・2023年2月、格安ジャンクのTX-910を入手しました
・優先順位の低い作業だったので随分と後回しになってしまいましたが、
・2024年1月の正月休みにようやく作業が進展しました
・以下、仮復活までの記録です
■製品情報------------------------------------------------------------
・オーディオの足跡 PIONEER TX-910 ¥75,000(1973年頃)
・オーディオ懐古録 PIONEER TX-910 ¥70,000(発売時)、¥75,000(1941年)
・Hifi Engine Pioneer TX-9100 AM/FM Stereo Tuner (1973-75)
■動作確認------------------------------------------------------------
・ジャンク理由は何と!選局ツマミがありません(笑)
・でも過去に解体処分したTX-710のパーツがあるので何とかなるかな、と思いつつ
・全体にホコリを被ってかなり汚れた状態、でもヤニ汚れではないのが幸い
・選局ツマミが欠損していることは除いて、
・フロントパネルは目立つキズは無く洗浄すればキレイになりそう
・さて、FMアンテナを接続して電源オン、通電OKだが、、
・固定出力のL端子から「ブーン」という大きなノイズ
・でも可変出力端子からはノイズは聴こえない、以降可変端子で確認続行
・青色の周波数窓照明点灯、ただ左端が暗いので一部電球切れの模様
・二つのメーター照明点灯、オレンジ色の指針照明点灯
・FM/AMの切換に応じてポジションランプ点灯
・Sメーター最大点とTメーター中点が一致しないが名古屋地区のFM局を受信OK
・残念ながらSTEREOインジケーターが点灯しない、実際のステレオ感も無し
・MUTINGをONにすると受信できなくなる
・背面AMバーアンテナで名古屋地区のAM局を受信OK
・ここまで動作確認したところで急に音が出なくなった!
・SメーターとTメーターは振れるが音声端子から音が出なくなった
・これはどうしたことか??
■内部確認------------------------------------------------------------
・ボディを開けてみると通気口に沿って大量のホコリが堆積
・ベランダに持ち出してエアー噴射と小さい刷毛でホコリを徹底清掃
・ヤニ汚れが無いのが幸いでした
・次に基板ごとの黒いシールドカバーを外して内部確認
・修理痕や部品交換痕は無くオリジナル状態を保っているようです
■修理記録:電源基板のヒューズ交換------------------------------------
・以前の故障事例で電源基板のヒューズが切れていた事がありました
・その経験を踏まえてまずは電源部の電圧チェックからスタート
・やはりヒューズが1本切れていました
・電源基板20番端子ヒューズ 500mA → 0.5A 新品交換
・交換によって再び音が出るようになりました
・ついでに他のヒューズも新品に交換しておきました
■修理記録:固定出力端子補修------------------------------------------
・固定出力端子のL側だけ「ブーン」という大きなノイズが出ます
・これはアース不良時に聞こえる音かな?
・調べてみるとMPX基板からは左右とも正常な音声が出ていました
・原因は、、
・固定出力端子のL側だけGND端子の「ツメ」が欠損していました
・こんな事ってあるでしょうか??
・GND端子にリード線をハンダ付けしてボディに落としました
・これで正常な音声が聞こえてきました
■修理記録:選局ツマミ------------------------------------------------
・欠損している選局ツマミはTX-710のバーツを移植すれば楽勝、、
・そう思っていたのですが、、何と予想外な事に、取り付け方法が異なっていました
・TX-910の選局ツマミはイモネジ固定式、TX-710は単純に手前に引き抜くタイプ
・さらにTX-910の軸径(φ6mm)が太くてTX-710の選局ツマミが軸に刺さりません
・さて困った、、
・対策としてTX-710の選局ツマミの取付穴をφ6㎜ドリルで拡幅してTX-910にセット
・ピッタリはまって選局できるようになったのですが、
→取付穴のセンターと回転軸のセンターが僅かにズレてしまいました
→このため選局ツマミを回すとき僅かに偏心があります
→偏心、つまり選局ツマミが微妙に楕円を描くように回ります
・TX-710の選局ツマミはもう1個あるのですが、
・正確な穴あけには卓上ボール盤が必要ですね、、欲しい、でも置き場所無いし、、
■改造記録:FMアンテナ端子交換----------------------------------------
・TX-910の弱点は75ΩFMアンテナ端子がバラ線を繋ぐタイプであること
・以前から考えていたF端子への交換計画を実行しました
・現行のバラ線を接続する端子を強引に撤去
・取り付け穴をリーマーで拡幅
・F型端子を取り付け
・取付けベースがプラスチックなので加工は容易でした
・アンテナ接続が圧倒的に楽ちんになりました
■調整記録------------------------------------------------------------
【レシオ検波調整】
・アンテナ入力なし → T4上段コア調整 → Tメーター中点
・83MHz → → T4下段コア調整 → 歪率最小
【OSC調整】(フロントエンド底面から)
・IF基板17番端子 → DC電圧計セット(Sメーター電圧)
・76MHz → T5調整 → 電圧最大
・90MHz → TC5調整 → 電圧最大
【RF調整】(フロントエンド底面から)
・IF基板17番端子 → DC電圧計セット(Sメーター電圧)
・76MHz → T1,T2,T3,T4調整 → 電圧最大
・90MHz → TC1,TC2,TC3,TC4調整 → 電圧最大
・83MHz → T6調整 → 電圧最大
【ミューティング調整】
・83MHz 70dB → VR3調整 → MUTING作動点をTメーターで左右対称
・Muting スイッチ1
・83MHz 20dB → VR4調整 → MUTING作動位置
・Muting スイッチ2
・83MHz 35dB → VR6調整 → MUTING作動位置
★リレー不調発覚! Lch正常動作、Rch作動しない
【Sメーター調整】
・83MHz → VR5調整 → Sメーター最大振れ
【VCO調整】
・MPX基板 2番端子=(PA1310-10pin)→ 周波数カウンタ接続
・83MHz ST信号 → VR1調整 → 19kHz
【セパレーション調整】
・音声出力 → WaveSpectra接続
・83MHz ST信号 → VR2調整 → 反対chへの漏れ信号最小
【AM OSC調整】
・IF基板 14番端子 → 電圧計セット(Sメーター電圧)
・ 600kHz受信 → T2調整 → 電圧最大
・1400kHz受信 → TC3調整 → 電圧最大
【AM RF調整】
・IF基板 14番端子 → 電圧計セット(Sメーター電圧)
・ 600kHz受信 → T1,バーアンテナ内コイル調整 → 電圧最大
・1400kHz受信 → TC1,TC2調整 → 電圧最大
※AM VR1:GAIN CONTROL
※AM VR2:OUTPUT LEVEL CONTROL
■修理記録:MUTINGリレー交換------------------------------------------
・調整の過程でMUTINGリレーの故障が発覚しました
・Lch側は正常動作しますが、Rch側だけ局間ノイズがダダ漏れです
・S2:ASR004 リードリレー
・同じ動作になるよう汎用リレー(941H-2C-24D:2回路C接点)に交換
・小さな基板にリレーを取り付け、裏返して両面テープで基板に固定しました
・これによって両chともMUTING動作が正常になりました
■試聴----------------------------------------------------------------
・TX-910/810/710シリーズの周波数窓は青色照明が絶品です
・ウッドケースに包まれて優しく浮かび上がる青い照明窓、
・オレンジ色の輝く指針と赤いSTEREOランプが絶妙なアクセント
・薄暗い部屋でボーっと眺めているだけで幸せな気分に浸れます。
・とりあえず「仮復活」、引き続きフィラメント電球のLED化を研究中、、