・2023年8月、通算19台目のKT-1100D故障機を入手しました
・FM放送を全く受信できないそうです
・以下、作業記録です
■製品情報------------------------------------------------------------
・オーディオの足跡 KENWOOD KT-1100D ¥74,800(1987年頃)
・Hifiengine Kenwood KT-1100D AM/FM Stereo Tuner (1986-89)
・KENWOOD チューナーカタログ 1986年11月版
■動作確認------------------------------------------------------------
・外観は目立つ傷もなく美品といえるキレイな状態
・電源オン、表示部に周波数やインジケーター点灯
・ただよく見ると数字を構成する「8」セグメントの一部に微妙な輝度劣化あり
・続いてFMアンテナを接続して名古屋地区のFM放送を受信チェック
・AUTO選局では上り下り方向とも放送局を素通りして全く受信不可
・手動選局でも全く受信しない、
・シグナルインジケーター点灯しない、STEREOインジケーターも点灯しない
・一方AM放送は適当なループアンテナで名古屋地区のAM局を受信OK
・事前情報通りFM受信が不調です
■内部確認+修理記録--------------------------------------------------
・ボディを開けて内部チェック、既に清掃済みなのか基板上にホコリはほとんどない
・幸いなことに今回はヤニ汚れ無し、基板を見渡しても修理改造歴も無さそう
・まずはVT電圧を測定してみると、、
・76~90MHzの全区間で常時+27vを示してまったく変化しない
・試しにOSCトリマコンデンサ(TC1)を回してみると、、
・過敏に反応して電圧値が一定値に定まらない
・これは定番のOSCトリマコンデンサ:TC1の劣化ですね
・対策としてTC1 → Pasasonic製10pFに交換
・交換後はVT電圧がビシッと決まりFM放送を受信できるようになりました
・再度の動作確認で-0.1MHzの周波数ズレがありましたが、後述の調整で修正できました
■調整記録------------------------------------------------------------
【VT電圧】
・TP6~TP7 DC電圧計セット
・アンテナ入力なし
・76MHz → L14調整 → 3.0V±0.1V
・90MHz → TC1調整 →25.0V±0.1V
【検波調整】
・TP10~TP11 DC電圧計セット
・83MHz(無変調,80dB)受信 → L9調整 → 0.0V±10mV
・TP12~TP13 DC電圧計セット
・83MHz(無変調,80dB)受信 → L12調整 → 0.0V±10mV
【RF調整】
・R67左側 DC電圧計セット=Sメーター電圧
・83MHz(1kHz,100%変調,40dB)→ L1,L4,L7,L18調整 → 電圧最大
【IFT調整】
・R64右側端子 DC電圧計セット=Sメーター電圧
・83MHz(1kHz,100%変調,30dB)→ L10調整 → 電圧最大
【AUTO STOP=MUTING調整】
・83MHz(1kHz,100%変調,30dB)→ VR1調整
【TUNING METER調整】
・SELECTOR:MONO
・83MHz(1kHz,100%変調,80dB) → 本体左側小基板VR2調整 → ※
※中央の縦白セグメント点灯、両側の赤縦セグメントの中点へ
【SIGNAL METER調整】
・SELECTOR:MONO
・83MHz(1kHz,100%変調,80dB) → 本体左側小基板VR3調整 → ※
※バーグラフの点灯レベル調整
【MPX VCO調整】
・TP14に周波数カウンタ接続
・83MHz(無変調,80dB) → VR4調整 → 19.00kHz±50Hz
【SUB CARRIER調整(38kHz)】
・音声出力をWavespectraで観察
・83MHz(SUB信号,1kHz,80dB)→ L25調整 → Lchレベル最大
【歪調整1 DLLD】
・83MHz(MONO信号,1kHz,80dB)→ VR3:DET調整 → 歪最小
【歪調整2 MONO】
・83MHz(MONO信号,1kHz,80dB)→ VR4:MONO2調整 → 二次歪最小
【歪調整3 MONO】
・83MHz(MONO信号,1kHz,80dB)→ VR6:MONO3調整 → 三次歪最小
【歪調整4 STEREO】
・83MHz(L/R信号,1kHz,80dB)→ VR5調整 → 歪最小
【歪調整5 STEREO】
・83MHz(SUB信号,1kHz,80dB)→ VR7調整 → 歪率最小
【歪調整6 NARROW】
・83MHz(MAIN信号,1kHz.80dB)→ VR2調整 → 歪率最小
【SEPARATION調整 WIDE】
・IF BAND:WIDE
・83MHz(R信号,1kHz,80dB)→ VR2調整 → L信号もれ最小
・83MHz(L信号,1kHz,80dB)→ VR3調整 → R信号もれ最小
【SEPARATION調整 NARROW】
・IF BAND:NARROW
・83MHz(1kHz,80dB)→ VR1調整 → 信号もれ最小
【DEVIATION調整】
・83MHz(mono信号,1kHz,100%変調)→ 本体左側小基板VR4調整 → 100%位置
【AM簡易調整】
・TP6~TP7 DC電圧計セット
・アンテナ入力なし
・522kHz → L20調整 → 実測 1.5V 確認のみ
・1629kHz→ TC2調整 → 実測 8.0V 確認のみ
・ 729kHz NHK第一放送受信 → L21調整 → Sメーター最大
・1332kHz 東海ラジオ受信 → TC3調整 → Sメーター最大
・1053kHz CBCラジオ受信 → L22調整 → Sメーター最大
■試聴----------------------------------------------------------------
・最近はOSCトリマコンデンサの劣化事例が多いです
・1987年製、さすがに部品寿命ですね