。フロントパネルに目立つキズは無い。
 ・FMアンテナを接続して電源オン。照明電球点灯。タマ切れなし。
 ・チューニングつまみを回すとSメーターとTメーターの動きは正常。
 ・IFバンド切替に応じてインジケーター点灯。STEREOランプ点灯。
 ・どうやら名古屋地区のFM局を受信しているようです、、
 ・ただし固定/可変端子どちらも音が出ない。
 ・MUTINGレベルを切り替えても音が出ない。
 ・マルチパスH端子の出力を確かめると放送が聞こえる。
 ・これはミューティング回路の故障が怪しい感じ?

Kt970001_2Kt970003Kt970004Kt970005Kt970006
Kt970010_2Kt970011Kt970012Kt970013Kt970014

■内部確認------------------------------------------------------------

 ・X01-1250-10:RF 基板 ※FM専用9連バリコン搭載フロントエンド
 ・X02-1090-10:IF 基板 ※WIDE、NORMAL、NARROWの3段切替
 ・X02-1110-10:検波基板 ※IC化される以前のディスクリート構成
 ・X04-1090-10:MPX基板 ※HA1156・・PLL化ICの初期型、さすがにちょっと古い
 ・X13-2370-10:スイッチ基板
 ・X00-1810-10:電源基板

Kt970020Kt970023Kt970021Kt970024Kt970026
Kt970022Kt970034Kt970035Kt970036Kt970037
Kt970027Kt970028Kt970029Kt970030Kt970031
Kt970032Kt970033Kt970038Kt970039Kt970040
Kt970041Kt970042Kt970043Kt970044Kt970045
Kt970046Kt970047Kt970048Kt970049Kt970050

【IF基板 信号の流れを理解する】
 ・WIDE :FL1 → IC1 → L15 → IC2 → L16 → IC3 → L17 → 第2IF
 ・NORMAL:FL1 → IC1 → FL2 → IC4 → L16 → IC3 → L17 → 第2IF
 ・NARROW:FL5 → IC6 → FL6 → IC7 → FL7 → IC8 → L19 → IC5 → L17 → 第2IF
 ・第2IF:L17 → IC10→ L18 → FL3 → FL4 → 1.96MHz
 ・MUTING:FL5 → IC6 → FL6 → IC7 → FL7 → IC8 → L19 → IC9 → L20 → MUTING
 ・制御系:FL8 → L21 → IC11→ L22 → L23 → IC11→ MULTIPATH、Sメーター

Kenwood_600t_fm_if

■修理記録------------------------------------------------------------

 ・マルチパスH端子からは音が出るが固定/可変端子からは音が出ない。
 ・といういことは、MUTINGが解除できない状態のようです。
 ・MPX基板(X04-1090-10)出口 11番端子(Rch),12番端子(Lch)は音が出ている。
 ・スイッチ基板(X13-2370-10)出口16番端子(Rch/fix),17番端子(Lch/fix)音がでない。
 ・スイッチ基板(X13-2370-10)出口20番端子(Rch/var),21番端子(Lch/var)音がでない。
 ・固定音声用リレーRL1、可変音声用リレーRL2どちらも作動していない。
 ・ということはミューティング信号あるいは電源系のトラブルか?

 ・調べてみるとリレー駆動回路に電圧が来ていない。
 ・電源回路を確認すると、、何と!ヒューズが切れていました。
 ・F1(250V/800mA)、目視では切れていないようですが抵抗値が無限大でした。
 ・これを新品に交換したところミューティン解除されて音が出てきました。
 ・切れたようには見えないのですが、、原因はヒューズ自体の劣化でしょうか?

Kt970065

■調整記録------------------------------------------------------------

600tblockdiagram

【OSC調整】
 ・SSG 83.0MHz → フロントエンドOSC調整 → Sメーター最大
 ※一点調整のため両端では多少のズレ発生。
【RF調整】
 ・SSG 76.0MHz → L1,L3,L4,L5,L7,L8,L9 → Sメーター最大
 ・SSG 90.0MHz → TC1,TC2,TC3,TC4,TC5,TC6,TC7 → Sメーター最大
【IFT調整】
 ・SSG 83.0MHz → フロントエンドL12調整 → Sメーター最大
 ・歪最小になるIF周波数=10.75MHz
【Tメーターオフセット調整】
 ・IF基板(X02-1090-10)12番端子に周波数カウンタ接続
 ・IFバンド=WIDE
 ・SSG 83.0MHz → 選局ツマミを回して2.01MHz(*)を示す位置へ
 ・検波基板(X02-1110-10) VR1調整 → Tメーター中点
  ※本機の実測IF周波数=10.75MHz
  ※本機の水晶発振子= 8.736MHz
  ※第2IF周波数10.75-8.736=2.014MHz
  ※本来は10.7-8.736=1.964MHzですが実機に合わせました。
【IF歪調整】
 ・IFバンド=WIDE
 ・SSG 83.0MHz → Tメーター中点へ
 ・IF基板(X02-1090-10) L15,L16,L17,L18調整 → 高調波歪最小
 ・IFバンド=NARROW
 ・SSG 83.0MHz → Tメーター中点へ
 ・IF基板(X02-1090-10) L19調整 → 高調波歪最小
【ミューティング調整】
 ・IF基板(X02-1090-10) D1カソード側にDC電圧計セット
 ・SSG 83.0MHz → L20調整 → 電圧最大
 ・ミューティングスイッチ40dB → VR1調整
 ・ミューティングスイッチ20dB → VR2調整
【Sメーター調整】
 ・IF基板(X02-1090-10) D9カソード側にDC電圧計セット
 ・SSG 83.0MHz → L21調整 → 電圧最大
 ・SSG 83.0MHz 20dB → VR3調整 → SメーターMAX調整
 ・SSG 83.0MHz 90dB → VR4調整 → SメーターMIN調整
【出力調整】
 ・MPX基板(X04-1090-10) R2右足にAC電圧計セット
 ・SSG 83.0MHz 100%変調信号 → VR5調整 → 500mV
【VCO調整】
 ・MPX基板(X04-1090-10) TP 周波数カウンタ接続
 ・SSG 83.0MHz → VR2調整 → 19kHz
【セパレーション調整】
 ・固定出力端子をWaveSpectraに接続
 ・IFバンド=WIDE
 ・SSG 83.0MHz ST信号 → VR3調整 → Rch
 ・SSG 83.0MHz ST信号 → VR4調整 → Lch
【DEVIATIONメーター調整】
 ・SSG 83.0MHz 100%変調信号 → VR5調整 → DEV.メーター100%位置へ

Kt9700new

■試聴----------------------------------------------------------------

 ・パルスカウント検波搭載1号機に触れる嬉しい機会をいただきました。
 ・検波回路がIC化される以前の古い機種ですが、再調整で復活したと思います。
 ・NHK-FMを受信してもFM多重放送による影響はありません。
 ・再調整すれば後継の最上位機KT-9900よりも気持ち良いく使えます。

Kt970007

Technics ST-S8 修理調整記録

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 ・2016年10月、テクニクス製薄型高級チューナーの修理調整を承りました。
 ・以下、作業報告です。

Sts808

■製品情報------------------------------------------------------------

 ・オーディオ懐古録 Technics ST-S8 ¥98,000 1980年
 ・オーディオの足跡 Technics ST-S8 ¥98,000 1980年
 ・Hifi Engine Technics ST-S8 / 1982

Sts803Sts804

■動作確認------------------------------------------------------------

 ・1Uサイズ(44mm)の薄型ボディ、でも奥行きが約40cmもあります。
 ・レコードプレーヤー並みの大きさです。
 ・FMアンテナを接続して電源オン。周波数窓に76.1MHzが表示されました。
 ・FM受信範囲76.1MHz~89.9MHz
 ・オート受信により名古屋地区のFM放送局をすべて受信しました。
 ・周波数ズレなし。STEREOランプ点灯。実際にステレオ感あり。MUTING作動。
 ・FM電波強度をdB表示できます。AMも問題なさそう。

Sts805Sts806Sts807
Sts801Sts802Sts810Sts812Sts814

■内部確認------------------------------------------------------------

 ・豪華7連バリキャップのフロントエンドが目立ちますね。
 ・uPC1167C:FM IF SYSTEM クアドラチュア検波
 ・uPC1161C:PLL MPX
 ・uPC1018C:AM SYSTEM
 ・メモリバックアップ用3連キャパシタが死亡しています。
 ※本機は底板が外せないので交換は見送りました。

Sts820Sts821Sts822Sts823Sts824
Sts825Sts826Sts827Sts828Sts829
Sts830Sts831Sts832Sts833Sts834
Sts835Sts836Sts837Sts838Sts839

■調整記録------------------------------------------------------------

【FM VT電圧】
 ・TP1 → DC電圧計セット
 ・受信周波数76.1MHz → L10調整 → 4.1V±0.1V ※実測3.9V
 ・受信周波数89.9MHz → CT7調整 → ※実測15.0V
【フロントエンド調整】
 ・VR501(Sメーターレベル調整)足にDC電圧計セット
 ・83.0MHz受信 → L1,L2,L4,L5,L6,L8調整 → 電圧最大
 ・83.0MHz受信 → T101調整 → 電圧最大
【クアドラチュア検波調整】
 ・TP102~TP103 → DC電圧計セット
 ・83.0MHz受信 → T102調整 → OV±20mV
 ・OUTPUT出力をWaveSpectra観測
 ・83.0MHz受信 → T103調整 → 高調波歪最小
【VCO調整】
 ・TP302 → 周波数カウンタセット
 ・83.0MHz無変調 → VR301調整 → 19kHz±30Hz
【パイロットバンドパスフィルター設定】
 ・TP301 → AC電圧計セット
 ・83.0MHzステレオ変調 → L302,L303調整 → 電圧最大
【パイロットキャンセル調整】
 ・83.0MHzステレオ変調 → L303,VR303調整 → 漏れ信号最小
 ・左右chバランス注意
【SUB信号】
 ・OUTPUT出力をWaveSpectra観測
 ・83.0MHz SUB変調 → VR302調整 → Lch信号最大
【ステレオ歪調整】
 ・83.0MHzステレオ変調 → T101調整 → 高調波歪最小
【セパレーション調整】
 ・83.0MHzステレオ変調 → VR401調整 → 反対chへの漏れ信号最小
【シグナルメーター調整】
 ・83.0MHz無変調60dB → VR501調整 → SメーターLEDフル点灯
 ・83.0MHz無変調80dB → VR502調整 → dB表示調整
【MUTINGレベル調整】
 ・83.0MHz無変調20dB → VR101調整 → MUTING作動位置へ
【アナログ周波数表示調整】
 ・89.9MHz無変調 → VR503調整 → 89.9MHz位置でLED点灯する位置へ
【AM VT電圧】
 ・TP201 → DC電圧計セット
 ・受信周波数522kHz → L202調整 → ※実測0.9V
 ・受信周波数1611kHz → CT201調整 → ※実測21.8V
 ・CBCラジオ(1053kHz受信)→ L201背面バーアンテナコア調整 → Sメーター最大
 ・CBCラジオ(1053kHz受信)→ L203,L20調整 → Sメーター最大

Sts8

Technics_sts8_sche2

■試聴----------------------------------------------------------------

 ・チューナーに限らずテクニクスのガンメタデザインはカッコ良かったですね。
 ・登録したメモリを保持できませんがそれ以外は正常に使えます。
 ・電波強度表示は目安程度の精度です。
 ・FMアンテナ設置時に方向を決める用途に便利です。

Sts809

YAMAHA TX-2000 修理調整記録

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 ・2016年11月、YAMAHA TX-2000の調整作業を承りました。
 ・特に故障個所は無かったです。以下、作業記録です。

Tx200009

■製品情報------------------------------------------------------------

 ・オーディオの足跡 YAMAHA TX-2000 ¥100,000(1988年発売)
 ・Hifi Engine YAMAHA TX-2000 ※海外版サービスマニュアルあり

Tx200002Tx200011

■動作確認------------------------------------------------------------

 ・本体に目立つキズありません。サイドウッドもとても綺麗な状態です。
 ・電源オン。オレンジ色の表示点灯。輝度劣化もなく眩しいほど輝いています。
 ・FMアンテナ端子はF型でA/B 2系統。同軸ケーブルを接続して受信確認。
 ・オート選局、マニュアル選局で名古屋地区のFM局を正常に受信できました。
 ・受信周波数にズレはありませんが、受信時の挙動から同調点ズレの気配を感じます。
 ・例えばNHK-FM(82.5MHz)の場合、82.4MHzで一旦停止してから躊躇うように82.5MHzになる。
 ・ファインチューニングにすると82.5MHzに対して82.45MHz辺りでSメータ最大となる。
 ・IF MODE切替をAUTOにするとすべての局で NARROW 受信になる。
 ・メモリ登録して1週間放置しても内容を保持していました。
 ・AMは手持ちの適当なループアンテナを接続して受信確認。
 ・名古屋地区のAM放送局をオート選局で正常に受信しました。
 ・シグナルメーターはどの局も振り切れます。
 ・AM部は問題なさそうです。

Tx200001Tx200003Tx200004Tx200005Tx200006
Tx200010Tx200012Tx200013Tx200014

■内部確認------------------------------------------------------------

 ・フロントエンドは5連バリキャップ → WIDE/NARROW 2系統IF段 → レシオ検波
 ・LA1266:FM/AM一体型IF SYSTEM
 ・LA3433:PLL MPX IC
 ・VR 1:IF WIDE STEREO歪調整
 ・VR 2:IF WIDE STEREO歪調整
 ・VR 3:IF NARROW STEREO歪調整
 ・VR 4:IF NARROW STEREO歪調整
 ・VR 5:IF NARROW STEREO歪調整
 ・VR 6:IF NARROW STEREO歪調整
 ・VR 7:IF WIDE STEREO歪調整
 ・VR 8:IF WIDE STEREO歪調整
 ・VR 9:IF MONO歪調整
 ・VR10:S-Meter調整
 ・VR11:NARROWセパレーション調整 L→R
 ・VR12:NARROWセパレーション調整 R→L
 ・VR13:WIDEセパレーション調整 L→R
 ・VR14:WIDEセパレーション調整 R→L
 ・VR15:PILOT CANCEL調整
 ・VR17:IF OFFSET調整
 ・T 7:レシオ検波
 ・T 6:IF WIDE STEREO歪調整
 ・T13:IF WIDE STEREO歪調整
 ・T10:PLL入力位相調整
 ・T12:PLL入力位相調整
 ・T11:PILOT CANCEL調整

Tx200020Tx200021Tx200022Tx200023Tx200024
Tx200025Tx200026Tx200027Tx200028Tx200029
Tx200030Tx200031Tx200032Tx200033Tx200034
Tx200035Tx200036Tx200037Tx200038Tx200039
Tx200040Tx200041Tx200042Tx200043

■調整記録------------------------------------------------------------

 ・海外版サービスマニュアルを一部アレンジ。

【本体設定】
 ・電源投入から5分以上経過していること
 ・OSCコイル、IFTの調整には金属製ドライバーは使用しないこと
 ・まずFMセクションを調整し、次にAMセクションを調整すること
 ・MODE:AUTO ST
 ・BLEND:OFF
 ・IF MODE:NARROW
 ・RF ATT:OFF
 ・FINE TUNING ON → すなわちCSL停止状態
 ・オーディオ出力をWaveSpectra接続
【電圧確認】
 ・+30 → +29V±1V → ※実測+28.3V
 ・+12 → +12.5V±0.5V → ※実測+12.5V
 ・-12 → -12.5V±0.5V → ※実測-12.2V
 ・+ 6 → + 6V±0.5V ※実測+5.9V
【VT電圧確認】
 ・L17の足に DC電圧計接続
 ・受信周波数 90MHz → T8調整 → 25.0V
 ・受信周波数 76MHz → 7.1V ※確認のみ
【FMフロントエンド調整】
 ・VR10の足 DC電圧計セット
 ・77.00MHz(SSG) 無変調 60dB受信 → FINE TUNING 電圧最大となる周波数を探す
 ・76.94MHz(TX2000)にて電圧最大
 ・この状態で T1,T2,T3,T4調整 → 電圧最大
 ・89.00MHz(SSG) 無変調 60dB受信 → FINE TUNING 電圧最大となる周波数を探す
 ・88.93MHz(TX2000)にて電圧最大
 ・この状態で VC1,VC2,VC3,VC4調整 → 電圧最大
【レシオ検波調整】
 ・VR10の足 DC電圧計セット
 ・83.00MHz(SSG) 70dB 無変調 →  FINE TUNING 電圧最大となる周波数を探す
 ・82.94MHz(TX2000)にて電圧最大
 ・基板上のFM S端子~GND間にDC電圧計セット
 ・82.94MHz(TX2000)位置で受信した状態 → T7調整 → 電圧ゼロ
 ※以下、信号発生器 83.00MHz送信 → TX2000 82.94MHz受信
【モノラル歪調整】
 ・82.94MHz(TX2000) 70dB 1kHz 100%変調 → VC5,VR9調整 → Mono歪最小
【PLL入力位相調整】
 ・82.94MHz(TX2000) 70dB 1kHz STEREO(L-R) → T10,T12調整 → Lch出力最大
【ステレオ歪調整】NARROW
 ・82.94MHz(TX2000) 70dB 1kHz STEREO(L-R) → VR3,4,5,6調整 → STEREO歪最小
【ステレオ歪調整】WIDE
 ・IF MODE:WIDE
 ・82.94MHz(TX2000) 70dB 1kHz STEREO(L-R) → T5,6,13,VR1,2,7,8調整 → STEREO歪最小
【セパレーション調整】WIDE
 ・IF MODE:WIDE
 ・82.94MHz(TX2000) 70dB 1kHz STEREO → VR13調整 → L→R漏れ信号最小
 ・82.94MHz(TX2000) 70dB 1kHz STEREO → VR14調整 → R→L漏れ信号最小
【セパレーション調整】NARROW
 ・IF MODE:NARROW
 ・82.94MHz(TX2000) 70dB 1kHz STEREO → VR11調整 → L→R漏れ信号最小
 ・82.94MHz(TX2000) 70dB 1kHz STEREO → VR12調整 → R→L漏れ信号最小
【パイロット信号キャンセル調整】WIDE
 ・82.94MHz(TX2000) 70dB 1kHz STEREO → VR15,T11調整 → 19kHz成分最小
 ・左右chのバランスに注意
【シグナルメーター調整】WIDE
 ・82.94MHz(TX2000) 80dB 1kHz STEREO → VR10調整 → レベルメーター全点灯
【ブレンドチェック】WIDE
 ・82.94MHz(TX2000) 70dB 1kHz STEREO → 受信中にBLENDスイッチON
 ・セパレーション値が左右とも悪化することを確認
【IF オフセット調整】
 ・FINE TUNING OFF → すなわちCSL受信状態
 ・D4~K3を短絡
 ・82.94MHzの表示が「29.4」という表示に変わる。
 ・VR17調整 → 周波数表示を微調整
 ・「29.4」→「30.0」と表示されるように調整
 ・調整後はD4~K3を開放
 ※D4~K3を短絡すると登録したメモリー内容がリセットされる
AM部
【VT電圧確認】
 ・ 522kHz受信 → L17電圧=3.2V ※確認のみ
 ・1620kHz受信 → L17電圧=23.7V ※確認のみ
【RF、IF調整】
 ・1053kHz受信(名古屋CBCラジオ)→ RK1調整 → Sメーター最大
 ・1053kHz受信(名古屋CBCラジオ)→ T9調整 → Sメーター最大

Tx2000

■試聴----------------------------------------------------------------

 ・YAMAHAデザインはとにかくカッコいいですね。
 ・再調整によって良い性能を取り戻したと思います。

Tx200007

Marantz ST-8mkII

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 ・2016年11月、Marantz ST-8mkII(マークツー)が届きました。
 ・オシロスコープを装備したチューナーは初体験です。
 ・以下、作業記録です。

St8mkii03

■製品情報------------------------------------------------------------

 ・オーディオの足跡 Marantz ST-8 \135,000(1979年頃)
 ・オーディオの足跡 Marantz ST-8mkII ¥135,000(1980年頃)
 ・Hifi Engine Matrantz ST-8 Quartz Stereo Tuner (1980-82) サービスマニュアルあり
 ・Marantz ST-8mkII 取扱説明書※依頼者様からご提供いただきました。

St8mkii01St8mkii14

 ・ST-8 と ST-8mkIIの違いは何でしょう?
 ・外観に相違点なし。mkIIではウッドケースが標準装備になったとか?
 ・よく見るとAM受信周波数帯に違いがありました。
  ・ST-8 535~1605kHz
  ・ST-8mkII 531~1602kHz
 ・そういえば1978年(昭和53年)11月、AM放送局の送信周波数が一斉変更さました。
 ・AM部分のの仕様変更だったとか?

■動作確認------------------------------------------------------------

 ・シャンパンゴールドに輝く美しいフロントパネル。とても綺麗です。
 ・ボディは多少の擦り傷があるものの、状態は良いです。
 ・本来はウッドケースに収まっていたのでしょうか、底面に足がありません。
 ・75Ω端子にアンテナを接続して電源オン。
 ・周波数の目盛りと数字だけが青く浮かび上がり、指針先端は赤く光ります。
 ・ゴールドフェイスにマッチして何とも言えず高級感が漂いますね。
 ・さて、一般的なチューナーにあるTメーターやSメーターがありません。
 ・本機の特徴であるオシロスコープがその役割を果たすはずですが何も映りません?
 ・オシロスコープ下にある押しボタンで機能を選択する必要がありました。
 ・試行錯誤を繰り返してオシロスコープの使い方がだんだん分かってきました。
 ・FM受信時は垂直方向で電波強度、水平方向で同調状態を同時に表示する。
 ・AM受信時は垂直方向のみで電波強度を表示する。

St8mkii02St8mkii04St8mkii05St8mkii06St8mkii07
St8mkii16St8mkii17St8mkii18St8mkii19St8mkii20

 ・マランツ機特有の円盤状の選局つまみ「ジャイロチューニング」が特徴的。
 ・タッチセンサー内蔵でジャイロに指を触れるとロック解除。
 ・指を離すとクォーツロック回路が周波数をロックする。
 ・IFバンド切替、MUTING切替、REC CALトーン機能など動作OK。
 ・AM放送は背面バーアンテナでクリアに受信OK。
 ・大きな問題点は無さそうな印象です。

St8mkii09St8mkii10St8mkii11St8mkii12St8mkii13

■内部確認------------------------------------------------------------

 ・ボディと底板を外して内部確認。ST-8回路図と見比べながら細部を調査。

Marantz_st8_sche

 ・FM5連、AM3連バリコン搭載のフロントエンド。
 ・Wide系/Narrow系IF+レシオ検波
 ・制御系IF+レシオ検波
 ・HA11223:PLL-MPX
 ・LA1240:AMチューナー

St8mkii21St8mkii22St8mkii24St8mkii25St8mkii26
St8mkii27St8mkii28St8mkii29St8mkii30St8mkii31
St8mkii32St8mkii33St8mkii34St8mkii35St8mkii36
St8mkii37St8mkii38St8mkii39St8mkii40St8mkii41
St8mkii42St8mkii43St8mkii44St8mkii45St8mkii46

■調整記録------------------------------------------------------------

St8mk1St8mk2

●オシロスコープ部の調整 ※高電圧・感電注意!
 ・SCOPE DISPLAY=EXT.
 ・VERT=中央位置
 ・HORIZ=中央位置
 ・EXT LEVEL=最小位置
【中点調整】
 ・オシロスコープ基板 R925(H.CENTER)調整 → オシロスコープ上の輝点を中央に
 ・オシロスコープ基板 R926(V.CENTER)調整 → オシロスコープ上の輝点を中央に
【GAIN調整】
 ・REC LEVEL=ON
 ・SCOPE DISPLAY=AUDIO
 ・オシロスコープ基板 R927(H.GAIN)調整 → H振幅=3
 ・オシロスコープ基板 R928(V.GAIN)調整 → V振幅=3 → ※輝線の傾き=45度
【TUNING BIAS調整】
 ・REC LEVEL=OFF
 ・SCOPE DISPLAY=EXT.とTUNINGを同時に押す
 ・オシロスコープ基板 R931(TUNING BIAS)調整 → オシロスコープの輝点を一番下に

St8mkii07_2

●FM部の調整
 ・SCOPE DISPLAY=TUNING
 ・VERT=中央位置
 ・HORIZ=中央位置
 ・IF-WIDE=EXT.
 ・QUARTZ LOCK=OFF
 ・MPX NOISE FILTER=OFF
 ・MUTING LEVEL=OFF
【制御系IF同調点調整】
 ・IF基板 J220~J218間に電圧計セット(Tメーター)
 ・IF基板J201にSSG10.7MHz注入 → IF基板L213調整 → 電圧ゼロ
【FM OSC調整】
 ・IF基板 J220~J218間に電圧計セット(Tメーター)
 ・SSG 76.0MHz 1kHz → フロントエンドL106調整 → 電圧ゼロ
 ・SSG 90.0MHz 1kHz → フロントエンドTC105調整 → 電圧ゼロ
  ※L106がボンドで固められていたため、83MHz一点のみで調整
  ※SSG 83.0MHz 1kHz → フロントエンドTC105調整 → 電圧ゼロ
【FM RF調整】
 ・IF基板 J220~J218間に電圧計セット(Tメーター)
 ・SSG 76.0MHz 1kHz → 電圧ゼロ確認
 ・IF基板 J212電圧計セット(Sメーター)
 ・SSG 76.0MHz 1kHz → フロントエンドL101~104調整 → 電圧最大
 ・SSG 90.0MHz 1kHz → 電圧ゼロ確認
 ・SSG 90.0MHz 1kHz → フロントエンドTC101~104調整 → 電圧最大
【FM IFT調整】
 ・IF基板 J220~J218間に電圧計セット(Tメーター)
 ・SSG 83.0MHz 1kHz → 電圧ゼロ確認
 ・IF基板 J212電圧計セット(Sメーター)
 ・SSG 83.0MHz 1kHz → フロントエンドL105調整 → 電圧最大
【NARROW系IF調整】
 ・IF-WIDE=OFF
 ・IF基板 J220~J218間に電圧計セット(Tメーター)
 ・SSG 83.0MHz 1kHz → 電圧ゼロ確認
 ・IF基板 J212電圧計セット(Sメーター)
 ・SSG 83.0MHz 1kHz → IF基板L202調整 → 電圧最大
【レシオ検波調整】
 ・IF-WIDE=ON
 ・IF基板 J216~GND間に電圧計セット(Tメーター)
 ・音声出力をWaveSpectra観察
 ・SSG 83.0MHz 1kHz → IF基板L206調整 → 電圧ゼロ
 ・SSG 83.0MHz 1kHz → IF基板L205調整 → 高調波歪最小
【VCOフリーラン調整】
 ・TP VCO(R314)に周波数カウンタ接続
 ・SSG83.0MHz → R313調整 → 76kHz±200Hz
【パイロットキャンセル調整】
 ・音声出力をWaveSpectraで観察
 ・SSG83.0MHz ST変調 → R302調整 → 19kHz成分最小
【WIDE系セパレーション調整】
 ・IF BAND=WIDE
 ・SSG83.0MHz ST変調 → フロントエンドL105調整 → 高調波歪最小
 ・SSG83.0MHz ST変調 → MPX基板R369調整 → Lch漏れ最小
 ・SSG83.0MHz ST変調 → MPX基板R366調整 → Rch漏れ最小
【NARROW系セパレーション調整】
 ・IF BAND=NARROW
 ・SSG83.0MHz ST変調 → IF基板C294調整 → 高調波歪最小
 ・SSG83.0MHz ST変調 → MPX基板R368調整 → Lch漏れ最小
 ・SSG83.0MHz ST変調 → MPX基板R367調整 → Rch漏れ最小
【REC LEVEL調整】
 ・IF BAND=WIDE
 ・SSG83.0MHz ST変調 400Hz → オーディオ出力レベル記録
 ・REC LEVEL=ON → AF基板RT37調整 → -6dBレベルに
【MUTING調整】
 ・MUTINGつまみ設定=MIN
 ・SSG83.0MHz 18dB → IF基板RB10調整 → MUTING解除位置
 ・MUTINGつまみ設定=MAX
 ・SSG83.0MHz 34dB → IF基板RB47調整 → MUTING解除位置
 ・SSG83.0MHz 34dB → MPX基板R349調整 → MUTING同調点検出レベル
  ※MPX基板Q348-C電圧 → 同調時3V前後、離調時0V
【オシロスコープ:Sメーター調整】
 ・SCOPE DISPLAY=TUNING
 ・SSG83.0MHz 60dB → IF基板RB11調整 → オシロスコープレベル=3
  ※オシロスコープ目盛りの最下段を0、最上段を6とする。
【オシロスコープ:MULTIPATH調整】
 ・SCOPE DISPLAY=MULTIPATH
 ・SSG83.0MHz 60dB → IF基板RB27調整 → オシロスコープ水平振幅=3
  ※マルチパス(H)調整
●AM部の調整
【AM OSC調整】
 ・IF基板J205 電圧計セット(AM Sメーター)
 ・SSG 600kHz 60dB → IF基板L152調整 → 電圧最大
 ・SSG1400kHz 60dB → フロントエンドTC152調整 → 電圧最大
【AM RF調整】
 ・SSG 600kHz 60dB → IF基板L151、バーアンテナ調整 → 電圧最大
 ・SSG1400kHz 60dB → フロントエンドTC151,153調整 → 電圧最大
【AM IF調整】
 ・SSG1000kHz 60dB → IF基板L153,154調整 → 電圧最大 
【AM Sメーター調整】
 ・SSG1000kHz 60dB → IF基板R152調整 → オシロスコープSレベル=2.5

■試聴----------------------------------------------------------------

 ・シャンパンゴールドに青色照明、何とも言えず高級感があります。
 ・オシロスコープに映し出される輝線は見ていて飽きないです。
 ・オーディオ全盛期の稀少機種として価値があります。

St8mkii08


SONY ST-S555ESX 修理調整記録1

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 ・2016年11月末、名機ST-S555ESXの故障品が届きました。
 ・外観がとても美しいので何とか直したい、、

555esx08

■製品情報------------------------------------------------------------

 ・オーディオの足跡 SONY ST-S555ESX ¥74,000(1986年発売)
 ・オーディオ懐古録 SONY ST-S555ESX FM STEREO/FM AM TUNER ¥74,000(1986)
 ・Hifi Engine SONY ST-S800ES (1988) 輸出機のサービスマニュアルあり

555esx02555esx04

■動作確認------------------------------------------------------------

 ・30年前の製品とは思えないほどとても綺麗な個体です。
 ・きっと大切に使われていたのでしょう。
 ・さてFMアンテナを接続して電源オン。
 ・表示部は文字痩せ、文字欠けなく輝度も十分です。
 ・オート選局で名古屋地区のFM放送局を受信しました。
 ・周波数ズレなし。STEREOランプ点灯。
 ・WIDE/NARROW切替、MUTING切替、REC CALトーンなど動作OK。
 ・メモリ登録OK。その後電源オフでも1週間保持することを確認。
 ・手持ちのAMループアンテナで名古屋地区のAM放送局を受信。
 ・FM/AMとも特に問題なさそう、、、と思ったら、、

555esx05555esx06555esx07555esx10555esx11

 ・FM放送受信時に「ボソッ、ボソボソッ」と不定期に雑音が混入します。
 ・雑音発生時にSメーターの揺れやSTEREOランプの明滅現象は無い。
 ・IF BAND WIDE/NARROWどちらでも雑音発生。
 ・これは原因特定に時間がかかりそうな予感、、

555esx20555esx21555esx22555esx23555esx24
555esx25555esx26555esx27555esx28555esx29
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■調整記録------------------------------------------------------------

 ・まずはサービスマニュアルに従って各部調整作業を行いました。
【FM同調点調整】
 ・IC206:LA1235 7~10pin間 電圧計セット(Sメーター電圧)
 ・SSG83.0MHz 変調OFF 80dB → IFT208調整 → 電圧0V±20mV
【VT電圧調整】
 ・IC804 10ピン電圧計セット
 ・90.0MHz → L105調整 → 21.0V±0.2V ※実測21.5V
 ・76.0MHz → 8.0V±1.0V 確認のみ ※実測8.1V
【RF調整】
 ・IF BAND=NARROW
 ・IC206:LA1235 13pin電圧計セット(Sメーター電圧)
 ・SSG76.0MHz → L101,L102,L103,L104調整 → 電圧最大
 ・SSG90.0MHz → CT101,CT102,CT103,CT104調整 → 電圧最大
【PLL検波調整】
 ・IF BAND = WIDE
 ・MUTING=OFF
 ・音声出力端子をWaveSpectraで確認
 ・TP202 電圧計セット
 ・TP201を短絡 ※IF回路をパス
 ・SSG83.0MHz 80dB送信 → IFT207調整 → 電圧ゼロ ※調整前実測415mV
 ・SSG83.0MHz 80dB送信 → CT201 調整 → 高調波歪最小
 ・SSG83.0MHz 80dB送信 → IFT205調整 → 高調波歪最小
 ・TP201を開放

 ※CT201を回すとボソボソノイズ発生。VRのガリのように劣化している感じ。
 ※これが雑音源か?

【IF歪調整】
 ・IF BAND = WIDE
 ・MUTING = OFF
 ・IC206:LA1235 13pin電圧計セット(Sメーター電圧)
 ・RT201、RT202 時計回り一杯に回す
 ・SSG83.0MHz出力20dBモノラル信号送信
  ・IFT101調整 → 電圧最大 ※IFT101フロントエンド内
  ・IFT202調整 → 電圧最大
 ・RT201、RT202 回転範囲の中央位置に回す
 ・SSG83.0MHz出力80dBモノラル信号送信
  ・IFT204調整 → 歪最小へ
 ・SSG83.0MHz出力80dBステレオ信号送信
  ・IFT203調整 → 歪最小へ
【STEREOインジケータ調整】
 ・IF BAND = WIDE
 ・MUTING = OFF
 ・SSG83MHz 出力20dB
 ・RV251調整 → ステレオインジケータ点灯
【MUTINGレベル調整】
 ・MUTING = ON
 ・IF BAND = WIDE
  ・SSG83.0MHz 出力25dB → RT204調整 → MUTING作動
 ・IF BAND = NARROW
  ・SSG83.0MHz 出力25dB → RT203調整 → MUTING作動
【MUTING作動範囲調整】
 ・IF BAND = WIDE
  ・MUTING = ON
 ・SSG83.0MHz → IFT208調整 → MUTING作動範囲調整
 ※UP方向、DOWN方向で同じ範囲に設定する
【Sメーター調整】
 ・IF BAND = WIDE
 ・SSG83.0MHz無変調80dB → RT206調整 → エレメント全点灯位置
【VCO調整1】
 ・TP302 周波数カウンタ接続
 ・SSG83.0MHz無変調 → RT301調整 → 76kHz±100Hz
【VCO調整2】
 ・IC302 9ピン電圧計セット
 ・SSG83.0MHz パイロット信号のみ → RT305調整 → 0V±0.5V
【パイロットキャンセル】
 ・SSG83.0MHzステレオ変調 → RT302、L301 19kHz信号漏れ最小 
 ・左右chのバランス確認
【セパレーション調整】
 ・IF BAND=WIDE
 ・SSG83.0MHzステレオ変調 → RT303 R→L ※調整後実測62.5dB
 ・SSG83.0MHzステレオ変調 → RT304 L→R ※調整後実測61.8dB
【AM VT電圧調整】
 ・IC804 10ピン(代用 JW41)電圧計セット
 ・1602kHz → OSCトリマ調整 → 22.0V±2.0V ※実測23.8V
 ・ 531kHz → OSCコア調整 → 1.8VV±0.1V 確認のみ ※実測4.3V
【AM RF調整】
 ・SSG 603kHz → RFコア調整 → Sメーター最大
 ・SSG1395kHz → RFトリマ調整 → Sメーター最大
 ・SSG 999kHz → IFT401調整 → Sメーター最大
【CAL TONE】
 Peak Level-6dB 392Hzの波形が出ていました。

<調整結果>
 ・FM同調点が大きく外れていて周波数ズレ寸前でした。
 ・PLL検波調整にズレが大きかったです。
 ・セパレーション値も大幅に改善しました。

555esx

■修理記録------------------------------------------------------------

 ・上記調整後も「ボソッボソッ」という雑音が発生します。
 ・ただし発生頻度が明らかに少なくなりました。
 ・怪しいのはやはりPLL検波部のトリマコンデンサCT201か?
 ・パーツ表を見てもCT201の容量記載がない。外装色からすると多分20pFか? 
 ・手持ちの赤色20pFに交換。
 ・再度調整作業をやり直して様子を見ていますが雑音発生は無くなったようです。

555esx50555esx60555esx61555esx62555esx63

■試聴---------------------------------------------------------------

 ・各部再調整によって良好な性能を取り戻したと思います。
 ・FM/AMとも良い音です。
 ・約1週間に渡って動作確認していますが、雑音は発生しなくなったようです。
 ・この状態でお返ししますので引き続き雑音状況をご確認ください。

555esx09

TRIO KT-5500 修理調整記録1

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 ・2016年11月末、KT-5500の調整作業をお引受しました。
 ・発売当時に購入したワンオーナー品とのこと。
 ・今後も長く使うためのメンテナンスを、というご依頼でした。
 ・以下、作業記録です。

Kt550007

■製品情報------------------------------------------------------------

 ・オーディオの足跡 TRIO KT-5500 ¥38,000(1975年発売)
 ・Hifi Engine Kenwood KT-5500 AM/FM Stereo Tuner (1978-79)
 ・KT-5500 取扱説明書 PDF形式

Kt550001Kt550009

 ・フロントマスクは KT-7700 と同じ。
 ・電源スイッチ、切替スイッチ、チューニングノブも同じ部品です。
 ・ただし本体サイズだけが全幅380mmとコンパクトサイズ。

Kt550003Kt550004Kt550005Kt550006Kt550011

■内部確認------------------------------------------------------------

Kt550013

 ・FM専用5連バリコン
 ・IC:HA1137 FM-IFシステム用IC(クアドラチュア検波、ミューティング回路内蔵)
 ・IC:HA1196 PLL-MPX用IC
 ・T6:クアドラチュア検波調整 上段:歪調整、下段:検波調整
 ・VR1:Sメーター振れ調整
 ・VR2:Tメーターオフセット調整
 ・VR3:ミューティングレベル調整
 ・VR4:セパレーション調整
 ・VR5:VCO調整
 ・TP1:IF周波数確認(10.7MHz)
 ・TP2:IF周波数確認(GND)
 ・TP3:VCO調整確認
 ・固定出力以外に可変出力端子とマルチパス端子装備。基本性能も良好。

Kt550020Kt550021Kt550022Kt550023Kt550024
Kt550025Kt550026Kt550027Kt550028Kt550029
Kt550030Kt550031Kt550032Kt550033Kt550034

■調整記録----------------------------------------------------------

Kenwood_kt7300_sche3

【Tメーターオフセット調整】
 ・放送局がない位置でVR2調整 → Tメーター指針を中点へ
 ・TP1 周波数カウンタ接続 → Tメーター中点のときの周波数確認・10.68MHz
【OSC調整】
 ・SSG76MHz To調整 → Sメーター最大
 ・SSG90MHz TCo調整 → Sメーター最大
【RF調整】
 ・SSG76MHz T1,T2,T3,T4調整 → Sメーター最大
 ・SSG90MHz TC1,TC2,TC3,TC4調整 → Sメーター最大
 ・この調整作業を数回繰り返す。
【IFTコア調整】
 ・SSG83MHz T5調整 → Sメーター最大
【レシオ検波調整】
 ・音声出力をWaveSpectraに接続
 ・TP1 周波数カウンタ接続
 ・83MHz受信 → 周波数カウンタ10.68MHz確認 → T6下段コア調整 → Tメーター中点
 ・83MHz受信 → T6コア上段調整 → 高調波歪最小
【Sメーター振れ調整】
 ・SSG83MHz80dB VR1調整 → Sメーター振れ
【ミューティング調整】
 ・SSG83MHz20dB VR3調整 → MUTING作動
【VCO調整】
 ・TP3に周波数カウンタ接続
 ・SSG83MHz無変調 → VR5調整 → 76kHz
 ※上手く測定できないので以下の方法で代用
 ※83MHzSUB信号送信 → VR5調整 → Lchレベル最大位置へ
【セパレーション調整】
 ・音声出力端子をWaveSpectraに接続
 ・83MHz L/R信号 → VR4調整 → 反対ch漏れ最小

Kt5500

■試聴----------------------------------------------------------------

 ・薄暗い部屋に浮かび上がるオレンジ色の照明はイイ感じです。
 ・定価38,000円の入門機ですが安っぽさは無く、むしろ高級感が漂います。
 ・別売ウッドケースがあればさらに高級感が増幅しますね。
 ・固定出力と可変出力、マルチパス出力もあるなど基本性能も良好。
 ・今後も長くお使いください。

Kt550008

KENWOOD KT-1100D 修理調整記録3

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 ・2016年12月、KT-1100Dの修理調整作業を承りました。
 ・周波数ズレの症状があるようです。
 ・以下、作業記録を残します。

Kt1100d06

■製品情報------------------------------------------------------------

 ・オーディオの足跡 KENWOOD KT-1100D ¥74,800(1987年頃)
 ・KENWOOD チューナーカタログ 1986年11月版
  ※KT-1100Dの他に D-3300T、KT-1010F、KT-880Fが載っています。

Kt1100d02Kt1100d11

■動作確認------------------------------------------------------------

 ・フロントパネル、ボディとも目立つキズは無く状態はとても良いです。
 ・FMアンテナを接続して電源オン。
 ・表示管がキレイに点灯。文字欠け、文字痩せなし。
 ・オート選局で-0.1MHzの周波数ズレ。
 ・Tメーター、Sメーターのセグメント点灯。STEREOランプ点灯。
 ・WIDE/NARROW切替OK。REC CAL OK。メモリボタン動作OK。
 ・各種ボタン操作に軽快に反応する。切替動作正常。
 ・手持ちの適当なAMループアンテナでAM放送の受信確認。
 ・AM放送はオート選局で正常に受信。
 ・電源プラグを抜いてから5日後でもメモリ保持していました。

Kt1100d03Kt1100d04Kt1100d05Kt1100d12Kt1100d13

■内部確認------------------------------------------------------------

Kt1100d20Kt1100d21Kt1100d22Kt1100d23Kt1100d24
Kt1100d25Kt1100d26Kt1100d27Kt1100d28Kt1100d29
Kt1100d30Kt1100d32Kt1100d33Kt1100d34Kt1100d35

■調整記録------------------------------------------------------------

Kt1100d

【VT電圧】
 ・TP6~TP7 DC電圧計セット
 ・アンテナ入力なし
 ・76MHz → L14調整 → 3.0V±0.1V ※実測 3.1V
 ・90MHz → TC1調整 →25.0V±0.1V ※実測26.2V
【検波調整】
 ・TP10~TP11 DC電圧計セット
 ・83MHz(無変調,80dB)受信 → L9調整 → 0.0V±10mV ※実測+0.75V
 ・TP12~TP13 DC電圧計セット
 ・83MHz(無変調,80dB)受信 → L12調整 → 0.0V±10mV ※実測+0.47V
【RF調整】
 ・R67左側 DC電圧計セット=Sメーター電圧
 ・83MHz(1kHz,100%変調,40dB)→ L1,L4,L7,L18調整 → 電圧最大
【IFT調整】
 ・R64右側端子 DC電圧計セット=Sメーター電圧
 ・83MHz(1kHz,100%変調,30dB)→ L10調整 → 電圧最大
【AUTO STOP=MUTING調整】
 ・83MHz(1kHz,100%変調,30dB)→ VR1調整
【TUNING METER調整】
 ・SELECTOR:MONO
 ・83MHz(1kHz,100%変調,80dB) → 本体左側小基板VR2調整 → ※
  ※中央の縦白セグメント点灯、両側の赤縦セグメントの中点へ
【SIGNAL METER調整】
 ・SELECTOR:MONO
 ・83MHz(1kHz,100%変調,80dB) → 本体左側小基板VR3調整 → ※
  ※バーグラフの点灯レベル調整
【MPX VCO調整】
 ・TP14に周波数カウンタ接続
 ・83MHz(無変調,80dB) → VR4調整 → 19.00kHz±50Hz
【SUB CARRIER調整(38kHz)】
 ・音声出力をWavespectraで観察
 ・83MHz(SUB信号,1kHz,80dB)→ L25調整 → Lchレベル最大
【歪調整1 DLLD】
 ・83MHz(MONO信号,1kHz,80dB)→ VR3:DET調整 → 歪最小
【歪調整2 MONO】
 ・83MHz(MONO信号,1kHz,80dB)→ VR4:MONO2調整 → 歪最小
【歪調整3 MONO】
 ・83MHz(MONO信号,1kHz,80dB)→ VR6:MONO3調整 → 歪最小
【歪調整4 STEREO】
 ・83MHz(L/R信号,1kHz,80dB)→ VR5調整 → 歪最小
【歪調整5 STEREO】
 ・83MHz(SUB信号,1kHz,80dB)→ VR7調整 → 歪最小
【歪調整6 NARROW】
 ・83MHz(MAIN信号,1kHz.80dB)→ VR2調整 → 歪最小
【SEPARATION調整 WIDE】
 ・IF BAND:WIDE
 ・83MHz(R信号,1kHz,80dB)→ VR2調整 → L信号もれ最小
 ・83MHz(L信号,1kHz,80dB)→ VR3調整 → R信号もれ最小
【SEPARATION調整 NARROW】
 ・IF BAND:NARROW
 ・83MHz(1kHz,80dB)→ VR1調整 → 信号もれ最小
【DEVIATION調整】
 ・83MHz(mono信号,1kHz,100%変調)→ 本体左側小基板VR4調整 → 100%位置
【AM簡易調整】
 ・TP6~TP7 DC電圧計セット
 ・アンテナ入力なし
 ・531kHz → L20調整 → 実測 2.8V 確認のみ
 ・1602kHz→ TC2調整 → 実測21.2V 確認のみ
 ・ 729kHz NHK第一放送受信 → L21調整 → Sメーター最大
 ・1332kHz 東海ラジオ受信  → TC3調整 → Sメーター最大
 ・1053kHz CBCラジオ受信  → L22調整 → Sメーター最大

■試聴----------------------------------------------------------------

 ・同調点が大幅にズレていましたが故障箇所は無かったです。
 ・再調整によって良い性能を取り戻したと思います。

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SANSUI TU-S707X 修理調整記録4

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 ・2015年11月、SANSUI TU-S707Xの故障品が届きました。
 ・電源コードが切断された状態です。
 ・さて、直せるか??

Tus707x11

■製品情報------------------------------------------------------------

 ・オーディオの足跡 SANSUI TU-S707X ¥54,800(1984年発売)
 ・オーディオ懐古録 SANSUI TU-S707X ¥54,800
 ・Hifi Engine TU-S77X ※回路図あり

Tus707x02Tus707x04

■動作確認------------------------------------------------------------

 ・まずは電源コードを交換して電源オン。
 ・FM/AMとも周波数が表示される。輝度OK。文字瘠せなし。
 ・UP/DOWNボタンに反応して周波数が上下に変化する。
 ・RFセレクタ、IF切換に応じてインジケーター点灯。
 ・REC CALトーンOK。メモリ登録OK。
 ・ところがFM局もAM局もを全く受信しない。局間ノイズのみ。
 ・これは本格的に壊れていますね、、

Tus707x06Tus707x07Tus707x08Tus707x13Tus707x15

■修理記録:FMトリマ交換----------------------------------------------

【VT電圧確認】
 ・フロントエンド内[VT-GND]に直流電圧計接続
 ・90MHz時の電圧=実測値24.5V → TC5調整 → 全く変化せず
 ・76MHz時の電圧=実測値24.5V → 全く変化せず
 ・OSCトリマTC5を回してもVT電圧が全く変化しない。

【OSCトリマ交換】
 ・OSCトリマの容量抜けならよくある故障事例です。
 ・フロントエンドユニットを外して新品の青色トリマ(10pF)に交換。
 ・これで直るかと思ったら、、、残念。
 ・90MHz時の電圧=実測値24.5V → TC5調整 → 全く変化せず
 ・76MHz時の電圧=実測値24.5V → 全く変化せず
 ・FMだけでなくAMも全く受信できないので原因は別にありそう。

Tus707x25Tus707x46Tus707x48Tus707x49Tus707x50

■修理記録:コントロールIC交換----------------------------------------

【TC9147BP交換】
 ・回路図を追いながらVT電圧が変化しない原因を探す。
 ・コントロールICのTC9147BP周辺の電解コンデンサやトランジスタをいくつか交換。
 ・しかし全く効果なし。これはTC9147BP自体が壊れているか?
 ・部品取り用のPIONEER F-120Dから同じTC9147BPを外して移植。
 ・FMのVT電圧が動き出して受信できるようになりました。
  ・90MHz時の電圧=実測値24.5V → TC5調整 → 23.0V
  ・76MHz時の電圧=実測値24.5V → 3.2V
 ・このICの故障は初体験です!

【リチウム電池交換】
 ・TC9147BP横にあるメモリ保持用リチウム電池が何故か外れています。
 ・でも電池が無い状態でもメモリ登録は可能でした。
 ・登録した内容は電源を抜いて2日後も保持していました。
 ・電池は無くても短期間なら2200uFの電解コンデンサが機能するようです。
 ・SANYO CR2430 3V、基板取付用に金属タグが付いているタイプ。
 ・部品取り用に保管しているTU-S7707Xから電池を外して移植。
 ・取り付ける前に電圧測定すると何とまだ3Vを示していました。

Tus707x60Tus707x62Tus707x63Tus707x61Tus707x64

■調整記録------------------------------------------------------------

Tus707x20Tus707x21Tus707x22Tus707x23Tus707x24
Tus707x26Tus707x27Tus707x31Tus707x32Tus707x33
Tus707x34Tus707x35Tus707x36Tus707x37_2Tus707x38

【本体正面・機能切替ボタン設定】
 ・FM MODE=MONO
 ・IF BAND=WIDE
 ・RF MODE=DX
【VT電圧確認】
 ・フロントエンド内[VT-GND]に直流電圧計接続
 ・90MHz時の電圧 → TC5調整 → 23.0V
 ・76MHz時の電圧 → 3.1V
【フロントエンド調整】
 ・IC3[HA12412] 13pin-GNDに直流電圧計接続
 ・SSG 83MHz、1kHz、100%変調、50dB
 ・受信周波数83MHzの位置でトリマコンデンサTC1,TC2,TC3,TC4調整 → 電圧最大値
 ・上記作業を数回繰り返す
  ※コイルL1,L2,L3,L4の間隔調整は難しいのでパス。
【IFTコイル調整】
 ・IC3[HA12412] 13pin-GNDにDC電圧計接続
 ・SSG 83MHz、1kHz、100%変調、30dB
 ・フロントエンド内IFTコイル調整 → 電圧最大値
 ・RF基板上の[T1]を調整 → 最大電圧
 ・IF BAND=NARROWに切り替え → 電圧値測定
 ・IF BAND=WIDEに戻して電圧測定 → VR2[WIDE GAIN]調整 → NARROW時と同じ電圧
【FM同調点の調整】
 ・[TP1-TP2] DC電圧計接続
 ・無信号状態でT2のIC側コアを調整 → 電圧=0V±30mVに。※調整前約580mV
 ・SSG 83MHz、1kHz、100%変調、60dB
 ・T2のIC反対側コアを調整 → 二次高調波最小
 ・上記作業を数回繰り返す
【FM LOCKED LEVEL調整】
 ・SSG 83MHz、1kHz 100%変調、30dB
 ・VR4[FM SIGNAL]を調整 → 本体正面[LOCKED]オレンジ色LEDが全灯する位置
【REC Level】
 ・VR5調整 460kHz -6dB
【本体正面・機能切替ボタン設定】
 ・FM MODE=STEREO
【VCO フリーラン周波数調整】
 ・SSG 83MHz、無変調、60dB
 ・TP1-TP4にDC電圧計接続 → VR105[OFFSET VCO]調整 → 電圧=0V±0.05V
 ・TP3[VCO]-GNDに周波数カウンター接続 → L101調整 → 304.000kHz
【PILOT OFFSET調整】
 ・SSG 83MHz、無変調、60dB
 ・TP2-TP5に直流電圧計接続 → VR104[PILOT OFFSET]調整 → 電圧=0V±0.1V
 ・SSG 83MHz、60dB、19kHzPILOT信号ON → ステレオランプ点灯を確認
【PILOT CANCEL調整】
 ・音声出力をWaveSpectraに接続
 ・SSG 83MHz、60dB、19kHzPILOT信号ON
 ・本体正面のステレオランプ点灯を確認。
 ・L100、VR103L調整 → Lch波形観察 → 19kHz信号最小
 ・VR106、VR103R調整 → Rch波形観察 → 19kHz信号最小
【IF BAND=WIDE セパレーション調整】
 ・SSG 83MHz、1kHz 100%変調、70dB、Rchのみ信号、PILOT信号ON
 ・VR102L調整 → ※調整後実測62.2dB
 ・SSG 83MHz、1kHz 100%変調、70dB、Lchのみ信号、PILOT信号ON
 ・VR102R調整 → ※調整後実測64.2dB
【IF BAND=NARROW セパレーション調整】
 ・音声出力をWaveSpectraに接続
 ・SSG 83MHz、1kHz 100%変調、70dB、Rchのみ信号、PILOT信号ON
 ・VR101L調整 → ※調整後実測62.2dB
 ・SSG 83MHz、1kHz 100%変調、70dB、Lchのみ信号、PILOT信号ON
 ・VR101R調整 → ※調整後実測62.2dB
【MUTING LEVEL調整】右側RF基板
 ・音声出力をWaveSpectraに接続
 ・SSG 83MHz、1kHz 100%変調、25dB、ステレオ信号、PILOT信号ON
 ・VR3[MUTE]を調整 → ステレオランプ点灯し信号が出る位置へ
【AUTO STOP LEVEL調整】右側RF基板
 ・SSG 83MHz、1kHz 100%変調、30~35dB、ステレオ信号、PILOT信号ON
 ・VR1[FM.STOP]を調整 → オートサーチが有効な位置へ
【AM調整】
 ・LA1245-16ピン → AM Sメーター電圧測定
 ・ 729kHz NHKラジオ受信 → T2調整 → 電圧最大
 ・1332kHz 東海ラジオ受信 → TC2調整 → 電圧最大
 ・AM VR1調整 → AM STOP LEVEL
 ・AM VR2調整 → AM SIGNAL

Tus707x

■試聴----------------------------------------------------------------

 ・コントロールICの故障事例は初体験でした。
 ・手間はかかりましたが各部再調整によって復活したと思います。

Tus707x12

Technics ST-9030T 修理調整記録2

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 ・2016年12月末、ワンオーナー品の30Tが届きました。
 ・以下、作業報告です。

30t07

■製品情報------------------------------------------------------------

 ・オーディオの足跡 Technics ST-9030T ¥80,000(1977年頃)
 ・T.I.C Technics ST-9030 1978 $460 ※回路図、調整手順
 ・hifiengine Technics ST-9030 ※回路図、調整手順、取扱説明書

30t0130t15

■動作確認------------------------------------------------------------

 ・外装はあちらこちらに打ち傷があります。
 ・40年も使っていれば無傷ではいられませんね。
 ・FMアンテナを接続して電源オン。周波数窓がオレンジ照明に浮かびます。
 ・若干プラス側への周波数ズレ。Tメーター中点とSメーター最大点が合わない。
 ・STEREOインジケーター点灯。実際にステレオ感あり。Muting動作OK。
 ・難点 Wide/Narrow切替インジケーターが点灯しないこと。
 ・IF BANDが切り替わっていないのか?それともただの電球切れか?

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■内部確認------------------------------------------------------------

 ・電解コンデンサーがすべて交換済みでした。

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■修理記録------------------------------------------------------------

 ・基準信号を送ってWaveSpectra波形を観察すると、wide/narrow切換は動作している。
 ・ここは単純なパイロットランプの球切れですね。
 ・ジャンク箱から同サイズの電球を見つけて交換。
 ・隣のSTEREOランプと輝度も同じです。

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■調整記録------------------------------------------------------------

【本体設定】
 ・MPX hi-blend=off
 ・Servo tuning=off
 ・IF selector=auto
 ・TP302とTP303を短絡するとスイッチ状態に関わらず強制narrowとなる
【レシオ検波調整1】
 ・入力信号なし
 ・TP201~GND DC電圧計セット → T201(narrow緑)調整 → 電圧ゼロ
 ・TP101~GND DC電圧計セット → T102(wide緑)調整 → 電圧ゼロ
【OSC調整】
 ・TP302~TP303短絡(強制narrowモード)
 ・SSG76MHz → L8調整 → Sメーター最大
 ・SSG90MHz → CT8調整 → Sメーター最大
【RF調整】
 ・TP302~TP303短絡(強制narrowモード)
 ・SSG76MHz → L1,L2,L3,L4,L5,L6,L7調整 → Sメーター最大
 ・SSG90MHz → CT1,CT2,CT3,CT4,CT5,CT6,CT7調整 → Sメーター最大
 ・SSG83MHz → T1調整 → Sメーター最大
【レシオ検波調整2】
 ・入力信号なし
 ・TP101~GND DC電圧計セット → T102(wide緑)調整 → 電圧ゼロ
 ・TP201~GND DC電圧計セット → T201(narrow緑)調整 → 電圧ゼロ
【出力レベル調整】wide
 ・IF selector=wide
 ・音声出力端子にAC電圧計セット
 ・SSG83MHz 1kHz 100% → VR504調整 → 1.4v
【モノラル歪調整】
 ・音声出力をWaveSpectraで観測
 ・IF selector=wide
 ・SSG83MHz 1kHz 100% → T102(wide赤)調整 → 歪最小
 ・TP302~TP303短絡(強制narrowモード)
 ・SSG83MHz 1kHz 100%変調 → T201(wide赤)調整 → 歪最小
【出力レベル調整】narrow
 ・TP302~TP303短絡(強制narrowモード)
 ・音声出力端子にAC電圧計セット
 ・SSG83MHz 1kHz 100% → VR503調整 → 1.4v
【ミューティング調整】
 ・Servo tuning=auto
 ・TP102~GND DC電圧計セット
 ・SSG83MHz 1kHz → T202,T203調整 → 電圧最大
 ・SSG83MHz 1kHz 60dB → VR402調整 → 同調を外したとき局間ノイズが消える位置へ
 ・SSG83MHz 1kHz 20dB → VR401調整 → ミューティング作動位置へ
【Sメーター調整】
 ・SSG83MHz 1kHz 100% → VR501調整 → Sメーター指針
【VCO調整】
 ・TP601 周波数カウンタ接続
 ・SSG83MHz無変調 → VR602調整 → 19kHz±30Hz
【左右レベル調整】
 ・SSG83MHz 1kHz ST変調 → VR702調整 → 左右chのレベルを同じ
【パイロットキャンセル調整】
 ・音声出力をWaveSpectraで観測
 ・SSG83MHz 1kHz ST変調 → VR601,L601,L602調整 → パイロット信号(19kHz)最小
【サブキャリアキャンセル調整】
 ・SSG83MHz 1kHz ST変調 → CT701調整 → サブキャリア信号(38kHz)最小
【セパレーション調整】
 ・音声出力をWaveSpectraで観測
 ・SSG83MHz 1kHz L/R信号 → VR701調整 → 漏れ信号最小
 ・TP302~TP303短絡(強制narrowモード)
 ・SSG83MHz 1kHz L/R信号 → VR703調整 → 漏れ信号最小
【ハイブレンド調整】
 ・音声出力端子にAC電圧計セット
 ・SSG83MHz 1kHz L/R信号 → VR502調整 → 左右レベルを確認
 ・MPX high-blend=on
 ・SSG83MHz 1kHz L/R信号 → VR502調整 → 左右レベル同一
【Auto IF セレクター調整】
 ・TP101 200kHz正弦波注入
 ・TP301 オシロスコープ接続 → T302調整 → 200kHz波形最大
 ・TP101 300kHz正弦波注入
 ・TP301 オシロスコープ接続 → T301調整 → 300kHz波形最大
 ・上記作業を数回繰り返す

St9030t

■試聴----------------------------------------------------------------

 ・ガンメタ色のフロントパネルにオレンジ照明が精悍な印象を醸し出します。
 ・この時期のテクニクス製品はカッコよかったですね。

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Victor QL-Y7 修理記録1

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 ・1981年、たしか7月初め、大阪日本橋の電気街で購入したレコードプレーヤー。
 ・以来ずっと使い続けている大切なオーディオ機器の一台です。
 ・2016年の年末休暇、久しぶりにレコードを聴こうとしたところ、、
 ・何と、、ターンテーブルが回らない、アームも動かない!
 ・購入から35年、いよいよ寿命かと思いつつ、原因と対策を探ってみました。

Victor_qly7_70

■製品情報------------------------------------------------------------

 ・オーディオの足跡 VICTOR QL-Y7 ¥96,000(1981年頃)
 ・Vinyl engine JVC QL-Y7
 ・Victor QL-Y7/Y5 製品カタログ 昭和54年(1979年)11月版
 ・Victor QL-Y7 取扱説明書

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■故障状況------------------------------------------------------------

 ・前回 QL-Y7 の電源を入れたのは、、たぶん1年位前だったか??
 ・最近はもっぱらお手軽な Technics SL-5を使っていたので拗ねちゃった?
 ・症状は以下の通り。QL-Y7 の電源を入れると、
  【不具合1】 回転数を示す「45」「33」のインジケーターが点灯しない。
  【不具合2】 「START」ボタンを押してもターンテーブルが回転しない。
  【不具合3】 アームの「UP/DOWN」ボタンを押してもアームが動かない。
  【不具合4】 数分経つとターンテーブルがゆっくり回転を始める。
  【不具合5】 本来はすぐに点灯するはずの「Quatz Lock」ランプが弱々しく明滅する。
  【不具合6】 回り始めたターンテーブル、今度は「STOP」ボタンを押しても止まらない。
  【不具合7】 回転がどんどんスピードアップし、ついには高速回転状態に。
 ・これは参った、、、電源オフ、、
 ・ここまで一気に悪化した原因は何でしょう?
 ・すべての動作がおかしいので電源回路の故障か?

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■内部確認------------------------------------------------------------

 ・「いつか本格的にメンテナンスしよう」と思いつつ、
 ・でも結局ずっと放置状態でした。きっとその報いですね、、反省、、
 ・まずカートリッジを取り外してアームをスタンドに固定。
 ・ゴムマットとターンテーブルを取り外す。
 ・アクリルカバーを閉めて養生テープで本体と固定。
 ・注意深く本体を裏返す。
 ・そういえば昔、音声・電源コードを交換しようと思って裏返したことがありました。
 ・でも内部を見て面倒になり、結局交換しなかったことを思い出す。

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 ・それにしてもインシュレーターのゴム部分の劣化がひどい。
 ・多数のネジを外して裏板を取り外すと、基板のハンダ面が見える状態。
 ・シルク印刷を見るとICや半固定抵抗、テストポイント(TP)がたくさん並んでいる。
 ・電子制御アーム関係の回路があるためか、かなり複雑な構成。
 ・これは回路図やサービスマニュアルが無いと迂闊に手を付けられない。
 ・電源部と思われる電解コンデンサー(1000uF/35V×3個)が重傷。

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■修理記録1:電解コンデンサー総交換----------------------------------

 ・とりあえず足が腐食している電源部電解コンデンサーを交換。
 ・ついでにその他の電解コンデンサーを全数交換。
【電源基板】
 ・部品番号不明:1000uF/35V×3個
【右側※基板】※正面を前にして裏返した状態で
 ・C902,C905:1uF/50V(BP)
 ・C904,C911,C914:10uF/25V
 ・C913:4.7uF/50V
 ・C920:33uF/50V(BP)
【左側※基板】※正面を前にして裏返した状態で
 ・C814,C819,C820,C828,C829:47uF/16V
 ・C815,C816:33uF/25V(BP)
 ・C823,C824:47uF/35V
 ・C825:1000uF/35V
 ・C802:10uF/50V
 ・C818:4.7uF/50V
 ・C817:0.47uF/50V

 ・特にC823 47uF/35V は腐食によってマイナス足が外れていました。
 ・基板とボディのスペースが限られるため電解コンデンサの高さはH=26mmまで

■動作確認:アーム動作のトラブル発生------------------------------------

 ・電解コンデンサーを交換した状態で基板を元に戻して試運転開始。
 ・電源オン、、回転数「33」クッキリ表示。もちろん「45」も同様にOK。
 ・「START」ボタンを押すとスムーズに回転開始、直後に「Quartz Lock」ランプ点灯。
 ・「STOP」ボタンを押したときのブレーキの効き具合が抜群に良くなった印象。
 ・アームの「UP/DOWN」ボタンを押すとアームが上昇開始。
 ・ここまでの動作は完璧、、ところが、、

 ・アーム左移動ボタンを押すとアーム軸部から「ジジ、、」と異音が発生して動かない。
 ・「UP/DOWN」ボタン操作や「<」「>」ボタンを押しているうちに異音が消えて動き出す。
 ・「UP/DOWN」ボタンを押してアームが降下。
 ・とりあえずステレオ音声でレコードが再生できました、、やれやれ、、
 ・レコード再生終了後、アームは自動的にスタンドに戻る。
 ・続いてレコードB面をセットしてもう一度動作確認。
 ・アーム左移動ボタンを押すとアーム軸部から「ジジ、、」と異音が発生して動かない。
 ・「UP/DOWN」動作と「REJECT」動作は問題なし。
 ・これは電子制御アームの仕組みを勉強しないと手が付けられない。

■QL-Y5F:アーム動作研究-----------------------------------------------

 ・QL-Y7の資料は見つかりませんが、代わりにQL-Y5Fのサービスマニュアルを入手。
 ・電子制御アームの基本構造はほぼ同じなので参考になるはず。
 ・QL-Y5Fの資料にアーム動作不良時のトラブルシューティングがありました。
 ・問題発生時のチェック箇所です。

Qly5f_sche

【水平方向制御に問題がある場合】
 ・右方向:IC805(NJM4558D)→X804(2SB605)
 ・左方向:IC805(NJM4558D)→X803(2SD571)
【上下方向制御に問題がある場合】
 ・IC804(NJM4558D)→X801(2SD325),X802(2SB511)

■QL-Y7:アーム動作研究-----------------------------------------------

 ・QL-Y5Fのアーム制御該当箇所をQL-Y7の基板で配線を追いながら探す。
 ・アームに繋がる部分にQL-Y5Fと全く同じ回路がありました。
 ・QL-Y5Fの部品番号を読み替えると以下のようになります。

【水平方向制御に問題がある場合】
 ・右方向:IC804(NJM4558D)→X806(2SB605)
 ・左方向:IC804(NJM4558D)→X805(2SD571)
【上下方向制御に問題がある場合】
 ・IC803(NJM4558D)→X803(2SD325),X804(2SB511)

 ・4558オペアンプの故障はチューナー修理でもよくある事例です。
 ・そこでまず4558交換。IC803,IC804(4558D) → 45584DD 交換。※ICソケット使用
 ・交換後に動作確認したところ、
 ・アーム軸部の異音が解消し左右方向のアーム動作が正常になりました!
 ・アーム動作の不調原因はIC804(4558D)だったようです。
 ・ついでに同じ4558Dを使っているIC807も交換しておきました。

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■針圧調整------------------------------------------------------------

 ・とりあえずレコードが聴ける状態まで復旧できました。
 ・ただここで針圧設定に疑問が湧いてきました。
 ・QL-Y7の針圧調整は電子制御式です。
 ・電源オフ時にアームの水平バランスを取る。
 ・トラッキングフォース調整つまみの目盛りを希望針圧値に合わせる。
 ・疑問とは、「調整つまみの目盛りは本当に正しい針圧を示しているのか?」ということ。
 ・基板には調整用VRやTPがたくさんありました。
 ・部品交換によって本来の設定値が崩れた可能性高いです。

Victor_qly7_133

■デジタル針圧計------------------------------------------------------

 ・マニュアル機と違ってウェイト自体に針圧を示す数値の印字がありません。
 ・実際にどれくらいの針圧がかかっているのか?
 ・針圧を測定する器具はないものかと探したところ、アマゾンで発見。
 ・昔は数万円する高価なマニア向け器具だったと思いますが、今は安い物があるんですね。

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【商品名、型番】
 ・[Signstek]ブルー背景色電子針圧測定器
 ・メーカー名も型番もよく分からない、かなり怪しげな商品です。
 ・同じような商品が複数出品されていてそれぞれ価格が微妙に異なる。
 ・添付の取扱説明書は英語と中国語のみ。
【使い方】
 ・中央「○」ボタン=電源
 ・左側「M」ボタン=「MODE」測定単位切換(g/oz/ozt/TL/ct)
 ・右側「T」ボタン=「TARE」ゼロ点調整※
   ※何も載せない状態で0.00点がズレている場合に押すとゼロ点調整できる
 ・測定部中央の黒点付近に針を慎重に降ろす。
 ・測定結果が表示される。
【キャリブレーション】
 ・電源オン → 「0.00」表示
 ・電源ボタンを押し続ける → 「0」が表示されたらボタンを離す
 ・「5.00」が点滅表示される → 付属の5gウェイト載せる
 ・「5.00」の点滅が終わるとキャリブレーション終了
【1円硬貨で検証】
 ・1円硬貨1枚 → 1.01g
 ・1円硬貨2枚 → 2.00g
 ・1円硬貨3枚 → 3.00g
 ・1円硬貨4枚 → 4.00g
 ・1円硬貨5枚 → 5.00g
  ※写真では小数点が隠れていますが「500」→「5.00」、「000」→「0.00」です。

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【測定結果】
 ・針圧計に針を降ろしトラッキングフォース調整つまみを回すと針圧が増減します。
 ・実際の針圧がリアルに確認できるなんて、、ちょっと感動。
 ・SURE M44G 希望針圧1.5g → 目盛り1.5 に設定 → 実針圧1.8g
 ・DENON DL103 希望針圧2.5g → 目盛り2.5 に設定 → 実針圧2.9g

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 ・針圧はこれでOK。でも、
 ・Qダンプやアンチスケーティングつまみも同じ値に設定することになっています。
 ・やはりTPの意味やVRの調整法を理解して適切に調整する必要があります。

■QL-Y7、QL-Y5F、QL-Y55F 比較対照表作成--------------------------------

 ・QL-Y7のサービスマニュアルや回路図を探しましたが、残念ながら見つかりません。
 ・一方でQL-Y5F、QL-Y55F、QL-Y66Fの海外版サービスマニュアルを入手しました。
 ・サービスマニュアルには回路図だけでなく詳細な調整方法の記述もあります。
 ・そこで、QL-Y7実機、QL-Y5F回路図、QL-Y55F回路図を詳細に比較して対照表作成。
 ・電子制御アームの回路構成は3機種ともほぼ同じでした。
 ・ICの使い方を見ると QL-Y7 → QL-Y5F → QL-Y55F の順に進化した様子が分かります。
 ・この対照表に基づいてQL-Y55Fのアーム調整法をQL-Y7用に読み替えてみました。
 ・これが正しい方法かどうかは分かりませんが、とりあえず以下の調整を行ってみました。

Qly7__2

■(仮)調整記録 (参考程度です)---------------------------------------

【Horizontal first stage offset adjustment】
 ・トーンアームをアームレストに固定する
 ・Tracking Force → ゼロ
 ・Q Dump → ゼロ
 ・Anti Skating → ゼロ
 ・UP/DOWNボタンを押してアーム上昇状態にする(アームレストに固定しているので実際には上昇しない)
 ・TP7-TP10 間に電圧計セット → VR803(=VR809)調整 → 電圧0V±5mV
 ・VR803(=VR809)はターンテーブル下にある調整つまみ

【Vertical offset adjustment】
 ・トーンアームをアームレストに固定する
 ・Tracking Force → ゼロ
 ・Q Dump → 最大
 ・Anti Skating → ゼロ
 ・TP6-TP9 間に電圧計セット → VR801調整 → 電圧0V±5mV

【Anti-skating adjustment】
 ・Anti-skating → 楕円針「3」にセット
 ・Tracking Force → ゼロ
 ・Q Dump → ゼロ
 ・アームが下りた状態
 ・TP7-TP10 間に電圧計セット → VR804調整 → 電圧1.46V±0.1V ●要再検討

【Tracking force adjustment】
 ・Tracking force → 目盛り1.5位置にセット
 ・Q Dump → ゼロ
 ・Anti Skating → ゼロ
 ・針圧計に針を降ろす → VR805調整 → 針圧計1.5g

■インシュレーター補修------------------------------------------------

 ・ひび割れだらけのインシュレーターを放ってはおけません。
 ・ホームセンターであれこれ見た中で「黒ゴム接着剤」を買ってきました。
 ・ゴム製の長靴、車のゴム製モール、ウェットスーツなどの補修が例示されています。
 ・硬化した後も弾力があるとのことなのでちょうど良いかも。
 ・ひび割れ部にチューブの口を押し当て、ギュッと絞り出す。
 ・ヒビの奥深くまで浸み込ませる感じです。
 ・さらにヘラを使って強引に押し込む。
 ・完全硬化まで24時間。出来栄えはなかなか良い感じでした。

Victor_qly7_120Victor_qly7_121Victor_qly7_122Victor_qly7_124Victor_qly7_125

■試聴---------------------------------------------------------

 ・レコード三昧ではなく、予定外のプレーヤー修理三昧な年末休暇でした。
 ・不明な点が多々残っていますが、今回はとりあえずここまでで。
 ・QL-Y7サービスマニュアルが入手できたら作業再開予定。
 ・でも修理作業を通して勉強になることが多く充実した休暇でした。
 ・回路図を見ながら思考回路を働かせること、細かい部品交換で指先を動かすこと。
 ・一連の作業は頭の体操(ボケ予防)に最適ですね。
 ・あと、良質な音楽に浸る幸せな時間が何より大切です。

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SONY PS-X6

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 ・2016年12月末、ハードオフで見つけたレコードプレーヤーです。
 ・ジャンク品が無造作に積まれた棚で、プレーヤー三段重ねの一番下にありました。
 ・ホコリまみれの薄汚れた状態。相当長期間に渡って放置されていた感じです。
 ・当然シェル・カードリッジなし、アクリルカバーは傷だらけ。
 ・でも持ち上げるとズッシリ重量級、たぶん10kgはありそう。
 ・この重量を支える頑丈そうなインシュレーターが付いていました。
 ・実は修理中の Victor QL-Y7に流用できそうなインシュレーターを探していました。
 ・税込1,080円、100円/kgの部品取り機と割り切って買ってきました。

Psx603

■製品情報------------------------------------------------------------

 ・オーディオの足跡 SONY PS-X6 \59,800(1977年頃)
 ・オーディオ懐古録 SONY PS-X6 DIRECT DRIVE STEREO TURNTABLE SYSTEM ¥59,800
 ・Vinyl engine Sony PS-X6 Fully-Automatic Direct-Drive Turntable

Psx604Psx607Psx610

 ・調べてみると1970年代後期、中級クラスのフルオート機でした。
 ・ダイレクトドライブターンテーブル、クォーツロック。
 ・オートスタート、オートストップ、オートリターン、オートリピート。
 ・重量は11.0kgと予想通り。
 ・キャビネットはソニーが開発した音響素材SBMC製とか。
 ・SBMCとは ~SONY PS-6750解説より抜粋~
SBMCは、ポリエステル樹脂をベースに炭酸カルシウムやグラスファイバーを配合した熱硬化性強化レジンで、強度では木(ラワン合板)の1.5~2倍の強さ、共振鋭度(Q)ではアルミダイキャストの約3分の1以下という優れた特長を持っています。これによりハウリングを抑え、SN比を改善しています。

■動作確認------------------------------------------------------------

 ・店頭では気が付かなかったのですが、サブウェイトが付属していました。
 ・実験用カートリッジを装着して早速動作確認。
 ・操作方法は海外版取扱説明書で学習しました。
 ・電源オン、ネオンランプ点灯、ターンテーブル回転OK。
 ・START/STOPボタンとREPEATボタンはタッチ式スイッチ。
 ・オイルダンプ式のアームリフター、マニュアル操作が妙に懐かしい。
 ・各種オート機能は一通り動作しました。
 ・故障箇所は特に無さそうです。

Psx621Psx628Psx630Psx631Psx633

■内部確認------------------------------------------------------------

 ・分解方法は海外版サービスマニュアルが役に立ちました。
 ・アームの裏側にチューナーの窓照明でよく見るヒューズ型電球がありました。
 ・何の用途かと思ったら、オートリバースのためのアーム位置検出用でした。
 ・アームの動きに合わせてシャッターが移動し、光電素子が光量変化を検出。
 ・この「ルミナスセンサー」という仕組みは、RV401で動作ポイント調整可能。
 ・当時のオート機能を実現するメカが面白いです。
 ・QL-Y7より古い機種なのに、目視で分かるような部品劣化は無さそうです。

Psx640Psx641Psx642Psx643Psx644
Psx645Psx646Psx651Psx650Psx649
Psx660Psx661Psx662Psx663Psx664
Psx665Psx666Psx667Psx668Psx669
Psx670Psx671Psx672Psx673Psx674

Psx6_sche

■インシュレーター----------------------------------------------------

 ・インシュレーターは内部にゲル状高粘弾性物質を封入した特殊なもののようです。
 ・黒いゴム部分を指で押すと適度な弾力を保っていました。
 ・ただ残念ながらQL-Y7のインシュレーターとはネジサイズが僅かに異なりました。

Psx6100Psx6101Psx6102

■ボディとアクリルカバーを磨く----------------------------------------

 ・レコードプレーヤーとして普通に使える状態だったので外観を整備してみました。
 ・まずは傷だらけのアクリルカバーをせっせと磨きました。
 ・耐水サンドペーパー #800 → #1000 → #1500 → #2000
 ・さらに アクリルサンデー研磨剤 → セラミックコンパウンド
 ・細かい傷が取れて綺麗に仕上がりました。
 ・調子に乗ってボディはメラミンスポンジで磨いた後、コンパウンド処理。
 ・鏡のように反射するピカピカボディになりました。

Psx690Psx693Psx691Psx695Psx697
Psx698Psx699Psx605Psx606Psx608

■試聴----------------------------------------------------------------

 ・インシュレーターを部品取りするつもりだったのですが、意外にも完動品でした。
 ・外観も美しく仕上がったので、捨てるにはちょっと惜しいかも、、
 ・ということで、
 ・懐かしいネオンランプのストロボを楽しめる機種としてキープしておきます。
 ・そんなに使うことは無いのにね、、

Psx601


SANSUI TU-5900

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 ・2017年1月、サンスイ製TU-5900の故障機が届きました。
 ・照明は綺麗に点灯しますが音声端子から音が出ない状態です。
 ・以下、作業記録です。

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■製品情報------------------------------------------------------------

 ・オーディオの足跡 SANSUI TU-5900 ¥46,500(1976年頃)
 ・Hifi Engine Sansui TU-5900 Stereo AM/FM Tuner (1975-77)※サービスマニュアル

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■動作確認------------------------------------------------------------

 ・TU-5900は初めて触れる機種です。
 ・正面から見ると普通のコンポサイズ、でも奥行きが約25cmでとてもコンパクト。
 ・小型ボディながら重量6.4kg、持ち上げるとズッシリ感あり。
 ・FMアンテナを接続して電源オン。周波数窓がオレンジ色の照明に浮かび上がります。
 ・照明の感じはTU-707に似た雰囲気ですね。
 ・選局ツマミを回すと名古屋地区のFM局周波数辺りでSメーターとTメーターが大きく振れる。
 ・STEREOランプ点灯が赤く点灯。これはFM放送を受信しているようです。
 ・でも、OUTPUT端子からは音が出ない。RECOUT端子からも音が出ない。局間ノイズも出ない。
 ・MUTINGスイッチをオフにしても音が出ない。局間ノイズも出ない。
 ・モード切替でSTEREO/MONOに切り替えても音が出ない。
 ・試しにDISCRIMINATOR OUTPUT端子を確認するとここからは音が出ている。
 ・DISCRIMINATOR OUTPUT端子からはFM検波出力が出ているので検波回路までは正常。
 ・さらにステレオランプも点灯するのでMPX回路も大丈夫そう。
 ・ということは、怪しいのはミューティング回路か?
 ・引き出し式の背面バーアンテナで名古屋地区のAM放送を受信。
 ・AMは特に問題なさそう。

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■内部確認------------------------------------------------------------

 ・FM3連、AM2連バリコン搭載フロントエンド ※トリマ、コイルとも調整可
 ・IF BAND切替なし セラミックフィルタ×3段
 ・HA1137 クアドラチュア検波
 ・HA1196 PLL MPX IC
 ・HA1151 AM TUNER

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 ・VR01:実装なし
 ・VR02:FM Sメーター調整
 ・VR03:Mutingレベル調整
 ・VR04:セパレーション調整
 ・VR05:VCO調整
 ・VR06:AM Sメーター調整

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【備忘録】特殊形状の照明電球発見!
 ・TRIO KT-9007、KT-7007、SANSUI TU-717

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■修理記録------------------------------------------------------------

 ・海外版回路図でミューティング回路の各部電圧確認。
 ・TR08:2SC711 が死んでいました。
 ・ミューティング回路のTR06、07、C56もついでに交換しました。
 ・2SC711:TR06,TR07,TR08 → 2SC1815 交換 ※足配列注意 BCE→ECB
 ・2SA726:TR09 → 2SA1015 交換 ※足配列注意 BCE→ECB
 ・C56:1uF/50V → 1uF/50V 交換
 ・ミューティングが解除されて音が出てきました。

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■調整記録------------------------------------------------------------

 ・海外版サービスマニュアルを参考にしました。
 ・FM Antenna Attenuator : out
 ・MPX Noise Canceller : out
 ・FM Muting : off
 ・Output Level : max
 ・Output出力をWaveSpectraで観察
【Tメーター中点】
 ・放送局が何もない位置 → T02調整 → Tメーター中点
【FM OSC調整】
 ・HA1137-13pin 電圧計セット(Sメーター電圧)
 ・指針76MHz位置にセット
 ・SSG76MHz送信 → L03調整 → Sメーター電圧最大
 ・指針90MHz位置にセット
 ・SSG90MHz送信 → TC03調整 → Sメーター電圧最大
  ※Tメーター中点が多少ズレても気にしない。
【FM RF調整】
 ・HA1137-13pin 電圧計セット(Sメーター電圧)
 ・SSG76MHz送信 → L01,L02調整 → Sメーター電圧最大
 ・SSG90MHz送信 → TC01,TC02調整 → Sメーター電圧最大
【FM IFT調整】
 ・SSG83MHz送信 → T01調整 → Sメーター電圧最大
【クアドラチュア検波調整】
 ・SSG83MHz送信 → T02調整 → Tメーター中点
 ・SSG83MHz送信 → T03調整 → 高調波歪最小
【ミューティング調整】
 ・SSG83MHz 20dB → VR03調整 → ミューティング作動位置へ
【Sメーター調整】
 ・SSG83MHz 80dB → VR02調整 → Sメーター振れ調整
【VCO調整】
 ・TP05 周波数カウンタ接続
 ・SSG 83MHz 無変調 → VR05調整 → 76kHz
【セパレーション調整】
 ・SSG83MHz ST信号送信 → VR04調整 → Lch/Rch 漏れ信号最小
【STEREO歪調整】
 ・WaveSpedtraで観察
 ・SSG83MHz送信 → T01調整 → 歪率最小
【AM OSC調整】
 ・729kHz TC05調整
 ・1332kHz T04調整
【AM RF調整】
 ・729kHzTC04
 ・1332kHzアンテナバー調整
【Sメーター調整】
 ・VR05調整 → Sメーター振れ調整

Tu5900

Sansui_tu5900_sche

■修理記録------------------------------------------------------------

 ・HA1196周辺の電解コンデンサー劣化が気になったので交換しました。
 ・C33,CX39,C52,C53:10uF/16v → 10uF/25v
 ・C35,C37:0.47uF/50v → 0.47uF/50v
 ・C40:0.22uF/35v → 0.22uF/50v
 ・C41:100uF/.16v → 100uF/35v ※回路図では220uF/16v
 ・C88:1uF/50v → 1uF/50v

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■試聴----------------------------------------------------------------

 ・TU-707によく似た照明窓で、なかなかイイ感じです。
 ・通常はFM Antenna Attenuator : out、MPX Noise Canceller : out、
 ・FM Antenna Attenuator : 電波が強くて歪む場合のみin
 ・MPX Noise Canceller : 微弱FM局をSTEREO受信時のみin
 ・特殊形状の電球も発見できて満足。

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M-AUDIO M-TRACK 2×2M

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 ・2016年12月末、アマゾンで購入しました。
 ・24bit/192kHz対応、USB-Cオーディオ/MIDIインターフェイスです。
 ・チューナー修理で使うオーディオインターフェスの買い替えです。

M_audio11

■製品情報------------------------------------------------------------

 ・M-AUDIO M-TRACK 2×2M 14,800円
 ・M-AUDIO M-TRACK 2×2 10,800円
 ・似たような型番で価格がちょっと安い「M-TRACK 2×2」があります。
 ・どちらも2in/2out構成ですが、ラインでステレオ入力できるのは「M-TRACK 2×2M」
 ・本機の特徴は USB Type-Cポートが装備されている点。
 ・通常のUSB2.0やUSB3.0に接続するための変換ケーブルも同梱されています。
 ・サイズ的には1Uハーフラックサイズの EDIROL UA101とほぼ同じ。
 ・据え置きタイプの方がつまみが大きくて操作しやすい感じです。

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 ・もう一つの特徴はバンドルソフトが超!豪華であること。実はこれが購入の決め手。
 ・これらのバンドルソフトはチューナー修理には不要ですが別用途で活用します。
  ・Cubase LE8:Steinberg社製DAW(Digital Audio Workstation)
  ・Xpand!2:マルチティンバー音源
  ・Strike 2:ドラム音源
  ・Mini Grand:アコースティックピアノ音源
  ・Creative FX Collection:エフェクトプラグインコレクション

■使い方--------------------------------------------------------------

 ・同梱されている説明書は外国語版(英仏独伊西)のみ。
 ・まずM-AUDIO社のホームページから日本語版の取扱説明書を入手。
 ・続いていM-AUDIO社のダウロードサイトからドライバーを入手。
 ・本体をPCに接続する前にPC側にドライバーをインストールする必要あり。
  ・Windows7~10(32bit/64bit)用ドライバー v.1.0.4
  ※2016年12月28日付で新バージョン v.1.0.6がリリースされていました。
 ・インストール作業完了後にType-C変換ケーブルで接続。
 ・電源はUSBバスパワーなので接続すれば準備完了。
 ・チューナーからの音声出力は背面LINE端子に接続。
 ・オーディオ機器との接続には「標準プラグ-RCAプラグ」のステレオコードが必要。
 ・このコードは家電量販店ではほとんど見かけませんが楽器店で普通に入手可能。
 ・WaveSpectraの設定画面でドライバーを切り換えてサンプリング周波数を設定。
 ・上面にあるGAINつまみで入力レベルを調整。
 ・このGAINつまみは左右独立タイプ。

M_audio10

■使ってみて----------------------------------------------------------

 ・音楽制作ではなくWaveSpectraで波形観察することが目的です。
 ・WaveSpectraの「録音・再生」タブで入力・出力からM AUDIOを選択
 ・WaveSpectraで左右チャンネルの波形がきれいに観測できました。
 ・サンプリング周波数の変更はこの設定画面のプルダウンメニューから選択するだけ。
 ・チューナーの調整に問題なく使えました。
 ・ところが、しばらく使って気が付いたことは、、

 ・本機のヘッドホン端子から出てくる音が2系統ミックスのモノラル音になっている。
 ・あれこれ弄ってみましたがソフトウェアミキサー機能は無さそう。
 ・DAWを通してた音はもちろんステレオで問題なし。
 ・WaveSpectraの波形も左右それぞれ表示されるので問題は無いのですが、、
 ・ダイレクトモニターできない点は微妙に痛かった、、

 ・それから、PC起動時にUSB機器として認識されない問題。
 ・USB端子を抜いて、もう一度接続し直すと認識される。
 ・XP からバージョンアップを重ねてWin10になっているPCなのでちょっと古すぎるか?
 ・他のPCでは未検証。この件は宿題です。

M_audio09

Technics ST-S6

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 ・2017年1月、テクニクス製薄型チューナーST-S6のジャンク品をいただきました。
 ・見た目は ST-S8 とそっくりですが、さて、中身は?

Sts658

■製品情報------------------------------------------------------------

 ・オーディオの足跡 Technics ST-S6 ¥59,800(1981年発売)
 ・Hifi Engine Technics ST-S6 Quartz Synthesizer AM/FM Stereo Tuner (1981-82)

Sts602Sts612

■動作確認------------------------------------------------------------

 ・外装は随分汚れた状態。背面端子類も輝きを失っています。
 ・フロントパネルに並ぶシルバーのボタンが錆びている。
 ・とりあえずアンテナ線を繋いで電源オン。
 ・周波数表示がやや暗いか。オート選局で-0.1MHzの周波数ズレ。
 ・受信周波数 76.1MHz~89.9MHz。
 ・82.5MHzの放送局に対して82.4MHzで受信する。
 ・それでもSTEREOランプ点灯、Quartzランプ点灯。
 ・IF切替ランプ点灯、FM電波強度をdB表示できます。
 ・AMも問題なさそう。
 ・先日調整したST-S8によく似た感じです。

Sts653Sts654Sts655Sts656Sts657
Sts613Sts614Sts615Sts616Sts617

■内部確認------------------------------------------------------------

 ・内部をると、何と ST-S8と同じ基板です。
 ・違いは、、
 ・フロントエンド3段分省略、周波数を指針表示する機能なし。
 ・S8は豪華7連バリキャップ、S6は実用的な4連バリキャップ。
 ・フロントエンド以外は全く同じ構成、部品番号やTP番号もすべて同じです。
 ・メモリバックアップ用3連キャパシタが死亡しているのも同じ。
 ・uPC1167C:FM IF SYSTEM クアドラチュア検波
 ・uPC1161C:PLL MPX
 ・uPC1018C:AM SYSTEM

Sts620Sts621Sts622Sts623Sts624
Sts625Sts626Sts627Sts628Sts629
Sts630Sts631Sts632Sts633Sts635

■調整記録------------------------------------------------------------

・ST-S8の調整方法がそのまま使えます。

Sts6

【FM VT電圧】
 ・TP1 → DC電圧計セット
 ・受信周波数76.1MHz → L10調整 → 4.1V±0.1V ※実測3.9V
 ・受信周波数89.9MHz → CT7調整 → ※実測14.8V
【フロントエンド調整】
 ・VR501(Sメーターレベル調整)足にDC電圧計セット
 ・83.0MHz受信 → L1,L6,L8調整 → 電圧最大
 ・83.0MHz受信 → T101調整 → 電圧最大
【クアドラチュア検波調整】
 ・TP102~TP103 → DC電圧計セット
 ・83.0MHz受信 → T102調整 → OV±20mV
 ・OUTPUT出力をWaveSpectra観測
 ・83.0MHz受信 → T103調整 → 高調波歪最小
【VCO調整】
 ・TP302 → 周波数カウンタセット
 ・83.0MHz無変調 → VR301調整 → 19kHz±30Hz
【パイロットバンドパスフィルター設定】
 ・TP301 → AC電圧計セット
 ・83.0MHzステレオ変調 → L302,L303調整 → 電圧最大
【パイロットキャンセル調整】
 ・83.0MHzステレオ変調 → L303,VR303調整 → 漏れ信号最小
 ・左右chバランス注意
【SUB信号】
 ・OUTPUT出力をWaveSpectra観測
 ・83.0MHz SUB変調 → VR302調整 → Lch信号最大
【ステレオ歪調整】
 ・83.0MHzステレオ変調 → T101調整 → 高調波歪最小
【セパレーション調整】
 ・83.0MHzステレオ変調 → VR401調整 → 反対chへの漏れ信号最小
【シグナルメーター調整】
 ・83.0MHz無変調60dB → VR501調整 → SメーターLEDフル点灯
 ・83.0MHz無変調80dB → VR502調整 → dB表示調整
【MUTINGレベル調整】
 ・83.0MHz無変調20dB → VR101調整 → MUTING作動位置へ
【AM VT電圧】
 ・TP201 → DC電圧計セット
 ・受信周波数522kHz → L202調整 → 1.0V±50mV ※実測0.9V
【AM受信調整】
 ・NHKラジオ(729kHz受信)→ L201,背面バーアンテナコア調整 → Sメーター最大
 ・東海ラジオ(1332kHz受信)→ CT201調整 → Sメーター最大

■試聴----------------------------------------------------------------

 ・登録したメモリを保持できませんがそれ以外は正常に使えます。
 ・外装はクリーニングで綺麗になりました。
 ・ただフロントパネルに並ぶシルバーのボタンは錆が落としきれません。
 ・それでもガンメタデザインのカッコ良さが蘇ってきました。

Sts659

SONY ST-A40

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 ・2017年2月初め、ST-A40の再調整作業を承りました。
 ・HOジャンクコーナーで何度か遭遇したことがあるような気がします。
 ・初めて内部を見る機会をいただきました。

Sony_sta4010

■製品情報------------------------------------------------------------

 ・オーディオの足跡 SONY ST-A40 ¥34,000(1979年頃)
 ・オーディオの足跡 SONY ST-A35 ¥35,000(1980年頃)
 ・Hifi Engine SONY ST-A35 AM/FM Stereo Tuner (1980-81)

Sony_sta4002Sony_sta4013

 ・A40/A35の説明文を読み比べると内容はほとんど同じ。
 ・海外サイトでST-A35の資料が見つかったので参考になりそうな予感です。

■動作確認------------------------------------------------------------

 ・経年の汚れはありますが、外観に目立つキズはありません。
 ・フロントパネルはほぼ無傷。状態は良いです。
 ・FMアンテナを接続して電源オン。指針照明点灯。
 ・スケール全体をライトアップする照明は無さそうです。
 ・多少の周波数ズレはあるものの、名古屋地区のFM局を受信。
 ・緑色5連LEDのSIGNALメーター点灯。
 ・ACCUTE SERVO LOCK点灯。左右にズレた位置では赤色LED点灯。
 ・同調点に強制的に引き込まれるような感じです。
 ・STEREOランプ点灯。MUTING動作OK。REC CALトーンOK。
 ・背面バーアンテナで名古屋地区のAM局も受信OK。
 ・FM/AMとも周波数ズレがありますが、故障箇所は無さそうです。

Sony_sta4003Sony_sta4004Sony_sta4005Sony_sta4017Sony_sta4014
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■内部確認------------------------------------------------------------

 ・FM3連、AM2連フロントエンドユニット → CF3段
 ・IC201:LA1231N:クアドラチュア検波
 ・IC301:KB4437 :PLL MPX
 ・IC401:LA1240 :AM TUNER
 ・IC701:LB1416 :LED DRIVER

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 ・久しぶりに東光KB4437に遭遇しました。
 ・KB4437はSONY ST-J55/J60 でも使われています。
 ・KB4437=PA1001。
 ・PIONEER製チューナーではPA1001としてよく見かけます。
 ・Harman Kardon TU905 回路図にあったKB4437ブロック図を転載します。

Harman_kardon_tu905_kb4437_2

■調整記録------------------------------------------------------------

 ・ST-A40実機とST-A35回路図をじっくり比較しました。
 ・価格はほぼ同じですが、中身は ST-A40>ST-A35 でした。
 ・SERVO LOCK回路は共通。輸出機ST-A35の回路図が参考になりました。

Sony_sta40

【SERVO LOCK停止】
 ・IC601 JRC4558C-5ピン → GNDに落とす
 ・これによってSERVO LOCK機能停止
【FM同調点調整】
 ・音声出力をWaveSpectraで観測
 ・TP-NULL 電圧計セット
 ・SSG83MHz送信 → 歪率が最小になる位置を探す ※実測82.8MHz付近
 ・IFT201(橙)調整 → TP電圧ゼロ
 ・IFT201(黒)調整 → 高調波歪最小
【FM OSC調整】
 ・OSC調整コイル:L103がボンドで固められており調整不能
 ・従って調整はCT103のみ。
 ・RT201 Sメーター調整VRに電圧計セット(Sメーター代用)
 ・SSG83MHz → 指針を83MHzにセット → CT103調整 → 電圧最大
   ※CT103を83MHzに調整した場合
    ・76MHz → 76.2MHz
    ・83MHz → 83.0MHz
    ・90MHz → 89.6MHz
   ※CT103を90MHzに調整した場合
    ・76MHz → 76.2MHz
    ・83MHz → 83.3MHz
    ・90MHz → 90.0MHz
【FM RF調整】
 ・L101、L102はコイル間隔を調整するタイプ。
 ・これは上手く調整できないの今回はノータッチ。CT101とCT102のみ調整しました。
 ・RT201 Sメーター調整VRに電圧計セット(Sメーター代用)
 ・SSG83MHz → 指針を83MHzにセット → CT101,102調整 → 電圧最大
 ・SSG83MHz → 指針を83MHzにセット → T101調整 → 電圧最大
【FM高調波歪調整】
 ・音声出力をWaveSpectraで観測
 ・SSG83MHz → IFT201(黒)調整 → 高調波歪最小
【SERVO LOCK停止解除】
 ・IC601 JRC4558C-5ピン → 解除
【Sメーター点灯調整】
 ・RT201
【MUTING動作点調整】
 ・RT202
【VCO調整】
 ・TP VCO に周波数カウンター接続
 ・SSG83MHz(無変調)→ 76kHz
【パイロット信号キャンセル】
 ・音声出力をWaveSpectraで観測
 ・SSG83MHz(ST)→ RT301調整 → 19kHz信号を最小
【セパレーション調整】
 ・音声出力をWaveSpectraで観測
 ・SSG83MHz(ST)→ RT501調整 → 左右の漏れ信号最小
【REC CAL調整】
 ・音声出力レベルを記録
 ・RT601調整 → -6dB設定
【AM OSC調整】
 ・SSG AM 600kHz → 指針 600kHz位置にセット → T401調整
 ・SSG AM1400kHz → 指針1400kHz位置にセット → CT402調整
【AM RF調整】
 ・SSG AM 600kHz → バーアンテナ内コイル調整
 ・SSG AM1400kHz → CT401調整
【RT203】
 ・RT203(FM) = LA1231N-6ピン
 ・検波出力レベル調整 最大にしておきました
 ・RT201:SIG
 ・RT202:MUT
 ・RT203:FM
 ・RT301:PILOT
 ・RT302:VCO
 ・RT501:SEP
 ・RT601:CAL

■試聴----------------------------------------------------------------

 ・当時のソニーらしいお洒落なデザインですね。
 ・シンプルな構成ですがFM/AMとも不満無く使えます。

Sony_sta4011

SONY ST-S333ESXII 修理調整記録6

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 ・2017年1月、ST-S333ESXIIの故障品をいただきました。
 ・外装の汚れ、効かないスイッチ多数、出てくる音はひどいノイズ、、
 ・これは修理を見送って部品取り機かな、と思ったら、
 ・何と、ずっと探していた LA3450搭載機でした。

333esxii07

■製品情報------------------------------------------------------------

 ・オーディオの足跡 SONY ST-S333ESXII ¥49,800(1987年発売)
 ・SONY ES テクノロジーカタログ 1987年10月発行
 ・Hifi Engine ST-S730ES 海外版サービスマニュアル

333esxii02333esxii11

■動作確認------------------------------------------------------------

 ・背面にAMループアンテナが装着されています。
 ・外観は全体に汚れがひどい。放熱口から覗くと内部は大量のホコリが堆積。
 ・アンテナを接続して電源オン、、あれ、、表示管が点灯しない、、
 ・起動しないのかと思った頃にようやく表示管点灯。
 ・表示部下に並んだ切り替えボタンの反応が鈍い、というかほぼ効かない。
 ・オートチューニングでは名古屋地区のFM局を素通り。
 ・マニュアルチューニングでは受信するものの、出てくる音は酷いノイズ。
 ・STEREOランプ点灯しない。出てくる音声にステレオ感なし。
 ・機能切換スイッチが反応しないのでこれ以上の動作確認不能です。

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■内部確認------------------------------------------------------------

 ・放熱口から見えたように大量のホコリが堆積している。
 ・エアーでホコリを飛ばして内部確認、、おお、、LA3450発見!
 ・復調回路にPLL-MPXのLA3450がありました。ようやく巡り合えました、、感激!
 ・通常のソニー製333シリーズのMPX部にはCX1064が搭載されています。
 ・333ESXIIにはLA3450が搭載されている個体があると知りずっと探していました。
 ・CX1064=LA3450
 ・これを見てガゼンやる気が出てきました♪
 ・最終オーディオ回路のLPFはアクティブ型でした。

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333esxii25333esxii26333esxii27333esxii28333esxii29
333esxii30333esxii31333esxii32333esxii33333esxii36
333esxii37333esxii35333esxii39333esxii40333esxii42

■修理記録:タクトスイッチ交換----------------------------------------

 ・フロントパネルの表示部下に並んだタクトスイッチ10個交換。
 ・タクトスイッチサイズ(6mm×6mm、H=5mm)
 ・細かい作業なので、着手するには「やる気」が必要です。

333esxii64333esxii60333esxii61333esxii62333esxii63

■修理記録・ハンダクラック修正----------------------------------------

 ・アースバーにハンダクラック多数発見。
 ・クラック箇所を修正しました。
 ・これは333シリーズに共通する弱点です。

333esxii42_2333esxii50333esxii51333esxii52

■再び動作確認--------------------------------------------------------

 ・FMアンテナを接続して電源オン。
 ・タクトスイッチを交換したので切替ボタンの動作がとても軽快です。
 ・さて、オートチューニングで名古屋地区のFM局をサーチ。
 ・放送周波数よりも0.1MHzの同調ズレ。
 ・ひどい雑音は解消しており、とりあえずFM音声が聞こえてきました。
 ・STEREOランプ点灯しない。IF BAND切替OK、MUTING動作OK、REC CALトーンOK。
 ・メモリー登録動作OK。メモリーボタン切替動作OK
 ・付属ループアンテナでAM放送も受信OK。
 ・あとは再調整で何とかなりそう。

■調整記録------------------------------------------------------------

 ・海外版SMの記述をベースにして一部アレンジ。

333esxii

【FM同調点調整】
 ・IFT205調整 LA1235-7pin~10pin間電圧ゼロ ※調整前実測615mV
 【VT電圧調整】
 ・IC803-5pin電圧測定
 ・90MHz L104調整 21.0V±0.2V ※調整前実測21.0V
 ・76MHz 確認のみ 8.0V±1.0V ※調整前実測7.8V
【SST回路調整】
 ・SST調整はVT電圧調整後、かつトラッキング調整前に行うこと
 ・76MHz受信 RT801調整 IC802-11pin電圧 → 0V 実測1.2mV
 ・90MHz受信 IC802-9pin電圧 → 14V確認 ※調整前実測14.1V
【トラッキング調整】
 ・IC203(LA1235)-13pin(又はRT204)電圧max
 ・76MHz L101,L102,L103
 ・90MHz CT101,CT102,CT103
【PLL検波調整】
 ・TP201をGNDに落とす
 ・IFT207調整 TP202 DC電圧ゼロ ※調整前実測-7.5V
 ・CT201調整 歪最小
【IF歪調整】
 ・Wide受信、MUTINGオフ
 ・IC203(LA1235)-13pin電圧計セット
 ・RT202、RT203 時計回り一杯に回す
 ・SSG出力20dBモノラル信号送信
  ・IFT201調整 電圧最大へ
  ・IFT101調整 電圧最大へ
 ・SSG出力80dBにセット
  ・IFT203、RT202を交互に調整 歪最小へ
 ・SSG出力20dBにセット、Mutingオン
  ・IFT202調整 電圧計最大へ
 ・SSG出力80dBステレオ信号送信
  ・IFT204、RT203を交互に調整 歪最小へ
【STEREOインジケータ調整】
 ・RT206 SSG出力20dBでステレオインジケータ点灯
【パイロットキャンセル】
 ・RT303、L301 19kHz信号漏れ最小 左右バランス確認
【セパレーション調整】
 ・RT301 R→L ※調整後実測64dB
 ・RT302 L→R ※調整後実測68dB
【Sメーター調整】
 ・RT204
【MUTINGレベル調整】
 ・RT205
【CAL TONE】
 ・Peak Level-3.8dB 301Hzの波形が出ていました。
【AM調整】
 ・RT401 Sメーター調整
 ・RT402 AUTOSTOP調整

<調整結果>
 ・FM同調点が大きく外れていていました。
 ・PLL検波調整にズレが大きかったです。
 ・調整によってSTEREOランプが点灯しました。
 ・セパレーション値も大幅に改善しました。

■試聴---------------------------------------------------------------

 ・当初は部品取り用と思いましたが、
 ・タクトスイッチ交換、ハンダクラック補修、再調整で復活しました。
 ・やはり333シリーズ、特にESXIIはイイですね。

333esxii06

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