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SONY ST-JX8 修理調整記録4

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 ・2024年12月、中古店のジャンクコーナーで故障品に遭遇しました
 ・「AMは受信OK、FMは音が小さい」と値札に書かれていました
 ・外観はひどく汚れたボロボロ状態で価格はワンコイン
 ・部品取り目的と割り切って確保してきました

Jx805

■製品情報--------------------------------------------------

 ・オーディオ懐古録 SONY ST-JX8
 ・オーディオの足跡 SONY ST-JX8 ¥70,000(1981年発売)
 ・取扱説明書 日本語版、PDF形式

Jx803Jx811

■動作確認--------------------------------------------------

 ・フロントパネル、ボディともヤニ汚れで茶色く変色している
 ・表面のヤニは既に拭き取ってあるみたい
 ・さて、FMアンテナを接続して電源オン
 ・周波数表示が明るく点灯、輝度劣化や文字痩せなし
 ・オート選局で名古屋地区のFM局を受信しようとしたところ、
 ・全局とも放送周波数を素通りして受信不可でした
 ・MUTINGオフにしてマニュアル選局にするとFM局を受信できました
 ・ただし値札に書いてあった通り出てくる音がとても小さい
 ・REC CALトーンは正常に聞こえる
 ・AM放送は背面バーアンテナで受信できました
 ・やはり問題はFM受信回路です

■内部確認--------------------------------------------------

 ・ボディを開けると部品が見えないほど大量の茶色いホコリが堆積
 ・エアーとブラシで内部を徹底清掃して部品が顔を出しました
 ・独立したフロントエンドユニット、レシオ検波
 ・LA1235:FM IF System
 ・uPC1223C:MPX System
 ・LA1245:AM Tuner System
 ・修理歴、改造歴は無さそうです

Jx820

■修理記録:IFT201修理---------------------------------------

 ・ST-JX8の修理調整にはST-J75の資料が役立ちます
 ・電源系統のチェック、特にヒューズ抵抗確認 → OK
 ・VT電圧確認 → OK
 ・FM同調点調整 → IFT201を回しても電圧変化しない
 ・どうやらIFT201内蔵コンデンサが死んでいるようです
 ・ST-J75回路図のIFT101内部図を参考にして試行錯誤した結果
 ・IFT201背面にあるR229に並列に30pFコンデンサを追加
 ・これでFM同調点調整OK、シグナルメーターもフル点灯
 ・オート選局できるようになりました

Jx830Jx831Jx832Ift201

■修理記録:IFT202修理--------------------------------------

 ・しかし続くレシオ検波調整が出来ないことが新たに判明
 ・IFT202を回しても調整できません
 ・レシオ検波用のIFT202を取り外して裏面を観察
 ・内蔵コンデンサが黒く変色していました
 ・これを取り外して新品コンデンサをハンダ面に追加
 ・ST-J75回路図のIFT102内部図を参考にして試行錯誤した結果
 ・R236(J75ではR136)に並列100pF追加
 ・D201/D202側(ST-J75ではD101/D102)に47pF追加
 ・これでレシオ検波波形がキレイに出てきました
 ・音が小さい問題も解消してSTEREOランプも点灯

Jx840Jx842Jx843Ift202

■調整記録--------------------------------------------------

Stjx800_20250209090301

【VT電圧確認】
 ・アンテナ入力なし
 ・TP-CV → 電圧計セット
 ・76MHz → L5調整 → 8.1V ※確認のみ
 ・90MHz → TC5調整 → 21.5V※確認のみ
【FM同調点調整】
 ・R228両端(IC201:LA1235横)電圧計セット
 ・83MHz受信 → IFT201調整 → 電圧0V±10mV
【レシオ検波調整】
 ・TP-NULL~GND 電圧計セット
 ・音声出力 → WaveSpectra接続
 ・83MHz受信 → IFT202(黒:左)調整 → 電圧0V±10mV
 ・83MHz受信 → IFT202(赤:右)調整 → 歪率最小
【フロントエンド調整】
 ・IC201:LA1235-13ピン(JW51)電圧計セット※Sメーター電圧
 ・83MHz受信 → CT1,CT2,T101,T102調整 → 電圧最大
  ※L101~L105がボンドで固められているので調整不可
  ※83MHzでCT1,CT2を合わせる方法で調整しました
【ミューティング調整】
 ・83MHz 20dB受信 → RT201調整 → 受信できる位置
【Sメータレベル調整】
 ・83MHz 80dB受信 → RT203調整 → Sメーター全点灯位置
【VCO調整】
 ・TP-76K(R307左足)~GND 周波数カウンタセット
 ・83MHz(無変調)→ RT302調整 → 76kHz
【パイロットキャンセル調整】
 ・音声出力 WaveSpectra接続
 ・83MHz(ST)→ RT301調整 → 19kHz漏れ信号最小
 ・83MHz(ST)→ L301調整 → 19kHz漏れ信号最小 ※左右バランス注意
【セパレーション調整】
 ・83MHz(ST-Lch)→ RT305調整 → Rch最小
 ・83MHz(ST-Rch)→ RT355調整 → Lch最小
【OUTPUTレベル調整】
 ・音声出力端子 TP62 AC電圧計セット
 ・83MHz(60dB)受信 → RT305調整 → Lch 0.775V
 ・音声出力端子 TP64 AC電圧計セット
 ・83MHz(60dB)受信 → RT306調整 → Rch 0.775V
【REC CAL調整】
 ・音声出力レベル測定
【AM VT電圧調整】
 ・CT401 CT402
 ・L401 バーアンテナ
 ・RT401(AM SIG)電圧計セット(Sメーター電圧)
 ・IFT401、IFT402
 ・RT402(AM MUTE)

Jx850

■試聴------------------------------------------------------

 ・せっかく受信復活したので外装をせっせとクリーニングしましたが、
 ・かなり頑張りましたが、茶色い汚れが落としきれないので諦めました
 ・IFTコイルに内蔵されたコンデンサの故障は最近の頻発事例です
 ・製造から40年以上ですから部品の寿命はとっくに尽きていますよね
 ・このまま部品取り機として保管しておきます

Jx804

note : BLUESS Laboratory


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