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SANSUI TU-X1 3号機

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 ・2015年12月、TU-X1の修理調整作業を承りました。
 ・チューニングつまみを回しても指針が動かないそうです。
 ・1,2号機の経験からヘリカルカップリングが割れているのかな?と想像しました。
 ・以下、TU-X1の復活記録です。

Tux107

■製品情報------------------------------------------------------------

 ・オーディオ懐古録 SANSUI TU-X1 ¥135,000円(1979年)
 ・オーディオの足跡 SANSUI TU-X1 ¥135,000(1979年)
 ・Hifi Engine SANSUI TU-X1 ※海外版サービスマニュアルあり
 ・TU-X1 1号機の記録
 ・TU-X2 2号機の記録

Tux101Tux110

■動作確認------------------------------------------------------------

 ・経年の汚れや擦り傷が多数あって美品とは言い難い状態です。
 ・周波数窓の内側に虫の死骸が、、
 ・シリアル番号をみると 1979年5月製造のロットです。
 ・FMアンテナを接続して電源オン。
 ・周波数窓の照明点灯。四つのメーター照明点灯。FM/AMインジケーター点灯。
 ・OUTPUT1/2ボタンの選択状態を示すインジケーター電球4個のうち3個がタマ切れ。

Tux102Tux103Tux104Tux105Tux106

 ・事前情報の通り FM/AMとも選局つまみを回しても指針が動きません。
 ・FM指針は76MHzの左端に張り付いたままピクリとも動きません。
 ・AM指針は何と、、本体を左右に傾けると重力で左右に滑らかに移動します。
 ・これでは受信確認も何もできません。
 ・過去の修理事例から「ヘリカルカップリング」が破損している、、と予想しました。
 ・動作としては REC CALトーンが出ることだけ確認できました。

Tux111Tux112Tux113Tux114Tux115

■内部確認+動作確認--------------------------------------------------

 ・上部ボディを外してFM基板を確認。
 ・堆積していたホコリとゴミをエアで飛ばして軽くクリーニング。
 ・さて、FMチューニングつまみを回してみるとFMバリコン軸は正常に回転しています。
 ・ヘリカルカップリングに亀裂があるもののバリコン軸を駆動できています。
 ・ということは、、FM指針が動かない理由は何?
 ・調べてみると、FM指針台座とダイヤル糸の接合部が外れていました。
 ・FMチューニングつまみを回しても糸だけ素通りしてFM指針が動かない状態でした。
 ・指針台座とダイヤル糸は接着剤で固定されていたはずですが、なぜか外れています。
 ・指針は動かないものの、FMチューニングつまみを回すと地元FM放送局を受信できました。
 ・Tメーター、Sメーターともに大きく振れ、STEREOランプ点灯します。
 ・IFバンド切替、MUTING切替など動作OK。インジケーター点灯。
 ・どうやらFM回路自体は生きているようです。

Tux121Tux122Tux170Tux123Tux125

 ・次に底板を外してAM基板を確認。
 ・AMバリコン軸のヘリカルカップリングもひび割れでした。
 ・こちらはAMチューニングつまみを回してもAMバリコン軸が回転しません。
 ・よく見ると、何と、ダイヤル糸が途中で切れていました。
 ・さらにAM指針台座とダイヤル糸の接着部分も外れていました。
 ・糸の切断部を見ると無理な力が加わって引き裂かれたような断面です。
 ・試しにAMバリコン軸を直接指で回してみると名古屋地区のAM放送を受信できました。
 ・Tメーター、Sメーターともに大きく振れます。
 ・IFバンド切替、upper/lower切替など動作しているようです。
 ・AM回路も生きていました。

Tux128Tux160Tux170_2Tux181Tux184

 ・原因はFM/AMとも指針が端まで移動した後も強引にツマミを回し続けたことでしょう。
 ・それにしても糸が切れるほどの、あるいは接着剤を引き剥がすほどの負荷がかかるとは、
 ・このTU-X1は過去に相当に酷い目にあった経験があるようです。

■修理記録:FM指針----------------------------------------------------

 ・信号発生器で83MHzは生成してTU-X1で受信。
 ・受信した状態で指針を指先で83MHz位置に移動させる。
 ・指針台座と糸を接着剤で固定。
 ・亀裂の入ったヘリカルカップリングは結束バンドで固定。
 ・細かい調整は後述の調整記録参照。

Tux180Tux181_2Tux182Tux183Tux185

■修理記録:AM指針----------------------------------------------------

 ・ダイヤル糸の切断箇所はAMバリコン軸のプーリー付近でした。
 ・糸の直径=0.5mm。
 ・仮復旧として同じ太さの糸をジャンク機から取り出して「本結び」で繋ぐ。
 ・つなぎ目に液状接着剤を染み込ませて固定。外れた糸をかけ直しました。
 ・糸掛け手順はサービスマニュアルに記載ありますが、図の向きがよく分からない??
 ・手元にある2号機の糸掛け状態を見て同じ状態にしました。
 ・信号発生器で1000kHzを生成してTU-X1で受信。
 ・受信した状態で指針を指先で1000kHz位置に移動させる。
 ・指針台座と糸を接着剤で固定。
 ・亀裂の入ったヘリカルカップリングは結束バンドで固定。
 ・細かい調整は後述の調整記録参照。

Tux126Tux129Tux130Tux131Tux133

■修理記録:インジケーター電球交換------------------------------------

 ・OUTPUT1/OUTPUT2のFM/AM切替インジケーター4個のうち3個がタマ切れ。
 ・点灯するのはOUTPUT2のFMポジション1個だけです。
 ・部品番号PL01~04。直径3㎜、電柱値不明。電圧を測定するとAC7.5V。
 ・ジャンク箱から8V電球のうちサイズと明るさが同じものを探して交換。
 ・端子加工が面倒でした。

Tux162Tux163Tux164Tux165Tux166

 ・作業中にいつのまにか周波数目盛りの照明電球が切れてしまいました。
 ・正面から見て左側に小さな電球が1個だけです。こちらも7.5V、直径3㎜。
 ・ジャンク箱から同等品を探して交換。

Tux171Tux172Tux173Tux174Tux175

■調整記録--------------------------------------------------------

 ・調整方法は1号機の記録参照

Tux140Tux141Tux142Tux143Tux144
Tux145Tux146Tux147Tux150Tux151
Tux152Tux153Tux154Tux155Tux156

■試聴---------------------------------------------------------------

 ・幸いにもFM/AMともに回路の故障個所は無かったです。
 ・再調整によって良い性能を取り戻しました。
 ・仮復旧したダイヤル糸はこのままでも大丈夫そうです。
 ・フロントパネルも分解してガラス窓の内側まで磨きました。
 ・圧倒的な存在感、堂々たる風貌。本来の輝きを取り戻したと思います。
 ・ひどい目にあった過去の乗り越えてTU-X1が復活しました。
 ・大切に使ってあげてください。

Tux108


SANSUI TU-S707X DECADE 修理調整記録1

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 ・2015年12月、SANSUI TU-S707X DECADE の修理調整作業を承りました。
 ・STEREOランプが点灯しない状態だそうです。
 ・再調整だけで直るかと思ったら、予想外に大手術になりました。

Tus70703

■製品情報------------------------------------------------------------

 ・オーディオの足跡 SANSUI TU-S707X ¥54,800(1984年発売)
 ・オーディオ懐古録
 ・Hifi Engine TU-S77X ※回路図あり

Tus70702Tus70705

■動作確認------------------------------------------------------------

 ・サイドウッドがありませんがDECADEモデルの特徴である金色モールが光っています。
 ・電源OK。FMアンテナを接続して動作確認。
 ・周波数表示の輝度がちょっと暗い。特に「FM」の文字がほとんど見えない。
 ・受信確認では名古屋地区のFM放送を受信しました。
 ・周波数ズレはないものの、STEREOランプ点灯しない。聴感上もステレオ感がない。
 ・その他機能、MUTING動作、IFバンド(Wide/Narrow)切替、CAL TONEなどOK。
 ・AMは手持ちの適当なループアンテナを接続して確認。
 ・名古屋地区のAM放送を正常に受信しました。

■内部確認+調整記録--------------------------------------------------

 ・最近のTU-S707X調整記録に倣って各部再調整しました。
 ・DECADEモデルでは基準周波数を調整するTC1が省略されています。
 ・使われている部品が微妙に違いますが基本的にTU-S707Xと同じです。

【VT電圧確認】
 ・フロントエンド内[VT-GND]に直流電圧計接続
 ・90MHz時の電圧=実測値8.4V → TC5調整 → 8.4V ※本来23V前後のはず?
 ・76MHz時の電圧=実測値1.7V
 ・いきなりVT電圧が低すぎます。
 ・OSCトリマTC5を回してもVT電圧が全く変化しません。

Tus707102

■修理記録:OSCトリマ交換---------------------------------------------

 ・別のTU-S707Xから外して保管していたフロントエンドパックごと交換しました。
 ・VT電圧再調整で正常値になりました。
 ・故障していたOSCトリマは青色トリマに交換して保管品としました。

Tus707103Tus70720Tus70721Tus70723Tus70724

■調整記録------------------------------------------------------------

※RF-IF部基板の調整(本体正面から見て右側の基板)

Tus707x

【本体正面・機能切替ボタン設定】
 ・FM MODE=MONO
 ・IF BAND=WIDE
 ・RF MODE=DX
【VT電圧確認】
 ・フロントエンド内[VT-GND]に直流電圧計接続
 ・90MHz時の電圧=実測値8.4V → TC5調整 → 23.0V
 ・76MHz時の電圧=実測値1.7V → 3.1V
【フロントエンド調整】
 ・IC3[HA12412] 13pin-GNDに直流電圧計接続
 ・SSG 76MHz、1kHz、100%変調、30dB
 ・受信周波数76MHzの位置でコイルL1,L2,L3,L4の間隔調整 → 電圧最大値
  ※コイル間隔の調整は難しいので触らない方が無難
 ・SSG 90MHz、1kHz、100%変調、30dB
 ・受信周波数90MHzの位置でトリマコンデンサTC1,TC2,TC3,TC4調整 → 電圧最大値
 ・上記作業を数回繰り返す
【IFTコイル調整】
 ・IC3[HA12412] 13pin-GNDにDC電圧計接続
 ・SSG 83MHz、1kHz、100%変調、30dB
 ・フロントエンド内IFTコイル調整 → 電圧最大値
 ・RF基板上の[T1]を調整 → 最大電圧
 ・IF BAND=NARROWに切り替え → 電圧値測定
 ・IF BAND=WIDEに戻して電圧測定 → VR2[WIDE GAIN]調整 → NARROW時と同じ電圧
【FM同調点の調整】
 ・[TP1-TP2] DC電圧計接続
 ・無信号状態でT2のIC側コアを調整 → 電圧=0V±30mVに。※調整前約480mV
 ・SSG 83MHz、1kHz、100%変調、60dB
 ・T2のIC反対側コアを調整 → 二次高調波最小
 ・上記作業を数回繰り返す
【FM LOCKED LEVEL調整】
 ・SSG 83MHz、1kHz 100%変調、30dB
 ・VR4[FM SIGNAL]を調整 → 本体正面[LOCKED]オレンジ色LEDが全灯する位置
【REC Level】
 ・VR5調整 416kHz -6dB
【本体正面・機能切替ボタン設定】
 ・FM MODE=STEREO
【VCO フリーラン周波数調整】
 ・SSG 83MHz、無変調、60dB
 ・TP1-TP4にDC電圧計接続 → VR105[OFFSET VCO]調整 → 電圧=0V±0.05V
 ・TP3[VCO]-GNDに周波数カウンター接続 → L101調整 → 304.000kHz
【PILOT OFFSET調整】
 ・SSG 83MHz、無変調、60dB
 ・TP2-TP5に直流電圧計接続 → VR104[PILOT OFFSET]調整 → 電圧=0V±0.1V
 ・SSG 83MHz、60dB、19kHzPILOT信号ON → ステレオランプ点灯を確認
【PILOT CANCEL調整】
 ・音声出力をWaveSpectraに接続
 ・SSG 83MHz、60dB、19kHzPILOT信号ON
 ・本体正面のステレオランプ点灯を確認。
 ・L100、VR103L調整 → Lch波形観察 → 19kHz信号レベル最小
 ・VR106、VR103R調整 → Rch波形観察 → 19kHz信号レベル最小
【IF BAND=WIDE セパレーション調整】
 ・SSG 83MHz、1kHz 100%変調、70dB、Rchのみ信号、PILOT信号ON
 ・VR102L調整 → ※調整後実測62.2dB
 ・SSG 83MHz、1kHz 100%変調、70dB、Lchのみ信号、PILOT信号ON
 ・VR102R調整 → ※調整後実測64.2dB
【IF BAND=NARROW セパレーション調整】
 ・音声出力をWaveSpectraに接続
 ・SSG 83MHz、1kHz 100%変調、70dB、Rchのみ信号、PILOT信号ON
 ・VR101L調整 → ※調整後実測62.2dB
 ・SSG 83MHz、1kHz 100%変調、70dB、Lchのみ信号、PILOT信号ON
 ・VR101R調整 → ※調整後実測62.2dB
【MUTING LEVEL調整】右側RF基板
 ・音声出力をWaveSpectraに接続
 ・SSG 83MHz、1kHz 100%変調、25dB、ステレオ信号、PILOT信号ON
 ・VR3[MUTE]を調整 → ステレオランプ点灯し信号が出る位置へ
【AUTO STOP LEVEL調整】右側RF基板
 ・SSG 83MHz、1kHz 100%変調、30~35dB、ステレオ信号、PILOT信号ON
 ・VR1[FM.STOP]を調整 → オートサーチが有効な位置へ
【AM調整】
 ・LA1245-16ピン → AM Sメーター電圧測定
 ・T2、TC1,TC2

 ※VCO調整によってSTEREOランプが点灯しました。

■修理記録:蛍光表示管交換--------------------------------------------

 ・手元に届いたときから表示が暗いな、、と思っていましたが、
 ・通電しいるうちにさらに暗くなっていき、調整中にほとんど見えない状態に、、
 ・急激に輝度が劣化した原因がよく分かりません。
 ・あちこち触っているうちに私が壊した可能性が高いです。申し訳ありません。
 ・対策として部品取り用に保管していた別のTU-S707Xの蛍光表示管を移植しました。
 ・蛍光表示管はMPX基板の上の直接乗っている構造です。
 ・MPX基板を取り外すためにフレームを分解しました。
 ・分解方法はサービスマニュアルに掲載あります。
 ・表示は蘇りましたが、この表示管も「FM」の文字がやや暗いです。

Tus70730Tus70733Tus70732Tus70734Tus70735

■試聴----------------------------------------------------------------

 ・当初は再調整だけで済むかと思いましたが、予想外に大手術になりました。
 ・手間はかかりましたが各部再調整によって良い性能を取り戻したと思います。
 ・保管品の中から程度の良さそうなサイドウッドを装着しておきました。
 ・サイドウッドがあると外観は引き締まって見えます。

Tus70704

OTTO FMT-V3

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 ・2015年11月、ジャンク品を寄付していただきました。
 ・見た目はシンセチューナー、でも中味はバリコンチューナーという変わり種です。
 ・情報の少ない機種なのでここに記録を残します。

Fmtv315

■製品情報------------------------------------------------------------

 ・OTTO、今は亡き SANYO のオーディオブランドでした。
 ・「OTTO」「SANYO」で検索しても有用な情報が見当たりません。
 ・1978年発行の古いオーディオ雑誌に載っていた記事を流用します。

Fmtv302Fmtv304

 ・1978年9月発売。定価43,000円。W44.0×H9.0×D30.4cm、5.2kg。
 ・写真ではミニコンポのチューナー部に見えそうですが、立派なフルサイズコンポです。
 ・デザイン上のバランスを取るためか?蛍光表示管が大きめサイズです。

Fmtv3

Fmtv305Fmtv306Fmtv307Fmtv317Fmtv318

■修理記録------------------------------------------------------------

 ・既に電源コードが交換済みでしたが、、
 ・使っているコードやハンダ状態がかなり怪しい感じ?です。
 ・それにコードストッパーが取り付けられていないのでスカスカ状態。
 ・このまま通電するのはちょっと怖かったので、まずは電源コードを修復しました。
 ・保管品の中から適当なプラグ付きコードをチョイス。
 ・コードスットッパーを使って背面パネルに固定。
 ・内部のハンダ箇所もやり直しました。

Fmtv320Fmtv321Fmtv322Fmtv323

■動作確認------------------------------------------------------------

 ・さて、いよいよ電源オン、、
 ・大き目の蛍光表示管に周波数が浮かび上がりました。
 ・選局ツマミを回転すると周波数表示が変化します。
 ・周波数範囲 FM 75.0MHz~91.0MHz、AM517kHz~1697kHz。
 ・FMは0.1MHz、AMは1kHz単位で変化します。
 ・名古屋地区のFM放送局を本来の周波数で受信しました。
 ・LED点灯式のTメーターとSメーターは点灯しますが、点灯時の挙動がちょっと変??
 ・たぶんTメーター中点とSメーター最大点が合っていない状態と思います。
 ・MUTING動作OK。REC CALトーン動作OK。HI-BLENDが効いているかどうか不明。
 ・AMは背面バーアンテナで名古屋地区の放送を受信できました。
 ・再調整だけで復活しそうです。

Fmtv311Fmtv312Fmtv313

■内部確認------------------------------------------------------------

 ・選局ツマミの回転でバリコン軸を駆動しています。
 ・FM3連AM2連バリコン → IF回路 → LA1231(クアドラチュア検波) → HA11223W
 ・周波数窓と指針が無いだけで、中身は本物のバリコンチューナーです。
 ・そういえばYAMAHA T-2,T-9 ではフロントパネルにデジタル表示が付いていました。
 ・そうそう、DENON TU-900も同じでした。
 ・バリコンチューナーから周波数窓と指針を取り払った、と思えばいいわけです。

Fmtv330Fmtv331Fmtv332Fmtv333Fmtv334
Fmtv335Fmtv336Fmtv337Fmtv338Fmtv339
Fmtv325Fmtv327Fmtv328Fmtv329Fmtv341

 ・LA1231 FM IF SYSTEM
 ・HA11223W PLL MPX
 ・LA1240 AM SYSTEM
 ・VR01 Muting調整
 ・VR03 VCO
 ・VR04 Pilot Cancel
 ・VR05 Separation
 ・TP1 FM-Sメーター電圧
 ・TP2
 ・TP3 VCO 76kHz
 ・TP4 AM-Sメーター電圧

■調整記録------------------------------------------------------------

Otto_fmtv31

●FM部
【OSC調整】
 ・TP1(FM-Sメーター電圧)DC電圧計セット
 ・76MHz受信 → Lo → 電圧最大
 ・90MHz受信 → TCo → 電圧最大
【RF調整】
 ・TP1(FM-Sメーター電圧)DC電圧計セット
 ・76MHz受信 → L1,L2 → 電圧最大
 ・90MHz受信 → TC1,TC2 → 電圧最大
 ・83MHz受信 → IFT → 電圧最大
【レシオ検波調整】
 ・LA1231 7ピン~10ピン DC電圧計セット
 ・T01下段調整 → 電圧ゼロ(Tメーター中点)
 ・T01上段調整 → 高調波歪最小
 ・別基板VR01調整 → LED式Tメーター点灯調整
【ミューティング調整】
 ・83MHz 20dB受信 → VR01調整 → MUTING作動
【VCO調整】
 ・TP03 周波数カウンタ接続
 ・83MHzステレオ信号受信 → VR03調整 → 76kHz
【パイロット信号キャンセル調整】
 ・83MHzステレオ信号受信 → VR04調整 → 19kHz漏れ信号最小
【セパレーション調整】
 ・83MHzステレオ信号受信 → VR05調整 → 反対chへの漏れ信号最小
【REC CAL確認】
 ・調整用VRがないので確認のみ ※322kHz -10dB

●AM部
【受信調整】
 ・TC1,TC2,T02,T03,バーアンテナ調整

■試聴----------------------------------------------------------------

 ・特段に高性能とか高音質というわけではありません。
 ・でも、この存在自体が歴史ですね。

Fmtv314

TRiO KT-2200 修理調整記録

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 ・2015年12月初め、KT-2200の修理調整を承りました。
 ・以下、作業内容の記録です。

Kt220010

■製品情報------------------------------------------------------------

 ・>オーディオ回顧録 TRiO KT-2200
 ・オーディオの足跡 TRiO KT-2200 ¥98,000円(1983年頃)
 ・CoolTune FM/AM TUNER 実験室(カタログと取扱説明書)

Kt220002Kt220004

 ・<参考>KT-2200 1号機の記録
 ・上記記事で KT-2200 と L-03T の回路図を詳細比較しました。
 ・Σ回路以外はとKT-2200とL-03Tの回路構成は同じでした。

■動作確認------------------------------------------------------------

<ご指摘の不具合状況>
 ・受信感度が低い
 ・周波数ずれがある
 ・音が歪む
 ・ステレオ受信時にLチャンネル側の音が小さい

Kt220012Kt220013Kt220014Kt220015Kt220016

<確認事項>
 ・キレイな個体です。大きなキズは見当たりません。
 ・ただ、正面から見ると周波数目盛りを刻んだプレート右側がずり落ちています。
 ・電源オン。二つのメーター照明点灯。赤い指針点灯。
 ・RF DISTANCEでFM放送を受信OK。
 ・ただしRF DIRECTにすると感度弱く、いつも受信できるFM局がMUTINGに埋もれる。
 ・Sメーター最大点とTメーター中点が一致しない。
 ・+0.2MHzほどの周波数ズレ。IF BAND切替OK。STEREOランプ点灯。
 ・同調後にチューニングつまみから指を離すとサーボロックランプ点灯。
 ・REC CAL音OK。SメーターとDEVIATIONメーターの切替OK。
 ・MUTING動作OK。スライド式VRでMUTINGレベル可変OK。
 ・固定/可変出力OK。可変VRにガリなし。マルチパスH端子からも音声確認。
 ・インジケーター類すべて点灯。基本動作OKです。

■内部確認------------------------------------------------------------

 ・FM5連AM3連バリコン搭載。加えてたくさんのコイルが並んでいます。
 ・回路図を見ないとどのような構成になっているのか分からないです。
 ・TR7040:MPX-IC KT-1100にも同じICが使われています。

Kt220020Kt220021Kt220022Kt220023Kt220024
Kt220025Kt220026Kt220029Kt220030Kt220031
Kt220032Kt220033Kt220034Kt220035Kt220036

■修理記録:周波数目盛りを刻んだプレート貼り直し----------------------

 ・原因は両面テープの劣化です。私のKT-2200も同じ症状でした。
 ・一度剥がして、古いテープを取り除いてから貼り直しました。

Kt220041Kt220042Kt220043Kt220044Kt220045

■調整記録------------------------------------------------------------

 ・以下の調整方法は試行錯誤を繰り返した記録です。
 ・本来の調整法とは異なる可能性大です。
 ・MPX部の調整法はKT-1100のサービスマニュアルを参考にしました。

Kt2200algn

【機器の設定】
 ・RF=DISTANCE
 ・サーボロック OFF
【IF VCO6.2MHz調整】
 ・TP=IC2 JRC1496 8ピン(R16右側)周波数カウンタ接続
 ・83MHz 無変調 90dB Sメーター最大位置で受信 → L20調整 → 6.2MHz
【検波調整1】
 ・IF BAND=NARROW
 ・83MHz 無変調 90dB Sメーター最大位置で受信 → L26調整 → Tメーター中点
【フロントエンドOSC調整】
 ・IF BAND=NARROW
 ・83MHz 無変調 90dB 受信 → OSCトリマ調整 → ダイヤル指針83MHz
  ※コイル調整は難度高いのでノータッチ
【フロントエンドRF調整】
 ・IF BAND=NARROW
 ・83MHz 無変調 50dB 受信 → RFトリマ3個調整 → Sメーター最大
 ・83MHz 無変調 50dB 受信 → T1調整 → Sメーター最大
  ※コイル調整は難度高いのでノータッチ
【検波調整2】
 ・IF BAND=WIDE
 ・83MHz 1kHz 60dB受信 → Tメーター中点確認
 ・83MHz 1kHz 60dB受信 → L25調整 → 高調波歪最小
 ・83MHz 1kHz 60dB受信 → VR2調整 → 高調波歪最小
【IF WIDE調整】
 ・IF BAND=WIDE
 ・オーディオ出力をWavespectraで観測
 ・83MHz MONO 1kHz 60dB 受信 → L4,L5,L6,L7,L8,L9,L10,L11,L12調整
    → Sメーター最大 かつ高調波歪最小
【IF WIDE調整】
 ・IF BAND=WIDE
 ・オーディオ出力をWavespectraで観測
 ・83MHz ST 1kHz 60dB 受信 → L16,L17,L18調整 → 高調波歪最小
【IF NARROW調整】
 ・IF BAND=NARROW
 ・オーディオ出力をWavespectraで観測
 ・83MHz 1kHz 60dB 受信 → L14,L15調整 → 高調波歪最小
【NARROW GAIN調整】
 ・IF BAND=WIDE
 ・83MHz 無変調 40dB 受信 → Sメーター目盛り記録
 ・IF BAND=NARROW
 ・83MHz 無変調 40dB 受信 → VR1調整→ Sメーター目盛りWIDE時と同じ
【VCOフリーラン周波数調整】
 ・IF BAND=WIDE
 ・TP R163上側に周波数カウンタ接続
 ・無信号 → VR6調整 → 152kHz±100Hz
【パイロット信号キャンセル調整】
 ・IF BAND=WIDE
 ・オーディオ出力をWavespectraで観測
 ・83MHz パイロット信号 60dB 受信 → VR5調整 → 19kHz最小
 ・83MHz パイロット信号 60dB 受信 → L37調整 → 19kHz最小
 ・左右バランスに注意
【セパレーションWIDE調整】
 ・IF BAND=WIDE
 ・83MHz ST 1KHz 80dB 受信 → VR7調整 → Lch漏れ最小
 ・83MHz ST 1KHz 80dB 受信 → VR8調整 → Rch漏れ最小
【セパレーションNARROW調整】
 ・IF BAND=NARROW
 ・83MHz ST 1KHz 80dB 受信 → VR9調整 → L/Rch漏れ最小
【Sメーター調整】
 ・IF BAND=WIDE
 ・83MHz 無変調 60dB 受信 → VR3調整 → Sメーター目盛り4.25
【DEVIATION調整】
 ・IF BAND=WIDE
 ・83MHz MONO 1kHz 60dB 受信 → VR4調整 → Dメーター目盛り100%

<調整結果>
 ・部品の故障はなかったです。
 ・受信感度が低かった件はIF段のコイル調整(特にL4,L5)で大きく改善しました。
 ・左右chのレベル差は無くなりました。

■試聴----------------------------------------------------------------

 ・上記再調整によって良い性能を取り戻したと思います。
 ・照明窓を楽しむ機種としてはちょっと物足りませんが、、
 ・バリコンチューナーらしくない上品なデザインがいいですね。

Kt220011

DENON UTU-F07

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 ・2015年11月、UTU-F07の調整作業を承りました。
 ・DENON製ミニコンのチューナー部と思います。
 ・ハードオフのジャンクコーナーでよく見かけますね。
 ・特徴はFM受信帯域が108MHzまで対応していること。
 ・FM補完放送受信機として活用できます。

Utuf0703

■製品情報------------------------------------------------------------

 ・情報はほとんどありませんが、ネット検索で英語版取扱説明書を見つけました。
 ・時刻設定やタイマー設定の方法が分かります。

Utuf0702Utuf0705

【DENON PERSONAL COMPONENT SYSTEM D-F07】
 ・UPA-F07 プリメインアンプ
 ・UTU-F07 FM/AMチューナー
 ・UCD-F07 CDプレーヤー
 ・UDR-F07 カセットテープデッキ
  ※録音機器はカセットデッキ、つまりMD登場以前の古い機種です。

Denon_utuf07_spec

■動作確認------------------------------------------------------------

 ・AUTO選局では地元FM局の周波数で自動停止しない。
 ・マニュアル選局でも受信しない。
 ・AUTOを解除してマニュアル選局するとMONO音声で受信。
 ・STEREO受信できない。
 ・名古屋地区で放送中のFM補完放送もモノラルで受信。

 ・AMはループアンテナで受信OK。
 ・CBCラジオ受信時にSTEREOランプが点灯しない。
 ・AMステレオ対応機ではないのか? 感度が悪いだけか?

■内部確認+調整記録--------------------------------------------------

 ・MITSUMI製の小さなフロントエンドパック
 ・LA1267 FM/AM TUNER
 ・LA3410 VCO無調整 PLL MPX
 ・LM7000 PLLシンセサイザー

Utuf0711Utuf0712Utuf0713Utuf0714Utuf0715

 ・LA1267 15ピン=Sメーター電圧
 ・フロントエンドパック内IFTコア調整 → 電圧最大
 ・T101 FM同調点調整 TP001~TP002 電圧ゼロ
 ・T102 高調波歪調整
 ・VR101 ミューティング調整
 ・VR102 セパレーション調整

Utuf0716Utuf0717Utuf0718Utuf0719Utuf0720

 ・フロントエンド内のIFTコア調整で受信感度が大幅アップしました。
 ・FM同調点が大きくズレていました。
 ・セパレーションは30dB程度です。
 ・AMステレオ未対応機でした。

■時計設定------------------------------------------------------------

 ・CLOCK/DISPLAY 長押し 時刻設定モード
 ・「時」設定 TUNINGボタン ENT/NEXT 決定
 ・「分」設定 TUNINGボタン ENT/NEXT 決定

■試聴----------------------------------------------------------------

 ・FM/AMとも受信できるようになりました。
 ・名古屋地区で始まっているFM補完放送も受信できました。
 ・高性能とは言えませんがラジオ相当と思えば不満は無いです。

Utuf0730Utuf0731

KENWOOD KT-2020 修理調整記録2

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 ・2015年11月末、KT-2020の修理調整作業を承りました。
 ・今後も長く使えるように再調整を行いました。
 ・以下、作業内容のご報告です。

Kt202013

■製品情報------------------------------------------------------------

 ・オーディオの足跡 KENWOOD KT-2020 ¥74,800(1984年頃)
 ・輸出機 KENWOOD KT-990SD

Kt202002Kt202004_2

■動作確認------------------------------------------------------------

 ・とても状態の良い個体です。フロントパネル、ボディともキズは見当たりません。
 ・FMアンテナを接続して電源オン。
 ・表示管がキレイに点灯。文字欠け、文字痩せなし。
 ・オート選局、マニュアル選局とも周波数ズレなし。
 ・Tメーター、Sメーターのセグメント点灯。STEREOランプ点灯。
 ・WIDE/NARROW切替OK。REC CAL OK。メモリボタン動作OK。
 ・各種ボタン操作に軽快に反応する。切替動作正常。
 ・RFセレクターはDISTANCE限定。LOCALは選択できない。
 ・付属AMループアンテナでAM放送の受信確認。
 ・AM放送もオート選局、マニュアル選局とも正常に受信。
 ・スライドVR式のAM IF BAND切替も動作を確認。
 ・電源プラグを繋いだ状態で3日、抜いてから4日後でもメモリ保持していました。

Kt202007Kt202008Kt202009Kt202011Kt202012

■調整記録------------------------------------------------------------

 ・前回の記録に倣って作業しました。

Kt2020_align

【VT電圧】
 ・TP1~GND DC電圧計セット
 ・アンテナ入力なし
 ・76MHz →  L7調整 → 3.0V±0.1V ※実測 3.3V
 ・90MHz → TC5調整 →25.0V±0.1V ※実測25.7V
【検波調整】
 ・TP3~TP4 DC電圧計セット
 ・83MHz(無変調,80dB)受信 → L13調整 → 0.0V±10mV
 ・TP5~GND DC電圧計セット
 ・83MHz(無変調,80dB)受信 → L15調整 → 0.0V±10mV
【RF調整】
 ・R64右側端子 DC電圧計セット=Sメーター電圧
 ・76MHz(1kHz,100%変調,40dB)→ L1,L2,L3,L6調整 → 電圧最大
 ・90MHz(1kHz,100%変調,40dB)→ TC1~TC4調整 → 電圧最大
【IFT調整】
 ・R64右側端子 DC電圧計セット=Sメーター電圧
 ・83MHz(1kHz,100%変調,30dB)→ L5調整 → 電圧最大
【AUTO STOP=MUTING調整】
 ・83MHz(1kHz,100%変調,30dB)→ VR1調整
【TUNING METER調整】
 ・SELECTOR:MONO
 ・83MHz(1kHz,100%変調,80dB) → 上段基板VR2調整 → ※
  ※中央の縦白セグメント点灯、両側の赤縦セグメントの中点へ
【MPX VCO調整】
 ・TP16に周波数カウンタ接続
 ・83MHz(無変調,80dBf) → VR12調整 → 76.00kHz±50Hz
【SUB CARRIER調整(38kHz)】
 ・音声出力をWavespectraで観察
 ・83MHz(SUB信号,1kHz90%変調+19kHz10%変調,80dB)→ L27調整 → Lchレベル最大
【PILOT CANCEL調整】
 ・音声出力をWavespectraで観察
 ・83MHz(19kHz信号,10%変調,80dB)→ VR8調整 → 19kHz信号最小
 ・83MHz(19kHz信号,10%変調,80dB)→ L25調整 → 19kHz信号最小
 ・左右chのバランス確認
【歪調整1 DLLD】
 ・83MHz(MONO信号,1kHz,100%変調,80dB)→ VR2:DET調整 → 歪最小
【歪調整2 MONO】
 ・83MHz(MONO信号,1kHz,100%変調,80dB)→ VR3:MONO2調整 → 二次歪最小
【歪調整3 MONO】
 ・83MHz(MONO信号,1kHz,100%変調,80dB)→ VR6:MONO3調整 → 三次歪最小
【歪調整4 STEREO】
 ・83MHz(L/R信号,1kHz,90%変調+19kHz信号10%変調,80dB)→ VR5調整 → 歪最小
【歪調整5 STEREO】
 ・83MHz(SUB信号,1kHz,90%変調+19kHz信号10%変調,80dB)→ VR7調整 → 歪率最小
【歪調整6 NARROW】
 ・83MHz(MAIN信号,1kHz,90%変調+19kHz信号10%変調,80dB)→ VR4調整 → 歪率最小
【SEPARATION調整 WIDE】
 ・IF BAND:WIDE
 ・83MHz(R信号,1kHz,90%変調+19kHz信号10%変調,80dB)→ VR10調整 → L信号もれ最小
 ・83MHz(L信号,1kHz,90%変調+19kHz信号10%変調,80dB)→ VR11調整 → R信号もれ最小
【SEPARATION調整 NARROW】
 ・IF BAND:NARROW
 ・83MHz(1kHz,90%変調+19kHz信号10%変調,80dB)→ VR9調整 → 信号もれ最小
【DEVIATION調整】
 ・83MHz(mono信号,1kHz,100%変調,80dB)→ 上段基板VR1調整 → 100%位置
【AM簡易調整】
 ・ 729kHz NHK第一放送受信 → L22調整 → Sメーター最大
 ・1332kHz 東海ラジオ受信  → TC9調整 → Sメーター最大
 ・1053kHz CBCラジオ受信  → L24調整 → Sメーター最大

■試聴----------------------------------------------------------------

 ・幸運にも再調整だけで済みました。
 ・良い性能を取り戻したと思います。

Kt202014

AD DA-F9000 修理調整記録

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 ・2016年1月、DA-F9000の修理調整作業を承りました。
 ・DA-F9000は私自身も発売当時に購入し、留守録専用機として長く愛用した機種です。
 ・当時はマイナー機種でしたが、性能は最高だと思っていました。
 ・思い入れのある機種ですから何とか復活のお手伝いがしたい。

Daf900009

■製品情報------------------------------------------------------------

 ・オーディオ懐古録  A&D DA-F9000
 ・Hifi Engine AKAI AT-93 (1988)
 ・DA-F9000 取扱説明書
 ・A&D総合カタログ 1988年11月版

Daf900002Daf900011

■動作確認------------------------------------------------------------

 ・天板やサイドウッドに多少の擦り傷。でもフロントパネルはほぼ無傷です。
 ・FMアンテナを接続して電源オン。周波数表示が明るく点灯。
 ・オート選局で名古屋地区のFM放送局を受信しました。
 ・マニュアル選局でも受信OK。周波数ズレなし。
 ・STEREOランプ点灯。IF BAND切替OK。STEREO/MONO切替OK。アンテナ切替OK。
 ・REC CALトーンOK。
 ・AMは適当なループアンテナを接続して受信確認しました。
 ・名古屋地区のAM局を受信しました。
 ・FM/AMとも正常に動作することを確認しました。

Daf900003Daf900004Daf900005Daf900006Daf900007

 ・時々ノイズが発生するそうですが、、
 ・お預かりしてから約2週間、ほぼ毎日動作確認しましたがご指摘のノイズが確認できません?
 ・1週間放置した後、再び動作確認しましたが快調に動作しています。
 ・ご指摘のノイズは私の環境では再現しないようです?

Daf900016Daf900015Daf900012Daf900013Daf900014

■内部確認------------------------------------------------------------

【フロントエンド基板】
 ・VC1,VC3,VC4,VC5
 ・L1,L2,L4,L5,L6,L7
 ・T1
【メイン基板】
 ・LA1231N FM IF System
 ・TA7413AP PLL FM STEREO MULTIPLEXER
 ・LA1245 AM Tuner
 ・VR 1:FM SIGNAL INDICATOR LEVEL(NARROW)
 ・VR 2:FM SIGNAL INDICATOR LEVEL
 ・VR 3:TUNED NOISE
 ・VR 4:PHASE OF 19kHz
 ・VR 5:19kHz PILOT CANCEL
 ・VR 6:CHANNEL SEPARATION (WIDE)
 ・VR 7:CHANNEL SEPARATION (WIDE)
 ・VR 8:CHANNEL SEPARATION (NARROW)
 ・VR 9:DC BALANCE
 ・VR10:DC BALANCE
 ・VR11:FM SIGNAL INDICATOR LEVEL upper?
 ・VR12:FM SIGNAL INDICATOR LEVEL lower?
 ・VR13:AM SIGNAL INDICATOR LEVEL
 ・VR14:回路図、部品リストに記載なし
【電源電圧】
 ・+35V → 正常時 +31.6V
 ・+15V → 正常時 +14.8V
 ・+15V → 正常時 +14.5V
 ・-15V → 正常時 -14.5V
 ・ +5V → 正常時 +5.43V

Daf900020Daf900021Daf900022Daf900023Daf900024
Daf900025Daf900026Daf900027Daf900028Daf900029
Daf900030Daf900031Daf900032Daf900033Daf900035

■調整記録------------------------------------------------------------

【VT電圧】
 ・JW2~GND DC電圧計セット
 ・アンテナ入力なし
 ・76MHz →  L6調整 → 7.0V±0.1V ※実測7.13V
 ・90MHz → VC5調整 →23.0V±0.2V ※実測24.2V
【OSC BUFFER調整】
 ・TP1~GND オシロスコープセット
 ・76MHz →  L7調整 → 波形最大
 ・90MHz → VC6調整 → 波形最大
【RF調整】
 ・LA1231-13ピン DC電圧計セット
 ・76MHz(無変調,40dB)→ L1,L2,L4,L5調整 → 電圧最大
 ・90MHz(無変調,40dB)→ VC1,VC3,VC4調整 → 電圧最大
 ※L1,L2は調整難しいのでノータッチ
【IFT調整】
 ・LA1231-13ピン DC電圧計セット
 ・83MHz(無変調,40dB)→ T1(フロントエンド内)調整 → 電圧最大
【FM同調点調整】LA1231
 ・R43両端 DC電圧計セット
 ・83MHz(1kHz,70dB)受信 → T2調整 → 0.0V±50mV ※実測225mV
 ・TUNEインジケータ点灯を確認
【検波調整】
 ・R168前足~GND DC電圧計セット
 ・音声出力端子にWaveSpectra接続
 ・83MHz(1kHz,100%変調,70dB)受信 → T4調整 → 0.0V±50mV ※186mV
 ・83MHz(1kHz,100%変調,70dB)受信 → T3調整 → 歪み最小(0.08%以内)
【19kHz位相調整】
 ・IF=WIDE、BLEND=OFF
 ・音声出力をWavespectraで観察
 ・83MHz(1kHz SUB信号 70dB)受信 → VR4調整 → Lchレベル最大
【PILOT CANCEL調整】
 ・IF=WIDE、BLEND=OFF
 ・音声出力をWavespectraで観察
 ・83MHz(Piloto信号のみ)受信 → VR5調整 → 19kHz信号最小
 ・左右chのバランス確認
【歪調整 STEREO】
 ・IF=WIDE、BLEND=OFF
 ・音声出力をWavespectraで観察
 ・83MHz(1kHz,STEREO,70dB)→ T1,VC1調整 → 歪み最小 ※0.05%
 ※歪率が左右で大きく異なる場合は上記VR5調整をやり直す
 ※IF=NARROW で0.8%以下であることを確認 ※0.06%
【SEPARATION調整】WIDE
 ・IF=WIDE、BLEND=OFF
 ・音声出力をWavespectraで観察
 ・83MHz(R信号,80dB)→ VR6調整 → Lchもれ最小 ※実測68.8dB
 ・83MHz(L信号,80dB)→ VR7調整 → Rchもれ最小 ※実測69.5dB
 ※目標55dB以上
【SEPARATION調整】NARROW
 ・IF=NARROW、BLEND=OFF
 ・音声出力をWavespectraで観察
 ・83MHz(R,L信号,80dB)→ VR8調整 → 左右chもれ最小 ※実測65.5dB
 ※目標40dB以上
【SIGNALメーター調整】
 ・IF=WIDE、BLEND=OFF
 ・83MHz(STEREO,20dB)→ VR2調整 → LED(1番目)点灯
 ・LED(3番目)が点灯するまでSSGの出力を上げる
 ・SSG MONOモードに切り替える
 ・83MHz(MONO,60dB)→ VR11調整 → LED(5番目)点灯
 ・上記の状態でNARROW切り替え VR1調整 WIDE点灯時と同じ
【NOISE DETECTION LEVEL調整】
 ・TR11 コレクタ(R77後足)~GND DC電圧計セット
 ・83MHz(無変調,60dB)→ VR3調整 → 0.1V±0.05V
【DC BALANCE調整】
 ・左右出力端子にDC電圧計セット
 ・83MHz(STEREO,60dB)→ VR9調整 → Rch 1mV以下
 ・83MHz(STEREO,60dB)→ VR10調整 → Lch 1mV以下
【REC CAL】
 ・83MHz(STEREO,60dB)→ 出力レベル記録
 ・REC CAL オン → VR14調整 → 記録値-6dBにセット
 ※REC CALは国内機だけに搭載された機能。
 ※海外版回路図、パーツリスト、調整手順に記載なし。

●AM部
【OSC調整】
 ・R94後足~GND DC電圧計セット
 ・1602kHz → T7調整 → 20V±0.05V ※実測22.0V
 ・ 531kHz → 確認のみ ※実測1.57V
【RF調整】
 ・ 531kHz → T5調整 → シグナルメーター最大点灯
 ・1602kHz → VC3調整 → シグナルメーター最大点灯
【歪調整】
 ・999kHz → T9調整 → 歪み最小
【SIGNALメーター調整】
 ・VR13調整 → LED点灯 ※お好みで、、

Daf9000

■試聴----------------------------------------------------------------

 ・各部再調整の結果、とても良い性能を発揮していると思います。
 ・この状態で一旦お返ししますので、依頼者様の環境で再度ご確認願います。
 ・もしも不具合が再発する場合は再修理調整を承りますのでご一報ください。

Daf900008

PIONEER TX-100

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 ・2015年12月、またまたアンティークチューナーを入手しました。
 ・状態はかなり悪そう、、でも型番が示すように当時のラインナップ最上機です。
 ・こういう機種のメンテナンスをすることがとても楽しいです。

Tx10010

■製品情報------------------------------------------------------------

 ・オーディオの足跡 PIONEER TX-100 ¥60,000(1971年頃)
 ・Hifi Engine PIONEER TX-1000 (1972) ※回路図あり

Tx10002Tx10014

■動作確認------------------------------------------------------------

 ・経年のキズ、汚れ、シール痕が目立ちます。
 ・ただフロントパネルがほぼ無傷なのが救いです。
 ・残念な点は背面のAMバーアンテナの台座が破損していること。
 ・電源オン、二つのメーター照明点灯。周波数窓の中央部がやや暗い。
 ・指針の照明が点灯しないので電球切れかと思ったら、、
 ・実は先端だけがわずかに点灯していて、同調すると指針全体が点灯するタイプでした。
 ・-0.2MHzほどの周波数ズレがあるもののFM放送を受信しました。
 ・STEREOランプ点灯。MUTING動作OK。MUTINGレベルはフロントパネルのVRで可変。

Tx10003Tx10004Tx10006Tx10007Tx10012

 ・グラグラ状態の背面バーアンテナで名古屋地区のAM放送を受信できました。
 ・インジケータランプ点灯、Sメータ動作正常。
 ・OUTPUTつまみのガリはないが固定/可変ともRchの出力レベルが小さめ。
 ・問題点は照明電球切れとRchの出力レベルが小さいこと、です。

■内部確認------------------------------------------------------------

 ・PIONEER TX-90とよく似た感じ。
 ・機能ごとの基板が整然と並んだ分かり易い構造です。
 ・FM4連、AM3連の独立したバリコンが2基並んでいます。
 ・クリスタルフィルター → レシオ検波 → ディスクリートMPX

Tx10021Tx10022Tx10023Tx10024Tx10025
Tx10027Tx10028Tx10029Tx10030Tx10031
Tx10032Tx10033Tx10034Tx10035Tx10036
Tx10050Tx10051Tx10052Tx10053Tx10054

 ・W11-042 FM FRONTEND
 ・W12-033 FM IF UNIT
 ・W13-028 MPX UNIT
 ・W18-034 MUTING UNIT
 ・W28-005 HEADPHONE UNIT
 ・W14-016 AM TUNER UNIT
 ・W36-014 AF UNIT
 ・W16-034 POWER UNIT

■修理記録:照明窓電球交換--------------------------------------------

 ・周波数窓中央部が暗い原因はやはり電球切れでした。
 ・ヒューズ型電球 8V 0.3A 手持ちの中古電球に交換して完了。
 ・電球交換はフロントパネルを外して前面から行った方が簡単です。
 ・指針が移動するレールに軽く潤滑剤を塗っておきました。
 ・フロントパネルは分解清掃して輝きを取り戻しました。

Tx10040Tx10043Tx10041Tx10044Tx10046

■修理記録:Rchの出力レベルが小さい-----------------------------------

 ・FM/AMとも固定/可変出力のRchレベルが小さい。
 ・FM-IF基板の検波出力 → 正常
 ・マルチパスH端子出力 → 正常
 ・AF基板 Lch INPUT1○ → REC OUT6○ → OUTPUT2○
 ・AF基板 Rch INPUT2○ → REC OUT8× → OUTPUT12×
 ・不調原因は Q2 2SC871 の故障でした。
 ・代替品として 2SC1815 に交換してレベル差解消しました。※足の並びに注意!
 ・左右のバランスを保つためにLch側も交換しました。

Tx10060Tx10061

■修理予定:AMバーアンテナの台座-----------------------------------

 ・私の記録の中ではAMアンテナの同型品は同じTX-910、TX-8900のようです。
 ・いつか同型ジャンク品が入手できたらアンテナごと交換しましょう。

Tx10015Tx10016Tx10017Tx10018Tx10013

■調整記録------------------------------------------------------------

Pioneer_tx100

Tx1000_blockTx1000_fm_frontTx1000_fm_ifTx1000_mpxTx1000_af_headTx1000_mutingTx1000_am

 【フロントエンド】
 ・OSC調整 TCo、Lo
 ・RF調整 TC1,TC2,TC3 / L1,L2,L3
 【レシオ検波調整】
 ・何も受信しない状態でIF基板 T2上段コア調整 → Tメーター中央へ
 ・フロントエンドT1、IF基板T2下段コア → 高調波歪最小
 ・IF基板T1調整 → Sメーター最大振れ位置へ
 【MPX調整】
 ・L-R信号送信 → Lch出力最大へ
 ・VR1 → セパレーション調整
 【AM調整】
 ・OSC調整 T2,AM3
 ・RF調整 バーアンテナ,T1 AM1,AM2

■試聴----------------------------------------------------------------

 ・このノスタルジックな雰囲気がたまりません。
 ・ステレオ受信時の歪率0.1%、セパレーション約50dB。
 ・BGM用の試聴なら十分な性能を保っています。

Tx10011


Aurex ST-720

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 ・2016年1月、Aurex ST-720の調整作業を承りました。
 ・Aurexは東芝のオーディオブランドです。
 ・一見するとチューナーとは思えない独特な外観です。
 ・以下、作業内容のご報告です。

Aurex_st720_11

■製品情報------------------------------------------------------------

 ・オーディオの足跡 Aurex ST-720 \105,000(1975年頃)
 ・オーディオ懐古録 Aurex ST-720 \105,000

Aurex_st720_02Aurex_st720_21

St720book
 ・ラジオ技術 1976年1月号 東芝技術陣によるST-720の解説記事。
 ・地元の県立図書館でバックナンバーを閲覧してコピーしてきました。
 ・回路図などが見つからないので、この記事がとても参考になりました。

  ・1974 ST-910 280,000円 ※国産初のシンセチューナー
  ・1975 ST-720 105,000円 ※ピンボード・プリセット方式
  ・1976 ST-630  69,800円 ※マニュアル選局方法がST-720と同じ

■動作確認------------------------------------------------------------

 ・W450mm×D365mm×H148mm、重量8.3kg
 ・初めて実機を見ましたが、想像以上にビッグサイズでした。
 ・天板には目立つ擦り傷多数、ただ幸いにもフロントパネルはほぼ無傷。
 ・今まで見てきたシンセチューナーとは明らかに顔つき(操作方法)が違います。
 ・まず、どうやって操作するの??

【選局方法】
 ・フロントパネル中央部に選局ボタンが5個(CH1~CH5)縦に並んでいます。
 ・上から4個(CH1~CH4)はプリセット選局、一番下(CH5)のボタンがマニュアル選局です。

Aurex_st720_01

【マニュアル選局】
 ・このマニュアル選局の方法がマニアックで面白いです。
 ・本体下部に横一列に並ぶ小さなプッシュボタンで受信周波数を設定します。
 ・左から[80/70]、[8],[4],[2],[1]、[0.8],[0.4],[0.2],[0.1]
 ・例えば82.5MHzを受信するには[80]、[2]、[0.4],[0.1] を押し込んだ状態にします。
 ・同じAurex ST-630 のマニュアル選局も同じような構造でした。
 ・さすが、シンセチューナー黎明期の製品ですね。

Aurex_st720_03Aurex_st720_04Aurex_st720_10Aurex_st720_05Aurex_st720_08

【プリセット選局】※各部の名称は上記雑誌記事の記述に従っています。
 ・「ピンボード」を使って選局ボタン(CH1~CH4)に対応する周波数をセット。
 ・フロントパネルに並んだ「ピンボード収納ケース」を手前に引っ張って取り外す。
 ・収納ケースの左端を跳ね上げて中にセットされたピンボードを取り出す。
 ・マニュアル選局同様に、ピンボードのピンを折ることによって受信する周波数を設定。
 ・各収納ケースにそれぞれ2個のピンボードが入っていました。
 ・4段×各2個=合計8個のピンボードのうち、5個が未使用でした。
 ・受信周波数を設定したピンボードを収納ケースに納めてチューナー本体にセット。
 ・収納ケースをグッと押し込むだけです。
 ・放送局名や周波数を透明シートに印字して収納ケース前面に貼れば完璧です。

Aurex_st720_62Aurex_st720_63Aurex_st720_64Aurex_st720_65Aurex_st720_66
Aurex_st720_70Aurex_st720_71Aurex_st720_72Aurex_st720_73Aurex_st720_74
Aurex_st720_75Aurex_st720_76Aurex_st720_77Aurex_st720_78Aurex_st720_79

【動作確認】
 ・当初は周波数表示が壊れているかと思いましたが、、
 ・操作方法が理解できたところで再度動作確認して正常表示を確認しました。
 ・周波数表示は7セグメントのLEDです。
 ・マニュアル選局で名古屋地区のFM局を受信できました。
 ・STEREOランプ点灯、実際にステレオ感もあります。
 ・FM局が存在しない周波数ではエラーインジケーター[TUNING ERROR]が点灯します。
 ・モード切替OK、ハイブレンドスイッチたぶん効果あり。
 ・REC CALトーンOK。可変出力VRガリ無し。
 ・マルチパスH端子からも正常音声が聞こえます。
 ・どうやら基本動作はOKのようです。

Aurex_st720_06Aurex_st720_07Aurex_st720_09Aurex_st720_22Aurex_st720_23

■内部確認------------------------------------------------------------

 ・フロントエンド、チューナー基板、コントロール基板、電源基板が整然と並んでいます。
 ・5連構成フロントエンド。局発回路はもう一つのシールドケース内にありました。
 ・実質6連バリキャプ相当と言えるでしょうか。
 ・IF段(4極LCブロックフィルター×3段構成)→ レシオ検波 → LA3350(PLL-MPX IC)
 ・VR1:VCO調整 → TP19kHz
 ・VR2:セパレーション調整
 ・VR3:REC CALトーン調整

St720bd

Aurex_st720_30Aurex_st720_31Aurex_st720_32Aurex_st720_33Aurex_st720_34
Aurex_st720_35Aurex_st720_36Aurex_st720_37Aurex_st720_38Aurex_st720_39
Aurex_st720_40Aurex_st720_41Aurex_st720_42Aurex_st720_43Aurex_st720_44
Aurex_st720_45Aurex_st720_46Aurex_st720_47Aurex_st720_48Aurex_st720_49
Aurex_st720_50Aurex_st720_51Aurex_st720_52Aurex_st720_53Aurex_st720_55

■調整記録------------------------------------------------------------

【VT電圧】
 ・フロントエンド 黄色リード線にDC電圧計セット
 ・アンテナ入力なし
 ・76MHz → OSC L01 調整 → 確認のみ※実測 3.2V
 ・90MHz → OSC VD01調整 → 確認のみ※実測13.8V
【RF調整】
 ・Multipath V端子 DC電圧計セット
 ・76MHz(無変調,40dB)→ L01~L05調整 → 電圧最大
 ・90MHz(無変調,40dB)→ VD01~VD05調整 → 電圧最大
 ・83MHz(無変調,40dB)→ IT01調整 → 電圧最大
【レシオ検波調整】
 ・83MHz(1kHz,80dB)受信 → IFT02調整 → 0.0V
 ・83MHz(1kHz,80dB)受信 → IFT01調整 → 高調波歪最小
【MPX VCO調整】
 ・TPに周波数カウンタ接続
 ・83MHz(無変調,80dB) → VR01調整 → 19kHz
【SEPARATION調整】
 ・83MHz(R/L信号,80dB)→ VR02調整 → もれ信号最小
【HI BLEND】
 ・スイッチONで 6000Hz以上が緩やかに減衰することを確認。
【REC CAL調整】
 ・基準音539Hz
 ・本体スイッチ設定 50% → VR03調整 → -6dB設定
 ・本体スイッチ設定100% → 確認のみ → ±0dB

St720

■試聴----------------------------------------------------------------

 ・1975年製、シンセチューナー黎明期の貴重な機種です。
 ・ガチャン、ガチャン と選局するクラシカルな感じがイイですね。
 ・特別に高音質というわけではありませんが、でもFM放送を不満無く受信できます。
 ・歴史的な価値がありそうです。

Aurex_st720_12

DENON TU-850 修理調整記録2

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 ・2016年1月、ひどい雑音しか出ないTU-850の修理調整を承りました。
 ・症状を詳しく観察するとおよその故障箇所が推定できます。
 ・以下、作業の記録です。

Tu85009

■製品情報------------------------------------------------------------

 ・オーディオの足跡 DENON TU-850 ¥70,000円(1977年発売)
 ・Hifi Engine DENON TU-850 ※輸出機の取説、カタログあります。
 ・DENON TU-850 取扱説明書(日本語版)
  ※依頼者様からご提供いただきました。ブロック図が参考になりました。

Tu85001Tu85010

■動作確認------------------------------------------------------------

 ・フロントパネルに目立つキズは無く、状態はかなり良いです。
 ・ボディのキズも目立ちませんが経年の汚れ、というか全体に錆びている感じ。
 ・早速 FMアンテナを接続して症状を確認しました。
 ・電源オン。二つのメーター照明点灯。周波数窓の照明も点灯。
 ・IF BAND切替(wide/narrow)ポジションランプ(緑/赤)点灯。
 ・選局ツマミを回すとSメーター、TメーターはFM局付近で反応します。
 ・さらにTメーター中点付近では STEREOランプ(赤)が点灯。
 ・これらの動作はFM放送を正常に受信していることを示しています。
 ・マルチパス-H端子の出音を確認すると正常なFM音声が聴こえます。

Tu85003Tu85004Tu85005Tu85006Tu85007

 ・ところが音声端子から出てくる音は左右chともひどい雑音だけです。
 ・「バリバリッ、ガリガリッ」局間ノイズとは明らかに違います。
 ・オーディオ回路のトランジスタが壊れているような感じかも??
 ・よく聞くと、右chと左chではレベルの異なる別々の雑音が出ています。

Tu85002Tu85008Tu85011Tu85012Tu85013

【症状確認】
 ・wide/narrow共通の雑音
 ・固定/可変音声端子に共通する雑音
 ・可変端子のVRガリではない。
 ・SメーターとTメーターの振れ方は正常
 ・STEREOランプ正常点灯
 ・マルチパス-H端子の音声正常。
 ・Muting動作は正常。FM局を外れるとMutingが作動して無音になる。
 ・MPX回路、特にMPX-IC HA11223以降のオーディオ回路を調べてみます。

■内部確認------------------------------------------------------------

・FM専用5連バリコン+広帯域レシオ検波
 ・Wide系CF2個、Narrow系+CF3個
 ・HA1137 :ミューティングとメーター制御用
 ・HA11223:復調用IC

【IF部】
 ・VR1:WIDE/NARROWレベル調整 Sメーター振れ具合を同じに。
 ・VR2:ミューティングレベル調整
 ・VR3:検波出力レベル調整
 ・T2-bottom:Tメーター中点:HA1137クアドラチュア検波調整
 ・T2-top:高調波歪最小:HA1137クアドラチュア検波調整 
 ・T3-top:Tメーター中点:レシオ検波調整
 ・T3-bottom:高調波歪最小:レシオ検波調整 FIX端子で

Tu85020Tu85021Tu85022Tu85023Tu85024

【MPX部】
 ・VR1:VCO調整
 ・VR2:Pilotキャンセル
 ・VR3:METER SELECTER=level LEVELメーター(L)調整
 ・VR4:METER SELECTER=level LEVELメーター(R)調整
 ・VR5:METER SELECTER=power out VUメータ(L)調整
 ・VR6:METER SELECTER=power out VUメータ(R)調整
 ・VR7:Rec Leve調整l 400kHz、LEVELメーター→-6dB
 ・VR8:VCO調整
 ・VR9:VCO調整
 ・VR11:WIDE側セパレーション調整
 ・VR12:NARROW側セパレーション調整
 ・TP1:VCO 76kHz確認用
 ・TP2:HA11223-8ピン
 ・TP3:GND

Tu85026Tu85027Tu85028Tu85029Tu85030

■修理記録:雑音の原因を探す---------------------------------------

 ・Sメーター、Tメーター正常 → ○HA1137
 ・マルチパスH端子の音声正常 → ○レシオ検波回路
 ・HA11223-1ピン(電圧)→ ○12.2V
 ・HA11223の各足から音を拾って確認
 ・HA11223-2ピン(検波信号入力)→ ○ 音声正常
 ・HA11223-5ピン(復調後R信号)→ × ひどい雑音
 ・HA11223-6ピン(復調後L信号)→ × ひどい雑音
 ・HA11223-8ピン(STEREO INDICATOR)→ ○ 電圧正常

 ・どうやら復調用IC HA11223 内部の復調回路が故障しているようです。
 ・交換のため HA11223 を取り外して確認するとすべての足が真っ黒。
 ・HA11223 を HA11223Wに交換しました。

Tu85050Tu85051Tu85052Tu85053Tu85054

■修理記録:2SC1313交換----------------------------------------------

 ・前回のTU-850 1号機ではトランジスタ(2SC1313)の劣化が問題になりました。
 ・今回の基板を見ると、TR15とTR16が既に 2SC1815 に交換済みでした。
 ・もう一つの2SC1313(TR9)はフロントエンドユニットの下、1階のリレー横にあります。
 ・念のためこれも 2SC1815 に交換しておきました。

Tu85060Tu85061

■調整記録------------------------------------------------------------

 ・今回初めてTU-850海外版サービスマニュアルを入手しました。

Denon_tu850_bd

●フロントエンド
【OSC調整】
 ・76MHz 無変調 90dB → Lo 調整 → ダイヤル指針76MHz
 ・90MHz 無変調 90dB → TCo調整 → ダイヤル指針90MHz
【RF調整】
 ・76MHz 無変調 40dB → LA,LR1,LR2,LR3 調整 → Sメーター最大
 ・90MHz 無変調 40dB → TCA,TCR1,TCR2,TCR3調整 → Sメーター最大
【IFT調整】
 ・83MHz 1kHz,100%変調 → IFT調整 → Sメーター最大

●IF検波基板
【検波調整1】※HA1137W クアドラチュア検波
 ・IF BAND=NARROW
 ・83MHz 1kHz,100%,70dB → T2 下段コア調整 → Tメーター中点
 ・TP1 Wavespectra接続 波形確認
 ・83MHz 1kHz,100%,70dB → T2 上段コア調整 → 高調波最小
【検波調整2】※レシオ検波
 ・IF BAND=WIDE
 ・無信号 → T3上段コア調整 → TP間電圧 → 電圧ゼロ
 ・固定出力端子 Wavespectra接続 波形確認
 ・83MHz 1kHz,100%,70dB → T3下段コア調整 → 高調波最小
【WIDE/NARROWゲイン調整】
 ・IF BAND=WIDE
 ・83MHz 1kHz,100%,70dB → Sメーター振れ位置確認
 ・IF BAND=NARROW
 ・VR1調整 → Sメーター同じ振れ位置
【MUTING調整】
 ・83MHz 1kHz,100%,20dB → VR2調整 → MUTING作動
【OUTPUTレベル調整】
 ・固定出力端子に電圧計接続
 ・83MHz 1kHz,100%,60dB → VR3調整 → 1.6V

●MPX基板
【VCOフリーラン周波数調整1】
 ・IF BAND=WIDE
 ・TP1~TP3(GND)周波数カウンタ接続
 ・HA11223 8ピン~9ピン短絡
 ・無信号 → VR8調整 → 76kHz±20Hz
 ・無信号 → VR1調整 → 76kHz±20Hz
【VCOフリーラン周波数調整2】
 ・IF BAND=WIDE
 ・TP1~TP3(GND)周波数カウンタ接続
 ・TP2~TP3短絡
 ・無信号 → VR9調整 → 76kHz±20Hz
【パイロット信号キャンセル調整】
 ・IF BAND=WIDE
 ・オーディオ出力をWavespectraで観測
 ・83MHz パイロット信号 60dB 受信 → VR2調整 → 19kHz最小
 ・左右バランスに注意
【セパレーション調整】
 ・Wavespectra接続 波形確認
 ・IF BAND=WIDE
 ・83MHz ST 1KHz 80dB 受信 → VR11調整 → 漏れ信号最小
 ・IF BAND=NARROW
 ・83MHz ST 1KHz 80dB 受信 → VR12調整 → 漏れ信号最小
【STEREO歪調整】
 ・Wavespectra接続 波形確認
 ・IF BAND=WIDE
  ・83MHz ST 1KHz 80dB 受信 → フロントエンド内IFT調整 → 高調波歪最小
  ・IF BAND=NARROW
  ・83MHz ST 1KHz 80dB 受信 → IF基板 T1調整 → 高調波歪最小
 ・IF BAND=NARROW
  ・TP1 Wavespectra接続 波形確認
  ・83MHz 1kHz,100%,70dB → T1調整 → 高調波歪最小
【メーター調整1】チューナーレベル
 ・83MHz ST 1KHz 80dB 受信 → VR3,VR4調整 → L/Rメーター → 0dB
【メーター調整2】オーディオレベル
 ・背面端子にオーディオ発振器接続
 ・1kHz、2.45V → VR5,VR6調整 → L/Rメーター → 0dB
【メーター調整3】REC CALレベル
 ・REC CAL on  → VR7調整 → L/Rメーター → -6dBdB

■修理記録:別の雑音確認------------------------------------------------

 ・HA11223交換によって当初の雑音問題は解消しました。
 ・ところが上記調整を済ませたところ、別の雑音が発生していました。
 ・不定期に「ザザッ」という雑音が混じります。
 ・TP-VCOで観測される76kHzが雑音とともに大きく乱れていました。
 ・不定期に左右両ch同時発生なので、19kHz信号の乱れが怪しいか?
 ・VCO周り、パイロットキャンセル周りの電解コンデンサ交換。
 ・C4,C14,C15 10uF/16V、C8 3.3uF/50V、C10,C50 0.47uF/50V
 ・しかし改善せず。
 ・最終的にTR21 2SC1345 を 2SC1815 に交換して雑音が収まりました。

Tu85055Tu85056Tu85057Tu85058

■試聴----------------------------------------------------------------

 ・最後にフロントパネルを分解してガラス窓の内側まで磨いておきました。
 ・独特の雰囲気、というか存在感がありますね。
 ・巨艦サイズなので設置場所に苦労しそうですが、雰囲気は最高です。

Tu85008_2

YAMAHA TX-2000

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 ・2015年12月末、YAMAHA TX-2000の調整作業を承りました。
 ・TX-2000は1台所有していますが調整記録を残していませんでした。
 ・今回はキチンと記録を残すことも目的として作業を進めました。

Tx200003_2

■製品情報------------------------------------------------------------

 ・オーディオの足跡 YAMAHA TX-2000 ¥100,000(1988年発売)
 ・Hifi Engine YAMAHA TX-2000 ※海外版サービスマニュアルあり

Tx200002Tx200012

特長~取扱説明書から抜粋~

●高性能FMチューナー部
フロントエンドは高感度MOS FETを採用したRF増幅段、高SN比・高耐圧のツインバラクターダイオード採用の同調段、妨害特性に優れたデュアルゲートMOS FET採用のミキサー段で構成。IF段は電波の状態に応じて選択できるNARROW、WIDEの2モードを採用。MPX段には妨害ノイズを効果的にカットする新タイプのMPX回路の採用に加え、パイロットピュアキャンセラー回路を内蔵。本機は高感度・低歪率・高選択度を実現するとともに、高い信頼性を獲得しました。
●高性能AMチューナー部
2連バラクターダイオード、非同調高利得RFカスコード増幅段、二重平衡型作動ミキサーを装備したRF段。IF同調コイルと高選択度セラミックフィルター使用のIF段、低歪率ディスクリミネータで構成されるAMチューナー部は電界性雑音に強いローインピーダンスアンテナとともにAM放送を高感度・高忠実度で安定に受信します。
●マルチチューニングシステム
オート、マニュアル、ファインチューニングに加え、本機はFM/AM放送局をランダムに24局までメモリーし、プリセットキーを押すだけで選局することのできるプリセット選局機能を装備、正確で操作性の良いチューニングができます。
●CSL(コンピューターサーボロック)チューニング
PLLモードとFMサーボモードの2種類のチューニングモードをマイコンが信号の状態に応じて制御、正確で歪みの少ないFM受信をすることができます。
●マルチステイタスメモリー
プリセットメモリーは周波数と同時に、プリセット時に設定していた受信状態をすべてメモリーします。また自由に編集できるステーションコールサインメモリー機能も装備しました。
●リモコン標準装備
付属のリモコンを使用しますと、リスニングポジションを離れることなくプリセット選局をすることができます。

Tx200001Tx200006Tx200007Tx200008Tx200011

■動作確認------------------------------------------------------------

【依頼者様からお聞きした症状】
 ・他のチューナーと比較して受信感度が低い。
 ・同調する周波数が日によって変動することが多い。

【確認事項】
FM部
 ・本体はとても綺麗でサイドウッドはツルピカ、うっとりする美しさです。
 ・電源オン。オレンジ色の表示点灯。輝度劣化もなく眩しいほど輝いています。
 ・FMアンテナ端子はF型でA/B 2系統。同軸ケーブルを接続して受信確認。
 ・オート選局、マニュアル選局で名古屋地区のFM局を正常に受信できました。
 ・受信周波数にズレはありませんが、受信時の挙動から同調点ズレの気配を感じます。
 ・例えばNHK-FM(82.5MHz)の場合、82.4MHzで一旦停止してから躊躇うように82.5MHzになる。
 ・ファインチューニングにすると、82.5MHzに対して82.42MHz辺りでSメータ最大となる。
 ・IF MODE切替をAUTOにするとすべての局で NARROW 受信になる。

 ・翌日電源を入れてメモリ保持状態を確認したところ、、
 ・登録した周波数は記憶されていましたが、なぜかその周波数ではFM放送受信不可。
 ・マニュアル選局で周波数を少しずらしてみると82.5MHzのNHK-FMが82.3MHzで受信。
 ・オート選局を試してみると 82.3MHzでピタッと止まります。
 ・「周波数が日によって変動する、、」という現象の意味が分かりました。

AM部
 ・立派なスタンド型AMループアンテナが同梱されていました。
 ・取扱説明書に掲載されているイラストと同じ形なので純正付属品だと思います。
 ・「電界性雑音に強いローインピーダンスアンテナ」と解説されています。
 ・このアンテナを接続してAMの受信確認。
 ・名古屋地区のAM放送局をオート選局で正常受信しました。
 ・シグナルメーターはどの局も振り切れます。
 ・AM部は問題なさそうです。

ワイヤレスリモコン RS-TX2000
 ・単三電池2本セットして動作確認。
 ・プリセットしたメモリー24局を選局できる機能があります。
 ・というか、メモリ選局しかできないリモコンです。

Tx200013Tx200020Tx200021Tx200023Tx200024

■内部確認------------------------------------------------------------

 ・サイドウッドの側面には固定用のネジ穴がありません。
 ・サイドウッドとボディは連結され、底面と後面のネジで本体に固定されていました。
 ・シャーシは分厚い銅板製、大きな電源トランス、フロントエンドのシールドケースも銅製。
 ・さすが高級機ですね。豪華な造りになっています。
 ・フロントエンドは5連バリキャップ → WIDE/NARROW 2系統IF段 → レシオ検波

 ・LA1266:FM/AM一体型IF SYSTEM
 ・LA3433:PLL MPX IC
 ・VR 1:IF WIDE STEREO歪調整
 ・VR 2:IF WIDE STEREO歪調整
 ・VR 3:IF NARROW STEREO歪調整
 ・VR 4:IF NARROW STEREO歪調整
 ・VR 5:IF NARROW STEREO歪調整
 ・VR 6:IF NARROW STEREO歪調整
 ・VR 7:IF WIDE STEREO歪調整
 ・VR 8:IF WIDE STEREO歪調整
 ・VR 9:IF MONO歪調整
 ・VR10:S-Meter調整
 ・VR11:NARROWセパレーション調整 L→R
 ・VR12:NARROWセパレーション調整 R→L
 ・VR13:WIDEセパレーション調整 L→R
 ・VR14:WIDEセパレーション調整 R→L
 ・VR15:PILOT CANCEL調整
 ・VR17:IF OFFSET調整

 ・T 7:レシオ検波
 ・T 6:IF WIDE STEREO歪調整
 ・T13:IF WIDE STEREO歪調整
 ・T10:PLL入力位相調整
 ・T12:PLL入力位相調整
 ・T11:PILOT CANCEL調整

Tx200030Tx200031Tx200032Tx200034Tx200033
Tx200035Tx200036Tx200037Tx200038Tx200039
Tx200040Tx200041Tx200042Tx200043Tx200044
Tx200045Tx200046Tx200047Tx200048Tx200049
Tx200050Tx200051Tx200052Tx200053Tx200054
Tx200055Tx200056Tx200057Tx200058Tx200060

■調整記録------------------------------------------------------------

 ・同調ズレがありそうなのでまずは一通りの調整作業を行いました。
 ・海外版サービスマニュアルを一部アレンジ。

【本体設定】
 ・電源投入から5分以上経過していること
 ・OSCコイル、IFTの調整には金属製ドライバーは使用しないこと
 ・まずFMセクションを調整し、次にAMセクションを調整すること
 ・MODE:AUTO ST
 ・BLEND:OFF
 ・IF MODE:NARROW
 ・RF ATT:OFF
 ・FINE TUNING ON → すなわちCSL停止状態
 ・オーディオ出力をWaveSpectra接続
【電圧確認】
 ・+30 → +29V±1V → ※実測+28.6V
 ・+12 → +12.5V±0.5V → ※実測+12.3V
 ・-12 → -12.5V±0.5V → ※実測-12.2V
 ・+ 6 → + 6V±0.5V ※実測+6.2V
【VT電圧確認】
 ・L17の足に DC電圧計接続
 ・受信周波数 90MHz → T8調整 → 25.7V
 ・受信周波数 76MHz → 7.2V ※確認のみ
【FMフロントエンド調整】
 ・VR10の足 DC電圧計セット
 ・77.00MHz(SSG) 無変調 60dB受信 → FINE TUNING 電圧最大となる周波数を探す
 ・77.07MHz(TX2000)にて電圧最大
 ・この状態で T1,T2,T3,T4調整 → 電圧最大
 ・89.00MHz(SSG) 無変調 60dB受信 → FINE TUNING 電圧最大となる周波数を探す
 ・89.08MHz(TX2000)にて電圧最大
 ・この状態で VC1,VC2,VC3,VC4調整 → 電圧最大
【レシオ検波調整】
 ・VR10の足 DC電圧計セット
 ・83.00MHz(SSG) 70dB 無変調 →  FINE TUNING 電圧最大となる周波数を探す
 ・83.07MHz(TX2000)にて電圧最大
 ・基板上のFM S端子~GND間にDC電圧計セット
 ・83.07MHz(TX2000)位置で受信した状態 → T7調整 → 電圧ゼロ
 ※以下、信号発生器 83.00MHz送信 → TX2000 83.07MHz受信
【モノラル歪調整】
 ・83.07MHz(TX2000) 70dB 1kHz 100%変調 → VC5,VR9調整 → Mono歪最小
【PLL入力位相調整】
 ・83.07MHz(TX2000) 70dB 1kHz STEREO(L-R) → T10,T12調整 → Lch出力最大
【ステレオ歪調整】NARROW
 ・83.07MHz(TX2000) 70dB 1kHz STEREO(L-R) → VR3,4,5,6調整 → STEREO歪最小
【ステレオ歪調整】WIDE
 ・IF MODE:WIDE
 ・83.07MHz(TX2000) 70dB 1kHz STEREO(L-R) → T5,6,13,VR1,2,7,8調整 → STEREO歪最小
【セパレーション調整】WIDE
 ・IF MODE:WIDE
 ・83.07MHz(TX2000) 70dB 1kHz STEREO → VR13調整 → L→R漏れ信号最小
 ・83.07MHz(TX2000) 70dB 1kHz STEREO → VR14調整 → R→L漏れ信号最小
【セパレーション調整】NARROW
 ・IF MODE:NARROW
 ・83.07MHz(TX2000) 70dB 1kHz STEREO → VR11調整 → L→R漏れ信号最小
 ・83.07MHz(TX2000) 70dB 1kHz STEREO → VR12調整 → R→L漏れ信号最小
【パイロット信号キャンセル調整】WIDE
 ・83.07MHz(TX2000) 70dB 1kHz STEREO → VR15,T11調整 → 19kHz成分最小
 ・左右chのバランスに注意
【シグナルメーター調整】WIDE
 ・83.07MHz(TX2000) 80dB 1kHz STEREO → VR10調整 → レベルメーター全点灯
【ブレンドチェック】WIDE
 ・83.07MHz(TX2000) 70dB 1kHz STEREO → 受信中にBLENDスイッチON
 ・セパレーション値が左右とも悪化することを確認
【IF オフセット調整】
 ・FINE TUNING OFF → すなわちCSL受信状態
 ・D4~K3を短絡
 ・83.07MHzの表示が「30.7」という表示に変わる。
 ・VR17調整 → 周波数表示を微調整
 ・「30.7」→「30.0」と表示されるように調整
 ・調整後はD4~K3を開放
 ※D4~K3を短絡すると登録したメモリー内容がリセットされる

Tx200080Tx200081Tx200082

AM部
 ・付属AMループアンテナ接続
【VT電圧確認】
 ・ 522kHz受信 → L17電圧=23.1V ※確認のみ
 ・1620kHz受信 → L17電圧=3.5V ※確認のみ
【RF、IF調整】
 ・1053kHz受信(名古屋CBCラジオ)→ RFコイル調整 → Sメーター最大
 ・1053kHz受信(名古屋CBCラジオ)→ T9調整 → Sメーター最大

Yamaha_tx2000

■動作確認------------------------------------------------------------

 ・上記の通り、海外版サービスマニュアルに基づいて各部調整しました。
 ・フロントエンドのRF調整で受信感度が大幅に向上しました。
 ・レベルメーターはほぼ最大値まで点灯します。
 ・レシオ検波調整やIF歪調整で歪率も大幅に改善しました。
 ・セパレーションは左右とも60dB程度確保できました。
 ・とても良い性能を示しています。
 ・付属AMループアンテナはとても高感度でAM放送を強力に受信します。

 ・ところが、、
 ・受信性能は良いのですが、やはり動作に問題ありでした。
 ・正常に調整を終えた後、電源オフ。
 ・2日後に再び電源を入れると受信周波数が-0.2MHzズレます。
 ・例えば名古屋のNHK-FM(82.5MHz)の場合、82.3MHzで受信します。
 ・ズレた周波数でも受信感度や音質は調整後の正常な値を示します。
 ・他のFM放送局も同様に-0.2MHzの周波数で受信します。
 ・この状態で電源オフ。
 ・すぐに電源再投入すると、今度は正常な82.5MHzで受信します。
 ・他の放送局も本来の周波数で受信します。
 ・正常状態で電源を切ってすぐに再投入しても正常です。

 ・少し時間をおいて電源を入れると再び0.2MHzズレます。
 ・この場合は再々度の電源再投入で正常に戻ります。
 ・AMは常に正常で周波数ズレありません。FMだけの問題です。

■修理記録:周波数ズレ----------------------------------------------

 ・不具合発生時もFM同調点は正常、電源電圧も正常です。
 ・正常時と不調時で各部電圧測定しながら詳細に比較したところVT電圧に差異発見。
  ・VT電圧(正常時)82.5MHz(12.03V)
  ・VT電圧(不調時)82.3MHz(12.03V)
 ・不調時のVT電圧は全域で正常時よりも僅か(0.2V程度)に高い状態でした。
 ・電源を再投入すると正常時のVT電圧になります。

 ・IC12(LC7210)周りの電解コンデンサが怪しいか?
 ・試しにC168(1uF/50V)、C169(10uF/16V) を交換してみました。
 ・3日間放置後に電源を入れたところ、正常な周波数で起動しました。
 ・その後のテストでも周波数表示の不具合は発生しなくなりました。
 ・不具合との因果関係はよくわかりませんが? とりあえず結果オーライです。

Tx200090Tx200092Tx200093Tx200094Tx200095

■修理記録:フロントエンド FET交換、トリマコンデンサ交換-------------

 ・次なる不具合は、、
 ・しばらく受信しているとSメーター表示が大きく変動するようです。
 ・IF MODE = NARROW / WIDW ともに共通する症状です。
 ・このとき、LA1266-16ピン(Sメーター駆動電圧)電圧が大きく変動しています。
 ・ということはフロントエンド内のFET劣化か?
 ・回路図確認 Q1,Q2 = 3SK101 → これを 3SK74 交換
 ・ついでにRF調整で敏感な反応をしていた VC4(10PF)を新品に交換。
 ・Sメーターの変動が安定しました。

Tx200033_2Tx200035_2Tx2000100Tx2000101Tx2000102
Tx2000103Tx2000104Tx2000105Tx2000110Tx2000111

■試聴----------------------------------------------------------------

 ・受信性能、各種測定値はとても良い性能を示しています。
 ・さらに輝くフロントパネル、ツルピカのサイドウッド、眩いオレンジ照明。
 ・YAMAHAらしい洗練されたデザインで、所有する喜びを感じます。
 ・私自身も大切に残しておきたいチューナーの一台です。

Tx200005

Victor FX-711 修理調整記録2

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 ・2016年1月、Victor FX-711の故障品2台セットが届きました。
 ・最悪の場合はニコイチで、とも思いましたが幸い2台とも復活しました。
 ・以下、作業記録です。

Fx71101

■製品情報------------------------------------------------------------

 ・オーディオの足跡 VICTOR FX-711 ¥49,800(1987年頃)
 ・オーディオ懐古録 Victor FX-711 ¥49,800
 ・Hifi Engine JVC FX-1100 サービスマニュアル、回路図あり
 ・FX-711 取扱説明書 PDF形式

Fx71103

■動作確認------------------------------------------------------------

【1号機】フロントパネルにシールあり
 ・ひどいヤニ汚れ。ボディには細かい擦り傷多数。
 ・電源投入OK、表示管点灯、周波数表示OK。
 ・ところが STEREO/MONOともに全く入感しません。
 ・電界強度表示は 0dB を示すだけです。

Fx711101Fx711103Fx711105Fx711106Fx711107

【2号機】フロントパネルにシールなし
 ・ヤニ汚れは無いものの、ボディには細かい擦り傷多数。
 ・電源投入OK、表示管点灯。周波数表示OK。
 ・オート選局で名古屋地区のFM放送局を受信しました。
 ・アンテナA/B切替、RF切替、IF BAND切替、MUTING、REC CAL音など動作OK。
 ・STEREOランプ点灯。
 ・電界強度表示は100dB~120dBと実際より相当高い値を示します。
 ・手元にあった適当なループアンテナでAM受信確認。
 ・名古屋地区のAM放送局を受信しました。
 ・ただ1000kHz以上の放送局の受信感度が悪いようです。

Fx711201Fx711203Fx711108Fx711205Fx711206

■1号機:修理記録:電源----------------------------------------------

 ・まずは1号機の電源周りを調査しました。
 ・電源基板から出ている電圧は正常ですが、メイン基板Q3エミッタ電圧がおかしい。

【メイン基板 電源部】
 ・Q801エミッタ電圧(+30V):+28.5V
 ・Q803エミッタ電圧(+12V):+1.5V →R817交換→ +11.8V
 ・Q805エミッタ電圧(+ 5V):+ 5.1V
 ・Q808エミッタ電圧(-12V):-12.8V

 ・周囲を調べてみると Q802(2SC458)の電圧がおかしい。
 ・Q802を 2SC1815 に交換 → 変化なし
 ・不具合の原因はヒューズ抵抗 R817 4.7Ω の断線でした。
 ・R817 を外して見ると黒く焼け焦げた跡があります。
 ・これを交換したところ、電界強度表示が出現、FM放送を受信できるようになりました。

Fx711120Fx711121Fx711125Fx711126

■1号機:再び動作確認--------------------------------------------------------

 ・電界強度表示が現れてFM放送を受信できるようになりました。
 ・ただしモノラル受信だけ可能で、STEREO受信では全く音が出ません。
 ・モノラル受信=MUTINGオフの状態
 ・電界強度表示は60dB辺りを示すのに音が出ない、、
 ・動作を見ているとどうやらMUTINGが効いている感じ?
 ・同調点検出がズレているため MUTINGが解除できないのか?

■1号機:修理記録:FM同調点------------------------------------------

・まずは過去の事例に倣って一通り受信調整してみました。
・すると、
【FM同調点調整】
 ・TP103 DC電圧計セット
 ・83MHz 1kHz 100%変調 70dB → T206調整 → 0V±1.5mV
 ・この電圧が最小でも100mV前後。0Vに合わせられません。

 ・どうやら T206内部のコンデンサ容量抜けのようです。
 ・回路図で確認、R667に並列に22pF温度補償型コンデンサをハンダ面に外付け。
 ・これでTP103電圧をゼロに設定できました。
 ・上記調整でFM同調点が決まった途端、STEREO受信できるようになりました。
 ・やはり同調点ズレのため受信したと判定できず、MUTINGが解除できなかったわけです。
 ・あとは再調整で直りそうです。

Fx711130Fx711131Fx711132Fx711140Fx1100bk_la1266

■1号機:調整記録-----------------------------------------------------

 ・英文サービスマニュアルの調整方法を一部アレンジして調整しました。
 ・フロントパネルスイッチ設定
 ・RF MODE=DX
 ・IF BAND=WIDE
 ・MUTING=OFF

Fx711algn

●FM部
【VT電圧】
 ・TP101 DC電圧計セット
 ・受信周波数 76MHz → L151調整 → 7.5V±0.1V
 ・受信周波数 90MHz → TC105調整 → 22.0V±0.1V
 ・上記作業を数回繰り返す
【RFトラッキング調整】
 ・76MHz 1kHz 100%変調 40dB → L103,L104,L105,L106調整 → dB表示最大
 ・90MHz 1kHz 100%変調 40dB → TC101,TC102,TC103,TC104調整 → dB表示最大
 ・上記作業を数回繰り返す
【IFT調整】
 ・83MHz 1kHz 100%変調 40dB → T101調整 → dB表示最大
【PLL検波 VCO調整】
 ・TP104 周波数カウンタ接続
 ・受信バンド切替 → AM
 ・何も受信しない状態 → T208粗調整 → 10.7MHz±0.01MHz
 ・何も受信しない状態 → T208微調整 → 10.7MHz±0.01MHz
 ・受信バンド切替 → FMに戻す
【FM dB表示調整】
 ・83MHz 1kHz 100%変調 70dB → VR602調整 → 表示74dB
 ・83MHz 1kHz 100%変調 30dB → VR601調整 → 表示24dB
 ・上記作業を数回繰り返す
【モノラル歪調整:WIDE】
 ・IF BAND=WIDE
 ・音声出力をWaveSpectra接続
 ・83MHz 1kHz 100%変調 70dB → T204(黒)調整 → モノラル歪最小
【ステレオ歪調整:WIDE】
 ・IF BAND=WIDE
 ・音声出力をWaveSpectra接続
 ・83MHz 1kHz stereo変調 70dB → T202(黒)調整 → ステレオ歪最小
 ・QSCインジケーターが点灯していないことを確認
【ステレオ歪調整:NARROW】
 ・IF BAND=NARROW
 ・音声出力をWaveSpectra接続
 ・83MHz 1kHz stereo変調 70dB → T201(黒)調整 → ステレオ歪最小
 ・QSCインジケーターが点灯していないことを確認
【FM同調点調整】
 ・IF BAND=NARROW
 ・TP103 DC電圧計セット
 ・83MHz 1kHz 100%変調 70dB → T206調整 → 0V±1.5mV
【MUTINGレベル調整】
 ・MUTING=ON
 ・83MHz 1kHz 100%変調 20dB → VR604調整 → MUTING作動確認
【セパレーション調整】
 ・IF BAND=WIDE
 ・音声出力をWaveSpectra接続
 ・83MHz 1kHz STEREO変調 70dB → VR401調整 → Rch > Lchもれ最小
 ・83MHz 1kHz STEREO変調 70dB → VR402調整 → Lch > Rchもれ最小
 ・QSCインジケーターが点灯していないことを確認
【パイロット信号キャンセル調整】
 ・音声出力をWaveSpectra接続
 ・83MHz 1kHz STEREO変調 70dB → VR403調整 → 19kHzもれ最小
 ・左右chのバランスに注意
【REC CAL調整】
 ・83MHz 1kHz STEREO変調 70dB → 通常受信で出力レベル記録
 ・83MHz 1kHz STEREO変調 70dB → VR404調整 → 上記記録-6dBに設定
 ・TONE 427Hz

●AM部
【VT電圧】
 ・TP102 DC電圧計セット
 ・受信周波数 522kHz → L302調整 → 1.8V±0.1V
 ・受信周波数1629kHz → TC302調整 → 22.0V±0.1V
 ・上記作業を数回繰り返す
【トラッキング調整】
 ・ 729kHz(NHK第一)受信 → L301調整 → 感度最大
 ・1332kHz(東海ラジオ)受信 → TC301調整 → 感度最大
 ・上記作業を数回繰り返す
【AM dB表示調整】
 ・999kHz 90dB送信 → VR603調整 → ※AMのdB値は適当です。

■2号機:修理記録 高い周波数のAM局の受信感度が悪い

 ・TC301,TC302 トリマコンデンサ(20pF)を交換交換しました。
 ・交換後にAM部の調整をやり直しました。
 ・たぶん大丈夫だと思います。

Fx711230Fx711240Fx711241

■1号機、2号機:修理記録 キャパシタ交換------------------------------

 ・1号機、2号機とも登録したメモリ内容がすぐに消えてしまいます。
 ・フロントパネル内側基板にある電気二層コンデンサを交換しました。
 ・C703 0.047uF/5.5V → 0.1uF/5.5V
 ・電源プラグを抜いて1週間後もメモリ内容を保持していました。

Fx711141Fx711142Fx711143Fx711144

■追記:タクトスイッチ------------------------------------------------

 ・フロントパネルのスイッチのうち、反応の鈍いものがいくつかあります。
 ・パネルを外してみると、タクトスイッチ(6mm角 ボタン高6mm)合計32個ありました。
 ・本来はタクトスイッチ全数交換がベストですが、ちょっと数が多過ぎて、、、
 ・何度もON/OFFを繰り返すうちに反応するようになったので、
 ・今回は交換は見送りました。

Fx711220Fx711224Fx711225Fx711226

■試聴-------------------------------------------------------------

 ・1号機はちょっと手間がかかりましたがどちらも復活しました。
 ・両機とも良い性能を取り戻したと思います。

Fx71104

TRIO KT-7700 修理調整記録2

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 ・外観がとても綺麗なKT-7700の調整作業をお引き受けしました。
 ・今回は調整記録をキッチリ残そうと思って作業しました。
 ・以下、その記録です。

Kt770009

■製品情報------------------------------------------------------------

 ・オーディオ懐古録 TRIO KT-7700 ¥78,000(1976年)
 ・TRIO KT-7700/KT-7500 カタログ 1976年5月版
 ・Hifi Engine KENWOOD KT-8300 ※輸出機 型番注意!

Kt770001Kt770003Kt770004Kt770005Kt770007

■動作確認------------------------------------------------------------

 ・外観はとてもキレイな個体で目立つキズはほとんどない。
 ・FM同軸アンテナを接続して電源オン。
 ・周波数窓と3つのメーターを照らすオレンジ色の照明が点灯。電球切れ無し。
 ・地元のFM放送局をすべて受信OK。+0.1MHz程度のわずかな周波数ズレ。
 ・ただTメーター中点とSメーター最大点が微妙に一致しない。
 ・STEREOランプ点灯。
 ・IF BAND切替でNARROW時のインジケーター(赤色LED)が点灯しない。
 ・MPX FILTERオン時のインジケーター(赤色LED)が点灯しない。
 ・MUTING動作OK。可変出力VRに多少のガリ。
 ・MULTIPATH H出力から音声確認。
 ・ステレオ放送受信時、WIDE/NARROWともLchの音量がやや小さい。
 ・さらにLchだけに常時小さな雑音が入っている。
 ・NARROW時はさらに音質が劣化している感じ。

Kt770020Kt770021Kt770022Kt770023Kt770024
Kt770025Kt770026Kt770027Kt770028Kt770029
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■修理記録:左右chの音量差--------------------------------------------

 ・まずは後述の調整作業を一通り行いました。
 ・調整によって受信性能は格段に向上しました。
 ・ただ、Lchの音量がやや小さい、Lchだけ雑音が混入する。
 ・故障個所を探して音声出力端子から溯ってMPX回路の各部確認。
 ・IC13 JRC4558TC出力 1ピン(Rch)と7ピン(Lch)電圧が異なる。
 ・IC13 JRC4558TC入力 3ピン(Rch)と5ピン(Lch)電圧は同じ。
 ・カンタイプの4558をゲジゲジ虫の4558に交換。
 ・ピンポン!これで左右の音量差は解消しました。
 ・ただ、Lch側のノイズは解消しない。

Kt770065Kt770062_2Kt770063Kt770064

■修理記録:ノイズ源捜索----------------------------------------------

 ・ノイズ源を探してさらに回路図を溯る。
 ・16kHzフィルターに入る直前のQ29,Q30 ベース電圧が異なる。
 ・IC21 HA1156出力 4ピン(Rch)と5ピン(Lch)電圧は同じ。
 ・ということはノイズ源として怪しいのはQ26かQ28。
 ・どちらも2SC1345だったのでこれを2SC1815に交換。※足の配列に注意。
 ・正解でした。Lchの不快なノイズが無くなりました。
 ・この後、左右のバランスを保つためにRch側のQ22,Q24も交換。
 ・ついでに左右の音声信号が通過する電解コンデンサ交換
 ・C71,C72,C79,C80(1uF/50V)

Kt770060Kt770061

■修理記録:LED交換--------------------------------------------

 ・IF BANDインジケーターはオリジナルと同じ中古LEDに交換。
 ・MPX FILTERインジケーターは緑色のLED交換。
 ・凸型LEDの在庫が緑色しかなかったのでご容赦ください。
 ・サイズが微妙に異なるので、100均材料で台座の高さを加工しています。

Kt770070Kt770071Kt770072_2Kt770073
Kt770074Kt770075Kt770076Kt770077

■調整記録------------------------------------------------------------

【検波調整】
 ・IF BAND=NARROW
 ・アンテナ入力なし → VR 4調整 → Tメーター中点
 ・IF BAND=WIDE
 ・アンテナ入力なし → VR12調整 → Tメーター中点
【フロントエンドOSC調整】
 ※OSCトリマ調整孔が背面にありますが、隙間が狭いのでこれを回すのは難しいです。
 ※+0.1MHzの周波数ズレはご容赦ください。
【フロントエンドRF調整】
 ・TP1(R77右足)→ DC電圧計セット
 ・IF BAND=NARROW
 ・76MHz 1kHz 100%変調 60dB 受信 → RFコイル6個調整 → 電圧最大
 ・90MHz 1kHz 100%変調 60dB 受信 → RFトリマ6個調整 → 電圧最大
【検波調整】※繰り返し
 ・IF BAND=NARROW
 ・アンテナ入力なし → VR 4調整 → Tメーター中点
 ・IF BAND=WIDE
 ・アンテナ入力なし → VR12調整 → Tメーター中点
【IFトリガー調整】
 ・TP1(R77右足)→ DC電圧計セット
 ・83MHz 無変調 60dB 受信 → L11調整 → 電圧最大
 ・83MHz 無変調 0dB 受信 → L10調整 → 電圧最大(※L10 フロントエンド内)
【IFトリガーレベル調整】
 ・83MHz 無変調 60dB 受信 → VR2調整 → 電圧DC1.8V
 ・アンテナ入力なし→ VR1調整 → 電圧DC0.6V
【Sメーター振れ調整】
 ・83MHz 無変調 80dB 受信 → VR3調整 → Sメーター目盛り5
【MUTING調整】
 ・MUTING=1
 ・83MHz 無変調 16dB 受信 → VR9調整 → MUTING作動
【VCO調整】
・周波数カウンタをTP2接続
 ・アンテナ入力なし → VR 7調整 → 19kHz
【OUTPUTレベル調整】
 ・FM DET OUT端子にAC電圧計セット
 ・76MHz 1kHz 100%変調 60dB 受信 → VR10調整 → 電圧AC300mV
【セパレーション調整】
 ・音声出力端子にWaveSpectra接続
 ・83MHz ステレオ信号 60dB受信 → VR 5調整 → Lch信号最小
 ・83MHz ステレオ信号 60dB受信 → VR 6調整 → Rch信号最小
【ステレオ歪調整】
 ・音声出力端子にWaveSpectra接続
 ・83MHz ステレオ信号 60dB受信 → L10調整 → 高調波歪最小
【DEVIATIONメーター調整】
 ・83MHz 1kHz 100%変調 60dB 受信 → VR 8調整 → Dメーター目盛り100%

Trio_kt7700_alig

Kt770040_2Kt770041_2Kt770050_2Kt770051_2Kenwood_kt8300sche

■試聴----------------------------------------------------------------

 ・オレンジ色の照明窓がとても美しい個体です。
 ・TメーターとSメーターの動きが一致すると気持ちイイですね。
 ・LEDの色がアンバランスですが、、
 ・同時に3個とも点灯させることは多分ないのでご容赦ください。

Kt770010

KENWOOD KT-V990

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 ・2016年1月初め、KENWOOD KT-V990の調整依頼を承りました。
 ・ノイズが多い状態だそうです。
 ・調整だけで復活するといいのですが、、

Ktv99015

■製品情報------------------------------------------------------------

 ・オーディオの足跡 KENWOOD KT-V990 ¥59,800(1987年頃)
 ・KENWOOD KT-990D 回路図

Ktv99002Ktv99011

 ・FM/AM/TV(VHF/UHF)チューナーです。
 ・アナログTV放送は終了しましたがFM/AMチューナーとしてまだまだ使えます。

■動作確認------------------------------------------------------------

 ・目立つキズもなく外観の状態は良いです。
 ・アンテナを接続して電源オン。
 ・FL管点灯。明るさは十分。文字痩せ、文字欠けなし。
 ・オート選局で名古屋地区のFM放送局を正常に受信しました。
 ・バー表示タイプのTメーター、Sメーターの動作OK。周波数ズレなし。
 ・STEREOランプ点灯OK。
 ・RF切替(LOCAL/DISTANCE)、IF切替(WIDE/NARROW)OK。
 ・REC CALトーンOK。
 ・手元にあった適当なループアンテナで名古屋地区のAM放送を受信できました。
 ・基本的な動作に不具合は無さそうです。

Ktv99003Ktv99004Ktv99005Ktv99007Ktv99008

■内部確認------------------------------------------------------------

 ・LA1231N FM IF System
 ・LA3350 PLL MPX
 ・LA1245 AM Tuner
 ・中身は KENWOOD KT-7020 と同じ構成です。
 ・底板にKENWOODサービスの修理済みシールが貼ってありました。
 ・「10.11.15 セパレーション他」 たぶん2010年11月15日。
 ・電源回路周辺の電解コンデンサが数個交換済みでした。

Ktv99020Ktv99021Ktv99022Ktv99023Ktv99024
Ktv99025Ktv99026Ktv99027Ktv99028Ktv99029
Ktv99030Ktv99031Ktv99032Ktv99033Ktv99034

■調整記録------------------------------------------------------------

【本体設定】
 ・ACTIVE RECEPTION OFF
 ・RF SELECTOR DISTANCE
 ・IF BAND WIDE
●FM部
【VT電圧】
 ・TP3~TP4 DC電圧計セット
 ・アンテナ入力なし
 ・76MHz → L14調整 → 確認のみ※実測3.1V
 ・90MHz → TC1調整 → 確認のみ※実測24.5V
【FM同調点調整】
 ・TP5~TP6 DC電圧計セット
 ・83MHz(無変調,80dB)受信 → L9調整 → 0.0V
【RF調整】
 ・D42(検波基板CN3 4ピン)DC電圧計セット
 ・83MHz(無変調,40dB)→ L1,L4,L7,L10 調整 → 電圧最大
【IFT調整】
 ・D42(検波基板CN3 4ピン)DC電圧計セット
 ・83MHz(無変調,40dB)→ L17調整 → 電圧最大
【PLL検波調整】
 ・TP7~TP8 DC電圧計セット
 ・83MHz(無変調,80dB)受信 → L12調整 → 0.0V
 ・83MHz(無変調,80dB)受信 → L11調整 → 0.0V
【MPX VCO調整】
 ・TP20に周波数カウンタ接続
 ・83MHz(無変調,80dB) → VR3調整 → 76kHz
【SUB CARRIER調整(38kHz)】
 ・音声出力をWavespectraで観察
 ・83MHz(SUB信号,80dB)→ L33調整 → Lchレベル最大
【歪調整1 DET】※DCC基板
 ・83MHz(MONO信号,400Hz,100%変調,80dB)→ VR3調整 → 歪率最小
【歪調整2 MONO】※DCC基板
 ・83MHz(MONO信号,1kHz,100%変調,80dB)→ VR4調整 → 歪率最小
【歪調整3 MONO】※DCC基板
 ・83MHz(MONO信号,1kHz,100%変調,80dBu)→ VR6調整 → 歪率最小
【歪調整4 STEREO/L】※DCC基板
 ・83MHz(L信号,1kHz90%変調+19kHz10%変調,80dB)→ VR5調整 → 歪率最小
【歪調整5 STEREO/SUB】※DCC基板
 ・83MHz(SUB信号,1kHz90%変調+19kHz10%変調,80dB)→ VR7調整 → 歪率最小
【SEPARATION調整】
 ・83MHz(R信号,1kHz90%変調+19kHz10%変調,80dB)→ VR4調整 → Lchもれ最小
 ・83MHz(L信号,1kHz90%変調+19kHz10%変調,80dB)→ VR5調整 → Rchもれ最小
●AM部
【VT電圧】
 ・TP3~TP4 DC電圧計セット
 ・ 531kHz → L26調整 → 確認のみ※実測1.5V
 ・1602kHz → TC2調整 → 確認のみ※実測8.1V
【受信簡易調整】
 ・ 729kHz(NHK第一)→ L27調整 → シグナルメーター最大
 ・1332kHz(東海ラジオ)→ TC3調整 → シグナルメーター最大
 ・1053kHz(CBCラジオ)→ L28調整 → シグナルメーター最大

Ktv99000

■試聴----------------------------------------------------------------

 ・故障箇所はありませんでした。
 ・再調整によって特にセパレーション値が大幅に改善しました。
 ・歪率などの値も良好です。
 ・RF=DISTANCEでの受信感度は抜群に良好です。

Ktv99016

PIONEER SX-535

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 ・2015年11月末、ヤフオクで古いレシーバーを入手しました。
 ・当然ジャンク品。さらに動作未確認のためか入札なし。
 ・とりあえず開始価格で参加したらそのまま終了のパターンでした。
 ・入手から随分時間が経ちましたが、ようやく整備完了しました。

Pioneer_sx53508

■製品情報------------------------------------------------------------

 ・Hifi Engine PIONEER SX-535 ※サービスマニュアルあり
 ・パイオニア レシーバー総合カタログ(1974年4月発行)

Pioneer_sx53502Pioneer_sx53511

■動作確認------------------------------------------------------------

 ・電源コードの印字 1974。
 ・意外にも、、フロントパネル、ウッドボディともにほぼ無傷。
 ・経年の汚れはクリーニングでキレイになりそう。
 ・電源オン。周波数窓が青い照明に浮かび上がる。
 ・二つのメーター照明が点灯。指針照明点灯。
 ・FM/AM/PHONO/AUX 入力切換に応じたポジションランプが点灯しない。

Pioneer_sx53501Pioneer_sx53503Pioneer_sx53504Pioneer_sx53505Pioneer_sx53506

 ・FMアンテナを接続してREC OUT端子で出音を確認。
 ・STEREOランプ点灯。Sメーター最大位置とTメーター中央位置が合わない。
 ・PHONOはMMカートリッジでレコード再生OK。ちょっと歪っぽい?
 ・AUXはCDプレーヤーを繋いで再生OK。意外に綺麗な音です。
 ・壊れても構わない安いスピーカーを接続して音出し確認。
 ・CDを聴きながら音質チェック。ボリューム、バランスに多少のガリあり。
 ・トーンコントロール、バランス調整は聴感で効果確認OK。
 ・ヘッドホン端子から出てくる音もOK。

Pioneer_sx53510Pioneer_sx53512Pioneer_sx53513Pioneer_sx53514Pioneer_sx53520

■内部確認------------------------------------------------------------

 ・大量に堆積したホコリを大掃除。
 ・FM3連、AM2連バリコンの小さなフロントエンドユニット。
 ・HA1137 クアドラチュア検波
 ・HA1156 PLL MPX-IC
 ・HA1138 AMシステム
 ・VR1 Sメーター振れ調整
 ・VR2 VCO調整
 ・清掃のためフロントパネル分解。
 ・フロントパネル裏側にシールが貼ってありました。
 ・製造年月日は昭和49年12月5日、1974年ですね。
 ・入力切換に応じたポジションランプはそもそも存在しない。
 ・調整用VRは2個だけ、さすが低コスト機でした。

Pioneer_sx53521Pioneer_sx53522Pioneer_sx53523Pioneer_sx53524Pioneer_sx53525
Pioneer_sx53526Pioneer_sx53527Pioneer_sx53528Pioneer_sx53529Pioneer_sx53530
Pioneer_sx53531Pioneer_sx53532Pioneer_sx53533Pioneer_sx53540Pioneer_sx53541
Pioneer_sx53542Pioneer_sx53543Pioneer_sx53544Pioneer_sx53545Pioneer_sx53547

■調整記録------------------------------------------------------------

Pioneer_sx53550Pioneer_sx53551Pioneer_sx53552Pioneer_sx53553

【FM OSC調整】
 ・9番端子にDC電圧計セット
 ・76MHz T3調整
 ・90MHz TC3調整
【FM RF調整】
 ・9番端子にDC電圧計セット
 ・76MHz T1,T2調整
 ・90MHz TC1,TC2調整
【FM検波調整】
 ・83MHz T5下段コア調整 → Tメーター中点
 ・83MHz T5上段コア調整 → 高調波歪最小
【FM MPX調整】
 ・18番端子に周波数カウンタ接続
 ・VR1調整 → 19kHz
【Sメーター振れ調整】
 ・VR4調整
【AM OSC調整】
 ・T6,TC4
【AM RF調整】
 ・背面バーアンテナ、TC5調整
【パワーアンプ部】
 ・入力切換=AUX(AUX入力端子には接続しない)
 ・スピーカーA/B オフ
 ・電源オンから10分程度放置
 ・TP1~1番端子間 DC電圧計セット
 ・VR1(Lch)調整 → 10mV
 ・TP2~7番端子間 DC電圧計セット
 ・VR2(Rch)調整 → 10mV

Pioneer_sx535

■試聴----------------------------------------------------------------

 ・レシーバーのフロントパネルはとても美しいと感じます。
 ・音質はそこそこですが、眺めているだけで大満足です。
 ・ただ、これ以上傷口を広げないため、、、
 ・収集はTメーターとSメーターを装備した機種だけに限定しています。

Pioneer_sx53507

■PIONEER製レシーバー一覧-----------------------------------------

1970年頃 1972年頃 1974年頃 1976年頃
SX-100S / 125,000円
Sx100s_2
 →過去記事
SX-818 / 100,000円
Sx818
- -
SX-90 / 80,000円
Sx90
SX-717 / 78,000円
Sx717
 →過去記事
SX-737 / 85,000円
Sx737
 →過去記事
SX-757 / 78,500円
Sx757
 →過去記事
SX-65 / 54,800円
Sx65
SX-616 / 64,800円
Sx616
SX-636 / 68,000円
Sx636
-
- SX-515 / 53,800円
Sx515
SX-535 / 57,000円
Sx535
SX-555 / 48,500円
Sx555
SX-45 / 39,800円
Sx45
SX-414 / 39,800円
Sx414
SX-434 / 50,000円
Sx434
-
- - SX-300 / 36,500円
Sx300
-
カタログ(1970年7月版)カタログ(1973年10月版)カタログ(1974年5月版)カタログ(1976年1月版)

Accuphase T-106

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 ・2016年1月、高級チューナーの調整作業を承りました。
 ・アキュフェーズ製では珍しくAM受信回路を搭載している機種です。
 ・そのAM回路は「シンクロナス検波」を採用しています。
 ・調べてみるとシンクロナス検波とは SANSUI TU-X1と同じ「同期検波」でした。
 ・とても興味深い研究テーマをいただきました。

Accut10611

■製品情報------------------------------------------------------------

オーディオの足跡 Accuphase T-106 ¥145,000(1984年1月発売)

Accut10602Accut10614

●正確な電子同調方式
選局のための同調は水晶発振子により希望信号に±0.002%の精度でピタリと合わせることができ、時間や温度変化によるズレはほとんどなく、ひずみ最少、感度最高の点にロックします。電子同調のため外部振動による変調ひずみや雑音はほとんど生じません。周波数のディジタル表示は雑音の発生しないスタティック方式です。

●14局ランダムメモリーとパルスチューニング方式
7個のフェザータッチボタンを複式に使用し、14局のFMとAMステーションを好みのボタンにランダムメモリーしておき瞬時に呼び出すことができ、受信ボタンのナンバーと周波数がディジタル表示されます。バリコン式チューニングと同じフィーリングの光学を応用した回転ツマミ式チューニングも備えており、ピップ音とともに100kHzおき(AMは9kHzおき)に連続選局することもできます。

●2段複同調フロントエンドによるFM妨害波の除去
妨害波の中から希望局だけを選び出して増幅し、中間周波を作り出すフロントエンドはFMチューナーの頭脳ともいうべき重要な部分です。本機のフロントエンドは入力と増幅段間がそれぞれ複同調となっており、大入力の妨害波による混信(RF相互変調)を大幅に改善し、切り替えなしに大入力に対応しています。

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●新開発DGL FM検波器と群遅延平坦IFフィルター
T-106は新しく開発されたDGL検波器と、特に選択した群遅延平坦IFフィルターを組み合わせることにより安定で歪の少ないキャプチャーレシオの優れた特性を得ています。
DGL(Differential Gain Linear Detector)検波方式は、高速ロジックICの出力の遅れ時間に着眼し、これを19個直列にしてひずみ最少、S/N最良になるように位相角を114度遅らせて、この遅延信号と入力信号をエクスクルーシブ・オア回路に加え、二つの信号間の電位を選択して回路を開閉し、変調によって生ずる信号波の疎密度をディジタル的に検出(論理的乗算)して音声信号を取り出す新しい方式で、遅延回路の直線領域が極めて広く(±5MHz)、しかも無調整回路のため安定で、その上素晴らしい微分利得直線特性が得られます。IFフィルターは広(NORMAL)と狭(NARROW)の2組を使用しており、混信の激しいときはNARROWに切り替えることにより選択度重点の受信ができます。

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●最新のFMステレオ復調器
最新技術を集積したFMステレオ復調回路により、復調のみの性能(実測値)は極限に近い特性を得ています。FMステレオ入力が小さく、クリアな受信ができない領域(5uV以下)では自動的にモノフォニックに切り替わり、清澄な受信ができるようになっています。またこの後に続くオーディオ回路は、使用部品を厳選し、音質重視の設計をいたしました。

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●AMシンクロナス検波による混信除去と低ひずみ率
T-106はAM放送受信も重視し、ひずみが少なく混信除去能力に優れたシンクロナス検波を採用しました。シンクロナス方式は、混合器に注入する局発発振周波数を入力搬送波と同一にすることにより一挙にオーディオ信号を取り出すもので、選択度はオーディオ回路に設けた低域フィルターの特性で決まり、検波ひずみの少ない優れた方式で、将来AMステレオ放送が始まればスタンダードになる方式と考えられます。
シンクロナス検波のもう一つの大きな特長は、妨害波が受信局より高い周波数側か低い周波数側かにより側波帯(Sideband)を選択することができるので、上空波が強くなる夜間、海外局の混信に悩む地域で威力を発揮いたします。

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本機は標準広帯域スーパー方式にプラスしてシンクロナス検波回路を採用しています。周波数特性は最近行われているNHKのサウンドイコライジング(プリエンファシス)特性に合わせたディエンファシス特性を持たせてありますので、プリエンファシス放送を良好な周波数特性で受信することができます。また9kHzフィルターにより隣接局のビートを取り除いています。

●2メーターによる電波インジケーター
信号強度を示すSメーターと変調度を200%まで表示するピーク変調度計により入力電波の状態を知ることができます。また変調度計はスイッチ切り替えによりマルチパス計となり、ひずみ最少になるアンテナ方向を知ることができます。

●その他の機能
付属機能として電波の弱いステレオ局のノイズを低減する「ノイズフィルター」、混信の多いときに使用する「セレクティビティ・スイッチ」、局間ノイズを取り去る「ミューティング・スイッチ」、混信時にAM側波帯を選択する「サイドバンド・セレクター」、そしてその他のプログラムソースの音量レベルに合わせる「レベルコントロール」などが完備されています。

●別売ローズウッド・キャビネット
天然ローズウッド仕上げのキャビネットを用意しました。リスニングルームの雰囲気を一段と引き立てます。
型名 A-9
価格 16,000円
サイズ 幅466mm×高153mm×奥行385mm

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■動作確認------------------------------------------------------------

 ・ボディやパネルは経年の汚れが目立ちます。
 ・電源コードを接続してスイッチオン。
 ・二つのメーター照明点灯。周波数表示点灯。
 ・周波数ツマミを回すとFM=0.1MHz単位、AM=9kHz単位で周波数が変化します。
 ・周波数の変化に応じて「ピッ」「ピッ」と電子音が鳴ります。
 ・オートサーチのような周波数が自動的にアップダウンする機能はありません。
 ・アナログチューナーのようにツマミを回して希望周波数に合わせます。
 ・最初は面倒ですが、メモリー登録を済ませればあとの操作は楽になります。

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 ・メーター照明点灯。Tメーター代わりに[TUNED]点灯。[STEREO]点灯。
 ・名古屋地区のFM放送局を正常に受信しました。
 ・周波数ズレなし。表示管の劣化もなさそうです。
 ・IF BAND切替(NARROW/NORMAL)OK、MUTING動作OK。
 ・メーター切替(MULTIPATH/DEVIATION)OK。
 ・FILTER切替(ON/OFF)の効果がよく分かりません?

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 ・手持ちの適当なAMループアンテナでAM放送も受信できました。
 ・ただ高い周波数のAM局(CBC 1053kHz、東海1332kHz)の感度が悪いようです。
 ・SIDE BAND SELECTOR切替スイッチに上下(upper/lower)の区別が無いのが残念。
 ・どちらかクリアに聞こえる方に切り替えて使用します。
 ・FM/AMともメモリー登録OK。可変出力VRにガリ無し。

■内部確認+調整記録------------------------------------------------

 ・回路図やサービスマニュアルは見つかりません。
 ・ひろくん様のサイトで紹介されている T-107 の調整方法を参考にさせていただきました。

 ・VR1 NARROW GAIN
 ・VR2 S-METER MAX
 ・VR3 S-METER MIN
 ・VR4 76K VCO
 ・VR5 PILOT CANCEL
 ・VR6 SEPARATION
 ・VR7 SIGNAL MUTE
 ・VR8 TUNE MUTE
 ・VR9 MOD
 ・VR201 METER
 ・VR202 記載なし

Accut106

【電圧確認】
 ・+15 → +14.9V
 ・+ 5 → +4.95V
 ・+5.6→ +5.65V
●FM部
【本体設定】
 ・MUTING OFF
 ・FILTER OFF
 ・SELECTIVITY NARROW
【VT電圧】
 ・J3~GND DC電圧計セット
 ・アンテナ入力なし
 ・76MHz → OSCコイル調整 →確認のみ※実測 3.6V
 ・90MHz → OSCトリマ調整 →確認のみ※実測21.5V
【RF調整】
 ・VR2足にDC電圧計セット
 ・76MHz 無変調 40dB → RFコイル調整 → 電圧最大
 ・90MHz 無変調 40dB → RFトリマ調整 → 電圧最大
【IFT調整】
 ・VR2足にDC電圧計セット
 ・83MHz 無変調 40dB → IFT調整 → 電圧最大
【検波調整】
 ・音声出力をWavespectraで観察
 ・83MHz 無変調 80dB → T2調整 → 高調波歪最小
 ・83MHz 無変調 80dB → T1調整 → 高調波歪最小
【IF GAIN調整】
 ・83MHz 無変調 80dB → VR1調整 → NORMAL/NARROWでSメーター振れ同じ
【SIGNAL METER調整】
 ・83MHz(無変調, 40dB)→ VR2調整 → Sメーター= 40
 ・83MHz(無変調,100dB)→ VR3調整 → Sメーター=100
【MUTING調整】
 ・MUTING ON
 ・83MHz(100%変調, 20dB)→ VR7調整 → MUTINGオン
【STEREO歪調整】
 ・音声出力をWavespectraで観察
 ・83MHz(1STEREO変調,80dB)→ IFT調整 → 高調波歪最小
【MPX VCO調整】
 ・TP9に周波数カウンタ接続
 ・83MHz(無変調,80dB) → VR12調整 → 76kHz
【SEPARATION調整】
 ・音声出力をWaveSpectraで観測
 ・83MHz(R/L信号,1kHz 80dB)→ VR5調整 → もれ信号最小
【DEVIATION調整】
 ・83MHz(STEREO 100%変調)→ VR9調整 → DEVメーター100%
●AM部
【VT電圧】
 ・J3~GND DC電圧計セット
 ・アンテナ入力なし
 ・ 522kHz → T205調整 → 確認のみ※実測 1.5V
 ・1629kHz → VC1調整 → 確認のみ※実測23.3V
【RF調整】
 ・ 522kHz → T201,T202調整 → Sメーター最大
 ・1629kHz → VC3,VC2調整 → Sメーター最大
 ・ 999kHz → T203調整 → Sメーター最大
【検波歪調整】
 ・ 999kHz → T204,VC4調整 → 歪み最小
【Sメーター調整】
 ・VR201 メーター振れ調整

【AM同期検波位相調整】
 ・AM部の調整方法は試行錯誤の結果です
  ・TP201 IC201-1ピン → AM放送が聞こえる
  ・TP202 → 449.99kHz
  ・TP203 → 449.99kHz
  ・TP204 → AM放送が聞こえる
  ・TP205 → AM放送が聞こえる
 ・上記確認事項と回路図を研究した結果、これでいいのかな?
 ・TP204、TP205をWavespectra接続
 ・VR202調整 → リサージュ波形を正円に

■試聴----------------------------------------------------------------

 ・FM/AMとも故障個所はありませんでした。
 ・再調整によって良い性能を取り戻したと思います。
 ・シンクロナス検波(同期検波)が意外な発見でした。

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SONY ST-5150 修理調整記録2

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 ・2016年2月、ST-5150のメンテナンスをお引受しました。
 ・本機が発売された当時に購入したワンオーナー品だそうです。
 ・本体にもウッドケースにもほとんど傷が見当たりません。素晴らしい!
 ・以下、作業記録です。

Sony_st515005

■製品情報------------------------------------------------------------

 ・オーディオの足跡 SONY ST-5150¥39,800(1973年発売)
 ・Hifi Engine SONY ST-5150
 ・カタログ(1973年6月版) TA-1150/ST-5150

Sony_st515002_2Sony_st515011

■動作確認------------------------------------------------------------

 ・ウッドケースはほぼ無傷、とても状態が良いです。
 ・大切に扱われていた個体と分かります。
 ・電源オン。周波数窓の緑色照明点灯、右側の緑色塗料が少しハゲ。
 ・Tメーターの照明電球が切れています。その他の電球は点灯OK。
 ・FM/AMとも受信しました。
 ・FMは若干の周波数ズレとTメーターズレ(同調点ズレ)を確認。
 ・Tメーターがやや左に振れた位置でMUTING解除される。
 ・75Ωアンテナケーブルを接続してFM放送を受信確認。
 ・-0.2MHz程度の周波数ズレ。二つのメーター動作はOK。MUTING動作OK。
 ・STEREOランプ点灯。実際にステレオ感あり。
 ・AMは背面バーアンテナで受信OK。
 ・FM/AMとも基本動作に問題なさそうです。

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■内部確認------------------------------------------------------------

 ・今回のST-5150は RT402,RT403 が実装されていました。
 ・今までに見たST-5150ではRT402,403が実装されていない個体もありました。
 ・回路図には記載はありません。
 ・フロントパネル裏側に「470926」の印字 → 昭和47年9月26日(1972年)

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■修理記録:電球交換------------------------------------------------------------

 ・Tメーター照明電球が切れていました。
 ・8V 0.15A ジャンク機から部品取りしてあった手持ち電球に交換しました。

■調整記録------------------------------------------------------------

  ・ST-5150 回路図

【レシオ検波調整】
 ・何も受信しない状態 T201上段コア調整 → Tメーター中点
【FM OSC調整】
 ・90MHz CT204調整 → Sメーター最大
 ・76MHz L104調整 → Sメーター最大
【FM受信調整】
 ・90MHz受信 CT201,CT202,CT203調整 → Sメーター最大
 ・76MHz受信 L101,L102,L103調整 → Sメーター最大
 ・83MHz受信 IFT調整 → Sメーター最大
 ・RT202 FM Sメーター振れ調整
【MUTINGレベル調整】
 ・T202調整 → D204電圧最大
 ・RT201調整 → ミューティング動作レベル調整
【検波歪み調整】
 ・T201下段コア調整 → 高調波歪み最少
【セパレーション調整】
 ・SUB信号送信 → T401調整 → Lch出力最大へ
 ・RT401 セパレーション調整
【AM調整】
 ・CT101,CT102
 ・T301,バーアンテナ内コイル
 ・RT301 AM Sメーター振れ調整

St5150

■試聴----------------------------------------------------------------

 ・緑色に浮かび上がる周波数窓が美しいです。
 ・40年以上前の製品とは思えないほど状態が良いです。
 ・FM放送が存続しているうちは大切に使い続けたいですね。

KENWOOD L-01T 修理調整記録3

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 ・2016年2月、L-01Tの修理調整を承りました。
 ・以下、作業記録です。

L01t04

■製品情報------------------------------------------------------------

 ・オーディオ懐古録 KENWOOD L-01T ¥160,000(1979年)
 ・オーディオの足跡 KENWOOD L-01T ¥160,000(1979年頃)
 ・Hifi engine KENWOOD L-01T 輸出機のサービスマニュアルが入手できます。
 ・KENWOOD L-01T 1号機の記録
 ・KENWOOD L-01T 2号機の記録

L01t02L01t03

■動作確認------------------------------------------------------------

 ・全体に汚れ、キズが目立つ個体です。
 ・電源オン、オレンジ色照明が部分的に暗い。電球切れか?
 ・Wide/Narrow、Direct/Normal の青い三角形表示も一部電球切れの模様。
 ・STEREOランプは赤く点灯。二つのメーター照明点灯。
 ・TメーターとSメーターの動作正常。地元FM局を受信している。
 ・電源投入後5分くらいは不具合なしと思いました。
 ・その後、ご指摘のようなチリチリノイズ発生。
 ・固定出力、可変出力ともに同じノイズが聞こえる。
 ・マルチパスH端子からも同じノイズが聞こえる。
 ・二つのメーターはノイズ発生時も正常動作している。
 ・本体底面にKENWOODサービスの修理記録。
 ・昭和61年(1986年)ダイヤル指針の電球が交換されたようです。

L01t01L01t10L01t12L01t13L01t20

■修理記録:チリチリノイズの原因調査------------------------------------

 ・FM放送を受信中に「チリッチリッチリ、、」という小さなノイズが発生します。
 ・クラシック番組のピアニシモ部分で気になります。
 ・ロックやポップスを聴いていると気が付かないかも?
 ・マルチパスH端子の音を確認すると、ここからも同じチリチリノイズが聴こえます。
 ・LA1231N-6pinクアドラチュア検波の音を直接聞くとここはノイズなし。
 ・1号機の修理経験から ローパスフィルターFL3(LPF250kHz)を保管品と交換。
 ・これで直るかと思ったら、、残念、、はずれました。

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 ・ただ怪しい範囲は特定されているので順番に部品交換。
 ・まず TR4010A周辺の電解コンデンサ交換。
 ・C122(1uF50V),C48(100uF10V),C49(10uF16V),C51(1uF50V),C52(1uF50V) →はずれ
 ・次はIC AN610PとTR4010Aを交換 → はずれ
 ・最後に KT-900ジャンク機からFL1(LPF3.5MHz)を移植 →当たり!
 ・これでようやくノイズが解消しました。
 ・今回もノイズ源はフィルターでした。

L01t70L01t71L01t72L01t74L01t75

■調整記録------------------------------------------------------------

 ・ノイズ源の修理を終え、海外版サービスマニュアルに沿って各部調整しました。

FMフロントエンド】
 ・OSC調整83MHz → OSC coil
 ・トラッキング調整76MHz → L1,L2,L3,L4,L5,L6
 ・トラッキング調整90MHz → TC1,TC2,TC3,TC4,TC5,TC6
 ・IFT調整 → L17,L19,L21 → Sメーター最大
【Tメーター調整】
 ・LA1231Nクアドラチュア検波調整 → L6 → Tメーター中央
【ミューティング調整】
 ・VR2
【WIDE GAIN調整】
 ・Narrow受信 → Sメーターレベル記録
 ・Wide受信 → VR1調整 → Narrow受信時と同レベルに
【Sメーター調整】
 ・VR3
【第2IF調整】
 ・83MHz受信 → L8調整 → TP=1.96MHz
【VCO調整】
 ・無変調 → VR6調整 → TP(R117) → 76kHz
【Pilotキャンセル】
 ・VR7,L16調整 → 19kHz漏れ最小へ
【ステレオ歪調整】
 ・フロントエンドL21調整 → 高調波歪最小へ
【SCA調整】
 ・MEGURO DARC ENCODER MSG-2170でFM多重信号を生成
  ※L&R=80%、Pilot=10%、DARC=10%
 ・L10,L11調整 → D36カソード側DC電圧最大へ
 ・VR5調整 → IC9-1pin電圧測定 → +電圧が-電圧に変わる位置に設定
 ・IC9-1pin電圧が+→-に変わることでSCAフィルター回路のスイッチオン
 <簡易調整>
 ・VICS信号が載ったNHK-FMを受信しながらでも調整できます。
 ・D36電圧は放送内容によって変動しますが、L10を反時計回りに約1回転(360度)
 ・続いてL11も反時計回りに約1回転(360度)、これでおよそ最大電圧位置になります。
 ・次にIC9-1pinの電圧を見ながらVR5を時計方向に少し回す。
 ・+7.5V→安定して-6.6Vを示す位置にセット。
【ノイズアンプ調整】
 ・離調状態  VR4調整 → Q6(2SC2785)エミッタ電圧 → 8V
【SUB調整】
 ・83MHz L-R信号受信 → VR8調整 → Lch最大
 ・同上  → VR9調整 → Rch最大
【セパレーション調整】
 ・Wide受信時 VR10→Rch、VR11→Lch
 ・Narrow受信 VR1(X13-2690基板)

L01t21L01t22L01t23L01t24L01t25
L01t26L01t27L01t28L01t29L01t30

■修理記録:ミューティングが解除されない-----------------------------

 ・修理調整を終えて電源オン、二つのメーターが正常動作します。
 ・ここで次なる不具合に気が付きました。
 ・通常は電源オン後約5~6秒後にFM音声が流れてきます。
 ・ところが数分待っても音が出ないことがあります。
 ・二つのメーターは正常動作ですからミューティングが解除されない状態か?

 ・調べてみるとMUTING回路のリレーRL2を駆動する電圧(19番端子)が低すぎる。
 ・ここの本来電圧は14V前後のはず。ところが5V前後でフラフラしている。
 ・怪しそうなトランジスタQ13,Q12(2SA733)→ 2SA1015交換→効果なし。
 ・電解コンデンサC38(47uF/16V)→47uF/25V交換→効果なし
 ・両極性電解コンデンサC40(10uF/16V)→10uF/25V交換→効果なし
 ・IC7(TC4069UBP)-6ピン電圧が5V前後で安定しない。
 ・IC7(TC4069UBP)の故障を疑って新品に交換→当たり。
 ・RL2を駆動する電圧(19番端子)が13.9Vで安定してミューティング解除。

L01t80L01t81

■ボディ中央部が妙に盛り上がっている件--------------------------------

 ・これはボディが正常にセットされていない状態です。
 ・ボディ前部に金具があり、これをフロントパネル側にセットすると盛り上がりは解消されます。
 ・中央部が盛り上がっているのは、ボディを開けた後、無理やり蓋をした状態です。
 ・今回の個体もキチンをセットすると盛り上がりはなくなりました。
 ・ヤフオクの出品を見ると、盛り上がった個体は結構ありますね。

L01t90L01t91

TRIO KT-4700

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 ・2015年10月末、近所のHOで1000円ジャンク品を買いました。
 ・高級感のないチープな外観、背面パネルはプラスチック製。
 ・でも購入の決め手はアナログチューナーなのに丸い選局つまみがないこと。
 ・選局つまみの代わりに <LEFT   RIGHT> ボタン。
 ・ということは、、モータードライブでオート選局ができる機種か??

Kt470008

■製品情報------------------------------------------------------------

 ・Hifi Engine KT-413/4133(輸出機) ※サービスマニュアル
 ・手元の1979年発行総合カタログに製品情報がありました。
 ・「ソフトタッチでオート選局」を採用したチューナーです。
 ・定価38,000円、ラック耳が付いたタイプは40,000円。
 ・価格帯は入門機の位置付け。
 ・カタログ記載の「BIG COMPO」って何でしょう?
 ・もしかしてセットコンポの一部でしょうか?

Kt470001_3Kt470010

Triokt4700brou

■動作確認------------------------------------------------------------

 ・電源コードの印字 1979。
 ・本体の目立つキズはなく、状態はかなり良い。
 ・電源オン。周波数窓の照明点灯。太めの指針も明るく点灯。
 ・<LEFT , RIGHT>ボタンでオート選局スタート。
 ・FMは自動的に放送局を受信して停止する。
 ・5連LEDタイプのSメーター点灯。STEREOランプ点灯。Tメーターなし。
 ・STOP LEVEL=HIGH:指針の移動速度が速くなる → 弱い電波では停止しない。
 ・STOP LEVEL=LOW :指針の移動速度が遅くなる → 弱い電波でも停止する。
 ・AMでは自動停止する局とできない局がある。電波状況の違いか?調整ズレか?

Kt470003Kt470004Kt470005Kt470006Kt470007

 ・周波数窓上部にFM用、下部にAM用の小さなマーカーがあり。
 ・このマーカーの位置がプリセット位置になる。
 ・プリセットモードで選局すると、指針はマーカー位置で自動停止する。
 ・マーカーはプラスチックの小さな部品で、電気的な仕掛けは無さそう??
 ・オート選局は気持ちよく動作しており、他の機能も大きな不具合は無さそう。
 ・ただモーター動作音(ウィーーン)が大きくてこれはもう騒音レベルです。

Kt470009Kt470012Kt470013Kt470014Kt470037

■内部確認------------------------------------------------------------

 ・背面内側にAMバーアンテナ内蔵。
 ・外から水平方向約30度の範囲で角度を変えられる。
 ・立派なシールドケース、、と思ったら銀色シートを貼った厚紙。
 ・FM3連AM2連バリコン
 ・AN217 FM IFアンプ/AM OSC回路
 ・HA1137W FM クアドラチュア検波
 ・HA1196 PLL-MPX

Kt470020Kt470021Kt470022Kt470030Kt470031
Kt470070Kt470071Kt470033Kt470034Kt470035
Kt470036Kt470037_2Kt470038Kt470039Kt470040

■プリセットオートチューニングの仕組み--------------------------------

 ・フロントパネルを分解清掃したときにプリセット用マーカーを調べました。
 ・見た目はプラスチック製の小さな部品で、電気的な配線はありません。
 ・マーカーの裏側を見ると、銀色の金属のような小さなパーツが張り付いています。
 ・サービスマニュアルに動作原理の記述がありました。
 ・マーカー裏側の金属片は光を反射させる役目です。
 ・左右に移動する指針部上端と下端にフォトトランジスタが埋め込まれている。
 ・指針部の照明光をマーカー裏側に反射させてフォトトランジスタが捉える。

Kt470051Kt470053Kt470054Kt470052Kt470057

■調整記録------------------------------------------------------------

 ・海外機KT-413のサービスマニュアルを参考にして一部アレンジ。

Kt470079

【オート選局強制停止】※必要に応じて
 ・R94のフロントパネル側をGNDに落とす。
 ・これでプーリーを手動で回せる。
FM SECTION
【PRESET VOLTAGE】
 ・SELECTOR=FM、STOP LEVEL=LOW、PRESET=ON
 ・ダイヤル指針を周波数スケールの右端にセット。
 ・プリセットマーカーは右端以外の位置に置く。
 ・基板の3番端子~GND間にDC電圧計セット。
 ・VR6調整 → 11V
  ※ダイヤル指針がプリセットマーカー位置で停止することを確認する。
  ※ダイヤル指針が停止したとき、3番端子の電圧が3V以下になることを確認する。
  ※3V以下にならないときはVR6を回して3V以下に調整する。
  ※ただし当初に設定した11Vが10Vを下回らないよう注意。
【TUNING CENTER】
 ・STOP LEVEL=LOW
 ・VR4 時計方向一杯に回す
 ・83MHz(1kHz,100%変調,20dB)受信 → ダイヤルプーリーを回して最適受信ポジションを探す。
 ・R23下~R20下間にDC電圧計セット
 ・83MHz(1kHz,100%変調,60dB)受信 → L7調整 → 0V
【AFC】
 ・R23下~R20下間を短絡する。
 ・IC7-7ピン~GND間にでDC電圧計セット → VR3調整 → 0V
【NOISE AMP】
 ・83MHz(1kHz,100%変調,20dB)受信 → VR4調整 → ※
  ※音声が消えるまで反時計方向に回す。
  ※その後音声が現れる位置まで時計回りに調整。
【LED LEVEL】
 ・83MHz(1kHz,100%変調,90dB)受信 → VR7調整 → LEDセグメント全点灯位置へ
【TRACKING】
 ・ダイヤル指針を76MHz位置にセット
 ・R150左側にDC電圧計セット位置は?
 ・76MHz(1kHz,100%変調,60dB)受信 → TC5調整 → 電圧最大
 ・90MHz(1kHz,100%変調,60dB)受信 → TC1,TC3調整 → 電圧最大
【DISTORTION FACTOR】
 ・83MHz(1kHz,100%変調,60dB)受信 → L8調整 → 高調波歪最小
【STOP LEVEL CONFIRMATION】
 ・STOP LEVEL=LOW
 ・83MHz(1kHz,100%変調,20dB)受信 → UP/DOWNどちらも受信できることを確認
 ・STOP LEVEL=HIGH
 ・83MHz(1kHz,100%変調,40dB)受信 → UP/DOWNどちらも受信できることを確認
  ※このときSメーターの5個のLEDのうち1~2個は点灯してること
【VCO】
 ・VR1(C32)周波数カウンタ接続
 ・83MHz(無変調,60dB)受信 → VR1調整 → 76kHz
【SEPARATION】
 ・83MHz(1kHz,100%変調,60dB,LorR)受信 → VR2調整 → 反対chへの漏れ最小
【IFT】
 ・83MHz(1kHz,100%変調,60dB,L+R)受信 → T1調整 → 高調波歪最小

Kt470072Kt470074Kt470075Kt470076Kt470077

AM SECTION
【PRESET VOLTAGE】
 ・SELECTOR=AM、STOP LEVEL=LOW、PRESET=ON
 ・ダイヤル指針を周波数スケールの右端にセット。
 ・プリセットマーカーは右端以外の位置に置く。
 ・基板の4番端子~GND間にDC電圧計セット。
 ・VR8調整 → 10V以上
  ※ダイヤル指針がプリセットマーカー位置で停止することを確認。
  ※ダイヤル指針が停止したとき、4番端子の電圧が3V以下になることを確認。
  ※3V以下にならないときはVR8を回して3V以下に調整。
  ※ただし当初設定した10Vを下回らないよう注意。
【TRACKING】
 ・ダイヤル指針を600kHz位置にセット
 ・ 600kHz(400Hz,30%変調,70dB)受信 → L1,バーアンテナ調整 → Sメータ最大
 ・1400kHz(400Hz,30%変調,70dB)受信 → TC2,TC4調整 → Sメーター最大
【AFC】
 ・IC7-7ピン~GND間にでDC電圧計セット
 ・1400kHz(400Hz,30%変調,50dB)受信 → L9調整 → 0.3V以下
【NOISE AMP】
 ・ 600kHz(400Hz,30%変調,30dB)受信 → VR5調整 → ※
  ※VR5を音声出力が消えるまで回す。
  ※その後逆方向に音声が現れる位置に戻す

Kt4700

■試聴----------------------------------------------------------------

 ・性能は並レベルですが指針が左右に動く選局動作は見ていて楽しいです。
 ・YAMAHA T-9、T-7 のオート選局は「静かに、滑らかに」移動しますが、
 ・本機のオート選局は「豪快に、ダイナミックに、やかましく」移動します。
 ・あと本機にはチューニングつまみがありません。つまり手動選局ができません。
 ・モーターなどの駆動系が故障しないことを祈るばかりです。

Kt470009_2

ALPINE/LUXMAN T-117

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 ・2016年2月、研究材料としてT-117をご提供いただきました。
 ・薄型ボディが特徴のFM/AM/TVチューナーです。
 ・調べてみると電波状況に応じてPLL検波とパルスカウント検波を切り換える仕組み。
 ・これはとても興味深い機種です。

T11708

■製品情報------------------------------------------------------------

 ・オーディオの足跡 ALPINE/LUXMAN T-117 ¥59,800(1987年6月発売)
 ・Hifi Engine LUXMAN T-117 AM/FM Stereo Tuner (1988-90) ※TV回路なし

T11702T11711

 ・ALPINE/LUXMANはアルパインとラックスマンのジョイントブランド。
 ・ネット情報によると1984年~1994年に存在したようです。
 ・でもT-117は海外ではLUXMAN単独ブランドで販売されていました。

■動作確認------------------------------------------------------------

 ・電源コードの印字は「1986」。
 ・脚を含めた本体高さはわずか62mm。サンスイTU-S707Xに匹敵する薄型ボディです。
 ・外観にキズは少なく保存状態は良いのですが、天板がベタベタします。
 ・背面には専用端子で繋がったAMループアンテナ付属。たぶん純正品。
 ・FMアンテナを接続して電源オン。
 ・表示部が点灯、文字痩せや欠損なし。
 ・オート選局で地元FM局を受信。STEREOランプ点灯。
 ・IF BAND切替インジケーター点灯。REC CALトーンOK。
 ・付属AMアンテナで地元AM局を受信。ただAM受信が不安定。
 ・AMアンテナ端子に接触不良がありそう。
 ・TV機能は確認不可。

T11703T11704T11705T11706T11707
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■内部確認------------------------------------------------------------

 ・FM4連バリキャップのフロントエンドパック。
 ・IF BAND切り替え(WIDE/NARROW)
 ・LA1231N:クアドラチュア検波、MUTING制御、Sメーター制御
 ・uPC1211:PLL検波
 ・74LS123:パルスカウント検波用ワンショットマルチ
 ・BU5053:PLL検波パルスカウント検波切替
 ・LA3450:復調用IC
 ・LA1245:AMシステム

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T11725T11726T11727T11728T11729
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T11735T11736T11737T11738T11739
T11740T11741T11742T11743T11744

■パルスカウント検波:第2IF周波数-------------------------------------

●KENWOOD製パルスカウント機(1981以前)
  [ 10.7MHz ] → [ LC発振8.74MHz ] → 1.96MHz
●PIONEER F-120/120D(1982/1984)
  [ 10.7MHz×2 ] → [ 水晶発振20.14MHz ] → 1.26MHz
●Technics ST-G7 (1983)
  [ 10.7MHz×3 ] → [ 水晶発振32.3MHz ] → 0.8MHz
●ALPINE/Luxman T-117(1987)
  [ 10.7MHz×3 ] → [ 水晶発振32.975MHz ] → 0.8075MHz

T117align02

 ・T-117は Technics ST-G7 と同様にIF周波数を3逓倍する方式です。
 ・電波強度が十分に高いときはパルスカウント検波、弱いときはPLL検波に切り替える。
 ・検波方式の特徴を活かした贅沢な回路構成ですね。
 ・パルスカウント検波と MPX-IC LA3450 との組み合わせは初体験。

■修理記録------------------------------------------------------------

 ・AM放送の受信状態が不安定です。
 ・ループアンテナに触れると受信できたりできなかったりします。
 ・AM回路周辺を指で触るときれいに受信できます。
 ・接触不良が怪しいかも?
 ・薄型ボディの弱点で底板が外せません。基板全体を外して裏返しました。
 ・予想通りAM端子がつながる部分にハンダクラック発見。
 ・これを補修して修理完了。

T11713_2T11750T11751T11752T11753

■調整記録------------------------------------------------------------

 ・サービスマニュアルにはJAモデルの掲載もあり日本語で調整方法が記されています。
 ・ただ簡易的な調整方法なので独自にアレンジして以下に残します。

T117align01

【本体設定】
 ・auto seek OFF
【VT電圧】
 ・フロントエンドパック手前に並んだTPのうち右から5番目にDC電圧計セット
 ・アンテナ入力なし
 ・76.1MHz  →  3.5V ※確認のみ
 ・89.9MHz  → 22.1V ※確認のみ
【クアドラチュア検波調整】※Sメーター、MUTING用
 ・TP2~TP3(R157両端) DC電圧計セット
 ・83MHz(無変調,80dB)→ L105調整 → 0.0±20mV
【RF調整】
 ・LA1231 13端子(R151奥側) DC電圧計セット
 ・83MHz(無変調,40dB)→ L1~L3調整 → 電圧最大
 ※空芯コイルの調整は難しいので今回はノータッチ
【IFT調整】
 ・LA1231 13端子(R157奥側) DC電圧計セット
 ・83MHz(無変調,40dB)→ T1(フロントエンド内)調整 → 電圧最大
【IFモノラル歪調整】
 ・音声出力端子にAC電圧計セット、Wavespectra接続
 ・83MHz(1kHz,100%変調,70dB)MONO受信
 ・VR202 → 時計方向に廻しきる
 ・VR201 → 反時計方向に廻しきる
 ●この状態でパルスカウント検波出力がMPX回路に流れる
 ・L101調整 → 歪最小
【IFステレオ歪調整】
 ・音声出力端子にAC電圧計セット、Wavespectra接続
 ・83MHz(1kHz,100%変調,70dB)STEREO受信
 ・L104調整 → 歪最小
【パルスカウント検波調整】
 ・83MHz(1kHz,100%変調,70dB)MONO受信
 ・R224(奥側)周波数カウンタ接続 → L205調整 → 10.7MHz ※確認のみ
 ・C232(手前)周波数カウンタ接続 → L206調整 → 32.1MHz
 ・R231(奥側)周波数カウンタ接続 → L208,L209調整 → 0.8075MHz ※実測0.804MHz
 ・音声出力端子にAC電圧計セット、Wavespectra接続
 ・VR404調整 → 700mV
 ・VR204 → 反時計方向に廻しきる → 少しずつ戻しながら歪最小点を探す
 ・VR404調整 → 700mV
【PLL検波出力調整】
 ・音声出力端子にAC電圧計セット、Wavespectra接続
 ・83MHz(1kHz,100%変調,70dB)MONO受信
 ・VR201 → 時計方向に廻しきる
 ●この状態でPLL検波出力がMPX回路に流れる
 ・音声出力端子にAC電圧計セット、Wavespectra接続
 ・VR203調整 → 700mV
 ・L202調整 → 歪最小
【PLL検波/パルスカウント検波 切換レベル調整】
 ・音声出力端子にAC電圧計セット、Wavespectra接続
 ・83MHz(1kHz,100%変調,50dB)MONO受信
 ・VR201調整 → PLL/パルスカウントが切り替わる位置に調整
 ※PLL/パルスでは高調波歪の波形の様子が異なるので、これを見て切替状況を判断する
 ※今回は50dB以上でパルスカウント検波がMPX回路に流れるように設定した
【PILOT CANCEL調整】
 ・音声出力をWavespectraで観察
 ・83MHz(19kHz信号,10%変調,80dB)→ VR403調整 → 19kHz信号最小
【SEPARATION調整】Wide
 ・83MHz(L信号,80dB)→ VR401,VC401調整 → Rchもれ最小
 ・83MHz(R信号,80dB)→ VR402,VC402調整 → Lchもれ最小
【SIGNAL METER調整】
 ・VR103 → 反時計方向に廻しきる
 ・83MHz(1kHz90%変調+19kHz10%変調,20dB)
 ・VR102調整 → 第1灯が点灯する位置へ
【IF GAIN調整】
 ・83MHz(1kHz90%変調+19kHz10%変調,20dB)
 ・VR101調整 → 第1灯が点灯する位置へ
【AM VT電圧】
 ・TP1(R323右)DC電圧計セット
 ・ 603kHz →  L306調整 → 2.2V±0.1V
 ・1404kHz → TC304調整 → 7.1V±0.1V
【AM受信調整】
 ・ 729kHz(NHKラジオ)受信 →  L302調整 → 感度最大
 ・1332kHz(東海ラジオ)受信 → TC302調整 → 感度最大
 ・VR301 Sメーター点灯
 ・VR302 ミューティングレベル

T117sches

■試聴----------------------------------------------------------------

 ・検波回路の前後は共通回路なので、検波方式の違いを確かめる実験ができます。
 ・同じ条件でデータを比較するとパルスカウント検波の方がかなり優秀でした。
 ・こんなに面白い機種があるなんて知らなかったです。
 ・毎回いろいろな発見があって楽しいです。

T11709

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