・2023年7月、オーディオタイマーのジャンク機を寄付していただきました
・FMエアチェック全盛期の高機能タイマーです
・表示部が全く点灯しないそうですが、さて直せるのか?
■製品情報------------------------------------------------------------
・AKAI DT-320 ¥34,800(1982年頃)
・AKAI DT-320 取扱説明書 pdf
・AKAI DT-320 過去記事(2007年10月16日)
・AKAI AT-S61 過去記事(2011年7月24日)
・AKAI製FM/AMチューナー AT-S61 を接続すればDT-320からプログラム制御可能
■動作確認------------------------------------------------------------
・外観は目立つキズは無いが経年の汚れ、特に指が振れるボタン表面に皮脂汚れ
・でも汚れは分解清掃でキレイになりそう
・さて、電源コードを接続してみると、、
・事前情報の通り表示部には何も表示されない
・と同時に、ボディ内部から「ジー」という大きな唸り音が聞こえる
・これはヤバい!嫌な予感がして 即座に電源コードを抜いて電源オフ
・内部が燃えていなければいいのですが、、
■内部確認------------------------------------------------------------
・恐る恐るボディを開けてみると、幸いにも焼けた痕跡や焦げた匂いは無かった
・さて、基板全体を見渡してみると
・電源部の大型電解コンデンサーが液漏れや粉噴きで全滅状態
・バックアップ用ニカド電池も朽ち果てていました
・これではまともに動作しないでしょう
・異音の原因はエラーを知らせるビープ音だったかも?
■修理記録------------------------------------------------------------
・まずは朽ち果てたニカド電池を取り外す、単3形の電池2本が繋がっていました
・続いてダメージの大きい電解コンデンサーの交換
・C1:4700uF/16v → 4700uF/25v
・C4:2200uF/35v → 2200uF/35v
・C5:1000uF/50v → 1000uF/50v
・C6: 100uF/16v → 100uF/50v
・C7: 1uF/50v → 1uF/50v
・本体をベランダに持ち出して防護グラス、厚手の手袋と完全防備で通電実験開始
・恐る恐る電源プラグを繋いでみると、
・点滅する時計表示が出現、異音は発生しない、部品が焼けることもない
・後述の手順で時刻設定もできました
・とりあえず動作OKみたいです
■調整記録------------------------------------------------------------
・IC1:uPD7801G / High End Single Chip 8bit Microcomputer
・Qz :4.194304MHz
・TP FO:テストポイント → 周波数カウンタ接続
・C11:トリマコンデンサ
・TP FO → C11調整 → 2.097152MHz ※実機確認 2.097142MHz
・調整後の2.097152MHzは Qz水晶発信子(4.194304MHz)のちょうど1/2の値
・約1ヶ月通電した後の月差は+9秒、これなら上出来でしょう
■実験記録:停電補償機能----------------------------------------------
・オリジナル仕様は停電補償約30分(45時間以上充電時)です
・実験としてニカド電池があった場所に単三形×2本用の電池ケースを設置
・専用充電器で満充電したニッケル水素電池(エネループ)をセットしてみました
・電源オン、時刻とタイマーを設定した後に電源プラグを抜く
・時間の経過、電池電圧、IC1(uPD7801G)-64pin(Vcc)電圧を記録
充電池端子 | uPD7801G(Vcc) | 停電補償 | |
---|---|---|---|
電源切断時 | 2.77v | 5.54v | 〇 |
30分後 | 2.49v | 5.61v | 〇 |
1時間後 | 2.37v | 5.61v | 〇 |
2時間後 | 2.23v | 5.59v | 〇 |
3時間後 | 2.20v | 5.58v | 〇 |
4時間後 | 2.12v | 5.58v | 〇 |
5時間後 | 1.14v | 1.30v | × |
・次にエネループを本体にセットしたまま通電再開
・エネループはどの程度まで充電できるかの実験です
・時刻とタイマーを設定した状態で12時間放置(充電)
充電池端子 | uPD7801G(Vcc) | 停電補償 | |
---|---|---|---|
電源切断時 | 2.52v | 5.60v | 〇 |
30分後 | 2.26v | 5.61v | 〇 |
1時間後 | 2.37v | 5.61v | 〇 |
2時間後 | 1.46v | 2.45v | × |
【実験結果】
・オリジナル仕様:停電補償約 30分(45時間以上充電時)
・エネループ仕様:停電補償約240分(専用充電器で満充電した場合)
・エネループ仕様:停電補償約 60分(本機で12時間充電した場合)
■試運転--------------------------------------------------------------
・エネループを使った実験後は電池ボックスごと取り外しました
・やはりエネループを専用充電器以外で充電することは安全性に不安があるので、、
・現在は停電補償機能なしの状態でタイマーとして運用しています
・現在時刻、オン時刻、オフ時刻の三つの時刻が並んで表示できる点が特徴
・時刻や曜日を設定するときは、次に操作可能なボタンだけが緑色に点灯する
・もうこんな製品が作られることは無い、そう思うと貴重品ですね