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YAMAHA TX-2000 修理調整記録7

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 ・2024年5月、TX-2000の故障機が届きました
 ・Narrow受信時の不調原因はFEのセラミックフィルター劣化でした
 ・その他いろいろ不具合を解消した作業記録です

Tx200005_20240901082601

■製品情報--------------------------------------------------

 ・オーディオの足跡 YAMAHA TX-2000 ¥100,000(1988年発売)
 ・Hifi Engine YAMAHA TX-2000 AM/FM Stereo Tuner (1988-92)

Tx200002_20240901082801Tx200011_20240901082801

■動作確認--------------------------------------------------

【提供者様からの事前情報】
 ・モードボタンで切替しないとステレオ表示しない
 ・ステレオ感がない
 ・シグナルメーターが40%に満たない

【当方での確認事項】
 ・外観に目立つ傷なし、フロントパネルもキレイな状態
 ・アンテナを接続して電源オン、表示部が鮮やかなオレンジ色に輝く
 ・名古屋地区のFM局で受信テスト開始
 ・Wide受信でオート選局上り方向-0.2MHz、下り方向でー0.1MHzズレて停止
 ・ズレた周波数でSTEREOインジケーター点灯
 ・シグナルインジケーターはWide受信時では半分程度点灯するが
 ・Narrow受信に切り換えるとほとんど点灯せずオート選局は不可
 ・アンテナ端子A/Bを切り換えるときに一時的に受信不能になる
 ・AMは手持ちの適当なループアンテナを接続して受信確認
 ・名古屋地区のAM放送局をオート選局で正常に受信OK
 ・FMは受信感度低下とNarrow受信時のノイズ問題、AMは大きな問題はなさそう

Tx200000_20240901082601

■調整記録--------------------------------------------------

 ・海外版サービスマニュアルを一部アレンジ。
【本体設定】
 ・電源投入から5分以上経過していること
 ・OSCコイル、IFTの調整には金属製ドライバーは使用しないこと
 ・まずFMセクションを調整し、次にAMセクションを調整すること
 ・MODE:AUTO ST
 ・BLEND:OFF
 ・IF MODE:Wide
 ・RF ATT:OFF
 ・オーディオ出力をWaveSpectra接続
【電圧確認】
 ・+30 → +29V±1V → ※実測+28.6V
 ・+12 → +12.5V±0.5V → ※実測+12.0V
 ・-12 → -12.5V±0.5V → ※実測-11.9V
 ・+ 6 → + 6V±0.5V ※実測+6.0V
【VT電圧確認】
 ・L17の足に DC電圧計接続
 ・受信周波数 90.0MHz → T8調整 → 24.9V
 ・受信周波数 76.0MHz → 7.3V ※確認のみ
【レシオ検波調整】
 ・FINE TUNING ON → すなわちCSL停止状態
 ・基板上のFM S端子~GND間にDC電圧計セット
 ・83.00MHz受信 → T7調整 → 電圧ゼロ
【FMフロントエンド調整】
 ・VR10の足 DC電圧計セット
 ・76.00MHz受信 → T1,T2,T3,T4調整 → 電圧最大
 ・90.00MHz受信 → VC1,VC2,VC3,VC4調整 → 電圧最大
★VC1~VC4の反応が過敏で最大値が決まらない
【モノラル歪調整】
 ・固定出力端子をWaveSpectra接続
 ・83.00MHz(mono)受信 → VC5,VR9調整 → 高調波歪最小
【PLL入力位相調整】
 ・83.00MHz(SUB)受信 → T10,T12調整 → Lch出力最大
【ステレオ歪調整】
 ・IF MODE:Narrow
 ・83.00MHz(stereo) → VR3,4,5,6調整 → 高調波歪最小
【ステレオ歪調整】
 ・IF MODE:Wide
 ・83.00MHz(stereo) → T5,6,13,VR1,2,7,8調整 → 高調波歪最小
【IF オフセット調整】
 ・FINE TUNING OFF → すなわちCSL受信状態
 ・D4~K3を短絡
 ・83.00MHzの表示が「30.0」という表示に変わる。
 ・VR17調整 → 周波数表示を微調整
 ・調整後はD4~K3を開放
 ※D4~K3を短絡すると登録したメモリー内容がリセットされる
【セパレーション調整】
 ・IF MODE:Wide
 ・83.0MHz(stereo) → VR13調整 → L→R漏れ信号最小
 ・83.0MHz(stereo) → VR14調整 → R→L漏れ信号最小
【セパレーション調整】
 ・IF MODE:Narrow
 ・83.0MHz(stereo) → VR11調整 → L→R漏れ信号最小
 ・83.0MHz(stereo) → VR12調整 → R→L漏れ信号最小
★Narrow受信時はステレオ分離できない!
★R信号のみ、L信号のみを送信すると激しい共振音が聞こえる
【パイロット信号キャンセル調整】
 ・IF MODE:Wide
 ・83.0MHz(stereo) → VR15,T11調整 → 19kHz成分最小
 ・左右chのバランスに注意
【シグナルメーター調整】
 ・IF MODE:Wide
 ・83.0MHz(stereo)80dB → VR10調整 → レベルメーター全灯
★VR10全開にしても半分程度しか点灯しない
【ブレンドチェック】
 ・受信中にBLENDスイッチON
 ・セパレーション値が左右とも悪化することを確認

AM部
【VT電圧確認】
 ・ 522kHz受信 → L17電圧=3.3V ※確認のみ
 ・1620kHz受信 → L17電圧=24.0V ※確認のみ
【RF、IF調整】
 ・1053kHz受信(名古屋CBCラジオ)→ PK1調整 → Sメーター最大
 ・1053kHz受信(名古屋CBCラジオ)→ T9調整 → Sメーター最大

Tx200050

■修理記録:トリマコンデンサ交換----------------------------

 ・Wide受信時にシグナルメーターが半分程度しか点灯しない
 ・上記調整過程でトリマコンデンサ(VC1,VC2,VC3,VC4)が怪しい感じ
 ・調整時の反応が過敏で最大電圧が分かり難い状態です
 ・そこで4個とも10pFの新品に交換してみました
 ・再調整したところ最大電圧がピシッと決まりました
 ・Wide受信時のシグナルインジケーターがフル点灯になりました

Tx200021_20240901082901Tx200022_20240901082901

■修理記録:アンテナ切換回路--------------------------------

 ・アンテナ端子A/Bを切り換えるときに一時的に無信号状態になる
 ・対策として該当するトランジスタ2個を交換しました
  ・Q32,Q33:2SA1317S → 2SA1015GR
 ・切換時の動作が安定したと思います

Tx200033_20240901082901Tx200036_20240901082901

■修理記録:Narrow回路--------------------------------------

 ・上記修理と調整でWide受信時の動作は正常化しました
 ・ところがNarrow受信に切換えると受信感度低下及びステレオ分離不可に
 ・またR信号のみ、L信号のみを送信すると激しい共振音が出てきます
 ・対策としてまずIF BANDを切り換える回路のトランジスタ3個交換
  ・Q27,Q28:2SC3330S → 2SC1815GR
  ・Q29:2SA1317S → 2SA1015GR
 ・アンテナ端子の件もあったので期待しましたが、残念ながら効果なし

Tx200032_20240901083001Tx200035_20240901083001

 ・続いて信号発生器で10.7MHz信号を生成してNarrow回路の各段に直接注入
 ・結果、故障部品はNarrow回路のセラミックフィルター CF3 でした
 ・セラミックフィルターの新品は手持ちがないのでジャンク機から移植
  ・CF3 → SANSUI TU-α707 Narrow回路から移植
 ・交換後はWide受信と同レベルまでシグナルインジケーターが点灯
 ・セパレーション調整でステレオ分離も正常化しました
 ・この結果を踏まえて同型部品のCF2も予防交換しておきました
  ・CF2 → SANSUI TU-α707 Narrow回路から移植

Tx200030_20240901083101Tx200042_20240901083101
Tx200045_20240901082701

■試聴------------------------------------------------------

 ・上記修理後に再度調整して作業完了しました
 ・フロントエンドのセラミックフィルターの故障は珍しいケースです
 ・これまでの経験の中でたぶん2例目だと思います
 ・1例目はこちら → LUXMAN T-110 修理調整記録4

Tx200003_20240901082601

 →note:BLUESS Laboratory


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