・2023年8月、懲りもせずまたオールドチューナーを入手しました
・OPTONICA(オプトニカ)旧SHARP製のアナログバリコン機です
・いつか入手したい、と長年思っていましたがついに機会が巡ってきました
・MPX回路にHA1156が使われているので性能はそこそこ期待できるはず
・ちゃんと動作すればね、、
■製品情報------------------------------------------------------------
・オーディオの足跡 OPTONICA ST-3000 ¥65,000(1974年頃)
・オーディオの足跡 OPTONICA ST-3000mkII ¥65,000(1975年頃)
・Hifi engine Sharp ST-3000 AM/FM Stereo Tuner
・発売の翌年には同価格の改良型(mkII)が出ていました
・ネット写真を見比べると照明の色が変わっただけのような気がする??
・Hifi engineには ST-3000H の回路図がありました
・入手した海外版のカタログには機種名「ST-3000H」の写真がありました
・照明の色合いから判断すると ST-3000H = ST-3000mkII のようです
■動作確認------------------------------------------------------------
・ボディサイズ(W442mm×H144mm×D380mm)が予想より大きい
・さらに重量10kg、持ち上げるとアンプ並みにズッシリ重い
・パネル色はシルバーではなくゴールド色というかブロンズ?やや茶色っぽい感じ
・経年の汚れはあるものの幸いな事に外観に目立つキズは無い
・フロントパネル、ツマミ、サイドウッドとも洗浄すればキレイになりそう
・背面パネルを見るとF端子横にアンテナ入力のアッテネータースイッチあり
・さて、背面F端子にFMアンテナを接続して電源オン
・黒い周波数窓にオレンジ色の目盛りと周波数が浮かび上がる
・FM/AMのポジションランプ、二つのメーターもオレンジ色
・そのオレンジ色の照明を背景にして指針だけが緑色に光る
・二つのメーターが大きく振れて名古屋地区のFM局を受信テストOK
・ただTメーターの針が背後の文字盤に接触しているようで振れ方がぎこちない
・STEREOインジケーター点灯しない、実際のステレオ感もない
・TメーターとMULTIPATHメーターが兼用なのが珍しい
・MULTIPATHスイッチ(MONITOR - OFF - METER)機能切換式
・続いて名古屋地区のAM局の受信テスト
・本体背面にあるバーアンテナで受信OK、Sメーターの振れが弱いか?
・とりあえずFM/AMとも致命的な故障は無さそうです
■内部確認------------------------------------------------------------
・アルプス社製FM4連AM3連バリコンユニット、IFバンド切換なし、レシオ検波
・HA1156:FM STEREO DEMODULATOR
・HA1149:FM MUTING
・AM回路:ディスクリート構成
・アンプ並みの大型電源トランス、ズッシリ重い原因です
・基板間を接続する配線がスッキリ整然とまとめられている
・配線はコネクタによる接続なのでさらにスッキリしている
・液漏れや粉噴き電解コンデンサーは見当たらない
・ICや多くのトランジスタの足が真っ黒、特に2SC460
・真っ黒対策は硬めの歯ブラシ+L字型歯間ブラシで清掃
・周波数窓の照明にヒューズ型電球(8v/0.3A)×6個、メーター照明に各1個
・基板上に部品番号の印字が無いので回路図との照合が面倒
・照合の結果、海外版ST-3000H の回路図とほぼ一致しました
■修理記録:メーター分解----------------------------------------------
・Tメーターの針が背後の文字盤に接触するようで振れ方がぎこちない件
・フロントパネルを外してメーターを引きずり出して分解してみたら
・背後の文字盤が外れている、と思ったら意外にも文字盤は外れていなかった
・接触する原因は細い指針が内側に傾いていることでした
・メーター針が傾くか??
・対策として細い指針に慎重に慎重に力を加えて傾きを修正しました
・同様にSメーターも分解してTメーターと違和感が無いように処置しました
■調整記録------------------------------------------------------------
【Tメーターオフセット調整】
・アンテナ入力なし → T101上部コア調整 → Tメーター指針中点へ
【OSC調整】
・76MHz受信 → Lo調整 → Sメーター最大
・90MHz受信 → TCo調整 → Sメーター最大
【RF調整】
・76MHz受信 → LA,LR1,LR2調整 → Sメーター最大
・90MHz受信 → TCA,TCR1,TCR2調整 → Sメーター最大
・この調整作業を数回繰り返す
【IFTコア調整】
・83MHz受信 → IF調整 → Sメーター最大
【検波調整】
・音声出力 → WaveSpectra接続
・83MHz受信 → T101上部コア調整 → Tメーター中点確認
・83MHz受信 → T101下部コア調整 → 高調波歪最小
【MUTING回路調整】
・R132横のTP → 電圧計セット
・83MHz受信 → T102,T103調整 → Sメーター最大
・83MHz20dB受信 → R132調整 → MUTING作動位置
【Sメーター振れ調整】
・83MHz受信 → T104調整 → Sメーター最大
・83MH80dB受信 → R241調整 → Sメーター振れ具合調整
【VCO調整】
・IC301上のTP3 → 周波数カウンタ接続
・83MHz無変調 → R302調整 → 19kHz
【セパレーション調整】
・音声出力端子 → WaveSpectra接続
・83MHz L/R信号 → R319調整 → 反対ch漏れ最小
【テストトーン調整】
・83MHz受信 → 固定音声出力のレベル記録
・テストトーンON → R440調整 → -6dBに設定
【AM調整】
・ 600kHz受信 → T202.T201,バーアンテナ内コイル調整 → Sメーター最大
・1400kHz受信 → TCAM3,TCAM2,TCAM1調整 → Sメーター最大
・1000kHz受信 → T203,T204,T205,T206,T207調整 → Sメーター最大
■試聴----------------------------------------------------------------
・幸いにも部品故障なし、再調整だけで復活しました
・分解清掃によってオレンジ色の周波数窓が照明に映えます
・年末休暇に電解コンデンサ交換と電球LED化にチャレンジしてみます