・2024年10月、T-417の故障品が届きました
・最初はひどい雑音しか聞こえない状態でしたが、
・試行錯誤の末、切換スイッチの分解洗浄で復活しました
■製品情報--------------------------------------------------
・オーディオの足跡 ONKYO Integra T-417 ¥65,000(1979年発売)
・オーディオ懐古録 ONKYO Integra T-417 ¥65,000
■動作確認--------------------------------------------------
・ボディに多少の擦り傷あるが、フロントパネルはまずまずの状態
・電源オン、周波数窓の照明点灯
・しかし左側2個のメーター照明が点灯しない
・指針の移動に伴って「バリバリ」という激しいノイズ発生
・このノイズと連動してSメーターとTメーターが左右に不規則に振れる
・メーターの振れ具合が安定しないので同調点が分からない
・FM放送を受信しているようだが、バリバリ雑音にかき消される
・WIDE/NARROW切換インジケータ点灯しない
・3個のインジケータ(TUNED、LOCKED、STEREO)がすべて点灯しない
・インジケーター類がすべて点灯しないのは球切れ?それとも故障?
・あれこれ弄っているうちに周波数窓の照明電球も切れました
・まずはバリコン軸の洗浄、照明電球交換からはじめます
■修理記録:指針移動に伴うバリバリノイズ--------------------
・この現象はバリコン軸回転部のグリス劣化が原因です
・バリコン回転軸と軸受け部の固化したグリスを歯間ブラシで清掃
・爪楊枝よりもL字型の歯間ブラシが便利です
・エレクトロニッククリーナーを少量吹きかけて何度も回す
・その後コンタクトグリスを薄く塗布して完了
・76~90MHz区間を何度も往復させてグリスを馴染ませる
・これで指針移動に伴う不快なノイズは解消しました
・周波数ズレはあるもののFM局を受信できるようになりました
・気になるのはTメーター中点に引き込まれるサーボロックが効かない
■修理記録:照明電球、インジケーター電球交換-----------------
・本機に使われている電球はすべてフィラメント電球です
・LEDのような見栄えのインジケーターも全部フィラメント電球
・各端子に電球を仮付けしてみるとすべて点灯、原因は球切れです
・周波数窓照明×1本、メータ照明用×2本 ※ヒューズ型電球の管だけ
・インジケーター(TUNED,LOCKED,STEREO)×3本 ※直径4mm麦球
・インジケーター(Narrow/Wide)×3本 ※直径4mm麦球
・上記3種類の電球のマウント方法がそれぞれ異なる
・周波数窓照明は本体左側だけに配置されたフィラメント電球1本です
・直径4mmの麦球をホルダーを収め、光が漏れないように工夫しています
・特に(TUNED,LOCKED,STEREO)ではこのゴム製ホルダーがひどく劣化
・当初は柔らかい素材だったと思いますが石膏のように硬化している
・少し触れるだけでボロボロ崩れるのでこれを外すのに苦労しました
・交換用電球はまだ在庫があるのでサクッと交換
・このあと検波回路を仮調整したところ
・3つのインジケーター(TUNED,LOCKED,STEREO)とも点灯しました
・WIDE/NARROWインジケーターは試行錯誤の末に直径3mmのLEDに変更
・明るさを合わせるため2.2kΩを直列に2個並べて制限抵抗としました
・これですべてのインジケーターが点灯するようになりました
・ただ残るフィラメント電球もいずれ寿命が来そうです
■修理記録:WIDE/NARROW切換スイッチ分解洗浄-----------------
・IF BAND切換は SELECTIVITY(AUTO/NARROW)スイッチで操作します
・AUTOにしておけば電波状態に応じてWIDE/NARROWを自動切換するはず
・ところが
・IF BAND切換=NARROW → 正常動作
・IF BAND切換=AUTO → ※動作不良??
・WIDEインジケーターが点灯すると同時にSメーターの振れ具合が低下し
・受信音が明らかに歪っぽい音に変わる、
・NARROW時は正常動作なのにWIDE時に受信感度が低下する??
・この不思議な症状の原因を探していくつか部品交換するも効果なし
・残った可能性として SELECTIVITYスイッチ自体に辿り着きました
・スイッチの前後で電圧が低下する、これはスイッチ内部の接触不良か?
・スイッチを取り外して分解したところ、予想通り内部は真っ黒状態
・丹念に清掃してから組み立て直し基板に再セット
・これで不具合症状が解消しました
・ついでに隣のMUTINGスイッチも分解洗浄しておきました
・スイッチの分解、洗浄、組立ても得意作業になってきました
■調整記録--------------------------------------------------
【クリスタルロック基板調整】
・MUTING OFF、タッチセンサー OFF
・クリスタルロック基板 X~S → DC電圧計セット
・SSG 10.7MHz 90dB 無変調 → メイン基板 R101 に注入
・L751調整 → 電圧ゼロ
・R715調整 → Tメーター中点調整
【OSC調整】
・SSG76MHz → L008調整 → Sメーター最大
・SSG90MHz → TC007調整 → Sメーター最大
【RF調整】
・SSG76MHz → L001~L006調整 → Sメーター最大
・SSG90MHz → TC001~TC006調整 → Sメーター最大
・SSG83MHz → L007調整 → Sメーター最大
【IF調整】
・SSG83MHz → L101,L102調整 → Sメーター最大
【レシオ検波調整】
・R125両端 DC電圧計セット
・SSG83MHz → L106(左側)調整 → 電圧ゼロ
・SSG83MHz → L106(右側)調整 → 高調波歪最小
【IFレベル、MUTING調整】
・NOISE DEDUCTION OFF
・SSG 83MHz,30dB(弱い電波を受信することで低S/N比状態を想定)
・SELECTIVITYスイッチ → AUTO
・R154調整 → IF BAND WIDE点灯位置に
・SELECTIVITYスイッチ → NARROW
・R177調整 → MUTING作動位置に
【VCO調整】
・TP-2 → 周波数カウンタ接続
・SSG83MHz無変調 → R213調整 → 76kHz
【パイロットキャンセル調整】
・音声出力をWaveSpectraで観測
・SSG83MHz 1kHz ST信号 → R223調整 → 19kHz信号最小
【セパレーション調整】
・音声出力をWaveSpectraで観測
・SSG83MHz 1kHz L/R信号 → R240調整 → 漏れ信号最小
【DEVIATION調整】
・SSG83MHz 1kHz 100%変調 → R804調整 → DEVメーター指針100%
【REC CAL調整】
・固定音声出力をWaveSpectraで観測
・SSG83MHz 1kHz ST信号 → 音声レベル記録
・REC CAL オン → R858調整 → 基準音-6dB
■試聴------------------------------------------------------
・NOISE REDUCTION をONにすると高音域が低減し分離度が低下します
・いわゆる「AUTO BLEND」とか「MPX FILTER」と言われる機能です
・作動するとセパレーション値が悪化するので通常はOFFを推奨します
・FM専用7連バリコン、クォーツロック、3連メーター、レシオ検波、
・なかなかマニアックな機種です