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TRiO KT-990 修理調整記録9

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 ・2023年8月、全く動作しないという超ジャンク機を入手しました
 ・電球がすべて切れていて指針がどこにあるかも分からない状態でした
 ・修理と同時に電球のLED化にチャレンジした記録です

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■製品情報------------------------------------------------------------

 ・オーディオの足跡 TRIO KT-990 ¥53,800円(1982年発売)

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■動作確認------------------------------------------------------------

 ・外観は経年の汚れ、天板に擦り傷あるものの全体的には比較的良好な状態
 ・電源オン、フロントパネル照明が点灯しない、さらに指針照明も不灯
 ・選局ツマミを回すと回転フィーリングが異常に重い
 ・原因はフロントパネルが前傾して選局ツマミと接触していること
 ・KT-990/KT-900でよく遭遇する不具合事例です
 ・フロントパネルを指で支えながら名古屋地区のFM局を受信テスト
 ・82.5MHzのNHK-FM(名古屋)を82.0MHz付近で受信
 ・ズレた位置でSメーター点灯、Tメーターインジケーター点灯
 ・サーボロックランプ点灯しない、STEREOランプ点灯しない
 ・付属AMループアンテナを接続して名古屋のAM局を受信テスト
 ・Sメーターがフル点灯しAM放送を受信OK
 ・この機種でよく遭遇する不具合案件が満載でした
 ・それにしても「全く動作しない」とはどういう事だったのか?
 ・もしかして照明が点灯しない時点で「全く動作しない」と判定された??

■内部確認------------------------------------------------------------

 ・フロントパネルが前傾する原因は本機の上に重量級のアンプなどを載せたこと
 ・重量に耐え切れずフロントパネル上部とボディを固定するプラスチック部品が破損
 ・これはKT-900/KT-990定番の破損個所です
 ・次にフロントエンド内のトリマコンデンサを仮調整したところズレは修正できました
 ・電圧値の過敏な反応も無いのでトリマコンデンサは生きています

■修理記録:フロントパネル補修(プラスチック溶接)--------------------

 ・フロントパネルと金属フレームを固定するプラスチック部品の破損
 ・今までは薄い透明プラ板を補強材として全面接着していましたが
 ・先日「プラスチック溶接」という技を学習したので実践してみました
 ・ホッチキスの針を補強材としてハンダ鏝の熱で埋め込む方法です
  ・破損部分を瞬間接着剤で仮止め
  ・破断位置を跨ぐようにホッチキス針を置く
  ・針はM字型に曲げて使うとより効果的
  ・ハンダ鏝を針に押し当てプラスチックの内部に溶かし込む
  ・溶けたプラスチックを出来るだけ平らにならす
  ・最後に研磨して仕上げる

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 ・破断部の強度は従来の補修方法よりも大幅にアップしました
 ・この方法は破損したプラスチック部品の補修に広く応用できそうです

■修理記録:電球LED化-------------------------------------------------

 ・すべての電球が切れるなんて、、この機種にどんな不幸があったのでしょうか?
 ・でもこれはチャンスと捉えて電球のLED化にチャレンジしました
 ・目指すは「オリジナル感(色合い)を保持したLED化」です

【LED電源】
 ・オリジナル電球はAC仕様なのでDC電源を取れる場所を探す
 ・電源回路 D33 → C114(1000uF/10v)→ +10.1V ※これを借用します
 ・念のためC114を容量アップ 1000uF/16v → 2200uF/25v
 ・ジャンパ線J95交換 → 部品面に少し浮かせて接続端子(+10.1v)として設置
 ・これを起点としてフロント用と指針用にそれぞれ制限抵抗を挟んで配線
 ・ジャンパ線J97交換 → 部品面に少し浮かせて配線端子(GND)として設置

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【フロント照明】
 ・選局ツマミの内側に埋め込まれたφ4mm電球×2個でフロントパネルをライトアップ
 ・2個の電球それぞれに配線があるので計4本のリード線が電源回路まで長く伸びている
 ・ここにφ5mm電球色LED×2個を直列に仕込みリード線が2本で済むよう配線変更
 ・LEDに拡散キャップを被せオリジナル電球ホルダーに埋め込んで元に戻す
 ・実験用電源で明るさを確認しながら制限抵抗220Ωでジャンパ線J95に接続
 ・実測電流は19mAでした

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【指針照明】
 ・指針裏側の透明プラスチック内にφ4mm電球が仕込まれている
 ・ここは直径3mmのLED(ウォームホワイト色)に拡散キャップを被せて元に戻す
 ・実験用電源で明るさを確認しながら電流約10mA、制限抵抗680Ωで線J95に接続
 ・LEDに茶色のポリイミドテープを巻いたところイイ感じの「電球色」になりました

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【LOCKEDランプ】
 ・ここだけ横長のフィラメント電球が配置されています
 ・今回は電球は切れていませんが、この機に一緒に交換します
 ・このインジケーターは細長いのでどんなLED素子が適しているか思案の末に、、
 ・12v用のヒューズ型LED(T6.3×30)の口金を外しLED基板だけを流用しました
 ・サイズ的にはピッタリ、インジケーターとしての見た目もバッチリ!
 ・ここは元々DC駆動なので明るさの具合を見ながら制限抵抗2.2kΩを介して接続
 ・このままだと常時薄く点灯してしまうのでLEDに並列に680Ω抵抗を追加
 ・これでLOCK動作のON/OFFに連動して気持ちよく点灯/消灯するようになりました
 ・ここもポリイミドテープを二重に貼って指針と同じ「電球色」を目指しましたが
 ・何だか黄色っぽい感じになりました

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■受信調整------------------------------------------------------------

【FM OSC調整】
 ・TR7020-2Pin(R18右足) → 電圧計セット(Sメーター電圧)
 ・83MHz 受信 → TC4調整 → 電圧最大
【FM RF調整】
 ・TR7020-2Pin(R18右足) → 電圧計セット(Sメーター電圧)
 ・83MHz 受信 → TC1,TC2,TC3調整 → 電圧最大
 ・83MHz 受信 → T1調整 → 電圧最大
【クアドラチュア検波調整】
 ・TP1~TP2 → 電圧計セット(Tメーター)
 ・83MHz 受信 → L4調整 → 電圧ゼロ(Tメーター中点)
【WIDE GAIN調整】
 ・TR7020-2Pin → 電圧計セット(Sメーター電圧)
 ・83MHz Narrow受信 → Sメーター電圧記録
 ・83MHz Wide受信 → VR1調整 → 上記電圧と同じ
【高調波歪調整】
 ・音声出力端子 → WaveSpectra接続
 ・83MHz → T1(フロントエンド内)調整 → 高調波歪最小
【パルスカウント検波調整】
 ・TR4011-1Pin → 周波数カウンタセット
 ・83MHz受信 → L6調整 → 1.965MHz
【VCO調整】
 ・TP VCO → 周波数カウンタ接続
 ・SSG 83MHz 無変調 → VR7調整 → 76kHz
【PILOTキャンセル】
 ・音声出力端子 → WaveSpectra接続
 ・83MHz Wide受信 → VR6調整 → 19kHz成分最小
【セパレーション Narrow調整】※Narrow調整を先に行なうこと
 ・音声出力端子 → WaveSpectra接続
 ・83MHz Narrow → VR3調整 → 反対chへの漏れ信号最小
【セパレーション Wide調整】
 ・音声出力端子 → WaveSpectra接続
 ・83MHz Wide → VR4調整 → 反対chへの漏れ信号最小
 ・83MHz Wide → VR5調整 → 反対chへの漏れ信号最小
【REC CAL調整】
 ・83MHz受信 → 出力レベル記録
 ・83MHz受信 → VR2調整 → -6dB設定 ※407Hz
【AM受信調整】
 ・700kHz → L11,L12調整 → Sメーター最大点灯
 ・1400kHz → TC1,TC2調整 → Sメーター最大点灯

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■試聴---------------------------------------------------------------

 ・ランニングテスト開始から約4カ月経過、LED化による不具合はありません
 ・やはりLOCKEDランプの色合いがちょっと違うな、、と思いつつ
 ・それでも照明を落とした部屋でボーっと眺めていると幸せな気分に浸れます

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 ・LED化した個体(上段)とオリジナル照明の個体(下段)を並べてみました

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