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DENON TU-850 修理調整記録

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 ・2015年3月下旬、回転ドラム式デノン製チューナーの修理を承りました。
 ・「正常動作していたが突然音が出なくなった。」という症状だそうです。
 ・以前入手して調整した1号機があるので比較しながら作業しました。
 ・以下、作業報告です。

■製品情報------------------------------------------------------------

 ・オーディオの足跡 DENON TU-850 ¥70,000円(1977年発売)
 ・Hifi Engine DENON TU-850 ※輸出機の取説、カタログあります。
 ・今回もサービスマニュアルや回路図を捜索しましたがやはり見つかりません。
 ・前回調査で発見した低解像度のブロック図とMPX基板の回路図だけが頼りです。

Denon_tu85003

■動作確認------------------------------------------------------------

 ・フロントパネルに目立つキズは無いが数箇所の塗装ハゲがちょっと残念。
 ・ボディのキズは少ない。ただ経年の汚れ、サビが出ている部分あり。
 ・FMアンテナを接続して動作確認。
 ・電源オン。二つのメーター照明点灯。周波数の窓照明も点灯。
 ・wide受信時のポジションランプ(緑色)点灯。ただしちょっと暗い。
 ・wide受信時、Sメーター、Tメーター動作してFM局を受信OK。
 ・Sメーター最大とTメーター中央が一致しない。STEREOランプ(赤色)点灯。
 ・固定/可変音声端子から音が出る。マルチパスH端子からの音も確認。
 ・音声端子に接触不良あり。接触状態によっては激しいガリ発生。
 ・Muting動作不良。オンにしても局間ノイズが消えない。

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 ・次にnarrow受信に切り替えると音が出なくなる。全くの無音。局間ノイズも出ない。
 ・narrow時のポジションランプ(赤色)が点灯しない。LED切れ。
 ・続いてwide受信に切り替えると、、さっきまで出ていた音が聴こえない。
 ・全くの無音状態。局間ノイズも出ない。
 ・wide/narrow切替スイッチの接触不良?でも切替操作を繰り返すが復旧せず。

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■不調箇所:narrowポジションランプ(LED)切れ--------------------------

 ・stereo赤、wide緑、narrow赤
 ・stereo赤→○点灯正常
 ・wide緑 →△点灯するが暗い
 ・narrow赤→×点灯しない
 ・フロントパネルを分解して交換しようとしましたが、、
 ・特殊形状のLEDだったので交換部品が見つかりません。

Denon_tu85040Denon_tu85043Denon_tu85044Denon_tu85042Denon_tu85041

■不調箇所:リレー制御用トランジスタ------------------------------------

 ・wide/narrow切替時にリレーの動作音が聞こえません。
 ・リレー自体が壊れているのか? 駆動電圧不調か?
 ・リレー駆動用トランジスタ TR9(2SC1313) コレクタ電圧測定。
 ・この電圧がDC10~20Vで安定しない。
 ・手持ちの 2SC1815 に交換。コレクタ電圧30Vで安定。
 ・リレーが正常に動作するようになりました。
 ・wide/narrow切替時にリレーが動作し、音が聞こえるようになりました。
 ・Muting動作の不良もこれで解消しました。

Denon_tu85050Denon_tu85051Denon_tu85052

■不調箇所:stereoランプが高速点滅する----------------------------------

 ・動作確認中に気付いた症状です。
 ・ステレオ放送受信時はstereoランプが正常点灯する。
 ・ただしモノラル放送からステレオ放送に切り替わるとき stereoランプが高速点滅する。
 ・これはNHK-FMでモノラル放送のニュース番組が終わったタイミングです。
 ・stereoランプが高速点滅した状態では音にエコーがかかったよう?に聴こえる。
 ・フロントパネルの切替スイッチでmono/stereoを切り替えると正常になる。

 ・MPX-IC HA11223_8ピン(STEREO INDICATOR)の電圧確認。
  →正常時:mono 12.5V、stereo 0.9V
  →異常時:mono 12.5V、stereo 0.4~0.5V安定しない
 ・これはHA11223の故障だと思って手持ちのHA11223W新品に交換。(ICソケット使用)
 ・ところが交換しても症状が変わらない。ICの故障ではなかった。

Denon_tu85060Denon_tu85061Denon_tu85062Denon_tu85063Denon_tu85064

 ・回路図を追うと、STEREOランプに繋がるTR15とTR16が2SC1313と判明。
 ・3本の足の電圧確認。でも正常時と異常時で顕著な変化なし。
 ・2SC1313は先に交換したリレー駆動用トランジスタと同じ型番です。
 ・念のためと思ってこれを2SC1815に交換。
 ・あら不思議、、STEREOランプの高速点滅が解消し、音も正常になりました。

Denon_tu85070Denon_tu85071Denon_tu85072Denon_tu85073

 ・今回の各種不具合の原因は2SC1313ですね。
 ・本機で使われている2SC1313は交換した3個だけでした。
  ※交換時注意:2SC1313(B-C-E)、2SC1815(E-C-B)。

■調整記録------------------------------------------------------------

Denon_tu85021Denon_tu85023Denon_tu85024Denon_tu85027Denon_tu85028

【IF部】
 VR1:WIDE/NARROWレベル調整
 VR2:ミューティングレベル調整
 VR3:メータ調整 METER SELECTOR=level、100%変調60dBu→メーター0db
 T2:HA1137クアドラチュア検波調整
 T3:レシオ検波調整
【MPX部】
 VR1:VCO微調整 (VR8と直列接続)
 VR2:Pilotキャンセル
 VR3:METER SELECTER=level LEVELメーター(L)調整
 VR4:METER SELECTER=level LEVELメーター(R)調整
 VR5:METER SELECTER=power out VUメータ(L)調整
 VR6:METER SELECTER=power out VUメータ(R)調整
 VR7:Rec Leve調整l 400kHz、LEVELメーター→-6dB
 VR8:VCO調整/TP1-76kHz
 VR9:セパレーション微調整?
 VR11:WIDE側セパレーション調整
 VR12:NARROW側セパレーション調整
 TP1:VCO 76kHz確認用
 TP2:HA11223-8ピン
 TP3:GND

Denon_tu850algn

■試聴---------------------------------------------------------------

 ・IF Band切替は通常はwideポジションでお使いください。
 ・narrowポジションも正常に受信しますが、ただ赤色LEDが点灯しません。
 ・この点だけご容赦願います。
 ・ドラム式周波数窓、Tメーター、二つのレベルメーター、独特の雰囲気です。
 ・同シリーズのアンプと組み合わせるといい感じになるでしょうね。

Denon_tu85009


VICTOR JT-V45

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 ・2015年3月末、VICTOR JT-V45の調整依頼をお引き受けしました。
 ・オリジナルの取扱説明書も一緒に送っていただきました。
 ・説明書にあったブロック図がとても役に立ちました。
 ・以下、作業記録です。

Victor_jtv4508

■製品情報-----------------------------------------------------------

 ・オーディオの足跡 VICTOR JT-V45 VICTOR ¥39,800(1976年頃)
 ・取扱説明書 PDF版

■動作確認------------------------------------------------------------

 ・電源コードの印字 1976
 ・周波数窓のデザインは以前調整した VICTOR JT-V6によく似ています。
 ・ツマミに経年の手垢ありますが、全体に傷もなくとても綺麗な状態です。
 ・電源オン。周波数窓の照明なし、指針先端だけが緑色に光るタイプでした。
 ・二つのメーター照明点灯。Tメーター中央とSメーター最大が一致しない。
 ・Sメーターが最大でも30%程度しか振れない。
 ・STEREOランプ赤く点灯。ただ出てくる音は歪んでいる感じ。
 ・MUTING動作OK。HI-BLENDでは高域が抑えられる効果確認。
 ・333HzテストトーンOK。
 ・珍しいピンクノイズ発生機能があります。でもノイズ音が出ない。
 ・背面音声出力端子は可変式、しかも調整VRが左右独立式。
 ・75Ωアンテナ端子がない。FM専用機としてはちょっと残念。

Victor_jtv4501Victor_jtv4503Victor_jtv4504Victor_jtv4505Victor_jtv4506
Victor_jtv4510Victor_jtv4511Victor_jtv4512Victor_jtv4513Victor_jtv4514

■内部確認------------------------------------------------------------

 ・何と7連バリコン搭載機。予備知識が無かったのでちょっと驚きました。
 ・HA1137W クアドラチュア検波
 ・HA1196 IC化されたPLL-MPX
 ・基本性能は高そうです

Victor_jtv4520Victor_jtv4521Victor_jtv4522Victor_jtv4523Victor_jtv4526
Victor_jtv4526_2Victor_jtv4527Victor_jtv4528Victor_jtv4529Victor_jtv4532

■修理記録:ピンクノイズは本当に不調だったのか??--------------------

 ・動作確認時はピンクノイズが聞こえませんでした。
 ・ところが開腹した状態で動作確認したところピンクノイズが聞こえました。
 ・切替スイッチの接触不良、ノイズ発生回路の不調を疑って内部調査。
 ・しかし結局ピンクノイズが聞こえない症状は再現されません。
 ・単なる接触不良だったか?

■調整記録-------------------------------------------------------------

【FM OSC調整】
 ・Sメーター電圧確認 HA1137W-13ピン=R159左側端子
 ・90MHz TC7,TC6、76MHz L110,L111
【フロントエンド調整】
 ・90MHz TC1,TC2,TC3,TC4,TC5,
 ・76MHz L102,L104,L105,L106,L107
【検波調整】
 ・83MHz受信
 ・T102 → 高調波歪最小
 ・T101 → 高調波歪最小
【MUTING調整】
 ・R165
【VCO調整】
 ・R179 TP 19kHz確認
【セパレーション調整】
 ・R313
【テストトーン調整】
 ・R332 333Hzレベル調整 -6dB
 ・R140 PINK NOISEレベル調整用
  ※R140は接着剤で強力に固められているので調整不可

Victor_jtv45_bd

Victor_jtv45algn

<調整結果>
 ・Sメーターの振れ具合を調整するVRはありませんでした。
 ・Sメーターが30%程度しか振れなかった原因は経年による感度低下です。
 ・フロントエンド調整でSメーターが95%まで振れるようになりました。
 ・感度向上により歪率、セパレーションなど大幅に改善しました。
 ・歪率0.1%(1kHz、ステレオ)、セパレーション約50dB(1kHz)
 ・ほぼカタログスペックに近い値になりました。

■試聴---------------------------------------------------------------

 ・7連バリコン搭載FM専用機。意外な発見でした。
 ・でも周波数窓の照明がちょっと物足りない感じ。
 ・可変出力は背面パネルで左右独立調整できます。
 ・左右のVRを最大位置にしたとき、音量レベルはほぼ同じです。
 ・このまま最大位置でお使いになることお勧めします。

Victor_jtv4509

DENON Professional DN-500R (3)

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 ・購入したのは2014年1月、ほぼ1年半に渡って快調に活躍しています。
 ・先日DN-500Rの使い勝手についてお問合せをいただきました。
 ・その時に「ファームウェアが更新されているかもしれない、、」と思いました。
 ・そういえば購入直後にファームウェアをバージョンアップしてからノータッチ。
 ・購入時のブログに残した製品情報ページを見ると、、あれ?アクセスできません。
 ・調べてみるとホームページアドレスが変わっていました。

Denon_fpga01_11

■製品情報------------------------------------------------------------

 ・inMusic Japan(株式会社ニュマークジャパンコーポレーション)
 ・2014年4月18日ニュースリリース
<以下、引用>
inMusic Brands, Inc.は、2014年4月15日に、D&Mホールディングスより、Denon Professional、Marantz Professional、Denon DJの三つのブランドを新たにグループに迎えたことを発表いたしました。
<引用ここまで>

 ・DENON PROFESSIONAL
 ・DN-500R製品情報

■ファームウェアアップデート------------------------------------------

 ・最新版は v1.16 のようです。
 ・圧縮ファイルをダウンロードして解凍。
 ・中にはデータファイルだけでアップデート方法の記載がありません。
 ・解説資料はv1.13フォルダを解凍した中に英文PDFがありました。
 ・日本語サポートはなくなったのでしょうか?

Dn500r_v1161Dn500r_v1162Dn500r_v1163Dn500r_v1164Dn500r_v1165

■使い勝手------------------------------------------------------------

 ・本来は多彩な使い方ができるレコーダーです。
 ・FMエアチェック専用機としての使い方ではもったいないかな。
 ・ワイヤレスリモコンが無いことを除いて使い勝手に不満はありません。
 ・録音媒体がUSBメモリやSDカードなので、録音済みファイルの移動が楽チンです。

 ・実は愛機CDR-HD1500もまだ稼動しています。もうすぐ10年選手。
 ・PATA仕様のHDD(400GB)の備蓄はあと2台。
 ・HDDが尽きるのが先か、CDR-HD1500が壊れるのが先か?

SONY ST-5150D 修理調整記録

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 ・2015年4月初め、ST-5150Dのメンテナンスをお引受しました。
 ・発売当時に購入したワンオーナー品だそうです。
 ・今後も長く使うためのメンテナンスを、というご依頼でした。
 ・以下、作業記録です。

St5150d06

■製品情報------------------------------------------------------------

 ・オーディオの足跡 ST-5150D ¥49,800円 1975年頃
  →ST-5150D 回路図
 ・オーディオの足跡 ST-5150 ¥39,800円 1973年頃
  →ST-5150 回路図

St5150d01St5150d10St5150d05St5150d12St5150d13

<ST-5150 → ST-5150D 変更点>
 ・フロントパネルにMULTIPATHスイッチ追加
 ・MULTIPATHスイッチをONにするとSIGNALメーターがMULTIPATHメーターとして機能
 ・背面に FM DISCRI OUTPUT(検波出力)端子追加

■動作確認------------------------------------------------------------

 ・フロントパネル、ボディとも目立つキズはありません。
 ・大切に扱われていたことが分かります。
 ・ただ電源コードの印字は「1974」。ベタつき感あり。
 ・電源オン。周波数窓と二つのメーター照明点灯。
 ・75Ωアンテナケーブルを接続してFM放送を受信確認。
 ・+0.2MHz程度の周波数ズレ。MUTING動作OK。
 ・Sメーター最大とTメーター中央が一致しない。
 ・STEREOランプ点灯。実際にステレオ感あり。
 ・FMのポジションランプが点灯しない。
 ・AMは背面バーアンテナで受信OK。

St5150d20St5150d21St5150d22St5150d23St5150d30

■分解清掃------------------------------------------------------------

 ・フロントパネル裏側に「49.5.3」と印字されていました。
 ・「昭和49年5月3日」と読めば1974年ですね。
 ・周波数窓裏側に堆積していたホコリを清掃してガラス磨き。
 ・ガラス板を磨きすぎると数字や目盛りを傷つけるので注意。
 ・さらにガラス板両端に塗られている緑色塗料も剥がさないように注意。

St5150d34St5150d35St5150d25St5150d24St5150d27

■修理記録:FMポジションランプ----------------------------------------

 ・電球切れかと思ったら電球は点灯していました。
 ・電球の設置位置がずれて「FM」の文字が光らない状態でした。
 ・ゴム製電球フォルダ内で位置を調整して作業完了しました。

■再調整--------------------------------------------------------------

 ・FM OSC調整:CT104、L104
 ・FMトラッキング調整:CT101,102,103、L101,L102,L103
 ・FMレシオ検波調整:T201
 ・FMステレオ調整:T401 L+R信号→Lch最大へ
 ・FMセパレーション調整:RT401
 ・FM Sメーター調整:RT202
 ・ミューティング調整:RT201
 ・AM 調整:バーアンテナ、CT301、CT302、T301、CFT301
 ・AM Sメーター調整:RT301

■試聴----------------------------------------------------------------

 ・何度も書いていますが、この時期のソニーデザインは最高ですね。
 ・アルミ光沢と緑色照明が見事にマッチしています。
 ・永く使っていただけると思います。

St5150d03

St5150d04

SONY ST-5090

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 ・2015年GW、ソニー製の古いチューナーを探してHO巡回しました。
 ・最近は目ぼしい出物はないですね。あっても異常な高値でビックリ。
 ・そんな中で見つけたのはST-5090のジャンク品。
 ・今修理中のチューナーに使える部品があるかも? そんな期待でした。

St509007

■製品情報------------------------------------------------------------

 ・オーディオの足跡 SONY ST-5090 ¥34,800(1975年頃)
 ・ソニーカタログ(1974年5月版)より抜粋

Sony_1974_05

■動作確認------------------------------------------------------------

 ・白木のウッドボディは珍しいですね。「ローレンス・オーク仕上げ」とか、、
 ・ボディ全体の汚れを落とすときれいな木目ボディが蘇りました。
 ・フロントパネルにも目立つキズ無し。
 ・電源コードの印字 1974。

St509001St509005St509006St509003St509004

 ・FMアンテナを接続して電源オン。照明窓の左端が暗い。電球切れ?
 ・Sメーターランプ点灯OK。指針もオレンジ色に輝く。
 ・FMポジションランプが点灯しない。AMポジションランプは点灯OK。
 ・FM放送受信OK。周波数ズレはほとんどなし。STEREOランプ点灯。
 ・AMも受信OK。AMバーアンテナを内蔵しているのか?

St509009St509010St509011St509012St509013

■内部確認、修理調整など----------------------------------------------

 ・すぐにAM用の大きなバーアンテナが目に付きます。
 ・FM3連AM2連、小さなフロントエンドユニット→CF2個→レシオ検波
 ・MPX部はディスクリート構成。調整用VRは1個だけ。
 ・期待していたパーツは無かったですが、一通り整備してみました。

St509020St509022St509023St509024St509025

 ・フロントパネル裏側「49.7.2」→昭和49(1974)年7月2日?
 ・周波数窓の電球(8V0.3A)交換。
 ・FMポジションランプ交換。

St509040St509041St509043St509044St509045

 <各部調整>
  ・IFT101:FM IFT
  ・IFT201:レシオ検波調整
  ・L301:L+R信号→Lch最大
  ・RT501:セパレーション調整

St509027St509028St509030St509031St509032

■試聴-----------------------------------------------------------------

 ・FM/AMとも正常動作します。
 ・FM放送はそこそこ。AM放送は音が太くて良い感じです。
 ・1974年5月版カタログに ST-5000F がまだ載っていましたよ。

Sony_1974_05__2

St509008

TRIO KT-3300

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 ・2015年4月末、修理調整作業のご褒美としてKT-3300を頂戴しました。
 ・この機種はHOでジャンク品を見かけますが、内部を見るのは初めてです。

Kt330007

■製品情報------------------------------------------------------------

 ・オーディオの足跡 TRIO KT-3300 ¥25,500(1975年頃)
 ・Hifi Engine Kenwood KT-3300 ※輸出機の回路図あります

Kt330001Kt330003Kt330004Kt330005Kt330006

■動作確認------------------------------------------------------------

 ・フロントパネル、ボディとも経年の汚れがあるものの目立つキズはない。
 ・電源コードの印字 1976
 ・アンテナを接続して電源オン。メーター照明点灯。
 ・周波数窓の照明が点灯しない。・指針は光らないタイプか?
 ・STEREOランプ点灯。出音に違和感なし。
 ・FM/AMとも基本動作に問題なさそう。

Kt330010Kt330011Kt330012Kt330013Kt330014

■内部確認------------------------------------------------------------

 ・小さめのボディの中に更に小さめの基板。
 ・FM3連バリコン → CF×2個 → HA1137 → HA1156
 ・AM2連バリコン → HA1151
 ・HA1137:クアドラチュア検波
 ・HA1156:PLL-MPX
 ・HA1151:AM SYSTEM

Kt330020Kt330021Kt330022Kt330023Kt330025
Kt330026Kt330027Kt330028Kt330029Kt330030

■修理調整記録--------------------------------------------------------

【照明電球交換】
 ・周波数窓両側にある電球が切れていました。
 ・手持ち品の中から適合品を見つけてさくっと交換。
 ・ステキな照明窓がよみがえりました。

Kt330041Kt330040Kt330042Kt330043Kt330044

【FMフロントエンド】
 ・OSC調整 CT1、T3
 ・RF調整 CT2,CT3,T2,T1
 ・IFT調整 T4
 ※HA1137-13ピン R14 電圧測定ポイント
【検波調整】
 ・HA1137 7-10ピン 電圧計セット
 ・T5上段電圧ゼロ、T5下段高調波歪最小
【MPX調整】
 ・VCO調整 VR1 76kHz
【AM調整】
 ・VR2 メーター調整

Kt3300_sche

■試聴----------------------------------------------------------------

 ・見た目はコストダウン機そのものですね。
 ・でも中身はHA1137によるクアドラチュア検波、HA1156のPLL-MPX。
 ・基本性能は充分です。
 ・柔らかいオレンジ色の照明もとても良い雰囲気。
 ・部品取り機として活用させていただきます。

Kt330008

SONY ST-5150D 調整記録

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 ・2015年5月初め、ST-5150Dの調整作業をお引受しました。
 ・発売当時に購入したワンオーナー品だそうです。
 ・周波数ズレが気になるのでメンテナンスを、というご依頼でした。
 ・以下、作業記録です。

St5150d07

■製品情報------------------------------------------------------------

 ・オーディオの足跡 ST-5150D ¥49,800円 1975年頃
  →ST-5150D 回路図

■動作確認------------------------------------------------------------

 ・購入以来ずっとオーディオラックに入っていたそうです。
 ・フロントパネル、ボディとも目立つキズはありません。
 ・電源コードの印字は「1974」。ベタつき感はほとんどなし。
 ・電源オン。周波数窓と二つのメーター照明点灯。
 ・75Ωアンテナケーブルを接続してFM放送を受信確認。
 ・何も受信しない状態でTメーターが中央から外れている。
 ・+0.2MHz程度の周波数ズレ。MUTING動作OK。
 ・Sメーター最大とTメーター中央が一致しない。
 ・STEREOランプ点灯。実際にステレオ感あり。
 ・AMは背面バーアンテナで受信OK。

St5150d01St5150d03St5150d04St5150d05St5150d06
St5150d10St5150d11St5150d12St5150d13St5150d14

■分解清掃------------------------------------------------------------

 ・フロントパネル裏側に「49.5.17」と印字されていました。
 ・「昭和49年5月17日」と読めば1974年ですね。
 ・周波数窓裏側に堆積していたホコリを清掃してガラス磨き。
 ・ガラス板を磨きすぎると数字や目盛りを傷つけるので注意。
 ・さらにガラス板両端に塗られている緑色塗料も剥がさないように注意。

St5150d30St5150d31St5150d32

■再調整--------------------------------------------------------------

 ・FM OSC調整:CT104、L104
 ・FMトラッキング調整:CT101,102,103、L101,L102,L103
 ・FMレシオ検波調整:T201上段 Tメーター中央へ
 ・FMレシオ検波調整:T201下段 高調波歪最小へ
 ・FMステレオ調整:T401 L+R信号→Lch最大へ
 ・FMセパレーション調整:RT401
 ・FM Sメーター調整:RT202
 ・FMミューティング調整:T202 → D205電圧最大へ
 ・FMミューティングレベル調整:RT201
 ・固定出力調整::RT402(Rch) / RT403(Lch)→同レベルへ
 ・AM 調整:バーアンテナ、CT301、CT302、T301、CFT301
 ・AM Sメーター調整:RT301

St5150d20St5150d23St5150d25St5150d27St5150d28

Sony_st5150d_schematic_2

■試聴----------------------------------------------------------------

 ・周波数ズレ、Tメーターの中央ズレは解消しました。
 ・各部調整によって良い性能を取り戻したと思います。
 ・シルバーパネルに映えるグリーンイルミが最高です。
 ・これからも長くご愛用ください。

St5150d08

SONY ST-5000

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 ・2015年4月初め、「F」が付かない ST-5000 の修理調整を承りました。
 ・ST-5000F と ST-5000 の違いに興味あります。
 ・以下、作業記録です。

St5000207

■製品情報------------------------------------------------------------

 ・SONY ST-5000  1967年 88,000円
 ・SONY ST-5000F 1969年 98,000円

St5000200St5000202St5000203St5000204St5000205

 ・フロントエンドのトランジスターがFETに代わり型番にFETの「F」が付けられた。
 ・ST-5000F の輸出機型番は「ST-5000FW」でした。
 ・勘を働かせて「ST-5000W」をキーワードに検索すると海外サイトが多数ヒット。
 ・「F」は FET の頭文字だったはず。
 ・「W」は ?、、ひょっとして WORLD の頭文字とか?

St5000210St5000212St5000213St5000214St5000215

■動作確認------------------------------------------------------------

 ・フロントパネルに目立つ傷はなく状態は良好。
 ・ただボディや背面パネルには擦り傷やサビがあります。
 ・300Ω端子にFMアンテナを接続して電源オン。
 ・二つのメーター照明点灯。周波数窓の照明も点灯、ただしちょっと暗い印象。
 ・Sメーターは勢いよく振り切れる。Tメーターも動作OK。
 ・83.0MHzのテスト信号を83.2MHz付近で受信する。+0.2MHz程度の周波数ズレ。
 ・FM放送モノラル受信OK。ただしLchの音量が極端に小さい。
 ・STEREOランプ点灯しない。実際に聞こえてくる音もモノラル。

 ・ここまで確認したときに電源コードが損傷していることに気付きました。
 ・特に本体付け根側が断線寸前。プラグ側付け根も芯線が見える状態でした。
 ・通電中に気が付いたので、すぐさま作業中断。

■修理記録1:電源コード交換-------------------------------------------

 ・このままでは作業が進まないので、損傷した電源コードを交換しました。
 ・部品取り用に保管していたSONY ST-5150Dの電源コードを外して移植。
 ・コードストッパーは内側から丁寧に外して再利用しました。
 ・交換後もオリジナルに近い雰囲気は保っています。
 ・パッと見では電源コードが変わったとは気付かないでしょう。
 ・でも良く見るとコードの印字が「1974」に変わっているところがミソ。

St500001St500002St500045St500046St500051

■動作再確認----------------------------------------------------------

 ・動作確認再開。
 ・そういえばTメーターの針の振れ方が変?左右逆じゃないか?
 ・75Ω端子に同軸ケーブルを接続すると受信感度が大幅低下。
 ・Mutingは正常に動作しているようです。

<問題点>
 ・75Ω端子の配線確認。
 ・+0.2MHz周波数ズレ
 ・Tメーター振れ方が左右逆
 ・ステレオ受信不可
 ・左右の音量レベルの違い

■内部確認------------------------------------------------------------

 ・5連バリコン → 7段のLCフィルタ → レシオ検波 → MPX
 ・回路構成は ST-5000F とは全く違いますね。
 ・照明用電球は修理済み。ただ配線がかなり変更されている。
 ・STEREOランプ点灯しないが球切れではない。電球仕様12V100mA。
 ・トランジスタや電解コンデンサーがいくつか交換済み。
 ・75Ωアンテナ端子からの内部配線が切断されている。
 ・既にかなり手が加えられた個体のようです。

St500003St500004St500005St500009St500011
St500030St500031St500033St500034St500035

■修理記録2:Tメーターの針の振れ方が逆---------------------------------

 ・たぶん電球配線を変更した先人が、作業時にメーター配線を一時的に外したと思います。
 ・その後復旧するときに配線を逆にしたようです。
 ・Tメーターに繋がる配線を逆にすると針の振れ方が正常に戻りました。

St500021St500022St500023St500024St500025

■回路図購入----------------------------------------------------------

 ・ST-5000(国内)→ ST-5000W(海外)
 ・ネット上で無料の回路図を探しましたが発見できず。
 ・アメリカのマニュアル販売サイトManual-in-PDF でサービスマニュアルを購入しました。
 ・7.98米ドル。支払いはPayPalです。
 ・ここは今まで10回以上利用していますが、今のところ購入トラブルなし。
 ・回路図と詳細な部品リスト、合計10ページのコンテンツでした。
 ・部品リストに日付がありました。1967年6月。
 ・調整方法の解説ページはなかったです。

St5000adj2

■回路図と実機の照合--------------------------------------------------

 ・照合の結果、実機と回路図はほぼ一致しました。
 <パーツリストより抜粋>
 ・フロントエンドユニット FMC-023W1 回路図
 ・フロントエンドユニット FMC-023J1 実機
 <IFユニット>
 ・IFT215 DET primary
 ・IFT216 DET Secondary
 <MPXユニット>
 ・T506,T508 Coil 19Kc Trap
 ・T507      Coil 67Kc
 ・T503 19kc doubler
 ・T504 38Kc pickup
 ・T505 38kc switching

■仮調整--------------------------------------------------------------

 ・問題箇所を特定するために現状のベスト状態に調整してみました。

5000upper5000lower

【OSC 調整】
 ・D202上側(Sメーター電圧確認ポイント)
 ・90MHz C106:調整OK
 ・76MHz L105:周波数が変化しない
<課題>
 ・高い周波数では指針と目盛りはぴったり合います。
 ・L105で調整不可。低い周波数では+0.3MHzほどのズレが解消できません。
【RF調整】
 ・D202上側(Sメーター電圧確認ポイント)
 ・90MHz:C102,103,104,105
 ・76MHz:L101,102,103,104
 ・IFT101,102
【IF部調整1】
 ・SSGから10.7MHzを直接入力
 ・VR201 RF-ATT 最大位置に設定
 ・D202上側(Sメーター電圧確認ポイント)
 ・IFT201,202,203,204,205,206 → Sメーター電圧最大
 ・音声出力をWaveSpectraで観察、最大出力ポイントを確認
【IF部調整2】
 ・R276(電圧確認ポイント)
 ・IFT207,208,209,210,211,212,213,214 → Sメーター電圧最大
 ・音声出力をWaveSpectraで観察、最大出力ポイントを確認
【レシオ検波調整】
 ・IFT215:高調波歪調整
 ・IFT216:Tメーター中央
【Muting調整】
 ・D209電圧確認
 ・IFT217,218調整 D209電圧最大へ
 ・実際のMuthing動作レベルは背面パネルVR202で調整
【既に交換済み部品】
 ・X213:2SC403 → 2SC1815
 ・X217:2SC401 → 2SC1815
<課題>
 ・トランジスタ2個が既に交換済み。
 ・IF回路のIFTコアがひどくズレていました。
 ・ミューティング動作OK。
 ・IF回路は問題無さそうです。
【MPX調整】
<実機と回路図との相違箇所>
 ・X503 2SC401(回路図)→2SC631(実機)
 ・ステレオ復調調整不可
<交換済み部品>
 ・C523 10uF/25V
 ・C526,527 30uF/12V
<動作不良1>
 ・Lchの音が小さい
 ・X511(B)=X512(B)
 ・X511(C)≠X512(C)
<動作不良2>
 ・STEREOランプが点灯しない
 ・X501(B)正常
 ・T503入力側までOK、出力側に信号なし
 ・スイッチング信号が出ていない。

■修理記録3:Lchの音が小さい---------------------------------------

 ・この現象はステレオ復調後のトランジスタ不良が怪しいか?
 ・MPX回路のトランジスタにICクリップを引っ掛て出音を直接確認。
 ・すぐに不良箇所発見。Lch X511 2SC401コレクタ出力がRchより大幅に小さい。
 ・X511 2SC401 → 2SC1815 交換
 ・ところが症状が改善しない??
 ・それなら電解コンデンサーが原因か? C525 10u/25V 交換。
 ・でもやはり改善せず。
 ・C525、X511周辺を重点捜索したところ、プリント基板側の配線断裂を発見。
 ・この近くの電解コンデンサ C527(30uF/12V)→ 47uF/50V に交換済み。
 ・半田ごての先端が滑った勢いでプリント配線を切断したような痕跡です。

St500066St500070St500071St500072St500073

 ・切断箇所にハンダを被せて修理完了。出音確認。
 ・Lchのレベルが上がってRchとほぼ同レベルに回復しました。
 ・トランジスタや電解コンデンサの交換は無用でした

■修理記録4:MUTING不調---------------------------------------------

 ・左右の音量差問題が解消したところでモノ受信で再度動作確認。
 ・電源投入から3時間ほど経つとMUTING動作が不調になる。
 ・十分な信号強度があるにも関わらずMUTINGが作動して聞こえなくなる。
 ・動作確認でIF回路は正常と思いましたが、MUTING制御用トランジスタの不調か?。
 ・トランジスタX213/2SC403→2SC1815 既に交換済み
 ・今回は X214,215,216/2SC401→2SC1815に交換しました。
 ・特にX216のベース足が切れかかっていました。
 ・ついでにX211,X212/2SC403→2SC1815交換。
 ・MUTING動作は正常になったと思います。

St500011_2St500012St500013St500014St5000107

■修理記録5:STEREOランプが点灯しない。

 ・STEREOランプの電球自体は生きています。単純なタマ切れではない。
 ・ステレオ復調、パイロット信号によるスイッチングができていない。

St5000mpx2St5000mpx22

 ・詳細調査の結果、T503の一次側で信号が確認できません。
 ・回路図を追って怪しいトランジスタX502(2SC401)→2SC1815に交換。効果なし。
 ・その他多くのトランジスタとコンデンサを交換しましたが改善なし。
 ・T503は既に外した痕跡がありました。
 ・試しにT503を外して確認すると、T503内部で断線していました。
 ・目視でも分かります。細い線が端子との接合部で3か所切れています。
 ・T501、T502、T503は用途は違いますが同じ型番の部品でした。
 ・T501、T502ともコア割れ。T503は内部断線で使用不可。
 ・T503はスイッチング信号38kHzを生成するコイルです。

St500057St500060St500061St500062St500065

 ・試しにLUXMAN T-300Vから同等部品を取り外して別基板を制作しました。
 ・これを新T503として接続してみるとSTEREOランプが点灯しました。
 ・本来はT502で19kHzを最大に調整するようですが、コア割れのため正確に調整できません。
 ・T502の割れたコアをグリグリいじって試行錯誤で最適位置を見つけてボンド固定。
 ・STEREOランプ点灯しますがちょっと暗いです。

St5000111St5000114St5000115St5000118St5000119

■動作確認---------------------------------------------------------

 ・STEREOランプが点灯するようになったのでMPX回路を再調整しました。
 ・STEREO受信時に左右の出力レベル差あります。Lchがやや小さい(-6dB程度)
 ・MONO受信時は左右同レベル。
 ・ステレオ分離後のトランジスタや電解コンデンサを交換しましたが改善せず。
 ・セパレーション値は25dB程度とよくないです。
 ・やはり別機種から移植した代替品ではスイッチング動作が正常ではないかも?
 ・一応ステレオ受信しますが、モノラルで聞いた方が良い音で聴けます。
 ・作業は一旦ここまでとします。

St5000209

■記念写真--------------------------------------------------------

・私のST-5000Fと並べてみました。
・意外なことに、周波数を刻んだガラス板サイズが違いました。
・周波数目盛りの間隔も違います。
・ガラス板が流用できそう、、と思ったらアテが外れました。

St5000251St5000252St5000254St5000253

SONY ST-S333ESXII 修理調整記録4

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 ・2015年5月末、SONY ST-S333ESXIIの調整依頼を承りました。
 ・電解コンデンサなどは既に交換済みとのこと。
 ・以下、作業内容のご報告です。

333esxii06

■製品情報------------------------------------------------------------

 ・オーディオの足跡 SONY ST-S333ESXII ¥49,800(1987年発売)
 ・1987年10月発行「SONY ES テクノロジーカタログ
 ・Hifi Engine ST-S730ES 海外版サービスマニュアル

333esxii01333esxii03

■動作確認------------------------------------------------------------

 ・天板に擦り傷、わずかに凹みあり。フロントパネルはほぼ無傷。
 ・電源OK。FM受信OK。周波数ズレなし。AUTO選局OK。
 ・IF BAND切替OK。MUTING動作OK。STEREOランプ点灯。
 ・MPX FILTERオフにすると音が歪む感じがします。
 ・MPX FILTERオンでは違和感なし。
 ・CAL TONE出力 OK。
 ・付属AMループアンテナでAMの動作確認。
 ・AM受信OK。

333esxii10333esxii14333esxii15333esxii16333esxii17
333esxii18333esxii19333esxii20333esxii21333esxii22

■調整記録------------------------------------------------------------

 ・依頼者様によって多くの電解コンデンサが既に交換済みでした。
 ・海外版SMの記述をベースにして一部アレンジ。

【FM同調点調整】
 ・IFT205調整 LA1235-7pin~10pin間電圧ゼロ ※調整前実測315mV
 【VT電圧調整】
 ・IC803-5pin電圧測定
 ・90MHz L104調整 21.0V±0.2V ※調整前実測21.2V
 ・76MHz 確認のみ 8.0V±1.0V ※調整前実測7.98V
【SST回路調整】
 ・SST調整はVT電圧調整後、かつトラッキング調整前に行うこと
 ・76MHz受信 RT801調整 IC802-11pin電圧 → 0V
 ・90MHz受信 IC802-9pin電圧 → 14V確認 ※調整前実測13.9V
【トラッキング調整】
 ・IC203(LA1235)-13pin(又はRT204)電圧max
 ・76MHz L101,L102,L103
 ・90MHz CT101,CT102,CT103
【PLL検波調整】
 ・TP201をGNDに落とす
 ・IFT207調整 TP202 DC電圧ゼロ ※調整前実測118mV
 ・CT201調整 歪最小
【IF歪調整】
 ・Wide受信、MUTINGオフ
 ・IC203(LA1235)-13pin電圧計セット
 ・RT202、RT203 時計回り一杯に回す
 ・SSG出力20dBモノラル信号送信
  ・IFT201調整 電圧最大へ
  ・IFT101調整 電圧最大へ
 ・SSG出力80dBにセット
  ・IFT203、RT202を交互に調整 歪最小へ
 ・SSG出力20dBにセット、Mutingオン
  ・IFT202調整 電圧計最大へ
 ・SSG出力80dBステレオ信号送信
  ・IFT204、RT203を交互に調整 歪最小へ
【STEREOインジケータ調整】
 ・RT206 SSG出力20dBでステレオインジケータ点灯
【パイロットキャンセル】
 ・RT303、L301 19kHz信号漏れ最小 左右バランス確認
【セパレーション調整】
 ・RT301 R→L ※調整後実測56dB
 ・RT302 L→R ※調整後実測54dB
【Sメーター調整】
 ・RT204
【MUTINGレベル調整】
 ・RT205
【CAL TONE】
 ・Peak Level-5.4dB 298Hzの波形が出ていました。-6dBに調整。
【AM調整】
 ・RT401 Sメーター調整
 ・RT402 AUTOSTOP調整

333esxii40333esxii23333esxii24333esxii25333esxii26

<調整結果>
 ・特にPLL検波調整によって歪率が小さくなりました。
 ・セパレーション値も大幅に改善しました。
 ・ただ、過去のESXII事例と比較するとちょっと物足りない感じです。

■試聴----------------------------------------------------------------

 ・調整前後でそれぞれ基準音信号を録音した音をご確認ください。
 ・MPX FILTER オフにすると歪感がやや大きくなります。
 ・通常は MPX FILTERオン で使用した方が良いです。

333esxii07

■新たな発見-----------------------------------------------------------

 ・依頼者様のご指摘で新たな発見がありました。
 ・オーディオ回路最終段のLPFが今まで見た個体とは違います。
 ・過去に見た事例と回路図ではオペアンプを使ったアクティブ型ですが、、
 ・今回の ESXIIではモジュール型のLPFでした。

333esxii50
今回のST-S333ESXII
333esxii51
過去のST-S333ESXII

 ・これまでESXIIを見るときはいつもMPX-ICの型番に注目していました。
 ・今回もCXA1064でしたが、ESXIIには LA3450を載せた個体もあります。
 ・実はLA3450を実装した個体を見たいと思い、ESXIIの修理調整をお引き受けしています。
 ・いつも新たな発見があって楽しいです。
 ・ありがとうございました。

SANSUI TU-S707X 修理調整記録3

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 ・2015年5月、TU-S707Xの修理調整作業を承りました。
 ・これはサンスイのSLDD回路に興味を持っていろいろ研究した思い出の機種です。
 ・懐かしさ半分の作業記録です。

Tus707x10

■製品情報------------------------------------------------------------

 ・オーディオの足跡 SANSUI TU-S707X ¥54,800(1984年発売)
 ・オーディオ懐古録
 ・Hifi Engine TU-S77X※回路図あり

Tus707x02Tus707x14

■動作確認------------------------------------------------------------

 ・電源OK。FM/AMとも受信します。STEREOランプ点灯。
 ・MUTING動作OK、IFバンド(Wide/Narrow)切替OK。
 ・特に問題はなさそうですが、、

<依頼者様からのご指摘事項>
 >NHK-FM受信時、モノラルニュース番組に切り替わってもSTREOランプが点灯したまま

 ・信号発生器からテスト信号を送ってご指摘の症状を確認しました。
 ・さらに、、なぜか89.5MHzより高い周波数のFM電波を受信できません。
 ・76.0MHz~89.4MHz区間は正常に受信します。
 ・不思議??

Tus707x03Tus707x05Tus707x06Tus707x15Tus707x16

■内部確認------------------------------------------------------------

 ・元々FM放送を受信できない状態だったそうです。
 ・電源部の電解コンデンサー全数交換済み。
 ・フロントエンド内のトリマコンデンサー交換済み。
 ・トリマコンデンサー交換によって受信できるようになったそうです。

Tus707x20Tus707x21Tus707x22Tus707x23Tus707x38

■修理記録------------------------------------------------------------

 ・まずは過去の調整事例に倣って軽く再調整してみました。
 
>89.5MHzより高い周波数のFM電波を受信できない件
 ・フロントエンドに供給される電圧24.2V
 ・89.5MHz=24.2Vとなってそれ以上変化せず。
 ・VT電圧設定値が高すぎるようです。以下のように少し下げてみました。
  →調整前:90MHz→24.2V、76MHz→3.3V
  →調整後:90MHz→22.1V、76MHz→3.1V
 ・これで89.5MHz以上も受信できるようになりました。

>モノラル放送でもステレオランプ点灯する件
 ・VR104 PILOT OFFSET調整がズレていました。
 ・規定値に調整したところ正常動作になりました。

Tus707x24Tus707x25Tus707x26Tus707x27Tus707x28
Tus707x29Tus707x30Tus707x31Tus707x32Tus707x33
Tus707x34Tus707x35Tus707x36Tus707x37Tus707x40

■受信調整------------------------------------------------------------

 ・もう一度各部を調整しました。
 ・TU-S707X本来の性能を取り戻したと思います。

Tus707x40_2

※RF-IF部基板の調整(本体正面から見て右側の基板)

【本体正面・機能切替ボタン設定】
 ・FM MODE=MONO
 ・IF BAND=WIDE
 ・RF MODE=DX
【基準周波数調整】
 ・IC1[TC9147BP] 36-42pin短絡
 ・IC1[TC9147BP] 24pin-GNDに周波数カウンタセット
 ・TC1を調整 → 25kHz
【VT電圧確認】
 ・フロントエンド内[VT-GND]に直流電圧計接続
 ・76MHz時の電圧=実測値3.3V → ※調整後 3.1V
 ・90MHz時の電圧=実測値24.2V→ ※調整後22.1V
 ※電源部からの供給電圧24.2V
【フロントエンド調整】
 ・IC3[HA12412] 13pin-GNDに直流電圧計接続
 ・SSG 76MHz、1kHz、100%変調、30dB
 ・受信周波数76MHzの位置でコイルL1,L2,L3,L4の間隔調整 → 電圧最大値
  ※コイル間隔の調整は難しいので見送り
 ・SSG 90MHz、1kHz、100%変調、30dB
 ・受信周波数90MHzの位置でトリマコンデンサTC1,TC2,TC3,TC4調整 → 電圧最大値
 ・上記作業を数回繰り返す
【IFTコイル調整】
 ・IC3[HA12412] 13pin-GNDにDC電圧計接続
 ・SSG 83MHz、1kHz、100%変調、30dB
 ・フロントエンド内IFTコイル調整 → 電圧最大値
 ・RF基板上の[T1]を調整 → 最大電圧
 ・IF BAND=NARROWに切り替え → 電圧値測定
 ・IF BAND=WIDEに戻して電圧測定 → VR2[WIDE GAIN]調整 → NARROW時と同じ電圧
【FM同調点の調整】
 ・[TP1-TP2] DC電圧計接続
 ・無信号状態でT2のIC側コアを調整 → 電圧=0V±30mVに。※調整前実測150mV
 ・SSG 83MHz、1kHz、100%変調、60dB
 ・T2のIC反対側コアを調整 → 二次高調波最小
 ・上記作業を数回繰り返す
【FM LOCKED LEVEL調整】
 ・SSG 83MHz、1kHz 100%変調、30dB
 ・VR4[FM SIGNAL]を調整 → 本体正面[LOCKED]オレンジ色LEDが全灯する位置
【REC Level】
 ・VR5調整 422kHz -6dB

※MPX部基板の調整(本体正面から見て左側の基板)

【本体正面・機能切替ボタン設定】
 ・FM MODE=STEREO
【VCO フリーラン周波数調整】
 ・SSG 83MHz、無変調、60dB
 ・TP1-TP4にDC電圧計接続 → VR105[OFFSET VCO]調整 → 電圧=0V±0.05V
 ・TP3[VCO]-GNDに周波数カウンター接続 → L101調整 → 304.000kHz
【PILOT OFFSET調整】
 ・SSG 83MHz、無変調、60dB
 ・TP2-TP5に直流電圧計接続 → VR104[PCAN]調整 → 電圧=0V±0.1V
 ・SSG 83MHz、60dB、19kHzPILOT信号ON → ステレオランプ点灯を確認
【PILOT CANCEL調整】
 ・音声出力をWaveSpectraに接続
 ・SSG 83MHz、60dB、19kHzPILOT信号ON
 ・本体正面のステレオランプ点灯を確認。
 ・L100、VR103L調整 → WaveSpectraでL-ch波形観察 → 19kHz信号レベル最小
 ・VR106、VR103R調整 → WaveSpectraでR-ch波形観察 → 19kHz信号レベル最小
【IF BAND=WIDE セパレーション調整】
 ・SSG 83MHz、1kHz 100%変調、70dB、Rchのみ信号、PILOT信号ON
 ・VR102L調整 → ※調整後実測62.2dB
 ・SSG 83MHz、1kHz 100%変調、70dB、Lchのみ信号、PILOT信号ON
 ・VR102R調整 → ※調整後実測64.2dB
 ・VR100[BEAT NOISE]調整 → ビートノイズを最小
【IF BAND=NARROW セパレーション調整】
 ・音声出力をWaveSpectraに接続
 ・SSG 83MHz、1kHz 100%変調、70dB、Rchのみ信号、PILOT信号ON
 ・VR101L調整 → ※調整後実測62.2dB
 ・SSG 83MHz、1kHz 100%変調、70dB、Lchのみ信号、PILOT信号ON
 ・VR101R調整 → ※調整後実測62.2dB
【MUTING LEVEL調整】右側RF基板
 ・音声出力をWaveSpectraに接続
 ・SSG 83MHz、1kHz 100%変調、25dB、ステレオ信号、PILOT信号ON
 ・VR3[MUTE]を調整 → ステレオランプ点灯し信号が出る位置へ
【AUTO STOP LEVEL調整】右側RF基板
 ・SSG 83MHz、1kHz 100%変調、30~35dB、ステレオ信号、PILOT信号ON
 ・VR1[FM.STOP]を調整 → オートサーチが有効な位置へ

【AM調整】
 ・LA1245-16ピン → AM Sメーター電圧測定
 ・T2、TC1,TC2

Tus707x

■試聴----------------------------------------------------------------

 ・外観は薄型ボディとサイドウッドが精悍な印象です。
 ・久しぶりに聴くTU-S707Xですがやはりイイ感じですね。
 ・以上、作業完了しました。

Tus707x11

TRiO KT-990 修理調整記録3

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 ・2015年5月、TRiO KT-990の修理調整作業を承りました。
 ・AM受信OK、でもFM受信不可だそうです。
 ・以下、作業記録です。

Kt90003

■製品情報------------------------------------------------------------

 ・オーディオの足跡 TRIO KT-990 ¥53,800円(1982年発売)

Kt90002Kt90009_2

■動作確認------------------------------------------------------------

 ・フロントパネルがグラグラして選局つまみと接触している。
 ・ボディ全体は結構きれい。AMループアンテナ付き。
 ・電源オン、照明点灯、FMは地元放送局を受信しない、局間ノイズのみ。
 ・Sメーター、Tメーター点灯しない。
 ・AMは付属アンテナで受信OK。Sメーター点灯。AMは正常です。

Kt90001Kt90008Kt90005Kt90006Kt90056

 ・信号発生器(SSG)から83.0MHzのテスト信号を送って受信実験しました。
 ・すると83.0MHz信号を79.3MHz付近で受信しました。
 ・この状態で STEREOランプ点灯。サーボロックランプ点灯。Muting動作OK。
 ・Wide/Narrow切替OK。実際の音声にステレオ感あります。
 ・-3.7MHzの周波数ズレを確認。でもその他の動作は良さそうです。

 ・本体底に修理記録シールが貼ってありました。
 「S58.6.3 トランス」 トランスって何だろう?

■内部チェック--------------------------------------------------------

 ・FM4連AM2連バリコン
 ・パルスカウント検波:TR7020、TR4011
 ・MPX部:uPC1223C
 ・AM部 :LA1245
 ・LED DRIVER:AN6877
 ・フロントエンド内のトリマを回しても受信周波数が変化しない。

Kt90010Kt90011Kt90015Kt90016Kt90017
Kt90018Kt90019Kt90020Kt90021Kt90022

■フロントパネル修理--------------------------------------------------

 ・フロントパネルとボディを繋ぐプラスチック部品が破損している。
 ・この破損は過去事例と同じ症状で KT-900との共通弱点です。
 ・破損部分をボンドで接着した後、銀色テープで補強しました。
 ・でも上の重い機器を載せるとすぐに壊れそうです。ご注意ください。

Kt90030Kt90031Kt90032Kt90033

■FM修理--------------------------------------------------------------

 ・フロントエンド内のOSCトリマを回しても受信周波数が全く変化せず。
 ・FM不調の原因はやはりトリマの容量抜けですね。
 ・過去事例に倣ってフロントエンドユニット外側に新トリマー(青色10pF)を直付け。
 ・手前にある電解コンデンサを外すと作業がしやすい。
 ・下記受信調整によってばっちり受信できるようになりました。

Kt90012Kt90041Kt90042Kt90043Kt90044

■受信調整------------------------------------------------------------

 ・AN6877 1ピン→ FM Sメーター電圧測定
 ・L4 TR7020クアドラチュア検波調整→ TP1~TP2間電圧ゼロ ※実測252mV
 ・L6 TR4011パルスカウント検波調整→ TR4011-1ピン → 1.96MHz ※実測2.05MHz
 ・VR7 VCO調整→ TP3 76kHz
 ・VR6 パイロットキャンセル調整→ 19kHz漏れ信号最小
 ・VR4,5 Wide受信時セパレーション調整
 ・VR3 Narrow受信時セパレーション調整
 ・フロントエンド内IFT→ ステレオ受信時の高調波歪最小

Kt90050Kt90051Kt90052Kt90053Kt90054

 ・VR1:WIDE LEVEL → Narrow受信時と同レベル
 ・VR2:REC CAL →※実測427kHz -6dBに調整
 ・VR3:NARROW SEPARATION  ※実測35dB
 ・VR4:WIDE SEPARATION Rch ※実測52dB
 ・VR5:WIDE SEPARATION Lch ※実測51dB
 ・VR6:PILOT CANCEL
 ・VR7:VCO
 ・LA1245-16ピン→ AM Sメーター電圧測定

Kt990adj

■試聴---------------------------------------------------------------

 ・全体に良い性能を取り戻したと思います。
 ・ただ、Narrow時のセパレーション値があまり良くありません。
 ・通常はWideモードでの使用をお勧めします。
 ・それにしても KT-990/KT-900のデザインはイイですね。
 ・照明を落とした部屋でボーっと眺めているとステキな雰囲気に浸れます。
 ・Wide側で聴くAMもなかなかです。

Kt90004

TRIO KT-1010 修理調整記録2

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 ・2015年5月末、KT-1010の修理依頼を承りました。
 ・久しぶりに触れる機種です。
 ・以下、作業記録です。

Kt1010_08

■製品情報------------------------------------------------------------

 ・オーディオの足跡 TRIO KT-1010 ¥59,800(1983年頃)
 ・Hifi Engine KENWOOD BASIC T2 ※外観はそっくりです。

Kt1010_02Kt1010_12

■動作確認------------------------------------------------------------

<ご指摘の症状>
 ・電源を入れるとFMは76.0MHz、AMは522KHzで周波数表示が固定される。
 ・Tuning用のUP/DOWNボタンを押しても反応しない。
 ・ワンタッチ選局ボタンの反応が悪い。
<動作確認>
 ・ご指摘の状況を確認しました。さらに、、
 ・照明用電球が全部切れている。
 ・IF BAND切替ボタン(WIDE/NARROW)は軽快に反応する。
 ・TUNING MODE切替ボタン(AUTO/MANUAL)も軽快に反応する。
 ・ワンタッチ選局ボタンは反応鈍いがメモリ登録動作は正常に反応する。。
 ・FM76.0MHzに固定された状態で信号発生器から76.0MHz電波を送信。
 ・何と正常に受信動作しました。
 ・Sメーター(LED)振り切れてSTEREOランプ点灯。ステレオ音声も正常です。
<課題>
 ・FM回路は生きています。問題は制御用ICの動作不良か?
 ・それともUP/DOWNボタンの接触不良か?

Kt1010_03Kt1010_04Kt1010_05_2Kt1010_06Kt1010_07

■内部確認------------------------------------------------------------

 ・フロントパネルを外してタクトスイッチを直接押してみました。
 ・Tuning用のUP/DOWNボタンはやはり反応しない。
 ・一方、反応の悪かったワンタッチ選局ボタンは軽快に反応する。
 ・やはり原因は制御用IC周辺か?

Kt101020Kt101032Kt101035Kt101036Kt101050

【制御用IC:TC9147AP】
 ・42ピン:動作電圧確認5.12V→※動作OK
 ・ 7ピン:TUNE MODEボタンManual:ON-0V、OFF-4.8V→※動作OK
 ・ 8ピン:TUNE MODEボタンAUTO:ON-4.8V、OFF-0V →※動作OK
 ・TC9147APの各足にテスターを当てながら電圧測定していると、、
 ・まったく反応しなかったTUNINGのUP/DOWNボタンが操作できるようになりました?
 ・AUTO受信でFM放送局を受信できます。周波数ズレなし。
 ・Sメーター(LED)が振り切れてSTEREOランプも点灯。ステレオ音声も正常です。
 ・AMも同様にAUTO受信で地元AM局を受信できます。
 ・原因は何だったのでしょう??
 ・長期保管品とのことですから、通電ショックで眠っていた回路が覚醒したか??
 ・原因不明ですがとにかく正常動作するようになりました、、

■修理記録:電球交換--------------------------------------------------

 ・シンセ式チューナーなのに正面パネル照明にフィラメント電球を使っています。
 ・STEREOランプ、メモリ選局ランプ、PROGRAMランプも同じフィラメント電球です。
 ・大量にストックしている中古部品から適合品を探して交換しました。

Kt1010_05Kt101040Kt101041Kt101042Kt101043

■修理記録:タクトスイッチ--------------------------------------------

 ・フロント基板を分解して確認。7mm角、アース端子付きのスイッチでした。
 ・名古屋大須のパーツ屋で探してきました。
 ・全数(13個)を交換しようとしましたが、、
 ・タクトスイッチ前面に1mm厚のフェルトを貼って隙間を埋めてみました。
 ・結果は成功、プッシュスイッチは軽快に反応します。
 ・タクトスイッチは調達しましたが、交換は見送りました。

Kt101051Kt101052Kt101053Kt101056Kt101055

■内部確認------------------------------------------------------------

 ・5連バリキャップ、PLL検波、DCC歪補正回路、電源トランス2個。
 ・IC3:LA1231N FM-IFシステム
 ・IC6:LA1245 AMシステム
 ・IC8:uPC1223C MPXシステム
 ・VR1:WIDE GAIN
 ・VR2:MUTE LEVEL
 ・VR3:VCO
 ・VR4:PILOT CANCEL
 ・VR5:WIDE SEP
 ・VR6:WIDE SEP
 ・VR7:NARROW SEP
 ・VR8:DIST DET
 ・VR9:WIDE MONO DIST
 ・VR10:NARROW MONO DIST
 ・VR11:WIDE STEREO DIST
 ・VR12:NARROW STEREO DIST

Kt1010

■調整記録------------------------------------------------------------

【VT電圧】R16後 ※確認のみ
 ・76MHz → 23.2V(L7)
 ・90MHz →  7.0V(TC5)
【RF調整】※LA1231-13pin
 ・76MHz → L1,L2,L3 
 ・90MHz → TC1,TC2,TC3
【FM同調点調整】
 ・83MHz → L11調整 → TP1~TP2間電圧ゼロ ※調整前実測160mV
【FM WIDE-NARROWレベル調整】
 ・83MHz(WIDE) → L5,L8 → LA1231-13pin電圧最大
 ・83MHz(NARROW) → VR1 → WIDE受信時と同じ
【PLL検波調整】
 ・83MHz → L13 → TP3~TP4間電圧ゼロ ※調整前実測520mV
 ・83MHz → VR8 → 高調波歪最小
【MPX調整】
 ・VCO調整 → VR3 → TP7(76kHz)
 ・PILOTキャンセル調整 → VR4,L21 → 19kHz最小へ
 ・WIDEセパレーション調整
  →VR5 Lch ※調整後実測62dB
  →VR6 Rch ※調整後実測60dB
 ・NARROWセパレーション調整
  →VR7 ※調整後実測左右とも55dB
【DCC歪補正】
 ・MONO WIDE受信 → VR9 → 二次高調波最小
 ・MONO NARROW受信 → VR10 → 二次高調波最小
 ・STEREO WIDE受信 → VR11 → 二次高調波最小
 ・STEREO NARROW受信 → VR12 → 二次高調波最小
【FMミューティング調整】
 ・VR2
【AM調整】
 ・手持ちのAMループアンテナを使って調整
 ・729kHz NHK第一受信 → L18 → レベルメーター最大へ
 ・1332kHz 東海ラジオ受信 → TC6 → レベルメーター最大へ
 ・1053kHz CBCラジオ受信 → L20 → レベルメーター最大へ
<調整結果>
 ・特にPLL検波調整によって歪率が小さくなりました。
 ・セパレーション値も大幅に改善しました。

Kt101060Kt101061Kt101062Kt101063Kt101064

■試聴----------------------------------------------------------------

 ・現状でFM/AMとも正常動作しています。ボタン操作も軽快。
 ・FM放送は遠距離局も感度良く受信できます。
 ・WIDE端で聞くAM放送は高音域が伸びて瑞々しい印象です。
 ・当初動作不良だった原因は結局のところよく分からないままです。
 ・釈然としない感じですが、作業はここまでとしました。

Kt1010_09

TRIO KT-8100 修理調整記録

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 ・2015年5月、KT-8100の修理調整作業を承りました。
 ・不具合多数ありましたが復旧できました。
 ・以下、作業報告です。

Kt810009_2

■製品情報------------------------------------------------------------

 ・オーディオの足跡 TRIO KT-8100 ¥42,000(1978年発売)
 ・輸出機 KENWOOD KT-615
 ・発売時期はKT-8300(¥63,000)と同じ。でも周波数窓のデザインは微妙に異なる。
 ・KT-8300とともにパルスカウント検波部が専用IC化(TR4010)された世代。

Kt810002Kt810003Kt810004Kt810005Kt810006

■動作確認------------------------------------------------------------

 ・フロントパネル左下にちょっと目立つキズ。このキズ以外は状態良好。
 ・ツマミやレバーの汚れ、手垢はクリーニングで輝きを取り戻しそう。
 ・黒いボディは経年の汚れ、錆びている部分もあり。背面パネルの穴は何?

Kt810001Kt810010Kt810012Kt810014Kt810015

 ・電源コードの印字「1979」
 ・電源オンOK、メーター照明点灯OK。周波数窓の照明が点灯しない。、
 ・FMアンテナを300Ω端子に接続。
 ・選局ツマミを回すと「バリバリ、ガリガリ」といいう物凄いノイズ発生。
 ・ノイズに合わせてSメーターが激しく振れる。
 ・FM局を受信しているのか?していないのか?さっぱり分かりません。

 ・この症状はバリコン軸の接触不良が原因です。
 ・76MHz~90MHz間を何度も往復させたところバリバリノイズがちょっと軽減しました。
 ・この状態でもう一度地元FM局の受信テスト。
 ・ノイズに隠れていたFM局の放送を受信できました。
 ・二つのメーター動作OK。SメーターMAXとTメーター中央がちょっとズレる。
 ・STEREOランプが点灯しない。聴感上もステレオ感がない。
 ・Wide/Narrowの切替は出来ている模様。MUTINGが作動しない。
 ・MPX FILTER オンにすると聴感上高音域が減衰する。
 ・AM放送は背面バーアンテナで受信OK。
 ・FM/AMともRch出力がかなり小さい。

■内部確認------------------------------------------------------------

 ・FM4連、AM2連バリコン
 ・HA1137 FM IF SYSTEM (クアドラチュア検波)
 ・TR4010A パルスカウント検波
 ・MC1496N
 ・HA1196 FM MPX
 ・HA1197 AM SYSTEM

Kt810020Kt810021Kt810022Kt810025Kt810026
Kt810027Kt810028Kt810030Kt810031Kt810033

■修理記録:窓照明電球交換--------------------------------------------

 ・周波数窓をライトアップする電球は1個だけ。正面から見て左側。
 ・12V0.15A。ジャンク品から部品取りした同型電球に交換。

Kt810041Kt810042Kt810044Kt810045Kt810040

■修理記録:バリコン軸清掃--------------------------------------------

 ・フロントエンド内、バリコン軸を爪楊枝先端で丹念に清掃。
 ・固化した潤滑剤のような物体が出てきます。
 ・新たにコンタクトグリースを軽く塗布して完了。
 ・激しいバリバリノイズはきれいになくなりました。

Kt810023Kt810050Kt810051

■修理記録:HA1196交換------------------------------------------------
 
 ・バリバリノイズが無くなったところで再度受信確認。
 ・STEREO音声が出ていない。STEREOランプ点灯しない。Rchが小さい。
 ・VCO調整→76kHz、しかしSTEREOランプ点灯しない。
 ・HA1196-9ピン 電圧不安定に変動
 ・HA1196 6ピンRch音声、7ピンLch音声 ともにモノラル。
 ・原因はHA1196不良と判断。中古機から部品取りしたHA1196に交換。
 ・ICソケットを使ったので再交換も簡単。

Kt810030_2Kt810060Kt810061Kt810062Kt810063

■修理記録:STEREOランプ交換------------------------------------------

 ・HA1196交換によってHA1196-9ピン電圧安定。
 ・しかしSTEREOランプが点灯しない。
 ・これは電球切れでした。
 ・同型品に交換してようやくSTEREOランプ点灯しました。

Kt810070Kt810071Kt810072Kt810073Kt810075

■修理記録:Rchの出力が小さい-----------------------------------------

 ・HA1196の左右出力は正常。
 ・これ以降の部品を追って不良箇所を捜索。
 ・Q6/2SK105不調発見。手持ち品から 2SK246 に交換。
 ・左右の音量差が解消されました。
 ・ついでにQ7/2SK105も交換。

Kt810080Kt810081Kt810082

■修理記録:ミューティングが効かない----------------------------------

 ・当初はミューティング回路を疑ってトランジスタをいくつか交換。
 ・しかし症状は改善せず。
 ・左右音量差原因だった2SK105がミューティング回路にもあった。
 ・Q5/2SK105 これを2SK246に交換。
 ・これでミューティング動作正常になりました。

Kt810026_2Kt810083Kt810084

■調整記録------------------------------------------------------------

 ・Mutingオフ、MPX Filterオフ
 【フロントエンドOSC調整】IF=Wide
 ・76MHz → L4調整 → Sメーター最大
 ・90MHz → TC1調整 → Sメーター最大
 【トラッキング調整】
 ・76MHz → L1,L2,L3調整 → Sメーター最大
 ・90MHz → TC2,TC3,TC4調整 → Sメーター最大
 【IF GAIN調整】
 ・Narrow受信 → VR1調整 Wide受信レベルをNarrowに揃える
 【FM同調点調整】
 ・83MHz Sメーター最大位置 → L11調整 → Tメーター中央
 【高調波歪調整】
 ・フロントエンド内 L6調整 → 高調波歪最小
 【第2OSC調整】
 ・83MHz → L17調整 → 1.96MHz
 【VCO調整】
 ・VR4調整 → TP76kHz
 【セパレーション調整】
 ・VR2 → Narrow調整
 ・VR3 → Wide調整
 【AM調整】
 ・IF調整 1053kHz(CBCラジオ) → L13調整 → Sメーター最大
 ・729kHz(NHK第一) → L12,背面バーアンテナ → Sメーター最大
 ・1332kHz(東海ラジオ) → TC5,TC6調整 → Sメーター最大

Kt8100align

Kenwood_kt615_schematic_m

■試聴---------------------------------------------------------------

 ・FM/AMとも良い音で受信しています。
 ・お預かりしたときは「これは直せるかな??」と思いましたが、、
 ・何とか復活できて安堵しました。

Kt810008

ONKYO Integra T-466

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 ・2015年5月末、チューナー修理のご褒美としてT-466をいただきました。
 ・経年の汚れがあるもののキズはほとんど無く状態は良さそうです。
 ・外観は同時期の上位機 T-455 とそっくり。
 ・さて、両機の違いは何でしょう?

T46603

■製品情報------------------------------------------------------------

 ・オーディオの足跡 ONKYO Integra T-466 ¥44,000(1971年頃?)
 ・海外版の情報は見当たりません。

T46602T46611

■動作確認------------------------------------------------------------

 ・電源コードの印字「1973」
 ・ブロンズ色のアルミ製フロントパネル、ウッドボディともに目立つキズは無い。
 ・電源オン。青緑色の照明窓が浮かび上がる。二つのメーター照明点灯。
 ・指針照明点灯して赤く輝いています。
 ・「FM」「AM」のポジションランプが点灯しない。電球切れか?
 ・Sメーター最大位置とTメーター中央位置が少しずれる。
 ・+0.2MHz周波数ズレ。STEREOランプ点灯。MUTING動作OK。
 ・背面バーアンテナを使ってAM受信OK。
 ・可変出力VRに多少のガリあり。
 ・電球切れ以外に顕著な不具合は無さそうです。

T46604T46605T46606T46613T46614

■内部確認------------------------------------------------------------

 ・ウッドボディを開けると内部は大量に積もったホコリ。
 ・清掃のためフロントパネル分解。
 ・フロントパネルの構造は上位機のT-455と共通でした。
 ・「FM」「AM」のポジションランプは電球切れではありませんでした。
 ・元から電球がなかったです。上位機455と同じ位置に取り付け穴だけありました。

T46650T46651T46652T46653T46656

 ・FM4連AM2連バリコンユニット→IF回路→レシオ検波→ディスクリートMPX
 ・上位機T-455と比較すると回路構成、基板の様子は全く異なります。
 ・背面パネル「AUDIBLE」スイッチ
 ・オンにするとマルチパスV信号が可変出力R端子から聞こえます。
 ・回路図で確認、実機で動作を確認しました。

T46630T46631T46632T46633T46634
T46635T46636T46637T46638T46639
T46640T46641T46642T46643T46644

■調整記録------------------------------------------------------------

【レシオ検波調整】
 ・何も受信しない状態 L105上段コア調整→Tメーター中央
【FM OSC調整】
 ・90MHz TCo調整→Sメーター最大
 ・76MHz Lo調整→Sメーター最大
【FM受信調整】
 ・90MHz受信 TCA,TCR1,TCR2調整→Sメーター最大
 ・76MHz受信 LA,LR1,LR2調整→Sメーター最大
 ・83MHz受信 IFT→Sメーター最大
【検波歪み調整】
 ・L105下段コア調整→二次高調波最少
【セパレーション調整】
 ・STEREO信号→L201調整→D201電圧最大へ
 ・L+R信号送信→L202調整→Lch出力最大へ
 ・R223→セパレーション調整
【MUTING調整】
 ・R704→MUTING作動位置調整
【AM調整】
 ・受信調整 フロントエンドAM1,AM2、L-107、バーアンテナ内部コイル

T466algn

■T-455、T-466記念写真------------------------------------------------

 ・外観、スイッチ類の配置、機能は上位機T-455と同じです。
 ・ブロンズ色のフロントパネルに白文字の組み合わせが特徴的。
 ・赤く光る太めの指針も良いアクセントになっています。
 ・背面パネルはM型のFMアンテナ端子以外は両機同じです。

T46620

T46621T46622T46623T46624T46625

TRIO KT-700

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 ・2015年6月初め、不動品の寄付をいただました。
 ・発売当時に購入したワンオーナー品で長期保管状態だったそうです。
 ・久しぶりに通電したら、電源ボタンを押しても電源オンにならないそうです。
 ・外観はデザイン性の高い KT-990、KT-900と同じ。
 ・これはひょっとして未知のパルスカウント検波機かも??

Kt70003

■製品情報------------------------------------------------------------

 ・オーディオの足跡 TRIO KT-700 ¥39,800(1982年頃)
 ・海外機の情報は見当たりません。

Kt70002Kt70010

■動作確認------------------------------------------------------------

 ・ボディは汚れているが目立つ傷はない。
 ・ボディサイズはKT-900と同じ。
 ・電源ボタンを押しても通電しない。
 ・これでは動作確認も何もできません。

■内部確認------------------------------------------------------------

 ・このシリーズにありがちなフロントパネル接合部の破損はありません。
 ・フロントエンドはFM3連AM2連の小さなバリコンユニット。
 ・IF BAND(Narrow/Wide)切り替えなし。
 ・TR7020 クォドラチャー検波、メーター駆動、RECトーン
 ・HA12016 MPX
 ・HA1197 AMシステム

Kt70020Kt70023Kt70025Kt70028Kt70029

 ・パルスカウント検波でTR7020とペアになるはずのTR4011が見当たらない。
 ・TR7020のクアドラチュア検波信号がMPX回路に繋がっています。
 ・オーディオの足跡を読んでみるとちゃんと書いてありました。
  「新開発のローノイズ・クォドラチャー検波ICを採用しており、、、」

■修理記録:電源スイッチ----------------------------------------------

Kt70034 ・電源スイッチの端子間抵抗を測ってみるとオン時も不通状態。
 ・電源プラグを抜いた状態でオン・オフ操作を20回ほど繰り返す。
 ・この作業でスイッチオン、時々通電するようになりました。
 ・原因は電源スイッチ内部の接触不良ですね。
 ・この後、電源スイッチを取り外して分解洗浄しました。

■動作確認------------------------------------------------------------

 ・フロントパネルの照明点灯。指針照明も点灯。
 ・LED式のSメーター点灯。Tメーター代わりの同調点を示す赤いLED点灯。
 ・LOCKスイッチオン時は同調を示す赤いLEDが緑色に変わる。
 ・KT-990/900のLED式Tメーターと比較すると視認性は低い。
 ・STEREOランプ点灯。MUTING動作OK。RECトーンOK。
 ・+0.2MHzほどの周波数ズレ。
 ・一方、AMは全く受信しない。ザーという局間ノイズも聞こえない。
 ・背面のAMループアンテナとアンテナ端子の接続方法が間違っていました。
 ・正しく接続するとAM受信を確認できました。
 ・FM/AMとも簡単な調整だけで復旧しそうです。

Kt70004Kt70005Kt70006Kt70007Kt70011

■調整記録------------------------------------------------------------

 【FMフロントエンド調整】
 ・TR7020-2ピン → Sメーター電圧確認
 ・OSC調整 → Lo調整不可のためTCoで83MHzに合わせる。
 ・RF調整 → 空芯コイルはノータッチ。TCa,TCrfで83MHzに合わせる。
 ・IFT調整 → Sメーター電圧最大
 【検波調整】
 ・L1調整 → 同調点調整 ※TR7020-3~11ピンの間に直列に入る抵抗R13両端電圧ゼロ
 ・L2調整 → 高調波歪み最小
 【MPX部調整】
 ・VR3 → VCO調整 → VR3 → 76kHz R44左側
 ・VR2 → セパレーション調整
 【AM部調整】
 ・フロントエンド内 AMTC1,AMTC2
 ・HA1197近辺 L6,L7,L8

Kt700align

■試聴----------------------------------------------------------------

 ・TR7020を搭載しながらパルスカウント検波は使わない機種でした。
 ・KT-990、KT-900と同じフロントデザインなのに何か物足りない印象でちょっと残念。
 ・Sメーターを構成するLEDセグメント数の違い、Tメーター、LOCKランプ辺りでしょうか。
 ・部品取り機として活用させていただきます。

Kt70008


TRIO KT-5000

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 ・2015年6月初め、TRIO KT-5000の修理調整作業を承りました。
 ・相当古そうな機種ですね。でも初体験機種なので興味津々。
 ・随分時間がかかりましたが作業内容をご報告します。

■製品情報------------------------------------------------------------

 ・オーディオの足跡 TRIO KT-5000 ¥39,500(1969年頃)
 ・ネット捜索で回路図発見

Kt500008_2

■動作確認------------------------------------------------------------

 ・経年の汚れがあるものの傷は少なくサイドウッドはかなり状態が良い。
 ・電源オン。周波数窓の照明が暗い。指針は点灯しないタイプか。
 ・左側Sメーター照明点灯。しかし右側Tメーター照明切れ。
 ・MUTINGランプ、MPX FILTERランプ点灯せず。
 ・FMアンテナを接続して受信動作確認。
 ・左側Sメーターの針が動かない。右側Tメーター針は動いている。
 ・FM放送受信OK。ただしSTEREOランプ点灯せず。実際の音にステレオ感なし。
 ・固定出力(REC OUT)、可変出力(OUTPUT)以外にモノ出力(MONO OUT)。
 ・マルチパス端子装備。H端子からは受信音が聴こえる。
 ・AMは背面バーアンテナで受信OK。ただしSメーターの針が動かない。

Kt500001Kt500004Kt500005Kt500006Kt500007
Kt500008Kt500011Kt500012Kt500013Kt500014

■内部確認------------------------------------------------------------

 ・堆積してた大量のホコリを清掃。
 ・シールドケースに収まったフロントエンドユニット。整然と並んだ基板。
 ・FM4連、AM3連バリコン。
 ・MPX回路はIC化される以前の古いディスクリートタイプ。
 ・入手した回路図と照合した結果、80%一致するという感じでした。

Kt500020_3Kt500022_3Kt500025_3Kt500029_2Kt500034_2

Kenwood_kt5000_sch_s

■修理記録:電球切れ--------------------------------------------------

 ・フロントパネル分解で手間取りました。
 ・正面から見て右サイドを固定している仕組みが分からずにちょっと苦戦。
 ・パネル裏側からナットを外してようやく外れました。

Kt500070Kt500069Kt500071Kt500072Kt500073

 ・周波数窓左側電球 8V0.3Aヒューズ型。ここは交換して即完了。
 ・Tメーター電球 8V/0.15A。ところが電球交換しても点灯しない。
 ・MUTING、MPX-FILTER パイロットランプ 8V/0.15A。
 ・ここも交換しても点灯しない??
 ・配線確認。電球配線は単純な数珠繋ぎなのに??
 ・電圧確認すると、点灯しない電球には電圧が来ていない。
 ・回路図確認。電解コンデンサとダイオードが入っている部分がありました。
 ・電源部整流ダイオード交換。これで電球が点灯しました。
 ・ついでに隣の1000uF/16v交換しました。
 ・これによってSTEREOランプを点灯させるための電圧がMPX回路に繋がりました。

Kt500080Kt500081Kt500082Kt500083Kt500084

■お詫び--------------------------------------------------------------

 ・フロントパネルを分解した際、周波数目盛りを刻んだガラス板を外して清掃しました。
 ・経年の汚れを拭き取ったのですが、白い目盛り塗料が簡単に剥がれてしまいました。
 ・緑色の目盛りや周波数は残っているので、そんなに違和感はないですが、、
 ・同型ジャンク機を入手できたらガラス板を移植します。
 ・誠に申し訳ありません。

Kt500075

■修理記録:Sメーター針が動かない-------------------------------------

 ・回路図確認。IF基板13番端子→Sメーター
 ・13番端子のSメーター電圧OK。メーター端子の電圧OK。
 ・Sメーターの端子間の電解コンデンサ220uF/3v交換。
 ・やはりSメーターの針が動かない。
 ・Sメーター自身の故障のようです。
 ・同型機から移植するしかないです。

Kt500004_2Kt5000100Kt5000101Kt5000102Kt5000103

■修理記録:STEREOランプ点灯しない------------------------------------

 ・電源部のダイオード交換によってSTEREOランプ回路の電圧復旧。
 ・ただしまだSTEREOランプは点灯しない。
 ・MPX回路Q3/2SC281電圧不良→2SC1815交換
 ・C24 10uF/25v、 C25 1uF/50v 交換
 ・VR1,VR2調整によってSTEREOランプ点灯しました。

Kt500093Kt500094Kt500096Kt500097Kt500007_2

■調整記録------------------------------------------------------------

 【フロントエンド調整】
 ・IF基板L8上段→Tメーターゼロ調整
 ・IF基板13番端子→Sメーター(FM)電圧確認
 ・FMOSC 76MHz L4、90MHz TC5
 ・L5調整 83MHz電圧マックス
 【RF調整】
 ・76MHz→L1、L2、L3
 ・90MHz→TC1、TC2、TC4、TC3
 【第一レシオ検波調整】→MPX回路へ
 ・L8上段→何も受信しない状態でTメーター中央
 ・IF基板 L2(上段、下段)、L3(上段、下段)、L5→Sメーター最大
 ・L8下段 二次高調波最小
 【第二レシオ検波調整】→Sメーター、STEREOランプ駆動
 ・IF回路14番端子の電圧測定
 ・L7左右コア調整 電圧最大へ
 【その他】
 ・IF基板VR1:FM検波出力レベル
 ・IF基板VR2:FM Sメーター振れ調整
 ・IF基板VR3:MUTINGレベル調整
 ・IF基板VR4:部品実装なし
 ・IF基板VR5:AM Sメーター振れ調整
 【MPX調整】
 ・MPX基板ダイオードD7カソード側にDC電圧計接続 ※実測2.0v
 ・L17-23調整→電圧最大へ
 ・MPX基板VR1、VR2調整→STEREOランプ点灯位置へ
 ・L17-04、L17-05調整→D2カソード側電圧最大
 ・信号発生器からL+R信号送信
 ・L17-43調整→Lch出力最大へ
 ・AF基板VR1調整→セパレーション
 【AM調整】
 ・IF基板10番端子→Sメーター(AM)電圧確認
 ・フロントエンドCT6、CT7、CT8
 ・背面バーアンテナ内部、IF基板L10,L11
 ・L4、L6、L9調整

Kt5000

■試聴----------------------------------------------------------------

 ・Sメーターの針が動かないことが残念ですが、その他は動作するようになりました。
 ・青色LEDを思わせるインジケーターランプがよいアクセントになっています。
 ・音質は意外に良いです。サイドウッドが綺麗なので雰囲気はベリーグッド。
 ・痛めてしまったガラス板とSメーター移植は宿題にさせてください。

Kt5000105

■KT-5000 2号機-------------------------------------------------------

 ・2015年6月末、部品取り目的で2台目のKT-5000を入手しました。
 ・痛めてしまったガラス板とSメーターを交換するつもりでした。
 ・ところが、、STEREOランプの様子が違う、ガラス板がない、電球配置が違う、、
 ・フロントパネル内側、周波数窓の内部構造は1号機とは全く別物でした。
 ・製造番号を見ると、1号機は初期型、2号機は後期型のようです。
 ・それにしても大胆な設計変更があったものです。

Kt5000251

■初期型と後期型の違い-------------------------------------------------

 ・外観デザイン、アンテナ端子、出力端子の配置は共通。
 ・フロントエンド、IF基板、MPX基板、AF基板は共通。
 ・後期型では電源部電解コンデンサの容量が増えている。
 ・フロントパネル周波数窓内側の構造は、別機種と言えるほど異なる。

Kt5000221Kt5000243Kt5000247Kt5000255Kt5000256

【1号機:初期型】
 ・周波数や目盛りは透明ガラス板に印刷されている。
 ・両サイドに配置された電球がガラス板を照らし、周波数や目盛りが浮かび上がる。
 ・ダイヤル指針はガラス板の後ろ側を左右に移動する。
 ・STEREOインジケーターは赤いパイロットランプとして点灯。
 ・ソニーのST-5000やST-5130などの構造と同じです。

【2号機:後期型】
 ・周波数や目盛りは黒いガラス板に青文字で印字されている。
 ・ガラス板の背面には白いアクリル板を挟んで8V/0.3Aヒューズ型電球4個。
 ・ダイヤル指針はガラス板を移動する。
 ・STEREOインジケーターはガラス板に刻まれた「FM STEREO」が浮かび上がる
 ・これ以降のTRIO製チューナーKT-9007やKT-7007などと同じ構造です。

■2号機:動作確認-----------------------------------------------------

 ・サイドウッドは傷が多いが、ボディ本体は意外にきれい。
 ・電源オン。周波数窓の左半分が暗い。二つのメーター照明点灯。
 ・MUTINGランプ、MPX FILTERランプ点灯。STEREOランプ点灯。
 ・FMアンテナを接続して受信動作確認。
 ・Sメーター、Tメーターとも針が振れる。
 ・FM放送受信OK。STEREOランプ点灯。ただし実際の音にステレオ感なし。
 ・MUTING動作OK。放送局がない位置でもSTEREOランプ点灯。
 ・固定出力(REC OUT)、可変出力(OUTPUT)以外にモノ出力(MONO OUT)。
 ・マルチパス端子装備。H端子からは受信音が聴こえる。
 ・AMは背面バーアンテナで受信OK。AM受信時もSTEREOランプ点灯。
<課題>
 ・FM/AMともSTEREOランプが常時点灯する。
 ・ステレオ信号受信時にSTEREOランプ点灯。
 ・モノラル信号受信時もSTEREOランプ点灯。
 ・強制モノラルモードに切り替えてもSTEREOランプ点灯。
 ・AM受信モードに切り替えてもSTEREOランプ点灯。
 ・STEREOランプ点灯するが実際のステレオ感なし。

Kt5000222Kt5000224Kt5000227Kt5000228Kt5000240

■2号機:修理調整記録

 ・1号機の調整記録に倣って一通り各部調整。
 ・MPX基板Q4,Q5,Q7 2SC458 → 2SC1815 交換
 ・STEREOランプの点灯動作が正常になりました。
 ・調整方法は1号機と同じです。
 ・なかなか良い音で鳴っています。

Kt5000250

■KT-5000 3号機-------------------------------------------------------

 ・2015年7月中旬、何と3台目のKT-5000を入手しました。
 ・入手動機は オリジナル取扱説明書が付属していたから。
 ・2号機は依頼者様にお返しし、この3号機は自分用に残すつもりでした。
 ・ところが3号機の内部を見てまたまたビックリ!
 ・またしても内部に大きな設計変更があります。
 ・いや~、驚きました。 ※写真下から1号機。2号機、3号機

Kt5000301

■2号機と3号機の違い-------------------------------------------------

 ・2号機と3号機のフロントパネル、周波数窓構造は同じ。
 ・ところが電源回路、MPX基板、AF基板がまったく異なる。
 ・裏側にあった電源回路が照明後ろに縦置き。AF基板は右隅に縦置き。
 ・IF基板は同じだが、2号機には実装が無かったVR4(BEACON LEVEL)が載っている。
 ・MUTING、MPX FILTERの青いパイロットランプの電球が異なる。
 ・バリコン軸を回転させる糸掛け方法が異なる。

Kt5000310Kt5000311Kt5000313Kt5000316Kt5000318
Kt5000319Kt5000320Kt5000321Kt5000322Kt5000323

■3号機動作確認------------------------------------------------------

 ・サイドウッドは傷が多いが、ボディ本体は意外にきれい。
 ・電源オン。周波数窓の右隅が暗い。二つのメーター照明点灯。
 ・MUTINGランプ、MPX FILTERランプ点灯。STEREOランプ点灯。
 ・FMアンテナを接続して受信動作確認。
 ・Sメーター、Tメーターとも針が振れる。
 ・FM放送受信OK。STEREOランプ点灯しない。実際の音にもステレオ感なし。
 ・MUTING動作OK。
 ・固定出力(REC OUT)、可変出力(OUTPUT)以外にモノ出力(MONO OUT)。
 ・マルチパス端子装備。H端子からは受信音が聴こえる。
 ・AMは背面バーアンテナで受信OK。
<課題>
 ・STEREOランプのタマ切れ確認。
 ・要再調整

Kt5000340Kt5000342Kt5000343Kt5000344Kt5000347

■3号機:再調整------------------------------------------------------

 ・1号機との相違点のみ。
 【その他】
 ・IF基板VR4:BEACONレベル調整
 【MPX調整】
 ・MPX基板ダイオードD2カソード側にDC電圧計接続
 ・L1(19kHz)調整→電圧最大へ
 ・IF基板VR4調整→STEREOランプ点灯位置へ
 ・信号発生器からL+R信号送信
 ・L4(38kHz)調整→Lch出力最大へ
 ・AF基板VR1調整→セパレーション

■KT-5000 まとめ------------------------------------------------------

 ・予想外の展開で同じ機種を3台も見ることになりました。
 ・たぶん1号機が初期型、2号機は中期型、3号機が後期型でしょう。
 ・「外観や仕様は予告なく変更する場合があります、、」
 ・よく見かけるフレーズですが、本当に大胆な変更があったようです。
 ・よい勉強になりました。新種の化石を見つけたようで楽しかったです。
 ・依頼者様には調整後の3号機をお返しいたします。
 ・以上の経緯をご理解の上、ご了承をお願いいたします。

Kt5000302Kt5000303Kt5000304Kt5000305Kt5000306

VICTOR JT-V45 修理調整記録2

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 ・2015年6月末、Victor JT-V45の修理調整を承りました。
 ・以前調整した経験のある機種です、、と思って油断していたら、、
 ・予想外に難航した作業の記録です。

Jtv4503

■製品情報------------------------------------------------------------

 ・オーディオの足跡 VICTOR JT-V45 VICTOR ¥39,800(1976年頃)
 ・取扱説明書 PDF版

Jtv4501Jtv4504Jtv4505Jtv4506Jtv4509

■動作確認------------------------------------------------------------

<ご指摘の症状>
 ・受信はするものの感度が異常に悪くて聞けるような状態ではない。

<動作確認>
 ・電源コードの印字 1976
 ・電源オン。指針先端だけが緑色に光る。二つのメーター照明点灯。
 ・アンテナを接続してFM放送を受信確認。
 ・Tメーター中央とSメーター最大が一致しないが、動作はOK。
 ・STEREOランプ赤く点灯。聞こえてくる音にSTEREO感あり。
 ・MUTING動作OK。HI-BLENDでは高域が抑えられる効果確認。
 ・333HzテストトーンOK。ピンクノイズ発生機能O0K。
 ・+0.2MHz程度の周波数ズレ。
 ・不規則に「ボソッボソッ」というノイズが発生。
 ・ここまで約1時間FM番組を聴いていたところ、突然受信音が消失。

 ・Sメーターが不規則に振れTメーターが中央から外れる。
 ・チューニングつまみを回すと受信状態が回復する位置があるが安定しない。
 ・受信周波数が不規則に変動している感じ?
 ・ご指摘の症状はこの状態を指しているようです。

■修理記録:局発回路トランジスタ--------------------------------------

 ・異常発生時には局発部の発信周波数が不規則に変動する。
 ・これは局発回路のトランジスタが怪しい?
 ・局発部TR、バッファ部TR交換
 ・X104:2SC461 → 2SC829
 ・X105:2SC461 → 2SC829
 ・ご指摘の症状はこれで解消したと思います。
 ・ところが何度も弄っているうちにトリマコンデンサが壊れてしまいました。
 ・トリマを回しても容量が変化しません。
 ・ここはジャンク機から取り外した中古部品に交換して復旧。

Jtv4530_2Jtv4533_3Jtv4532

■修理記録:HA1137交換------------------------------------------------

 ・受信中に不定期に「ボソッボソッ」というノイズが載ります。
 ・FM音声は正常に聴こえますが音声に被ってノイズが聴こえます。
 ・ノイズ発生時、SメーターとTメーターは正常に動作している。
 ・音声出力端子から遡ってノイズ源を捜索。
 ・HA1137のクアドラチュア検波出力端子から既にノイズが載っている。
 ・HA1137 → HA1137W ジャンク機から部品取りした中古ICに交換。
 ・これで「ボソッボソッ」ノイズが無くなりました。

Jtv4550Jtv4551Jtv4552Jtv4553

■修理記録:オペアンプ交換--------------------------------------------

 ・FM放送受信中に突然+0.3MHzの受信ズレ発生。
 ・82.5MHzのNHK-FMを聴いていると突然82.8MHz付近で受信するようになる。
 ・ずれた位置にチューニングすると正常音声が聴こえる。
 ・ズレ幅は+0.3MHzで一定。不安定に揺れることはない。
 ・しばらくするとまた勝手に本来の周波数82.5MHzに戻る。
 ・不具合の発生頻度は不定期で2~3日正常動作することもある。

 ・この原因が分からずに苦戦しました。
 ・局発部の温度補償型コンデンサ全数交換。
 ・ミキサ部TR、IF増幅TR交換 2SC535 → 2SC1929
 ・RF増幅FET 2SK55 → 2SK55
 ・フロントエンド周辺で上記部品を交換しても効果なし。

Jtv4560Jtv4561Jtv4562Jtv4563

 ・異常時のTメーターの動き方はTUNING HOLDが作動するときと似ている。
 ・これは受信中に+0.3MHzの周波数に引き込まれる現象かも??
 ・ひょっとしてTUNING HOLD機能が誤作動しているかも?
 ・でもTUNING HOLDスイッチのON/OFFに関わらず症状は発生する。
 ・TUNING HOLDスイッチに繋がる緑色のケーブルを追う。
 ・ケーブルは基板側のIC103オペアンプに繋がっている。
 ・オペアンプの型番が消えていたのですが、外してみると基板に記載あり。
 ・IC103 NJM4558D これを手持ちの中古品に交換
 ・ついでにオペアンプに繋がる電解コンデンサ2個交換。
 ・1週間連続稼動でも周波数ズレは発生しなくなりました。

■受信調整------------------------------------------------------------

 ・1号機の調整記録に倣って各部再調整。

Jtv45

■試聴----------------------------------------------------------------

 ・ご依頼をいただいてから随分時間がかかってしまいました。
 ・部品交換して1週間動作確認。これを繰り返していたので時間を要しました。
 ・主な原因は局発トランジスタ故障、HA1137故障、オペアンプ故障でした。
 ・安定して受信できるようになったと思います。
 ・もしも不具合が再発した場合はご一報ください。

Jtv4508

SONY ST-A6B

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 ・2015年7月末、SONY ST-A6Bの周波数ズレ調整を承りました。
 ・未体験機種なので内部を見るのが楽しみです。
 ・以下、作業記録です。

■製品情報------------------------------------------------------------

 ・オーディオの足跡 SONY ST-A6B ¥49,800(1977年発売)
 ・Hifi Engine SONY ST-A6 ※輸出機サービスマニュアル

Sony_sta6b03

■動作確認------------------------------------------------------------

 ・電源コードの印字「1977」
 ・ガンメタ色のボディと二つの大きなメーターが精悍な雰囲気を醸し出しています。
 ・フロントパネル、ボディとも小キズはあるものの、パッと見では気にならない。
 ・電源オン。周波数窓のとメーター照明とも点灯。
 ・地元FM局の受信確認。
 ・メーター動作OK。STEREOランプ点灯。MUTING動作OK。

Sony_sta6b01Sony_sta6b09Sony_sta6b10Sony_sta6b11Sony_sta6b12
Sony_sta6b05Sony_sta6b06Sony_sta6b07Sony_sta6b14Sony_sta6b20

<ご指摘の不具合箇所>
 ・指針と目盛りの周波数ズレ
<確認事項>
 ・-0.4MHzの周波数ズレ。82.5MHzのFM局を82.1MHz付近で受信する。
 ・76MHz~80MHz区間でバリバリノイズ。
 ・可変出力VRにガリ。

■内部確認------------------------------------------------------------

 ・FM専用7連バリコン
 ・IF BAND(Normal/Narrow)CF3個自動切替→レシオ検波
 ・LA1230 MUTING制御、メーター駆動
 ・LA3350 PLL-MPX

Sony_sta6b30Sony_sta6b31Sony_sta6b34Sony_sta6b35Sony_sta6b37
Sony_sta6b38Sony_sta6b39Sony_sta6b41Sony_sta6b42Sony_sta6b43

■修理記録------------------------------------------------------------

 ・76MHz~80MHz区間で指針を移動するとバリバリノイズ発生。
 ・このときSメーターが大きく変動。
 ・これはバリコン軸の接触不良です。
 ・バリコン軸の接点を清掃してバリバリノイズ解消しました。

Sony_sta6b51Sony_sta6b32Sony_sta6b33Sony_sta6b52Sony_sta6b53

■調整記録------------------------------------------------------------

 ・ST-A6B海外版サービスマニュアル(一部アレンジ)による

Sonysta6b_adjustments

【FM OSC調整】
 ・OSCトリマ調整→83MHz Sメーター最大
  ※1点調整しかできません。
【FM RF調整】
 ・78MHz受信→L101,L102,L103,L104,L105,L106→Sメーター最大
 ・88MHz受信→CT101,CT102,CT103,CT104,CT105,CT106→Sメーター最大
 ・上記作業を数回繰り返す
 ・83MHz受信→L107調整→Sメーター最大
【IF GAIN調整】
 ・MODEスイッチ→MONO
 ・受信モード→NARROW
 ・テスト信号(83MHz、無変調、40dB)
 ・Sメーターが示す値を記録
 ・受信モード→AUTO
 ・RT201調整→Sメーターが示す値を上記と同じに
【Narrow/Normal自動切替レベル調整】
 ・MODEスイッチ→MONO
 ・受信モード→AUTO
 ・テスト信号(83MHz、100%変調、40dB)
 ・RT401調整→信号強度を30dBに切り替えたとき、NORMAL→NARROWに切り替わる位置へ調整
【MUTINGレンジ調整】
 ・MODEスイッチ→MONO
 ・受信モード→AUTO
 ・MUTINGスイッチ→ON
 ・テスト信号(83MHz、100%変調、60dB)
 ・T201調整→同調点から左右に離調させMUTING動作範囲を左右対称に(Tメーターで確認)
【レシオ検波調整】
 ・MODEスイッチ→MONO
 ・受信モード→AUTO
 ・テスト信号(83MHz、100%変調、60dB)
 ・IFT201(White) Primary 高調波歪み最小へ
 ・受信モード→NARROW
 ・離調して何も受信しない状態
 ・IFT202(Blue)  Secondary Tメーター中央へ
 ・上記作業を数回繰り返す
【VCO調整】
 ・19kHzTPに周波数カウンタ接続
 ・RT301調整→19kHz±100Hz
【セパレーション調整】
 ・MODEスイッチ→STEREO
 ・受信モード→AUTO
 ・テスト信号(83MHz、60dB)
 ・RT302調整→左右のセパレーション値最大
 ・受信モード→NARROW
 ・RT502調整→左右のセパレーション値最大
【Sメーターレベル調整】
 ・テスト信号(83MHz、無変調、70dB)
 ・RT701調整→Sメーター指針4.8
【CAL TONE調整】
 ・通常出力値を記録
 ・RT702調整→-6dB
【OUTPUTレベル調整】
 ・受信モード→AUTO
 ・テスト信号(83MHz、100%変調、60dB)
 ・RT501(Lch)→固定出力端子0.775V
 ・RT551(Rch)→固定出力端子0.775V

Sony_sta6balgn

 ・再調整によって良い性能を取り戻したと思います。
 ・可変出力VRのガリは何度も回転させて軽減させました。
 ・VRの分解洗浄や接点復活剤処理は行っていません。

■試聴----------------------------------------------------------------

 ・7連バリコン、FM専用機、ガンメタフェイス、レンジ照明の大きなメーター。
 ・デザイン的にはカッコいいですね。
 ・BGMチューナーとして受信性能や音質に不満はないです。
 ・ただ美しい照明窓を楽しむ癒やし系機種としてはちょっと物足らない感じ。

Sony_sta6b04

SANSUI TU-X1

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 ・2015年8月初め、TU-X1の修理調整を承りました。
 ・かの有名なサンスイの高級機です。
 ・以下、作業内容のご報告です。

Tux1233

■製品情報------------------------------------------------------------

 ・オーディオ懐古録 SANSUI TU-X1 ¥135,000円(1979年)
 ・オーディオの足跡 SANSUI TU-X1 ¥135,000(1979年11月発売)
 ・Half about SANSUI FM/AM Tuner TU-X1※cooltune様のサイト。取扱説明書、カタログなど

Tux1200Tux1214_2

■動作確認------------------------------------------------------------

 ・電源コードの印字「1979」、シリアルNo. 23905****、
 ・cooltune様のシリアル番号の読み方によれば「1979年5月製」と読み取れます。
 ・シリアルナンバーについては後述。
 ・想像以上にデカい(W480×H197×D450mm)、重い(16.2kg)、やはり巨艦です。
 ・特に奥行きはレコードプレーヤー並み。
 ・既に清掃済みのようですが、落とし切れないタバコ臭&ヤニ汚れがあり。
 ・でも外観のキズは少なめ、保存状態は良さそうです。
 ・FM回路とAM回路は同時に動作しており、OUTPUT1/2端子はそれぞれFM/AMを選択できる。
 ・緑色=FM。ダイヤル指針色、メーター針の色、インジケータ表示色
 ・赤色=AM。同上

Tux1207Tux1202Tux1203Tux1204Tux1205

 ・背面には本機の特徴である巨大なAMバーアンテナ。
 ・見慣れない端子は「FM FA-7アンテナ端子」と「AM IF OUT」

Tux1215Tux1216Tux1217Tux1218Tux1219

<ご指摘の故障状況>
 ・FMは受信できてるが感度が悪い
 ・シグナル/マルチパスメーターが動かない
 ・チューンメーターが動作しない
 ・STEREOランプが点灯しない
 ・AMは受信できる。
 ・メーター2つも動作しているが、音が出るまでに時間がかかる
 ・AM受信中に音が途切れることがある
<確認事項1>
 ・FMはMUTINGオンの状態では受信不可。
 ・MUTINGオフにすると地元FM局が聞こえました。
 ・ダイヤル指針位置と目盛りはほぼ合致している。
 ・FMシグナルメーターはごく僅かに振れている。
 ・FMチューンメーターも僅かに振れますが、振れ方がちょっとおかしい。
 ・FMの受信感度がかなり低下しているようです。
 ・STEREOランプが点灯しないのも受信感度低下が原因かも?
 ・AM放送は受信OK。AM受信は特に問題なさそう。
 ・音が出るまで時間がかかる、、この症状は別途確認します。

■内部確認<回路研究>-----------------------------------------------

 ・本体ボディを外すとFMチューナー基板が見える。
 ・本体をひっくり返して底板を外すとAMチューナー基板と電源基板が見える。
 ・指針は二つ、チューニングつまみも二つ、FM/AMそれぞれ独立して動作する。
 ・完全に独立したFMチューナーとAMチューナーが同じボディに納まっている。
 ・これは凄い構造ですね。

Tux102Tux103Tux120Tux126Tux128
Tux1100Tux1102Tux1101Tux1108Tux1109

 【FMフロントエンド:F2935】
 ・FM専用7連バリコン
 ・一体型のOSC部には調整用トリマが見えるがフレーム側に調整孔が開いていない。
 ・いや、孔は開いているけど開口位置がズレている。
 ・Amp修理工房様ではフレーム側面に調整孔を開けている。これも凄い!

Tux103_2Tux105Tux106Tux107Tux108

 ・バリコン軸と指針側のプーリー軸は継手(ヘリカルカップリング)で接続。
 ・継手を外せば糸解き不要でフロントエンドユニットが外せる。
 ・ただしこの継手部品がプラスチック製で、既にひび割れしている。
 ・割れた部分は結束バンドで補修済み。
 ・これはAM部も同様の状態でした。
  ※「ヘリカルカップリング」という名称を学習しました。
  ※二つの軸を繋ぎ、中央の溝部分が偏心偏角を吸収する構造。
  ※二つの軸の直径はそれぞれ6mm。

Tux110Tux111Tux112Tux1103Tux1104

 【IF回路:F2936】
 <Wide>
 ・uPC1163H→BPF01→uPC1163H→BPF02→uPC1163H→BPF03→LC(T01+TC01)→レシオ検波回路へ
 <Narrow>ではさらにSAWフィルターSAF01が加わる
 ・HA1137W メーター、ミューティング制御用
 ・HA1137W 7ピン→19端子→Tメーター
 ・HA1137W10ピン→20端子→Tメーター
 ・VR01:Sメーター
 ・VR02:NOISE

Tux121Tux122Tux125Tux124Tux123

 【レシオ検波回路:F2937】
 ・T01
 ・T02
 ・T03
 【MPX回路:F2972】
 ・HA11223W
 ・VR01:VCO→TP76kHz
 ・VR02:パイロットキャンセル
 ・VR03:MUTE
 ・VR04:AUDIO NOISE
 ・VR05:CAL REC TONE
 ・VR06:SEPARATION

Tux126_2Tux127Tux128_2Tux129Tux130

【AM回路:F2783】シールドケースの内部

Tux1105Tux11052Tux11053Tux1110Tux11102

■FM部調整記録--------------------------------------------------------

Tux1fmsideSansui_tux1_fm_schematic2

【電源部電圧調整】※サービスマニュアルに記載なし
 ・[F2790]VR01 AVR調整 各端子の出力電圧が変化する。
 ・入力なしの状態で9番端子を+13.5Vに設定
 ・確認 5,6番端子 → +13.2V
     8番端子 → -13.2V
【FETバイアス調整】
 ・入力なし
 ・[F2935]VR01調整→FET02(3SK41)S端子電圧1.0V
 ・[F2935]VR02調整→FET03(3SK41)S端子電圧1.0V
【IF、群遅延、検波コイル調整】
 ・FM mode:mono
 ・SSG:83MHz(65dBf、1kHz、100%変調)
 ・IF Band:Wide
 ・[F2935]T01,T02,T03,T04調整→歪率最小へ
 ・[F2936]T01,TC01調整→歪率最小へ
 ・[F2937]T01,T02,T03→歪率最小へ
 ・IF Band:Narrowに切替
 ・[F2936]T02調整→歪率最小へ
【Tメーター調整】
 ・SSG:83MHz(65dBf、1kHz、100%変調)
 ・[F2936]T05調整→Tメーター中点へ
 ・入力なし
 ・[F2936]VR02調整→Tメーター中点へ
【フロントエンド調整】
 ・[F2935]OSC PACK内の調整不可※
 ・[F2935]90MHz・・TC01,TC02,TC03,TC04,TC05→Sメーター最大
 ・[F2935]76MHz・・L01,L02,L03,L04,L05→Sメーター最大
  ※OSCトリマの調整法は以下の2通り。
   1. Amp修理工房様のように側面に調整孔を開ける。
   2.バリコン軸の継手を緩め、現状の発振周波数に指針を合わせて締め直す。
【Sメーター調整】
 ・SSG:83MHz(65dBf、1kHz、100%変調)
 ・[F2936]T03,T04調整→Sメーター振れ最大位置へ
 ・SSG:83MHz(100dBf、1kHz、100%変調)
 ・[F2936]VR01調整→Sメーター指針100dBf位置へ
【MUTING調整】
 ・FM mode:auto
 ・SSG:83MHz(18dBf)
 ・[F2972]VR03調整→STEREOインジケーター18dBf以上で点灯、18dBf以下で消灯
【レシオ検波調整】
 ・[F2937]T02 → TP02~GND電圧計セット(Tメーター代用)
 ・[F2937]T03 → 歪率最小へ
【VCO調整】
 ・FM mode:auto
 ・SSG:83MHz(65dBf、無変調)
 ・[F2972]VR01調整→TP01=76kHz
【PILOT CANCELL調整】
 ・FM mode:auto
 ・SSG:83MHz(65dBf、19kHz、9%変調)
 ・[F2972]T01,VR02調整→Lch/Rchパイロット信号漏れ最小
【Separation調整】
 ・FM mode:auto
 ・SSG:83MHz(65dBf、STEREO)
 ・[F2972]VR06調整→Lch/Rch漏れ信号最小
【Auto Noise Filter調整】
 ・FM mode:auto
 ・Noise Fil:auto
 ・SSG:83MHz(40dBf、Sub-1kHz+19kHz)
 ・WaveSpectraでLch/Rch信号レベル記録
 ・SSG:83MHz(40dBf、Sub-10kHz+19kHz)
 ・[F2972]VR04調整→先の記録-3dBに設定
【Calibration調整】
 ・FM mode:auto
 ・SSG:83MHz(65dBf、1kHz、100%変調)
 ・WaveSpectraでLch/Rch信号レベル記録
 ・[F2972]VR05調整→先の記録-5dBに設定

■AM部調整記録--------------------------------------------------------

Tux1amsideSansui_tux1_am_schematic2

 ・海外版サービスマニュアルではIF=455kHzとなっています。
 ・1979年2月発行国内版パンフレットを読むとIF=450kHzと記載あります。
 ・実機を確認したところ局発周波数は放送局周波数+450kHzが出ていました。
 ・TP03には450kHzが出ていました。
 ・ということでIF=450kHzと読み替えて調整しました。
【IFコイル調整】
 ・[F2783]TP03に450kHzを注入
 ・[F2783]T02調整→TP10波形最大へ
【AM OSC調整】
 ・SSG:600kHz、60dB(1kHz、30%mod)
 ・[F2783]T01調整 →Tメーター中点
 ・SSG:1400kHz、60dB(1kHz、30%mod)
 ・[F2783]TC03調整 →Tメーター中点
【RF調整】
 ・SSG:600kHz、60dB(1kHz、30%mod)
 ・L01(バーアンテナ)、[F2925] T03調整 → Sメーター最大へ
 ・[F2783]T01調整 →Tメーター中点
 ・SSG:1400kHz、60dB(1kHz、30%mod)
 ・[F2925] T02、[F2783]VC701調整 → Sメーター最大へ
【AGC調整】
 ・SSG:90dB(1kHz、30%mod)
 ・[F2783]VR01調整→TP10電圧160mV ※実機ではTP10電圧=6V前後?
【Sメーター調整】
 ・[F2783]T03調整→Sメーターの振れ最大へ
 ・SSG:80dB(1kHz、30%mod)
 ・[F2783]VR02調整→AMシグナルメーター目盛り80
【Tメーター調整】
 ・入力無し
 ・[F2783]VR08調整→AM Tメーター中点
【VCO調整】
 ・入力無し
 ・[F2783]T04調整→TP12周波数カウンタ 450kHz
【90°位相シフト調整】※未調整
 ・[F2783]VR07→中央位置へ
  ※[F2783]TP03 にSSG:90dB(1kHz、30%mod)注入
  ※[F2783]TP13、TP14 Wavespectra接続
  ※[F2783]VR07調整→90°位相調整
【オーディオ位相調整】
 ・[F2783]TP6,TP7 オーディオ信号入力(1kHz,2.5v)
 ・[F2783]VR03調整
 ・[F2783]TP8,TP9 オシロスコープでリサージュ波形(正円)確認
 ・[F2783]TP6,TP7 オーディオ信号入力(9kHz,2.5v)
 ・[F2783]VR04調整
 ・[F2783]TP8,TP9 オシロスコープでリサージュ波形(正円)確認
  ※リサージュ波形はWavespectraで確認できました
【ビートキャンセル調整】
 ・Beat Cancellerオン。lower
 ・適当な地元AM局を受信する。シグナルメーターの振れ記録
 ・SSG:放送局より-10dBの信号強度、AM局の周波数+4kHz
 ・[F2783]VR05調整 → ビートノイズ最小
【ミューティング調整】
 ・MUTINGスイッチオン
 ・SSG:40dB(1kHz、30%mod)
 ・[F2783]VR06調整 →ミューティング開始位置

Tux1140Tux1lissaj

■試聴---------------------------------------------------------------

 ・ほとんど振れなかったFMシグナルメーターが大きく振れるようになりました。
 ・Tメーターの挙動も正常になりました。
 ・ミューティング動作OK。STEREOランプ点灯します。
 ・FM部に故障個所は無かったです。
 ・再調整によって良い性能を取り戻しました。
 ・OUTPUT1/2端子からは19kHz以上の信号がそのまま出ています。
 ・FM OUTPUT端子からはLPFを通過した音声が出ています。
 ・AM部も受信感度の調整でシグナルメーターの振れが大きくなりました。
 ・wide/narrow切替できますが、私はnarrow側で聴いていた方が落ち着きます。

Tux1206Tux1207_2Tux1208Tux1209Tux1210

■動作確認2---------------------------------------------------------

<音が出るまで時間がかかる>
 ・FM/AMとも放送局の周波数に合わせた状態で電源オフ。
 ・電源回路にテスターをセットした状態で電源オン、不具合発生を待ちました。
 ・通常は電源オンから約3秒で音が出る。
 ・通電直後の電圧は安定しないが、約3秒後に+13Vで安定。
 ・電圧が安定するまでの3秒間はFM/AMとも音が出ません。

<不調時の動作状況>
 ・1週間ぶりに通電したところご指摘の症状が発生しました。
 ・音が出るまで約25秒かかりました。
 ・最初の約10秒は電圧計の値は不安定、その後8V付近から徐々に電圧上昇。
 ・約10Vを超える辺りから歪んだ放送音が出はじめる。
 ・電源電圧が13Vで安定すると出てくる音も安定する。

■修理記録:電源基板 電解コンデンサ交換------------------------------

 ・もう一台のTU-X1(部品取り機)の電源基板と丸ごと交換しようとしたところ、、
 ・よく見ると電源基板の様子が違いました。
 ・端子の配置が違う、電解コンデンサの容量が違う、裏面に直付け部品の有無
 ・基板番号も微妙に違いました。F2790-A、F2790-B
  <交換部品>
   ・C06: 470uF/35V
   ・C07: 470uF/35V
   ・C08:1000uF/35V
   ・C09:1000uF/35V
   ・C10: 220uF/35V
   ・C11: 220uF/35V
   ・C14: 220uF/10V
   ・C17: 330uF/25V
   ・C18: 330uF/25V
   ・C19:   1uF/50V
   ・C20: 4.7uF/50V

 ・電解コンデンサ劣化を疑って全数MUSE FGクラスに交換。
 ・容量耐圧は同じものですが、外形サイズが一回り小さくなりました。
 ・エージングのため24時間連続運転。その後コンセントプラグを抜いて1週間放置。
 ・電源オン、、約2秒で音が出るようになりました。
 ・音が出るまで時間がかかるという症状はこれで改善したと思います。

Tux1113Tux1130Tux1131Tux1132Tux1134

■試聴-----------------------------------------------------------------

 ・正直なところ、FMの受信性能や音質は同時期の他のチューナーと大差ないです。
 ・本機の特徴はやはり独特のAMチューナー部ですね。
 ・ノイズを感じないAM放送は新鮮な驚きでした。
 ・この状態でお返ししますので動作確認をお願いします。

 ・部品取り用にお預かりしたもう一台のTU-X1は、結局無傷で残っています。
 ・こちらは故障箇所が多々ありそうなので、もう少し時間をかけて整備してみます。
 ・貴重なツーショット写真を撮っておきました。

Tux1232

■おまけ(調査データ)-------------------------------------------------

 ・cooltune様のサイトに サンスイ製品シリアル番号の読み方があります。
 ・例えばシリアル番号 239021234 の場合
  ・"23" "9" "02" "1234" と読みます。
  ・組立てライン : 23
  ・製造年       : 1979年
  ・製造月       : 2月
  ・製造番号     : 1234
 ・ネット上で見つかるTU-X1の背面写真からシリアル番号を集めました。
 ・製造時期や組み立てラインの違いは5種類ありそうです。
  ・239020001~ 1979年2月製造 国内機
  ・239050001~ 1979年5月製造 国内機
  ・210040001~ 1980年4月製造 海外機
  ・210070001~ 1980年7月製造 海外機
  ・210110001~ 1980年11月製造 国内機

 ・今回のTU-X1は23905****、部品取り用TU-X1は23902****でした。
 ・AU-X1/TU-X1カタログの発行年月は1979年2月で初期ロットと一致します。
 ・21011****は基板の様子が随分異なる、と指摘するサイトもありました。
 ・同期検波の勉強や情報収集など、おかげ様で楽しい夏休みが過ごせました。

SANSUI TU-X1 2号機

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 ・2015年8月初め、TU-X1の修理調整を承りました。
 ・この個体は 1号機を修理するために部品を取る予定だった 2号機です。
 ・以下、2号機の整備記録です。

Tux1202

■製品情報------------------------------------------------------------

 ・オーディオ懐古録 SANSUI TU-X1 ¥135,000円(1979年)
 ・オーディオの足跡 SANSUI TU-X1 ¥135,000(1979年)
 ・TU-X1 1号機の記録

Tux1201Tux1210_2

■動作確認------------------------------------------------------------

 ・電源コードの印字「1979」、シリアルNo. 23902****、
 ・cooltune様のシリアル番号の読み方によれば「1979年2月製」と読み取れます。
 ・シリアルナンバーについては1号機記事参照。
 ・発売当初の初期ロットの製品のようです。
 ・ボディ上部には目立つ擦り傷があるが、ヤニ汚れが無いので1号機よりも綺麗に見える。
 ・FMアンテナを接続して動作確認。
 ・FM受信OK。二つのメーター動作OK。STEREOランプ点灯。+0.2MHz程度の周波数ズレ。
 ・IF切替(Wide/Narrow)OK。Muting動作OK。CAL TONE動作OK。
 ・FMチューナー部は大きな不具合は無さそうです。

Tux1203Tux1204Tux1205Tux1206

 ・一方AMチューナー部は受信不可です。
 ・周波数スケール全域で完全に無音。局間ノイズもでません。
 ・Muting回路が効きっぱなしになっているのか?
 ・二つのメーターとも全く動かないので、そもそ受信できていないのか?

Tux1211Tux1213Tux1214Tux1215

■内部確認------------------------------------------------------------

 ・まず受信不良のAM回路を確認しました。
 ・何と、バリコン軸とプーリー軸を繋ぐ継手(ヘリカルカップリング)が割れています。
 ・選局つまみを回しても継手が空転してバリコン軸は回転しない状態でした。
 ・これでは動作確認しても意味なかったですね。
 ・この継手は1号機でも同様に割れており、結束バンドで補修してありました。
 ・そこでバリコン軸を直接指で回して受信確認しましたが、、
 ・残念ながらやはり受信しません。どこか故障個所があります。

Tux1260Tux1261Tux1262Tux1263Tux1266

 <1号機と2号機の比較>
 ・変わらない部分もあれば、結構変わっているところもあります。

区分 2号機 1号機
シリアルNo. 23902**** 23905****
製造年 1979年2月製 1979年5月製
FM side Tux1221Tux102
FM
フロントエンド
Tux1222F2935 Tux103F2935
FM-IF基板 Tux1226F2936 Tux120F2936
FM-DET基板 Tux1230F2937 Tux126F2937A
FM-MPX基板 Tux1232F2972 Tux128F2972B
AM side Tux1240Tux1100
AM基板 Tux1241F2783 Tux1101F2783
AM-ANT基板 Tux1242F2925 Tux1111F2925
電源基板 表 Tux1247F2792A Tux1130_2F2792B
電源基板 裏 Tux1253F2792ATux1131F2792B

■修理記録<AM部>ヘリカルカップリング-------------------------------

 ・破損したヘリカルカップリングを外すためにAM基板を取り外しました。
 ・驚いたことに、AMバリコン直下のAM基板角部分が割れていました。
 ・ちょうどGND部分だったのでプリント配線には影響ないようです。
 ・取り外したカップリングを観察すると、中央の溝部分も3カ所で割れていました。
 ・二軸の偏心偏角を吸収するための溝ですが、相当な力が加わっていたようです。
 ・基板が割れていたのもその影響でしょうか、、
 ・一方でFMバリコン部のヘリカルカップリングは無傷です。
 ・この個体は組み付け時の精度がかなり悪かったみたいです。

Tux12641Tux1265_2Tux1267Tux1268Tux1244

 ・代替品が無いので割れた部品を結束バンドで仮補修しました。
 ・再度組み付けて選局つまみとバリコン軸が連動するようになりました。

■修理記録<AM部>--------------------------------------------------

 ・再度動作確認。
 ・二つのメーターが全く振れないのでそもそも受信していない可能性が高い。
 ・RF-ANT回路[F2925]とOSC回路を覆うシールドケースを外して回路確認。
 ・ミキサー部のIC01 LM1496N に入る局発信号が確認できない。
 ・局発回路から信号が出ていない。
 ・TR01 2SC1359 → 2SC829 交換

Tux1105Tux1271Tux1272Tux1280Tux1283

 ・今度はミキサー部のIC01 LM1496N から出るIF信号が確認できない。
 ・これは LM1496N の故障か?
 ・調べてみると LM1496N は TRIO製パルスカウント検波機でお馴染み MC1496Nと同じ。
 ・保管している KT-8100から MC1496N を拝借してICソケットで仮設置。
 ・これでAM放送を受信するようになりました。
 ・ノイズが多い状態ですがあとは調整作業で何とかなるか?

■調整記録------------------------------------------------------------

 ・1号機の記録参照

■試聴-----------------------------------------------------------------

 ・FM放送の受信性能や音質は再調整によって1号機と同程度になりました。
 ・一方のAM放送は受信できるようになりましたが、、
 ・1号機で感じた「新鮮な驚き」が無いです。
 ・他のチューナーでAM放送を聴くのと大差ない印象です。
 ・どこかまだ故障箇所があるのか?交換した部品が悪かったか?
 ・研究材料としてもうしばらくお預かりさせていただきます。

Tux1207

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