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ONKYO Integra T-437

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 ・2023年11月、FM放送が受信できないT-437が届きました
 ・外観は同社の T-435 によく似ていますが T-437 は初体験機種です
 ・さて、どんな故障でしょうか?

T43703

■製品情報------------------------------------------------------------

 ・オーディオの足跡 ONKYO Integra T-437 ¥69,800(1983年発売)
 ・Hifiengine Onkyo T-4017 Synthesized AM/FM Stereo Tuner (1983-85)

T43702T43717

  ※T-437とT-4017、T-435とT-4015 はそれぞれ外観は同一、でも中身は別物でした
  ※新発見! 本機の底板に「T-4015」や「T-4017」の刻印がありました
  ※どうやらボディは共通みたいです

T43754T43750T43751T43752T43753

■動作確認------------------------------------------------------------

 ・奥行きが40cm近くある大きなボディに目立った傷は無くとても綺麗な状態
 ・フロントパネルの表示部にはカラフルなインジケーターが並ぶ
 ・その表示部全体を電球照明でライトアップするアナログチューナー的な造り
 ・サイズや見た目は T-435 によく似ている
<依頼者様からの事前情報>
 ・80.7MHz付近より高い周波数は弱々しいながらも受信する
 ・それより低い周波数ではノイズのみしか受信せず、Sメーターも点灯しない
 ・一度受信しない状態になると高い周波数に合わせても受信しなくなる
 ・一度AMモードに切換えたり電源を入れ直したりすると最初の状態に戻る
<動作確認>
 ・当方のテスト環境で試したところ、最初からFM全域に渡って受信不可でした
 ・オート選局では名古屋地区のFM局をすべて素通り
 ・76~90MHz全区間において「ザーッ」という局間ノイズしか聞こえません
 ・マニュアル選局に切り換えても全く受信不可
 ・Wide/Narrow切換、FM Booster切換、MUTING切換、どのポジションでも受信不可
 ・症状は事前情報より悪化している感じです
 ・一方でAM放送は付属の背面ループアンテナで受信OKでした
 ・外装がとても綺麗な状態なので何とか復活させたい!

■内部確認------------------------------------------------------------

 ・FMフロントエンド 5連バリキャップ
 ・FM BOOST切換 (RF増幅)
 ・IF BAND切換(WIDE/NARROW)
 ・uPC1167C2   FM IF System FM同調点検出、Sメーター
 ・PLL検波
 ・uPC1223C MPX
 ・LA1245 AM Electronic Tuner

T43500_20231217084701T43700

 ・メイン基板はT-435の基板と共通でした
 ・T-435ではシルク印刷だけで未実装だった部品が多数ありましたが
 ・T-437ではその実装されていなかった部品が満載です
 ・一方で無くなった部品もちらほら
 ・R164:Sメーター調整用VR → 実装なし
 ・L104:FM同調点調整2連コイル → 単体コイル
 ・コントロール基板は別物です

■修理記録:OSCトリマコンデンサ交換-----------------------------------

 ・T-435の調整記録に従って各部仮調整したところVT電圧に異常発見
 ・TP VT 電圧計セット → 76~90MHz全域で24vを示したまま変化しない
 ・試しに TC021(OSCトリマコンデンサ)を軽く回したところ、、
 ・何と、突然VT電圧が出現してFM放送を受信できるようになった!
 ・シグナルインジケーターがフル点灯、STEREOインジケーター点灯
 ・オート選局で名古屋地区のFM放送局を受信できました
 ・不調原因はOSCトリマコンデンサTC021の故障(経年劣化の接触不良)ですね
 ・TC021を何度もグリグリ回したところ受信動作は復活しましたが、
 ・しかしVT電圧の反応が過敏で最大値を捉えきれません
 ・TC001~TC003も同型のトリマなのでこの機に全数新品に交換しました
   →TC021 → 10pF(Panasonic ECV1ZW10X53T)交換
   →TC001,TC002,TC003 → 10pF(Panasonic ECV1ZW10X53T)交換
 ・資料が無いのでトリマ容量は不明ですが、10pF交換後はキチンと調整できました
 ・トリマは一気に全数交換せず、1個交換して再調整、を繰り返した方が良いです

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■修理記録:メモリ保持用電気二重層コンデンサ交換----------------------

 ・コントロール基板 TC9147BP 左横にある緑色の電気二重層コンデンサを交換
 ・C718:5.5v/0.022F → 5.5v/1.0F

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■調整記録------------------------------------------------------------

【FM同調点調整】
 ・TP2~TP3 → 電圧計セット ※Tメーター電圧
 ・83MHz受信 → L104調整 → 電圧ゼロ
【FM VT電圧調整】
 ・TP VT → 電圧計セット
 ・76MHz → L011 調整 → 電圧4.0v
 ・90MHz → TC021調整 → 電圧24.0v
【FMフロントエンド調整】
 ・uPC1167C2-13pin(又はR164)→ 電圧計セット ※Sメーター電圧
 ・76MHz受信 → L001,L003,L004調整 → 電圧最大
 ・90MHz受信 → TC001,TC002,TC003調整 → 電圧最大
 ・83MHz受信 → L005調整 → 電圧最大
 ・83MHz受信 → L102調整 → 電圧最大
【R025調整】★調整法??
 ・uPC1167C2-13pin(又はR164)→ 電圧計セット ※Sメーター電圧
 ・83MHz受信 → R025調整 → 電圧最大
【PLL検波調整】
 ・TP5~GND → 電圧計セット
 ・音声出力端子 → WaveSpectra接続
 ・83MHz受信 → L106調整 → 電圧ゼロ(再確認)
【MUTING調整】
 ・83MHz受信 → R127調整 → MUTING作動点調整
【VCO調整】
 ・TP4 → 周波数カウンタ接続
 ・83MHz,無変調受信 → R205調整 → 76kHz
【パイロットキャンセル調整】
 ・音声出力端子 → WaveSpectra接続
 ・83MHz,ST信号受信 → R212,L202調整 → 19kHz信号最小
【セパレーション調整】
 ・音声出力端子 → WaveSpectra接続
 ・83MHz,ST信号受信 → R214調整 → Rchレベル最小
 ・83MHz,ST信号受信 → R215調整 → Lchレベル最小
【REC CAL調整】
 ・音声出力端子 → WaveSpectra接続
 ・83MHz,ST信号受信 → 信号レベル記録
 ・83MHz,ST信号受信 → R509調整 → 記録値-6dB ※448Hz
【AM VT電圧調整】
 ・TP VT → 電圧計セット
 ・ 522kHz → L302調整 → 1.0v
 ・1611kHz → TC302調整 → 17.0v
【AM受信調整】
 ・LA1245-16pin(又はR164) → 電圧計セット ※AM-Sメーター電圧
 ・ 729kHz受信 → L301調整 → 電圧最大
 ・1332kHz受信 → TC301調整 → 電圧最大
 ・1053kHz受信 → L303,L305調整 → 電圧最大

T43760

■試聴----------------------------------------------------------------

 ・フロントエンド調整で受信感度が大きく改善しました
 ・セパレーション値は左右とも60dB超で優秀です
 ・フロントパネルのインジケーターがとてもカラフル、見ていて楽しいです

T43711

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