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Technics ST-9030T 修理調整記録9

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 ・2024年5月、30Tの故障機が届きました。
 ・ガンメタフェイスとオレンジ照明の組み合わせが惚れ惚れする機種です
 ・以下、作業記録です

30t04

■製品情報--------------------------------------------------

 ・オーディオの足跡 Technics ST-9030T ¥80,000(1977年頃)
 ・hifiengine Technics ST-9030 FM Stereo Tuner (1977-81)

30t0230t12

■動作確認--------------------------------------------------

【依頼者様からの事前情報】
 ・0.2Mhz程度ズレているが同調はしている
 ・servo tuningが効かずスイッチONで同調しようとすると音が途切れる
 ・やむなく通常OFFにしている
 ・Tメーターはセンターより左側で同調する
 ・75Ωアンテナ端子を触るとSメーターが大きく動く
 ・通常NHK-FM(名古屋)をSメーター目盛り3.5で受信している

【当方での確認事項】
 ・外観に目立つキズは無く保存状態は良好
 ・名古屋地区のFM局で受信テスト開始
 ・ご指摘のように-0.2MHz程度ズレた位置で受信OK
 ・servo tuning ONでも受信できました
 ・ただSメーター最大点とTメーター中点が一致しない
 ・音が途切れるのはたぶんMUTINGの調整ズレでしょうか
 ・当方では5Cケーブルをネジ式F端子でアンテナ端子に固定します
 ・この状態ではアンテナ端子に触ってもSメーターに変化ありません
 ・NHK-FM名古屋82.5MHzを受信するとSメーターの目盛りは4.2位でした
 ・信号発生器で目盛り3.5を再現すると電波強度は約40dBのようです

■内部確認--------------------------------------------------

 ・部品交換歴や修理歴は無さそうです
 ・アンテナ端子を確かめたのですが基板側にハンダ割れは無かったです
 ・ただ、差込むだけのFプラグを使うと確かにグラグラですね
 ・この状態だと触れるだけでSメーターの振れ具合が変動します
 ・太い5C同軸ケーブル+ネジ式端子の利用をお勧めします

30t_00

■調整記録--------------------------------------------------

【本体設定】
 ・MPX hi-blend=off
 ・Servo tuning=off
 ・IF selector=auto
 ・TP302とTP303を短絡すると強制narrowとなる
【レシオ検波調整1】
 ・入力信号なし
 ・TP201~GND DC電圧計セット → T201(narrow緑)調整 → 電圧ゼロ
 ・TP101~GND DC電圧計セット → T102(wide緑)調整 → 電圧ゼロ
【OSC調整】
 ・TP302~TP303短絡(強制narrowモード)
 ・SSG76MHz → L8調整 → Sメーター最大
 ・SSG90MHz → CT8調整 → Sメーター最大
【RF調整】
 ・TP302~TP303短絡(強制narrowモード)
 ・SSG76MHz → L1,L2,L3,L4,L5,L6,L7調整 → Sメーター最大
 ・SSG90MHz → CT1,CT2,CT3,CT4,CT5,CT6,CT7調整 → Sメーター最大
 ・SSG83MHz → T1調整 → Sメーター最大
【レシオ検波調整2】
 ・入力信号なし
 ・TP101~GND DC電圧計セット → T102(wide緑)調整 → 電圧ゼロ
 ・TP201~GND DC電圧計セット → T201(narrow緑)調整 → 電圧ゼロ
【出力レベル調整】wide
 ・IF selector=wide
 ・音声出力端子にAC電圧計セット
 ・SSG83MHz 400Hz 100% → VR504調整 → 1.4v
【モノラル歪調整】
 ・音声出力をWaveSpectraで観測
 ・IF selector=wide
 ・SSG83MHz 1kHz 100% → T102(wide赤)調整 → 歪最小
 ・TP302~TP303短絡(強制narrowモード)
 ・SSG83MHz 1kHz 100%変調 → T201(wide赤)調整 → 歪最小
【出力レベル調整】narrow
 ・TP302~TP303短絡(強制narrowモード)
 ・音声出力端子にAC電圧計セット
 ・SSG83MHz 400Hz 100% → VR503調整 → 1.4v
【ミューティング調整】
 ・Servo tuning=auto
 ・TP102~GND DC電圧計セット
 ・SSG83MHz 1kHz → T202,T203調整 → 電圧最大
 ・SSG83MHz 1kHz 60dB → VR402調整 → 局間ノイズが消える位置へ
 ・SSG83MHz 1kHz 20dB → VR401調整 → ミューティング作動位置へ
【Sメーター調整】
 ・SSG83MHz 1kHz 100% → VR501調整 → Sメーター指針
【VCO調整】
 ・TP601 周波数カウンタ接続
 ・SSG83MHz無変調 → VR602調整 → 19kHz±30Hz
【左右レベル調整】
 ・SSG83MHz 1kHz ST変調 → VR702調整 → 左右chのレベルを同じ
【パイロットキャンセル調整】
 ・音声出力をWaveSpectraで観測
 ・SSG83MHz 1kHz ST変調 → VR601,L601,L602調整 → 19kHz最小
【サブキャリアキャンセル調整】
 ・SSG83MHz 1kHz ST変調 → CT701調整 → 38kHz最小
【セパレーション調整】
 ・音声出力をWaveSpectraで観測
 ・SSG83MHz 1kHz L/R信号 → VR701調整 → 漏れ信号最小
 ・TP302~TP303短絡(強制narrowモード)
 ・SSG83MHz 1kHz L/R信号 → VR703調整 → 漏れ信号最小
【ハイブレンド調整】
 ・音声出力端子にAC電圧計セット
 ・SSG83MHz 1kHz L/R信号 → VR502調整 → 左右レベルを確認
 ・MPX high-blend=on
 ・SSG83MHz 1kHz L/R信号 → VR502調整 → 左右レベル同一
【Auto IF セレクター調整】
 ・TP101 200kHz正弦波注入
 ・TP301 オシロスコープ接続 → T302調整 → 200kHz波形最大
 ・TP101 300kHz正弦波注入
 ・TP301 オシロスコープ接続 → T301調整 → 300kHz波形最大
 ・上記作業を数回繰り返す

30t30

■試聴------------------------------------------------------

 ・上記調整作業によって当初の不具合は解消しました
 ・受信感度(Sメーターの振れ具合)も少し向上したと思います

30t08

 →note:BLUESS Laboratory


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