Quantcast
Channel: BLUESS Laboratory
Viewing all articles
Browse latest Browse all 568

SONY ST-S333ESG 修理調整記録11

$
0
0

 ・2024年6月、FM受信不能という333ESGがやって来ました
 ・調べてみるとあちこち不具合がある個体でした
 ・以下、復活までの作業記録です

Esg04_20240811085801

■製品情報--------------------------------------------------

 ・オーディオの足跡 SONY ST-S333ESG ¥49,800(1989年発売)
 ・1987年10月発行「SONY ES テクノロジーカタログ」

Esg02_20240811085901Esg11

■動作確認--------------------------------------------------

 ・FMアンテナを接続して電源オン
 ・表示部点灯OK、文字欠けや輝度劣化は感じられない
 ・IF BANDやRF切換などボタン操作に応じてインジケーター点灯OK
 ・オート選局でFM局を受信しようとすると、すべて素通りして受信不能
 ・マニュアル選局でMUTINGオフにするとかろうじて受信可能
 ・この状態でシグナルインジケーターが僅かに点灯、STEREO点灯せず
 ・一方AMは付属ループアンテナで正常に受信OK
 ・問題はFM部、受信感度が大幅に低下しているようです

■内部点検--------------------------------------------------

 ・まず最初にすべてのヒューズ抵抗を確認 → 顕著な劣化部品なし
 ・FM同調点調整 → IC251(LA1235)7pin~10pin間電圧計セット
  ・83MHz受信 → IFT251調整 → 電圧ゼロ
  ・ところがIFT251を回しても電圧が全く変化しない
  ・内部コンデンサーが完全に容量抜けしているようです
  ・まずはココから対策を始めます

Esg19Esg20

■修理記録:IFT251------------------------------------------

 ・IFT251を取り外して内側を確認
 ・内蔵コンデンサーが真っ黒に変色していました
 ・これを除去し、セラミックコンデンサ(101)を外付け
 ・再度FM同調点を調整したところ電圧ゼロに設定できました
 ・シグナルインジケーターが点灯しオート選局できるようになりました
 ・しかし出てくる音が、何とも酷い、、
 ・左右分離できておらずセパレーション調整に反応しない

Esg22Esg25

■修理記録:PLL検波回路-------------------------------------

 ・次にPLL検波回路の電源周りを再チェック
 ・ツェナーダイオード D273 の電圧に異常発見、両端電圧が同じです
 ・D273(部品番号 UZL-6L2)
 ・隣にある同型 D274を取り外して電圧測定すると 6.2v
 ・D273,D274 → 新品6.2v品に交換
 ・これでSTEREOインジケーターが点灯してFM音声が出てきました
 ・PLL検波回路 CT271 → 反応が過敏なので新品20pFに交換

Esg32_20240811090201Esg33_20240811090201

■修理記録:その他の定番対策---------------------------------

 ・フロントエンドのトリマコンデンサCT101,CT102,CT103 → 新品交換
 ・アースバーのハンダクラック修正
 ・音声端子、アンテナ端子のハンダクラック修正
 ・メモリ保持用キャパシタC605交換 0.1F/5.5v → 1F/5.5v
 ・タンタルコンデンサC604交換 10uF/6.3v → 10uF/50v

Esg41Esg51Esg53Esg61Esg71

■調整記録--------------------------------------------------

【FM同調点調整】
 ・IF BAND = WIDE
 ・IC251(LA1235)7pin~10pin間電圧計セット
 ・83MHz受信 → IFT251調整 → 電圧ゼロ
【VT電圧調整】
 ・フロントエンド内JW8 電圧計セット
 ・アンテナ入力なし
 ・90MHz → L104調整 → 21.0V±0.2V ※調整前実測21.9V
 ・76MHz → 確認のみ → 8.0V±1.0V ※調整前実測 8.4V
【トラッキング調整】
 ・IF BAND = NARROW
 ・IC251(LA1235) 13pin(又はR261右足)電圧計セット
 ・90MHz受信 → CT101,CT102,CT103 → 電圧最大
 ・76MHz受信 → L101,L102,L103 → 電圧最大
【PLL検波調整】
 ・IF BAND = WIDE
 ・TP201を短絡 ※これによってIF回路をパス
 ・TP271 電圧計セット
 ・IFT272調整 → 電圧ゼロ
 ・CT271調整 → 歪最小 ※Wavespectraにて波形確認
 ・TP201を開放
【IF歪調整】
 ・IF BAND = WIDE
 ・MUTING = OFF
 ・IC251(LA1235) 13pin(又はR261右足)電圧計セット
 ・RV201、RV202 時計回り一杯に回す
 ・SSG出力40dBモノラル信号送信
  ・IFT201調整 → 電圧最大
 ・SSG出力40dBステレオ信号送信
  ・IFT202調整 → 電圧最大
  ・IFT101調整 → 電圧最大 ※IFT101フロントエンド内
 ・RV201、RV202 回転範囲の中央位置に回す
 ・SSG出力80dBモノラル信号送信
  ・IFT203調整 → 歪最小へ
 ・SSG出力80dBステレオ信号送信
  ・IFT204調整 → 歪最小へ
【STEREOインジケータ調整】
 ・IF BAND = WIDE
 ・MUTING = OFF
 ・SSG83MHz 出力20dB
 ・RV251調整 → ステレオインジケータ点灯
【MUTINGレベル調整】
 ・IF BAND = WIDE
  ・MUTING = ON
  ・SSG83MHz 出力25dB
  ・RV252調整 → MUTING調整
【IF NARROWゲイン調整】
 ・IF BAND = NARROW
  ・RV203調整 → NARROWゲイン調整
【Sメーター調整】
 ・RV241調整
【パイロットキャンセル】
 ・RV303、L301 19kHz信号漏れ最小 左右バランス確認
【セパレーション調整】
 ・RV301 R→L ※調整後実測66dB
 ・RV302 L→R ※調整後実測64dB
【CAL TONE】
 ・Peak Level-4.2dB 391Hzの波形が出ていました
【AM調整】
 ・RV401 Sメーター調整
 ・RV402 AUTOSTOP調整

Esg70

■試聴------------------------------------------------------

 ・あちこち不具合がありましたが何とか復旧できました
 ・ツェナーダイオードの故障事例もどうやら定番と言えそうです

Esg06_20240811085801

 →note:BLUESS Laboratory


Viewing all articles
Browse latest Browse all 568

Trending Articles



<script src="https://jsc.adskeeper.com/r/s/rssing.com.1596347.js" async> </script>