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TRiO KT-990 修理調整記録10

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 ・2023年10月、再びジャンク機を入手しました
 ・フロントパネルが前傾している個体です
 ・プラスチック溶接の技をさらに磨きました

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■製品情報------------------------------------------------------------

 ・オーディオの足跡 TRIO KT-990 ¥53,800円(1982年発売)

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■動作確認------------------------------------------------------------

 ・外観は経年の汚れ、天板に擦り傷あるものの全体的には比較的良好な状態
 ・電源オン、フロントパネル照明点灯、指針照明点灯、電球切れは無さそう
 ・選局ツマミを回すと回転フィーリングがかなり重い
 ・原因はフロントパネルが前傾して選局ツマミと接触していること
 ・KT-990/KT-900でよく遭遇する不具合事例です
 ・フロントパネルを指で支えながら名古屋地区のFM局を受信テスト

 ・82.5MHzのNHK-FM(名古屋)を82.2MHz付近で受信
 ・ズレた位置でSメーター点灯、Tメーターインジケーター点灯
 ・サーボロックランプ点灯、STEREOランプ点灯
 ・付属AMループアンテナを接続して名古屋のAM局を受信テスト
 ・Sメーターがフル点灯しAM放送を受信OK

■内部確認------------------------------------------------------------

 ・フロントパネルが前傾する原因は本機の上に重量級のアンプなどを載せたこと
 ・重量に耐え切れずフロントパネル上部とボディを固定するプラスチック部品が破損
 ・これはKT-900/KT-990定番の破損個所です
 ・次にフロントエンド内のトリマコンデンサを仮調整したところズレは修正できました
 ・電圧値の過敏な反応も無いのでトリマコンデンサは生きています

■修理記録:フロントパネル補修(プラスチック溶接)--------------------

 ・前回試した「プラスチック溶接」の技を磨くため再チャレンジしました
  ・破損部分を瞬間接着剤で仮止め
  ・破断位置を跨ぐようにホッチキス針を置く
  ・針はM字型に曲げて使うとより効果的
  ・ハンダ鏝を針に押し当てプラスチックの内部に溶かし込む
  ・溶けたプラスチックを出来るだけ平らにならす
  ・最後に研磨して仕上げる
 ・20Wクラスのハンダ鏝ならこて先が細いので使い勝手が良いです
 ・プラスチックの厚みが2mmほどしかないので作業は慎重に!
 ・熱を加えすぎると裏面(上部から見える面)に変形が及んでしまいます
 ・出来上がり具合は上々です

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■受信調整------------------------------------------------------------

【FM OSC調整】
 ・TR7020-2Pin(R18右足) → 電圧計セット(Sメーター電圧)
 ・83MHz 受信 → TC4調整 → 電圧最大
【FM RF調整】
 ・TR7020-2Pin(R18右足) → 電圧計セット(Sメーター電圧)
 ・83MHz 受信 → TC1,TC2,TC3調整 → 電圧最大
 ・83MHz 受信 → T1調整 → 電圧最大
【クアドラチュア検波調整】
 ・TP1~TP2 → 電圧計セット(Tメーター)
 ・83MHz 受信 → L4調整 → 電圧ゼロ(Tメーター中点)
【WIDE GAIN調整】
 ・TR7020-2Pin → 電圧計セット(Sメーター電圧)
 ・83MHz Narrow受信 → Sメーター電圧記録
 ・83MHz Wide受信 → VR1調整 → 上記電圧と同じ
【高調波歪調整】
 ・音声出力端子 → WaveSpectra接続
 ・83MHz → T1(フロントエンド内)調整 → 高調波歪最小
【パルスカウント検波調整】
 ・TR4011-1Pin → 周波数カウンタセット
 ・83MHz受信 → L6調整 → 1.965MHz
【VCO調整】
 ・TP VCO → 周波数カウンタ接続
 ・SSG 83MHz 無変調 → VR7調整 → 76kHz
【PILOTキャンセル】
 ・音声出力端子 → WaveSpectra接続
 ・83MHz Wide受信 → VR6調整 → 19kHz成分最小
【セパレーション Narrow調整】※Narrow調整を先に行なうこと
 ・音声出力端子 → WaveSpectra接続
 ・83MHz Narrow → VR3調整 → 反対chへの漏れ信号最小
【セパレーション Wide調整】
 ・音声出力端子 → WaveSpectra接続
 ・83MHz Wide → VR4調整 → 反対chへの漏れ信号最小
 ・83MHz Wide → VR5調整 → 反対chへの漏れ信号最小
【REC CAL調整】
 ・83MHz受信 → 出力レベル記録
 ・83MHz受信 → VR2調整 → -6dB設定 ※411Hz
【AM受信調整】
 ・700kHz → L11,L12調整 → Sメーター最大点灯
 ・1400kHz → TC1,TC2調整 → Sメーター最大点灯

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■試聴---------------------------------------------------------------

 ・今回もいい感じに仕上がりました
 ・新しい技を習得して修理の幅が広がりそうです

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