・2024年12月、中古店のジャンクコーナーで故障品に遭遇しました
・「AMは受信OK、FMは音が小さい」と値札に書かれていました
・外観はひどく汚れたボロボロ状態で価格はワンコイン
・部品取り目的と割り切って確保してきました

■製品情報--------------------------------------------------
・オーディオ懐古録 SONY ST-JX8
・オーディオの足跡 SONY ST-JX8 ¥70,000(1981年発売)
・取扱説明書 日本語版、PDF形式
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■動作確認--------------------------------------------------
・フロントパネル、ボディともヤニ汚れで茶色く変色している
・表面のヤニは既に拭き取ってあるみたい
・さて、FMアンテナを接続して電源オン
・周波数表示が明るく点灯、輝度劣化や文字痩せなし
・オート選局で名古屋地区のFM局を受信しようとしたところ、
・全局とも放送周波数を素通りして受信不可でした
・MUTINGオフにしてマニュアル選局にするとFM局を受信できました
・ただし値札に書いてあった通り出てくる音がとても小さい
・REC CALトーンは正常に聞こえる
・AM放送は背面バーアンテナで受信できました
・やはり問題はFM受信回路です
■内部確認--------------------------------------------------
・ボディを開けると部品が見えないほど大量の茶色いホコリが堆積
・エアーとブラシで内部を徹底清掃して部品が顔を出しました
・独立したフロントエンドユニット、レシオ検波
・LA1235:FM IF System
・uPC1223C:MPX System
・LA1245:AM Tuner System
・修理歴、改造歴は無さそうです

■修理記録:IFT201修理---------------------------------------
・ST-JX8の修理調整にはST-J75の資料が役立ちます
・電源系統のチェック、特にヒューズ抵抗確認 → OK
・VT電圧確認 → OK
・FM同調点調整 → IFT201を回しても電圧変化しない
・どうやらIFT201内蔵コンデンサが死んでいるようです
・ST-J75回路図のIFT101内部図を参考にして試行錯誤した結果
・IFT201背面にあるR229に並列に30pFコンデンサを追加
・これでFM同調点調整OK、シグナルメーターもフル点灯
・オート選局できるようになりました
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■修理記録:IFT202修理--------------------------------------
・しかし続くレシオ検波調整が出来ないことが新たに判明
・IFT202を回しても調整できません
・レシオ検波用のIFT202を取り外して裏面を観察
・内蔵コンデンサが黒く変色していました
・これを取り外して新品コンデンサをハンダ面に追加
・ST-J75回路図のIFT102内部図を参考にして試行錯誤した結果
・R236(J75ではR136)に並列100pF追加
・D201/D202側(ST-J75ではD101/D102)に47pF追加
・これでレシオ検波波形がキレイに出てきました
・音が小さい問題も解消してSTEREOランプも点灯
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■調整記録--------------------------------------------------

【VT電圧確認】
・アンテナ入力なし
・TP-CV → 電圧計セット
・76MHz → L5調整 → 8.1V ※確認のみ
・90MHz → TC5調整 → 21.5V※確認のみ
【FM同調点調整】
・R228両端(IC201:LA1235横)電圧計セット
・83MHz受信 → IFT201調整 → 電圧0V±10mV
【レシオ検波調整】
・TP-NULL~GND 電圧計セット
・音声出力 → WaveSpectra接続
・83MHz受信 → IFT202(黒:左)調整 → 電圧0V±10mV
・83MHz受信 → IFT202(赤:右)調整 → 歪率最小
【フロントエンド調整】
・IC201:LA1235-13ピン(JW51)電圧計セット※Sメーター電圧
・83MHz受信 → CT1,CT2,T101,T102調整 → 電圧最大
※L101~L105がボンドで固められているので調整不可
※83MHzでCT1,CT2を合わせる方法で調整しました
【ミューティング調整】
・83MHz 20dB受信 → RT201調整 → 受信できる位置
【Sメータレベル調整】
・83MHz 80dB受信 → RT203調整 → Sメーター全点灯位置
【VCO調整】
・TP-76K(R307左足)~GND 周波数カウンタセット
・83MHz(無変調)→ RT302調整 → 76kHz
【パイロットキャンセル調整】
・音声出力 WaveSpectra接続
・83MHz(ST)→ RT301調整 → 19kHz漏れ信号最小
・83MHz(ST)→ L301調整 → 19kHz漏れ信号最小 ※左右バランス注意
【セパレーション調整】
・83MHz(ST-Lch)→ RT305調整 → Rch最小
・83MHz(ST-Rch)→ RT355調整 → Lch最小
【OUTPUTレベル調整】
・音声出力端子 TP62 AC電圧計セット
・83MHz(60dB)受信 → RT305調整 → Lch 0.775V
・音声出力端子 TP64 AC電圧計セット
・83MHz(60dB)受信 → RT306調整 → Rch 0.775V
【REC CAL調整】
・音声出力レベル測定
【AM VT電圧調整】
・CT401 CT402
・L401 バーアンテナ
・RT401(AM SIG)電圧計セット(Sメーター電圧)
・IFT401、IFT402
・RT402(AM MUTE)

■試聴------------------------------------------------------
・せっかく受信復活したので外装をせっせとクリーニングしましたが、
・かなり頑張りましたが、茶色い汚れが落としきれないので諦めました
・IFTコイルに内蔵されたコンデンサの故障は最近の頻発事例です
・製造から40年以上ですから部品の寿命はとっくに尽きていますよね
・このまま部品取り機として保管しておきます
