・2023年6月初め、KT-V990の故障機が届きました
・以下、作業記録です
■製品情報------------------------------------------------------------
・オーディオの足跡 KENWOOD KT-V990 ¥59,800(1987年頃)
■動作確認------------------------------------------------------------
・目立つキズもなく外観の状態は良い
・アンテナを接続して電源オン
・FL管点灯、明るさは十分、文字痩せ、文字欠けなし
・オート選局で名古屋地区のFM放送局を受信するが周波数ズレあり
・上り下り方向とも-0.1MHzの周波数で受信
・ズレた位置でSTEREOランプ点灯
・受信動作は正常、しかし聞こえてくる音がひどい状態、
・全体に高調波歪が被っている、左右の音量差、さらに右chから別の雑音成分
■修理記録:L34交換----------------------------------------------------
・FM同調点調整 → L9 調整OK
・PLL検波調整 → L12 調整OK
・VCO調整 → VR3 調整OK
・なんと、MPX部までは正常に動作していました
・最終オーディオ回路、IC20-1pin と IC21-1pin 正常音声が聞こえる
・C153,C154から先で音声が乱れる
・故障部品は LPF L34(079-05-91C)でした
・回路構成が同じKT-7020から部品取りしたL34(079-05-97C)に交換
・これで音声端子からキレイなFM音楽が流れてきました
・KT-V990は底面に点検口が無いので、部品交換には気合が必要です
■調整記録------------------------------------------------------------
【VT電圧】
・TP3~TP4 DC電圧計セット
・アンテナ入力なし
・76MHz → L14調整 → 確認のみ※実測3.1V
・90MHz → TC1調整 → 確認のみ※実測25.0V
★TC1の反応が過敏で電圧が定まりにくい
【FM同調点調整】
・TP5~TP6 DC電圧計セット
・83MHz(無変調,80dB)受信 → L9調整 → 0.0V
【RF調整】
・R113(検波基板CN3 4ピン)DC電圧計セット
・83MHz(無変調,40dB)→ L1,L4,L7,L10 調整 → 電圧最大
【IFT調整】
・D42(検波基板CN3 4ピン)DC電圧計セット
・83MHz(無変調,40dB)→ L17調整 → 電圧最大
【PLL検波調整】
・TP7~TP8 DC電圧計セット
・83MHz(無変調,80dB)受信 → L12調整 → 0.0V
【MPX VCO調整】
・TP20に周波数カウンタ接続
・83MHz(無変調,80dB) → VR3調整 → 19kHz
【SUB CARRIER調整(38kHz)】
・音声出力をWavespectraで観察
・83MHz(SUB信号,80dB)→ L33調整 → Lchレベル最大
【歪調整1 DET】※DCC基板
・83MHz(MONO信号,400Hz,100%変調,80dB)→ VR3調整 → 歪率最小
【歪調整2 MONO】※DCC基板
・83MHz(MONO信号,1kHz,100%変調,80dB)→ VR4調整 → 歪率最小
【歪調整3 MONO】※DCC基板
・83MHz(MONO信号,1kHz,100%変調,80dBu)→ VR6調整 → 歪率最小
【歪調整4 STEREO/L】※DCC基板
・83MHz(L信号,1kHz90%変調+19kHz10%変調,80dB)→ VR5調整 → 歪率最小
【歪調整5 STEREO/SUB】※DCC基板
・83MHz(SUB信号,1kHz90%変調+19kHz10%変調,80dB)→ VR7調整 → 歪率最小
【SEPARATION調整】
・83MHz(R信号,1kHz90%変調+19kHz10%変調,80dB)→ VR4調整 → Lchもれ最小
・83MHz(L信号,1kHz90%変調+19kHz10%変調,80dB)→ VR5調整 → Rchもれ最小
【AM VT電圧】
・TP3~TP4 DC電圧計セット
・ 531kHz → L26調整 → 確認のみ※実測1.4V
・1602kHz → TC2調整 → 確認のみ※実測8.0V
【AM受信簡易調整】
・ 729kHz(NHK第一)→ L27調整 → シグナルメーター最大
・1332kHz(東海ラジオ)→ TC3調整 → シグナルメーター最大
・1053kHz(CBCラジオ)→ L28調整 → シグナルメーター最大
■試聴----------------------------------------------------------------
・RF=DISTANCEでの受信感度は抜群に良好です
・再調整によって良い性能を取り戻した、と思っていたら、、
・受信中に突然シグナルインジケーターが消失し受信不能に
・オート選局、手動選局ともに全く受信できない、これはどうしたことか?
■再修理記録-----------------------------------------------------------
・VT電圧を測定すると、76~90MHzの全区間で+27vを示したまま変化なし
・調整時に気になった★TC1が怪しい気がする
・TC1を回してみると反応が過敏で電圧が定まらない
・もう一度ボディを分解して基板を取り外しTC1をPasasonic製10pFに交換
・組み直して再調整 → これでVT電圧がビシッと決まりました
・1週間の動作テストを行いましたが安定受信できています
・もう大丈夫でしょう