・2024年6月、FM受信不能という333ESGがやって来ました
・調べてみるとあちこち不具合がある個体でした
・以下、復活までの作業記録です
■製品情報--------------------------------------------------
・オーディオの足跡 SONY ST-S333ESG ¥49,800(1989年発売)
・1987年10月発行「SONY ES テクノロジーカタログ」
■動作確認--------------------------------------------------
・FMアンテナを接続して電源オン
・表示部点灯OK、文字欠けや輝度劣化は感じられない
・IF BANDやRF切換などボタン操作に応じてインジケーター点灯OK
・オート選局でFM局を受信しようとすると、すべて素通りして受信不能
・マニュアル選局でMUTINGオフにするとかろうじて受信可能
・この状態でシグナルインジケーターが僅かに点灯、STEREO点灯せず
・一方AMは付属ループアンテナで正常に受信OK
・問題はFM部、受信感度が大幅に低下しているようです
■内部点検--------------------------------------------------
・まず最初にすべてのヒューズ抵抗を確認 → 顕著な劣化部品なし
・FM同調点調整 → IC251(LA1235)7pin~10pin間電圧計セット
・83MHz受信 → IFT251調整 → 電圧ゼロ
・ところがIFT251を回しても電圧が全く変化しない
・内部コンデンサーが完全に容量抜けしているようです
・まずはココから対策を始めます
■修理記録:IFT251------------------------------------------
・IFT251を取り外して内側を確認
・内蔵コンデンサーが真っ黒に変色していました
・これを除去し、セラミックコンデンサ(101)を外付け
・再度FM同調点を調整したところ電圧ゼロに設定できました
・シグナルインジケーターが点灯しオート選局できるようになりました
・しかし出てくる音が、何とも酷い、、
・左右分離できておらずセパレーション調整に反応しない
■修理記録:PLL検波回路-------------------------------------
・次にPLL検波回路の電源周りを再チェック
・ツェナーダイオード D273 の電圧に異常発見、両端電圧が同じです
・D273(部品番号 UZL-6L2)
・隣にある同型 D274を取り外して電圧測定すると 6.2v
・D273,D274 → 新品6.2v品に交換
・これでSTEREOインジケーターが点灯してFM音声が出てきました
・PLL検波回路 CT271 → 反応が過敏なので新品20pFに交換
■修理記録:その他の定番対策---------------------------------
・フロントエンドのトリマコンデンサCT101,CT102,CT103 → 新品交換
・アースバーのハンダクラック修正
・音声端子、アンテナ端子のハンダクラック修正
・メモリ保持用キャパシタC605交換 0.1F/5.5v → 1F/5.5v
・タンタルコンデンサC604交換 10uF/6.3v → 10uF/50v
■調整記録--------------------------------------------------
【FM同調点調整】
・IF BAND = WIDE
・IC251(LA1235)7pin~10pin間電圧計セット
・83MHz受信 → IFT251調整 → 電圧ゼロ
【VT電圧調整】
・フロントエンド内JW8 電圧計セット
・アンテナ入力なし
・90MHz → L104調整 → 21.0V±0.2V ※調整前実測21.9V
・76MHz → 確認のみ → 8.0V±1.0V ※調整前実測 8.4V
【トラッキング調整】
・IF BAND = NARROW
・IC251(LA1235) 13pin(又はR261右足)電圧計セット
・90MHz受信 → CT101,CT102,CT103 → 電圧最大
・76MHz受信 → L101,L102,L103 → 電圧最大
【PLL検波調整】
・IF BAND = WIDE
・TP201を短絡 ※これによってIF回路をパス
・TP271 電圧計セット
・IFT272調整 → 電圧ゼロ
・CT271調整 → 歪最小 ※Wavespectraにて波形確認
・TP201を開放
【IF歪調整】
・IF BAND = WIDE
・MUTING = OFF
・IC251(LA1235) 13pin(又はR261右足)電圧計セット
・RV201、RV202 時計回り一杯に回す
・SSG出力40dBモノラル信号送信
・IFT201調整 → 電圧最大
・SSG出力40dBステレオ信号送信
・IFT202調整 → 電圧最大
・IFT101調整 → 電圧最大 ※IFT101フロントエンド内
・RV201、RV202 回転範囲の中央位置に回す
・SSG出力80dBモノラル信号送信
・IFT203調整 → 歪最小へ
・SSG出力80dBステレオ信号送信
・IFT204調整 → 歪最小へ
【STEREOインジケータ調整】
・IF BAND = WIDE
・MUTING = OFF
・SSG83MHz 出力20dB
・RV251調整 → ステレオインジケータ点灯
【MUTINGレベル調整】
・IF BAND = WIDE
・MUTING = ON
・SSG83MHz 出力25dB
・RV252調整 → MUTING調整
【IF NARROWゲイン調整】
・IF BAND = NARROW
・RV203調整 → NARROWゲイン調整
【Sメーター調整】
・RV241調整
【パイロットキャンセル】
・RV303、L301 19kHz信号漏れ最小 左右バランス確認
【セパレーション調整】
・RV301 R→L ※調整後実測66dB
・RV302 L→R ※調整後実測64dB
【CAL TONE】
・Peak Level-4.2dB 391Hzの波形が出ていました
【AM調整】
・RV401 Sメーター調整
・RV402 AUTOSTOP調整
■試聴------------------------------------------------------
・あちこち不具合がありましたが何とか復旧できました
・ツェナーダイオードの故障事例もどうやら定番と言えそうです