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Nakamichi TA-30

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 ・2023年12月、ナカミチ製レシーバーの故障品が届きました
 ・以前からデザインがステキだな、、と思っていた機種です
 ・思いがけず実機に触れる機会をいただきました
 ・以下、作業記録です

Ta3003

■製品情報------------------------------------------------------------

 ・オーディオの足跡 Nakamichi TA-30 ¥128,000(1989年頃)
 ・Hifiengine Nakamichi TA-30 High Definition Tuner Amplifier

Ta3002Ta3014

 ※機種名の違いは輸出先の違い、リモコンが2種類付属するのは日本モデルだけ
 ・TA-3A:U.S.A & Canada
 ・TA-3E:Europe
 ・TA-3 :Other & Australia
 ・TA-30:Japan

■動作確認------------------------------------------------------------

<提供者様からの不具合情報>
 ・TA-30のチューナー部でFMを聴いていたところ突然音が出なくなった
 ・周波数やシグナルレベルは正常表示されている
 ・他の入力端子から外部機器を繋ぐと音は正常に出ていた

Ta3005

<当方での確認事項>
 ・本当はアナログチューナー搭載のレシーバーが大好物なのですが、
 ・シンセチューナー搭載でもこのカッコよさは別格ですね
 ・外観に目立つキズも無くフロントパネルの状態は良好です
 ・実験用スピーカー、FM/AMアンテナ、CDプレーヤーを接続して動作確認開始
 ・電源投入直後にRchから「ボスッ」という大きな音、一方のLchは無音
 ・RchだけPOWER MUTEが効いていない?
 ・すぐにフロントパネルのチューナー部に周波数やインジケーターが緑色表示される
 ・FM/AM切換え、オート選局OK、チューナー操作は正常にできる
 ・シグナルインジケーター点灯、STEREOランプ点灯
 ・表示を見ていると受信しているようだが、、スピーカーからは全く音が出ない
 ・外部CDプレーヤーを各入力端子に接続して音出し実験
 ・入力端子CD、Video1、Video2:Lchの音が出ない、Rchは激しく歪む
 ・入力端子Tape1、Tape2:全く音は出ない
 ・プリとパワーを分離し、プリアウトの信号を確認しても状況は同じ
 ・チューナー回路の故障かと思ったら、異常はチューナー部だけでは無いようです
 ・着手前にサービスマニュアルと回路図を読み込んで頭に入れました

■内部確認------------------------------------------------------------

 ・接点復活剤か潤滑剤CRCか? スイッチ周りはベタベタでした
 ・特にSubsonic FilterとトーンON/OFFスイッチ周辺に透明な液体が溢れています
 ・メイン基板は2階建て構造、底板を開けると1階基板のハンダ面が見える
 ・1階の電源回路のトランジスタ周辺に多くの作業痕ありました
 ・作業痕を見るとハンダ付けはかなり雑な感じ?プリント配線が激しく傷んでいます
 ・サービスマニュアル最終頁にトランジスタ修理に関する追加情報がありました
 ・Q208とQ209は故障が多かったようで、修理時には別品に交換するようにとの指示です
  ・Q208:2SA733 → 2SA953
  ・Q209:2SC945 → 2SC2002
 ・基板で確認するとそれぞれ指定された品番に置き換わっていました
 ・Q208とQ209の周辺基板は表面も裏面も高熱で焼け焦げた状態になっています

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 ・Lchの音が出ない原因はリレー(RY301)が正しく動作していない事でした
  ・リレーRch側:常時ONの状態、OFFにならないのでPower Muteが作動しない
  ・リレーLch側:常時OFFの状態、だから音は出ない
 ・Lch側のリレー接点を直結したところスピーカーから音がでました
 ・リレー(RY301、基板の印字はRL301)を見ると上部蓋をこじ開けた痕跡あります
 ・修理の先人はリレーの接点を磨こうとしたのかも?
 ・ハンダ面でMPX-IC U104(LA3400)の足にICクリップを引掛けて音を確認しました
 ・TUNER部はFM/AMとも受信音が聞こえる → やはり受信動作は正常です
 ・しかしそれ以降のアナログスイッチIC U204(LC7816)に受信音信号が来ていません
 ・その他の入力信号(CD等)はスイッチIC U204,U206(LC7816)まで来ています
 ・U203:NJM4558S チューナー音声が止まっているのはココ
 ・よく見かける8ピン型ではなく9ピンのSIP品です

Ta3000

■修理記録:プリント配線に亀裂発見!-----------------------------------

 ・U203:NJM4558S(SIP形2回路オペアンプ)チューナー音声はココで止まっている
 ・U203に供給される±電圧を調べると何故か両方とも−18v、+18vが来ていない?
 ・U203のすぐ横には焼け焦げたQ208とQ209が並んでいる → 何か関係あるか?
  ・Q206:2SD313
  ・Q207:2SD1408
  ・Q208:2SA953
  ・Q209:2SC2002
  ・Q210:2SB1017
  ・Q211:2SB507
 ・各足の電圧を測定してみると、+18vと−18vが混在?これは何かおかしい??
 ・ハンダ付け不良を疑って既設ハンダを吸い取ってみたら、、何と!基板に亀裂発見!
 ・Q208とQ209の3本の足、計6本が一直線に並んでいる方向に基板が割れていました
 ・この亀裂は部品面からも確認できました
 ・ルーペで観察すると、亀裂の延長線上にあるプリント配線が3箇所で切れていました
 ・内1本はU203:NJM4558S に+18vを供給するラインです
 ・亀裂ができた原因はトランジスタの高熱か? それとも前回部品交換作業時のストレスか?
 ・対策としてプリント配線が切断されている箇所を迂回する配線を追加しました
 ・恐る恐る電源投入すると、、TUNER音声が聞こえてきました!
 ・プリアウト端子の音を聞いてみると左右chとも歪のないキレイな音が聞こえます
 ・TUNER入力以外のCD端子などすべての端子入力もイイ音が聞こえます
 ・±18v系統(CN24)が正常化した事によって後続のトーン回路の動作も正常化したようです
 ・続いてプリとパワーを繋いでスピーカーから音を出してみると
 ・Rchからは正常な音が聞こえてきました! ただLchから音が出ない症状は変わらず、、
 ・次はリレー修理、交換です

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■修理記録:リレー修理--------------------------------------------------

 ・基板からリレー(RY301、基板の印字はRL301)を取り外して詳細確認
 ・TAKAMISAWA製の24vタイプ
 ・接点を磨いてみようと本体上部の蓋を外して内部確認
 ・不調原因は可動部のヒンジがガイド部に引っ掛かって動けない状態だった事でした
 ・Rch側は常時ONの状態、Lch側は常時OFFの状態で固定されて動けない
 ・セラミックドライバーの細い先端で慎重に引っ掛かりを修正して基板に戻したところ、、
 ・電源投入時に「カチッ」とリレー音が聞こえてPOWER MUTEが作動しました
 ・Rchから発生していた不快な「ボスッ音」もおさまりました
 ・リレーは新品交換かと思いましたが修理できました

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■調整記録------------------------------------------------------------

●パワーアンプ部
【アイドル調整】
 ・入力切換=CD、スピーカー切換=OFF、音量ボリューム=最小
 ・TP7-TP8 ハンダ面で電圧計セット → VR301調整 → 25mV Lch
 ・TP9-TP10 ハンダ面で電圧計セット → VR302調整 → 25mV Rch
●チューナー部
 ・フロントエンドはパッケージ品(FE101)のためIFTコア以外は調整困難
 ・FM部:Wide時CF✕3、Narrow時CF✕5 → U103(LA1235) → U104(LA3400)
 ・AM部:U101(LA1247)
【FM VT電圧】
 ・TP11〜GND 電圧計セット
 ・76.0MHz → 3.3v ※確認のみ
 ・90.0MHz → 18.0v ※確認のみ
【FM同調点調整】
 ・TP1〜TP2 → 電圧計セット
 ・Tape Rec出力 → Wavespectra接続
 ・83.0MHz受信 → T104調整 → 0v
 ・83.0MHz受信 → T105調整 → 高調波歪最小
 ・83.0MHz受信 → フロントエンドIFT調整 → 高調波歪最小
【ミューティング調整】
 ・83.0MHz,30dB受信 → VR102調整 → MUTING作動位置
【Sメーター調整】
 ・83.0MHz,60dB受信 → VR105調整 → シグナルインジケーター全点灯
【セパレーション調整】
 ・Tape Rec出力 → Wavespectra接続
 ・83.0MHz受信 → VR103調整 → 漏れ信号最小
【AM VT電圧】
 ・TP5〜TP6 電圧計セット
 ・522kHz → T103調整 → 1.0v
 ・1629kHz → 7.2v ※確認のみ
【AM受信調整】
 ・729kHz(NHK)受信 → T101,T102,L102調整 → Sメーター最大
 ・1332kHz(東海)受信 → TC101調整 → Sメーター最大
 ・1053kHz(CBC)受信 → VR101調整 → Sメーター点灯具合調整

Ta3070

 ★チューナー回路にはシルク印刷だけあって未実装の部品が多数ありました
 ★どうやら部品を満載した上位機があるような気配です
 ★メモリー内容を保持するリチウム電池はまだ生きていました

■試聴----------------------------------------------------------------

 ・基板の亀裂が徐々に拡大してプリント配線を破断した
 ・首の皮一枚で繋がっていた回路が切れた瞬間、チューナーの音が出なくなった
 ・この事件を引き金にしてリレーが異常動作して可動部が動けなくなった、、かも?
 ・それにしても焼け焦げた基板と亀裂を見ると、この先も安全に使えるかちょっと心配
 ・長時間の連続稼働は避けた方が良いです

Ta3007

■ note 始めました----------------------------------------------------

 ・ココログは2006年から利用していますが、いよいよ保存容量が厳しくなってきました
 ・引っ越し先をどうしようかと思案中ですが、、
 ・知人が最近 note を始めたと聞いて私も試しに開設してみました
 ・しばらくはココログとnoteを併用して使い勝手を試してみようと思います

 →note BLUESS Laboratory



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