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KENWOOD L-03T 修理調整記録3

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 ・2024年10月、L-03Tのメンテナンス調整を承りました
 ・中古品を入手したものの受信感度がかなり低い状態だそうです
 ・以下、作業記録です

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■製品情報--------------------------------------------------

 ・オーディオ懐古録 KENWOOD L-03T ¥120,000
 ・オーディオの足跡 KENWOOD L-03T ¥120,000 (1983年発売)

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■動作確認--------------------------------------------------

 ・ブラックボディに艶があって外観の状態は比較的良好
 ・フロントパネルも目立つキズはない
 ・FMアンテナ端子がF端子に交換済みでした
 ・電源オン、赤い指針点灯、二つのメーター照明も点灯
 ・名古屋地区のFM局を受信すると
 ・MUTING ON、RF=DIRECT → 名古屋地区のどのFM局も受信不可
 ・MUTING ON、RF=DISTANCE → すべてのFM局を受信できました
 ・STEREOランプ点灯するがSERVO LOCKランプ点灯しない
 ・指針と目盛りのズレはほとんどありませんが
 ・Tメーターの振れ方がちょっと変、、中点から左側だけで動いている
 ・またSメーターが半分も触れない状態です
 ・ご指摘のように受信感度が大幅に落ちている感じです
 ・あと80MHz以下では指針の移動に伴って盛大なバリバリノイズ発生

■内部確認--------------------------------------------------

 ・FMアンテナ端子が交換済、という事は内部を弄った先人がいる
 ・念のため、他に修理箇所の有無を念入りにチェックしました
 ・ハンダ面を見ると再ハンダの痕跡は見られません
 ・ただコイルの中央コアが最深部までねじ込まれている部品多数あり
 ・さらに仮調整したところ、PLL検波のL26コアが割れていることを発見
 ・コアの頭が割れているので回せない → 調整不可でした
 ・受信感度低下の原因は大幅な調整ズレのようです

L03t00

■修理記録:L26コア修理-------------------------------------

 ・L26のコアが回せないのでは話が始まりません
 ・修理のためL26を取り外して底面側からコアを確認
 ・内蔵コンデンサは無く、裏側からコアの底面が見えました
 ・底面側の凹みは生きていたので底面側から慎重に回してコアを抜き取り
 ・コアの上下を逆にして再セットしました
 ・L26を再び基板に戻して以下の調整手順を実行
 ・Tメーターの動きが正常化しました
 ・コアを回すときはサイズの合った専用コアドライバーを使いましょう
 ・金属製ドライバー厳禁、コアはとても脆いので簡単に割れてしまいます

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■修理記録:バリバリノイズ対策------------------------------

 ・この現象はバリコン軸と軸受け部間のグリス劣化が原因です
 ・バリコン羽根の下に細かい緑青カスがたくさん落ちています
 ・軸受け部の緑青色に変色した古いグリスを歯間ブラシで清掃
 ・その後エレクトロニッククリーナーを少量吹きかけて何度も回す
 ・最後にコンタクトグリスを薄く塗布して完了
 ・76~90MHz区間を何度も往復させてグリスを馴染ませる
 ・これで指針移動に伴う不快なノイズは解消しました

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■調整記録--------------------------------------------------

【機器の設定】
 ・RF=DISTANCE
 ・サーボロック OFF
【IF VCO6.2MHz調整】
 ・TP=IC2 JRC1496 8ピン(R16左足)周波数カウンタ接続
 ・83MHz 90dB Sメーター最大位置で受信 → L20調整 → 6.2MHz
【検波調整1】
 ・IF BAND=NARROW
 ・83MHz 90dB Sメーター最大位置で受信 → L26調整 → Tメーター中点
【OSC調整】
 ・IF BAND=NARROW
 ・83MHz 90dB 受信 → OSCトリマ調整 → ダイヤル指針83MHz
  ※コイル調整は難度高いのでノータッチ
【RF調整】
 ・IF BAND=NARROW
 ・83MHz 50dB 受信 → RFトリマ3個調整 → Sメーター最大
 ・83MHz 50dB 受信 → T1調整 → Sメーター最大
  ※コイル調整は難度高いのでノータッチ
【検波調整2】
 ・IF BAND=WIDE
 ・83MHz 1kHz 60dB受信 → Tメーター中点確認
 ・83MHz 1kHz 60dB受信 → L25調整 → 高調波歪最小
 ・83MHz 1kHz 60dB受信 → VR2調整 → 高調波歪最小
【IF WIDE調整】
 ・IF BAND=WIDE
 ・オーディオ出力 → Wavespectra接続
 ・83MHz 1kHz 60dB受信 → L4,L5,L6,L7,L8,L9,L10,L11,L12調整
    → Sメーター最大 かつ高調波歪最小
【IF WIDE調整】
 ・IF BAND=WIDE
 ・オーディオ出力 → Wavespectra接続
 ・83MHz ST 1kHz 60dB受信 → L16,L17,L18調整 → 高調波歪最小
【IF NARROW調整】
 ・IF BAND=NARROW
 ・オーディオ出力 → Wavespectra接続
 ・83MHz 1kHz 60dB受信 → L14,L15調整 → 高調波歪最小
【NARROW GAIN調整】
 ・IF BAND=WIDE
 ・83MHz 40dB受信 → Sメーター目盛り記録
 ・IF BAND=NARROW
 ・83MHz 40dB受信 → VR1調整→ Sメーター目盛りWIDE時と同じ
【VCO調整】
 ・IF BAND=WIDE
 ・83MHz ST 1kHz 60dB受信 → VR6調整
 ※VR6を左右一杯に回してSTEREOランプが点灯する範囲を特定する
 ※その範囲の中央位置にVR6をセットする
【パイロット信号キャンセル調整】
 ・IF BAND=WIDE
 ・オーディオ出力をWavespectraで観測
 ・83MHz ST 60dB受信 → VR5調整 → 19kHz最小
 ・83MHz ST 60dB受信 → L37調整 → 19kHz最小
 ・左右バランスに注意
【セパレーションWIDE調整】
 ・IF BAND=WIDE
 ・83MHz ST 1kHz 80dB受信 → VR7調整 → Lch漏れ最小
 ・83MHz ST 1kHz 80dB受信 → VR8調整 → Rch漏れ最小
【セパレーションNARROW調整】
 ・IF BAND=NARROW
 ・83MHz ST 1kHz 80dB受信 → VR9調整 → L/Rch漏れ最小
【Sメーター調整】
 ・IF BAND=WIDE
 ・83MHz 60dB 受信 → VR3調整 → Sメーター目盛り4.25
【DEVIATION調整】
 ・IF BAND=WIDE
 ・83MHz 1kHz 60dB 受信 → VR4調整 → Dメーター目盛り100%
【REC CAL】
 ・445kHz -5.6dB ※確認のみ

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■試聴------------------------------------------------------

 ・どうやらテキトーに弄ってから放出された中古品だったようです
 ・L26を始め、ほとんどの調整箇所が大幅にズレていました
 ・再調整によって良い音で受信出るようになりました

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note:BLUESS Laboratory


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