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TRIO KT-900 修理調整記録5

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 ・2023年10月、KT-900のメンテナンス作業をお引き受けしました
 ・外装はかなりきれいな状態、でもFM受信が不安定だそうです
 ・さて、どんな状態なのでしょうか?

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■製品情報------------------------------------------------------------

 ・オーディオの足跡 TRIO KT-900 ¥49,800(1980年頃)
 ・オーディオ懐古録 TRIO AM-FM STEREO TUNER ¥49,800円(1980)
 ・Hifi Engine Kenwood KT-900 AM/FM Stereo Tuner (1980-82)

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■動作確認------------------------------------------------------------

 ・外装に目立つ傷は無く、今までに見てきた中でも極上クラスです
 ・強化ガラス製のフロントパネルも無傷、しかもパネルが前傾していない
 ・電源オン、周波数窓の照明点灯、ダイヤル指針の照明点灯、電球切れ無し
 ・機能切換状態を示す緑色インジケーターもすべて点灯
 ・さて、名古屋地区のFM放送局を受信しようとすると、、
 ・指針の移動に伴って「ボソボソ、バリバリ」という大きな雑音発生
 ・雑音に反応するようにシグナルインジケーターが激しく明滅する
 ・放送局周波数付近で放送が聞こえるがTメーターが本来の表示をしない
 ・LOCKインジケーター点灯しない、STEREOインジケーター点灯しない
 ・REC CAL トーンは発信音が正常に聞こえる
 ・同梱されてきたループアンテナを接続してAM放送も受信確認
 ・名古屋地区のAM局を聞くことはできたが受信感度がかなり低い
 ・このループアンテナには ONKYO のロゴがありました

■内部確認+修理記録:バリコン軸の洗浄------------------------------------------

 ・底板を確認、KENWOODサービスによる修理歴シールは見当たらない
 ・内部を見ても部品を交換した痕跡は見当たらない
 ・フロントエンドのバリコン軸を見ると緑青サビが盛大に湧いている
 ・指針移動に伴う「ボソボソ、バリバリ」という雑音はこれが原因です
 ・たぶん相当長期間に渡って使われずに放置されていたのかな?
 ・最近はバリコン軸の清掃に100均で売られている歯間ブラシを愛用しています
 ・これである程度こそぎ落としてからエレクトロニッククリーナーで洗浄
 ・最後にコンタクトグリースを薄く塗布して清掃完了です
 ・この作業によって雑音が消滅し、Tメーター動作が正常化しました
 ・FM放送を受信すると僅かに周波数ズレがありましたが後述の受信調整で修正できました
 ・故障例の多いフロントエンド内OSCトリマコンデンサー(TC4)は生きていました

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■調整記録------------------------------------------------------------

【FM OSC調整】
 ・TR7020-2Pin → 電圧計セット(Sメーター電圧)
 ・83MHz 受信 → 新TC4調整 → 電圧最大
【FM RF調整】
 ・TR7020-2Pin → 電圧計セット(Sメーター電圧)
 ・83MHz 受信 → TC1,TC2,TC3調整 → 電圧最大
 ・83MHz 受信 → T1調整 → 電圧最大
【クアドラチュア検波調整】
 ・83MHz 受信 → 電圧最大状態
 ・TR7020-3Pin-11Pin → 電圧計セット(Tメーター)
 ・83MHz 受信 → L4調整 → 電圧ゼロ(Tメーター中点)
【WIDE GAIN調整】
 ・TR7020-2Pin → 電圧計セット(Sメーター電圧)
 ・83MHz Narrow受信 → Sメーター電圧記録
 ・83MHz Wide受信 → VR1調整 → 上記電圧と同じ
【高調波歪調整】
 ・音声出力端子 → WaveSpectra接続
 ・83MHz → T1(フロントエンド内)調整 → 高調波歪最小
【パルスカウント検波調整】
 ・TR4011-1Pin → 周波数カウンタセット
 ・83MHz受信 → L5調整 → 1.965MHz
【VCO調整】
 ・R56左足 → 周波数カウンタ接続
 ・SSG 83MHz 無変調 → VR5調整 → 76kHz
【セパレーション Narrow調整】※Narrow調整を先に行なうこと
 ・音声出力端子 → WaveSpectra接続
 ・83MHz Narrow → VR4調整 → 反対chへの漏れ信号最小
【セパレーション Wide調整】
 ・音声出力端子 → WaveSpectra接続
 ・83MHz Wide → VR3調整 → 反対chへの漏れ信号最小
【REC CAL調整】
 ・83MHz受信 → 出力レベル記録
 ・83MHz受信 → VR2調整 → -6dB設定 ※442Hz
【AM受信調整】
 ・AMループアンテナ → 接続端子注意 [AM]~[GND]
 ・600kHz → L11,L12調整 → Sメーター最大点灯
 ・1400kHz → TC1,TC2調整 → Sメーター最大点灯

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■試聴----------------------------------------------------------------

 ・フロントパネルを分解清掃、強化ガラスの内側もピカピカに磨きあげ
 ・照明に浮かび上がるような独特の存在感を取り戻しました
 ・KT-990/900のガラス製フロントパネルはとっても素敵です

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