・2024年5月、市内のリサイクルショップで何と F-700 を見かけました
・ジャンク価格の値札に「Sメーターが動かない」と手書きメモが、
・メーター自体が壊れていたらどうしようもないなあ、と思いつつ
・でも何と言ってもF-700だし、パイオニア製パルスカウント検波機だし
・修理出来なくても最悪は部品取り機で活用できるし、、
・いつものように楽観的に考えて研究材料として確保してきました
■製品情報--------------------------------------------------
・オーディオの足跡 Pioneer F-700 ¥65,000(1979年発売)
・Hifi Engine PIONEER F-700 (1981)
・F-700/F-500カタログ 1980年4月版
・F-700 取扱説明書
■動作確認--------------------------------------------------
・弟機にF-500がありますが、F-700はFM専用機なので個人的に好みです
・ボディに多少の擦り傷あるもののフロントパネルはきれいな状態
・プッシュボタンに緑青サビがなくて光沢を感じるのは珍しい
・さて電源オン、周波数窓の照明点灯、二つのメーター照明点灯
・照明電球はすべて点灯、さて肝心の受信テスト開始
・名古屋地区のFM局受信を試みる、、、が全く受信しない
・Sメーターは全く振れない、これは値札の説明書きは正確でしたが、
・しかし指針に組み込まれたTメーターインジケーターも点灯しない
・Sメーターが動かない理由はそもそも受信動作していないことかも?
・試しに信号発生器から83MHz-120dBの強力電波を注入したところ
・何と、Sメーターが大きく振れてSTEREOランプ点灯
・指針内のTメーターインジケーターも左右とも点灯OK
・自宅では電波強度75dB程度あるはずですが受信不可とは、
・どうやら受信感度が大幅に低下していることが不調原因のようです
■内部確認--------------------------------------------------
・ボディ後方開口部付近に堆積した大量の埃をエアとブラシで清掃
・FMアンテナ端子から強力電波(120dB)を注入すると正常動作する
・ということはRF回路またはIF回路で信号の増幅が出来ていない
・試しにIF回路初段のR27に10.7MHzを直接注入したところ正常に動作
・つまりフロントエンド内で信号増幅できていないということ
■修理記録:ヒューズ抵抗交換--------------------------------
・経験上、本機の弱点はヒューズ抵抗にあることが分かっています
・回路図を見ると保安指定部品 22Ω(1/4W)
・どのヒューズ抵抗も両端部が明らかに変色しています
・取り外して抵抗値を確認すると以下の通り
・R6 (22Ω) → 843Ω
・R7 (22Ω) → 160Ω
・R15(22Ω) → 273Ω
・R17(22Ω) → 983Ω
・R24(22Ω) → 120Ω
・R25(22Ω) → 121Ω
・R152(22Ω) → 98Ω
・R160(22Ω) → 433Ω
・R163(22Ω) → 320Ω
・ヒューズ抵抗を → 抵抗(1/2w品、サイズは1/4w品)に交換しました
・全数を新品交換したところ、期待通り受信動作が復活しました
・以下の調整作業を経て安定動作するようになりました
■調整記録--------------------------------------------------
【同調点調整】
・TP3~TP4 → 電圧計セット
・無信号 → T5調整 → ±0v
【FM OSC調整】
・IF BAND=NARROW
・目盛り位置76MHzに指針セット
・76MHz 70dB 受信 → L6調整 → Sメーター最大
・目盛り位置90MHzに指針セット
・90MHz 70dB 受信 → TC6調整 → Sメーター最大
【RF調整】
・IF BAND=NARROW
・目盛り位置76MHzに指針セット
・76MHz 40dB 受信 → L1,L2,L3,L4,L5調整 → Sメーター最大
・目盛り位置90MHzに指針セット
・90MHz 40dB 受信 → TC1,TC2,TC3,TC4,TC5調整 → Sメーター最大
・83MHz 40dB 受信 → L7調整 → Sメーター最大
・83MHz 40dB 受信 → VR1調整 → Sメーター最大
・VR2近くの2個のFET(Q4,Q5)S端子 → 電圧計セット
・83MHz 40dB 受信 → VR2調整 → 0v
※VR1:相互変調調整
※VR2:キャリアバランス調整
【IF調整】
・IF BAND=NARROW
・目盛り位置83MHz付近でSメーター最大位置に指針セット
・83MHz 40dB 受信 → T1,T4調整 → Sメーター最大
・Sメーターの目盛りを記録
・IF BAND=WIDE
・VR3調整 → Sメーターの目盛りをNARROW時と同じ位置に
【FM同調点調整】※クアドラチュア検波
・IF BAND=WIDE
・83MHz 70dB 受信 → T4調整 → Tメーター中点 ※確認のみ
【ミューティング調整】
・VR4調整
【Sメーター振れ調整】
・VR5調整
【パルスカウント検波調整】
・TP8~TP7(GND) → 周波数カウンタ接続
・83MHz 70dB 受信 → T7調整 → 1.26MHz
・音声出力端子 → WaveSpectra接続
・83MHz 70dB 受信 → TC7調整 → 歪率最小
【変調度メーター調整】
・IF BAND=WIDE
・83MHz 70dB 受信 → VR6調整 → Deviationメーター100%
【REC LEVEL調整】
・83MHz 70dB 受信 → 信号レベル記録
・REC LEVEL オン → VR12調整 -6dB設定 ※実測281Hz
【VCO整】
・IF BAND=WIDE
・TP9 → 周波数カウンタ接続
・無信号 → VR7調整 → 76Hz
【STEREO歪率調整】
・音声出力端子 → WaveSpectra接続
・IF BAND=WIDE
・83MHz 70dB 1kHz ST受信 → T1調整 → 歪率最小
・83MHz 70dB 400Hz ST受信 → L29調整 → 歪率最小
・IF BAND=NARROW
・83MHz 70dB 400Hz ST受信 → T4調整 → 歪率最小
【パイロット信号キャンセル調整】
・IF BAND=WIDE
・音声出力端子 → WaveSpectra接続
・83MHz ST信号 60dB 受信 → VR8調整 → 19kHz最小
・左右バランスに注意
【セパレーション調整】
・IF BAND=WIDE
・83MHz ST 80dB 受信 → VR9調整 → Lch漏れ最小
・83MHz ST 80dB 受信 → VR10調整 → Rch漏れ最小
【セパレーション調整】
・IF BAND=NARROW
・83MHz ST 80dB 受信 → VR11調整 → L/Rch漏れ最小
■試聴------------------------------------------------------
・Sメーター自体の故障じゃなくて良かったです
・この時代のヒューズ抵抗は全数要チェックですね
・貴重なパイオニア製パルスカウント検波機が復活しました
■改造記録:照明電球LED化-----------------------------------
・さて、今回は修理依頼品ではないので気楽に実験に取り組めます
・LED色はシンプルなホワイト色に仕上げてみました
・オリジナル周波数窓照明:T10ウエッジ球(8v300mA)×3個
→交換用電球はアマゾンで自動車用12v仕様のT10ウエッジLEDを調達
→BORDAN T10 LED ホワイト 車検対応 10SMD 12V 1.2W 色温度6000
→既存の電球を外して付け替えるだけでお手軽ですが、
→T10タイプでも全長が大きいと透明アクリルに納まらないので注意
・メーター照明:直径4mmの麦球(8v100mA)×2個
→単発のLEDだと点照明になってしまうのでLEDテープを使用
→アマゾンで調達した12v用の白色LEDテープ(5m)、非防水タイプ
→テープ幅7mm、1m当たり60個のLED素子(2835)、5mで300個のLED素子
→L字アングル(10mm×10mm)長さ11cm、点灯素子6個の位置でカット
→LEDテープ端子に電線をハンダ付けし熱収縮チューブを巻いて保護
→底板側からアングルをメーターにセットし両面テープで固定
・ラグ板上に小さな専用電源回路(半整流+電解コンデンサ)を製作
→電源スイッチの後ろにある小さな基板横にネジ止め固定
→電源トランスから出ている青線AC8.6v が DC+10.6v になりました
→窓照明用のホワイトLEDにはこのDC10.6vを直結
→メーター照明LEDテープには220Ω制限抵抗を挟んで接続
→実測電流 窓照明 39mA、メーター照明 7mA
■照明LED化いろいろ-----------------------------------------
・オリジナル電球、電球色LED、白色LED、アンバー色LEDを比較した結果
・発色の異なるLED電球を変えれば雰囲気を変えることが出来ます
・いろいろ試しましたが白色LEDが落ち着くように思えてきました
・上から<オリジナル電球> <電球色LED> <白色LED> <アンバー色LED>