・2023年9月、ヤフオクで終了間際のオールド機を見かけました
・OTTO(オットー)と言えば懐かしい旧SANYOのオーディオブランドです
・昭和の香り漂う旧機が大好物なのでまたまた入手してしまいました
・以下、復活までの整備記録です
■製品情報------------------------------------------------------------
・オーディオの足跡 OTTO/SANYO FMT-650 ¥49,800(1973年頃)
・オーディオ懐古録 OTTO FMT-650 AM/FM STEREO TUNER 49,800円
・Hifiengine Sanyo FMT-450 AM/FM Stereo Tuner (1975-76) ※弟機
・OTTO:Orthophonic Transistorised Technical Operation
→「トランジスタ技術を駆使し,真の音を追求した音響装置」
→ 機種情報を捜索する過程で「オットー」の語源を初めて知りました
→「音:OTO」のダジャレじゃなかったのね、、失礼しました
■動作確認------------------------------------------------------------
・フロントパネルは経年の汚れが目立つが目立つキズは見当たらない
・ただ、縦置きされていたような擦り傷が左サイドウッドに残る
・天板にも薄汚れた感じで擦り傷や打ち傷多数
・放熱口から内部を覗くと大量のホコリが堆積している様子が見える
・背面パネルには固定/可変出力以外にマルチパス端子とFM MONO端子
・早速FMアンテナを接続して電源オン
・周波数目盛りと数字が白色照明に浮かび上がる、左端は電球切れみたい
・二つのメーター照明は電球色、目盛りの白色と並ぶとちょっと違和感あり
・FUNCTION切換ボタン上のインジケーターはオレンジ色の電球?LED?
・そういえば指針が見えない、、指針の内蔵電球が切れている
・指針の位置が見難い状態で名古屋地区のFM局を受信テスト開始
・放送局周波数付近でTメーターが振れるがSメーターはほとんど動かない
・MUTING作動レベルはフロントパネルのツマミで調整可能
・MUTINGオンでは受信不可、しかしMUTINGオフにすると受信できた、が、
・出てくる音はバリバリノイズ満載の酷い状態でSTEREOランプ点灯しない
・固定/可変端子とも同じ状態、マルチパスH端子からも同じノイズが聞こえる
・一方のAM放送は背面バーアンテナで良好に受信OK
・AM受信OK、FM受信は重症の予感、、
■内部確認------------------------------------------------------------
・ネット上で探しましたがFMT-650の回路図等資料は見つかりません
・当時提携していた Fisherブランドでも探しましたが該当機は無さそう
・代わりに Hifiengine で弟機FMT-450の回路図を入手、参考資料に使えそうです
・本体の基板を見渡したところ部品番号の印字がありません
・そこで弟機FMT-450の回路図に基づいて独自番号を付けました
・アルプス社製FM4連AM3連バリコンユニット
・IFT201~203:銀色のシールドケースに収まった3個の「リニアフェイズフィルター」
・IC201~206:SANYO LA1221 ※4本足の高周波増幅回路×6個
・IFバンド切換なし、レシオ検波
・IC401:SN71115N:FM STEREO DEMODULATOR ※FMT-450は旧式のスイッチング方式
・AM回路:ディスクリート構成
・火星人型のトランジスター多数:2SK44、2SC536、2SC674、2SC693、2SC694、2SC930
・周波数窓の照明にヒューズ型電球(6.3v/0.25A)×5個、メーター照明に各1個
・オレンジ色のインジケーターはLEDではなくフィラメント電球でした
・液漏れや粉噴き電解コンデンサーは見当たらない
・ICや多くのトランジスタの足が真っ黒に変色している
・真っ黒対策として硬めの歯ブラシ+L字型歯間ブラシで清掃 → 症状に変化なし
■修理記録:電球交換--------------------------------------------------
・周波数窓の照明電球を確認したところヒューズ型電球(6.3v/0.25A)でした
・8v/0.3A 仕様の電球なら大量に保管しているのですが 6.3v/0.25A は手持ち無し
・とりあえず全数を 8v/0.3A の電球に交換
・若干暗くなった気もしますが、そんなに違和感はありません
・次に切れていた指針照明電球を交換
・ここも暫定措置として手持ちの適当なフィラメント電球に交換
・直径5mmの電球にオリジナルの赤色フィルムを被せて横向きにセット
・これで先端が赤く輝くダイヤル指針が復活しました
・本体修理が完了したら全部LED化してみます
■修理記録:フロントエンド----------------------------------------
・マルチパスH端子からも酷いノイズが聞こえる
・ということはノイズ発生源はフロントエンドかIF基板のどちらか
・ノイズ発生源を特定するためIF基板入口に10.7MHz信号を直接注入してみると
・何と、ノイズの無いきれいな音声が聞こえてきました
・つまりノイズ源はフロントエンドユニットで確定
・このタイプのフロントエンドユニットの修理は面倒ですが、
・ただ幸いな事にユニットの裏蓋を外した状態で作業スペースが確保できる
・さらに弟機FMT-450の回路図にフロントエンド内部の記載あり
・まずは裏蓋を固定しているハンダをニッパーで切断して裏蓋を取り外す
・隙間から見える範囲でFMT-450のフロントエンド回路図と照合
・FMT-650 フロントエンドユニット番号:4-1259-203100(FM4連AM3連)
・FMT-450 フロントエンドユニット番号:4-1259-202800(FM4連AM3連)
→Q101:3SK30 ※実機で確認
→Q102:2SC535 ※台形型TRが見えるが型番は判読不能
→Q103:SE3001 ※他の部品に隠れて見えない
→その他抵抗やコンデンサ(特に円盤型)の配置は一致
・よくある故障事例は円盤型コンデンサーの劣化なので順番に交換してみる
→5番端子(+B)C113,C107(5000pF)→ (4700pF/472)新品交換
→8番端子(AGC)C104(5000pF)→ (4700pF/472)新品交換
・この作業で雑音は解消しました
■調整記録------------------------------------------------------------
【Tメーターオフセット調整】
・アンテナ入力なし → T101上部コア調整 → Tメーター指針中点へ
【OSC調整】
・76MHz受信 → Lo調整 → Sメーター最大
・90MHz受信 → TCo調整 → Sメーター最大
【RF調整】
・76MHz受信 → LA,LR1,LR2調整 → Sメーター最大
・90MHz受信 → TCA,TCR1,TCR2調整 → Sメーター最大
・この調整作業を数回繰り返す
【IFTコア調整】
・83MHz受信 → IF調整 → Sメーター最大
【検波調整】
・音声出力 → WaveSpectra接続
・83MHz受信 → T101上部コア調整 → Tメーター中点確認
・83MHz受信 → T101下部コア調整 → 高調波歪最小
【MUTING回路調整】
・R132横のTP → 電圧計セット
・83MHz受信 → T102,T103調整 → Sメーター最大
・83MHz20dB受信 → R132調整 → MUTING作動位置
【Sメーター振れ調整】
・83MHz受信 → T104調整 → Sメーター最大
・83MH80dB受信 → R241調整 → Sメーター振れ具合調整
【VCO調整】
・IC301上のTP3 → 周波数カウンタ接続
・83MHz無変調 → R302調整 → 19kHz
【セパレーション調整】
・音声出力端子 → WaveSpectra接続
・83MHz L/R信号 → R319調整 → 反対ch漏れ最小
【テストトーン調整】
・83MHz受信 → 固定音声出力のレベル記録
・テストトーンON → R440調整 → -6dBに設定
【AM調整】
・ 600kHz受信 → T202.T201,バーアンテナ内コイル調整 → Sメーター最大
・1400kHz受信 → TCAM3,TCAM2,TCAM1調整 → Sメーター最大
・1000kHz受信 → T203,T204,T205,T206,T207調整 → Sメーター最大
■試聴----------------------------------------------------------------
・OTTOブランドのオーディオ機器はちょっとマイナーな存在でしたが、
・でも、SANYO製のICやTRは他メーカーの多くの機種に搭載されていました
・MPX-ICの代表格 LA3450 はSONYの333シリーズやSANSUIのα707シリーズで活躍中
・そういえば当時購入した「おしゃれなテレコ」U4シリーズのラジカセを今でも持ってます
・そう思うと三洋製半導体と会社の歴史がちょっと悲しい、、