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SONY ST-5130後期型 修理調整記録4

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 ・2023年8月、ヤフオクで格安ジャンク機を入手しました
 ・調べてみるとFM受信に不具合あり、さらに修理痕や改造痕が多数ある逸品でした
 ・当初は部品取り目的でしたが、前任者の想いを引き継いで作業を進めました
 ・製造からほぼ50年なので今回の修理機は「50周年記念モデル」と勝手に命名します
 ・以下、修理と改造の記録です

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■製品情報------------------------------------------------------------

 ・オーディオの足跡 SONY ST-5130 ¥69,800(1972年頃)
 ・製品カタログ 1971版
 ・Hifi Engine SONY ST-5130 AM/FM Stereo Tuner (1971-74)

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■動作確認------------------------------------------------------------

 ・フロントパネル、操作ノブ、ボディに目立つ傷なし
 ・周波数窓枠の銀色フレームがとてもキレイな状態、これはパーツとして貴重
 ・おや?固定/可変出力端子とマルチパス端子が「金メッキ端子」だ!
 ・オク写真では分からなかったのですがこれは交換済みという事ですね
 ・さらに可変出力の調整用VRに「ツマミ」が付いている、これも見落とした、
 ・電源コードはSONY機のオリジナル感あるが、コードの印字をみるとなぜか「1980」
 ・ST-5130が1980製のはずはないので電源コードも交換済みのようです
 ・この時期のSONY機でよくある「ベタベタ、ネバネバ」対策で交換したのかも?
 ・どうやら既に手が加わった個体のようです、、
 ・さて、FMアンテナを接続して電源オン
 ・周波数窓と二つのメーターが緑色照明に浮かび上がる、電球切れは無い
 ・TメーターとSメーターは正常に振れてFM放送を受信しているが、、
 ・Tメーター中点とSメーター最大点が一致しない、大きくズレる
 ・STEREOインジケーターは点灯しない、実際のステレオ感も無い
 ・出てくる音は左右chとも酷い雑音が混入している
 ・MUTINGオンにすると無音になる、つまり受信感度が大幅に低下している
 ・試しにマルチパスH端子の音を聞いてみるとこちらも不安定感は同じ
 ・一方AMは背面バーアンテナで感度良く受信OK
 ・問題はFM受信系統ですね

■内部確認------------------------------------------------------------

 ・ボディを開けてみると予想通り修理痕、改造痕が多数ありました
 ・背面出力端子とマルチパス端子が金メッキ端子に交換済み
 ・INS基板を含めてすべての電解コンデンサー交換済み
 ・可変抵抗も全数交換済み、可変出力用VRも交換済み
 ・2SK23A以外のトランジスタはほとんど交換済み
 ・気になるのは電解コンデンサーのメーカーやグレードがバラバラな事
 ・特にMPX基板では左右の特性を揃えるため同じ部品を使って欲しいところ
 ・ハンダ面を見ると配線のビニール被膜に半田鏝が触れて溶けた痕跡多数
 ・IF基板のT202コアが割れていて調整できない
 ・修理にチャレンジ、でも故障個所を特定できず断念して放出したのかな?
 ・せっかく多くの部品が交換済みなので方針転換して修理作業を引き継ぎました

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■修理記録:機能切換スイッチの接点洗浄--------------------------------

 ・まずは以下の接点をエレクトロニッククリーナーとL字型歯間ブラシで洗浄
  →機能切換(AM/FM/FM AUTO)ローターリー接点
  →INS(ON/OFF)接点
  →MUTING(ON/OFF)接点
  →AFC(ON/OFF)接点
 ・洗浄前後で特に顕著な変化なし、でも何らかの効果はあったと期待したい

■修理記録:IF基板---------------------------------------------------

 ・MUTING調整で使用するT202のコアが割れており調整不能状態
 ・保管していたST-5140のIF基板の同型T202をST-5130に移植
 ・さらに未交換だった2SK23Aを交換
  →T202(1-405-299)→ T202(ST-5140から移植)
  →Q207:2SK23A → 2SK107 新品交換
  →Q208:2SK23A → 2SK107 新品交換
 ・T202交換によってMUTING調整が最適化できました

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■修理記録:MPX基板--------------------------------------------------

  →Q401:2SK23A → 2SK107 新品交換 → 激しいノイズ解消
 ・次はSTEREOインジケーター点灯しない、ステレオ分離できない
 ・調べてみるとMPX基板のスイッチング回路で19kHzと38kHzが観測できない
 ・MU401(MPX UNIT:基板上の赤い箱)から19kHz信号が出ていない
 ・MU401はST-5140でも使われているので部品取りした予備品を移植
  →MU401 → MU401(ST-5140から移植) → STEREOインジケーター点灯
  →C414:4700pF → フィルムコンデンサ(472)予防交換
 ・ここまでの作業でSTEREOインジケーター点灯し実際のステレオ分離も復活
 ・スイッチング回路以降の電解コンデンサを再交換して左右同じ物に揃えました

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■修理記録:INS回路を外す--------------------------------------------

 ・ここまでの作業によってFM受信とステレオ分離は正常化しましたが、
 ・ただ不定期に発生する「ザザッ、ザザザッ」というノイズが解消しません
 ・WaveSpectraで波形を見ているとベースラインが大きく上下する変化です
 ・マルチパスH端子の音を確認するとこちらは正常な状態
 ・ということは雑音源はMPX回路かINS回路か、
 ・試しにINS回路の配線を外してIF回路→MPX回路を直結したところ、、
 ・何と、不定期な雑音は発生しなくなりました
 ・1週間のランニングテストでも不定期ノイズは確認できません
 ・不良個所はINS回路にあるということがはっきりしました
 ・INS回路の電解コンデンサは前任者が全交換済みですがトランジスタは未交換
 ・トランジスタのどれかがノイズ源になっている気がしますが、
 ・ただINS回路の故障箇所を詳しく探す気になれないので修理は断念
 ・INS基板自体は本体に残したまま基板に繋がる配線をすべて外しました
 ・こうなると機能的には弟機ST-5140と同等機になってしまいますが、
 ・ST-5130にはヘッドホン回路があるので、とりあえず優位性は保っています

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【INS(Impulse Noise Suppressor)】
 ・クルマのイグニッションノイズをカットする機能
 ・50年前のクルマは「走るノイズ源」だったのでこの機能が有効でしたが
 ・今はそんな有害なクルマは走っていないのでINS回路を外しても問題ないはず
 ・むしろ信号が余計な回路(INS回路)を通ることの方がデメリットに思えます

■調整記録-----------------------------------------------------------

【FMフロントエンド調整】
 ・OSC調整 → CT105,L105
 ・トラッキング調整 → CT101,CT102,CT103,CT104 / L101,L102,L103,L104
 ・IFT調整 → IFT101
【レシオ検波調整】
 ・T201上段コア → 検波調整
 ・T201下段コア → 高調波歪調整
【MUTING調整】
 ・T202 → D209電圧最大
 ・RT202 → MUTINGレベル調整
【Sメーター調整】
 ・RT201 → FM Sメーター調整
【MPX調整】
 ・T401 → スイッチング信号調整(※SUB信号注入 → Lch出力最大)
 ・RT401 → セパレーション調整
【AM調整】
 ・OSC調整 → CT302,T301
 ・トラッキング調整 → CT301,L801(バーアンテナ内コイル)
 ・RT301 → AM Sメーター調整

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■改造記録------------------------------------------------------------

 ・せっかく良い状態に仕上がったので 前回と同じ方法 で全球LED化とその他プチ改造
 ・製造から50年も経っているとは思えない出来栄えに自画自賛です(笑)

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■改造記録:Sメーター、Tメーター移植----------------------------------

 ・ST-5130/5140のメーターは照明透過タイプではないのでちょっと物足りない
 ・これに対して同時期のST-5150/5150Dでは照明透過タイプが使われている
 ・サイズと取り付け方法は同じなのでST-5150のメーターを移植

■改造記録:全球LED化-------------------------------------------------

【オリジナル電球の仕様】
 ・PL5,PL6:周波数窓両端の照明電球:8v/300mA T6.3×30mm
 ・PL1,PL4:Tメーター、Sメーター照明電球:8v/150mA E10
 ・PL2,PL3,PL7:インジケータ(FM,AM,STEREO)電球:4.5v/40mA,φ4mm
【整流回路の製作】
 ・電源トランスから照明電球に繋がる青色線(AC8v)を流用して電源回路製作
 ・ダイオードブリッジと電解コンデンサーで整流回路作成(AC7.8v → DC10.4v)
【周波数窓照明LED】
 ・TORIBIO 10個セット T6.3×30mm LED 3SMD 5050 12V 28mm~30mm
 ・12v用ですが周波数目盛、数値が鮮やかな緑色の発色になりました
【メーター照明LED】
 ・uxcell E10スクリューベースLED電球(白) DC 12V 0.25W フラットヘッド
 ・極性に合わせて電球ソケットの配線を付け替える必要あり
 ・定格12v用ですがちょうどよい明るさになりました
【(FM,AM)インジケーター用LED】
 ・3mmウォームホワイトLED 70° OSM5YK3Z72A(100個入)1300円、秋月電子で購入
 ・制限抵抗交換:R801,R802 75Ω → 2.2kΩ 交換
【(STEREO)インジケーター用LED】
 ・FM/AM用に使ったLEDと同じ、ラグ板に制限抵抗 2.2kΩを直列追加
 ・さらに並列に2.2kΩ抵抗追加(離調時も薄く点灯してしまうため)

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■改造記録:FMアンテナ端子--------------------------------------------

 ・FMアンテナ端子はF型ですが、端子サイズが微妙に小さいのが難点
 ・そこで端子を通常サイズ品に交換、同軸ケーブルの接続安定度が大幅アップします

■試聴----------------------------------------------------------------

 ・別に入手したウッドケース(TAC-1)に納めてみました
 ・緑色照明に映える周波数窓、透過式のメーター照明がいい雰囲気です
 ・製造から半世紀を経て「50周年記念モデル」が完成しました

St513085

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