・2023年6月、通算18台目のKT-1100D故障機が届きました
・AM受信OK、FM受信NGとのこと
・以下、作業記録です
■製品情報------------------------------------------------------------
・オーディオの足跡 KENWOOD KT-1100D ¥74,800(1987年頃)
・Hifiengine Kenwood KT-1100D AM/FM Stereo Tuner (1986-89)
・KENWOOD チューナーカタログ 1986年11月版
■動作確認------------------------------------------------------------
・外観は目立つ傷もなく美品といえるキレイな状態、でも何となくタバコ臭い
・FMアンテナを接続して名古屋地区のFM放送を受信チェック
・AUTO選局では上り下り方向とも放送局を素通りして受信不可
・手動選局では一応受信できるがひどい音
・受信感度が低いためシグナルインジケーターは点灯しない
・当然STEREOインジケーターも点灯しない
・一方AM放送は適当なループアンテナで名古屋地区のAM局を受信OK
・操作しても反応しない機能切換ボタンやメモリ選択ボタン多数あり
■内部確認------------------------------------------------------------
・ボディを開けてビックリ! 内部はタバコのヤニで全面アメ色状態でした
・タバコ臭、ヤニ臭が漂って気分が悪くなりそう、、
・外装のヤニ汚れは底面や電源コードまでキレイに清掃済みだったのか、、
・多くのスイッチが反応しないのは多分タバコのヤニが原因ですね
・まずはタクトスイッチの隙間にエレクトロニッククリーナーを噴射
・スイッチON/OFF操作を何度も繰り返し、もう一度クリーナー噴射、これをを繰り返す
・この作業で反応しなかったタクトスイッチが生き返りました
・反応がちょっと鈍いスイッチもありますが、何度か操作すれば反応します
■修理記録:検波基板L9修理----------------------------------------------
・スイッチ操作ができるようになったので動作確認続行
・FM同調点調整で検波基板L9を回しても変化なし
・L9内蔵コンデンサーが容量抜けしているようです
・縦型の検波基板からL9を取り外し、裏面から内蔵コンデンサを除去
・再度取り付けてハンダ面に100pF(101)コンデンサを追加
・これでオート選局できるようになりました
■調整記録------------------------------------------------------------
【VT電圧】
・TP6~TP7 DC電圧計セット
・アンテナ入力なし
・76MHz → L14調整 → 3.0V±0.1V
・90MHz → TC1調整 →25.0V±0.1V
★TC1の反応が過敏、電圧が安定しない
【検波調整】
・TP10~TP11 DC電圧計セット
・83MHz(無変調,80dB)受信 → L9調整 → 0.0V±10mV
・TP12~TP13 DC電圧計セット
・83MHz(無変調,80dB)受信 → L12調整 → 0.0V±10mV
【RF調整】
・R67左側 DC電圧計セット=Sメーター電圧
・83MHz(1kHz,100%変調,40dB)→ L1,L4,L7,L18調整 → 電圧最大
【IFT調整】
・R64右側端子 DC電圧計セット=Sメーター電圧
・83MHz(1kHz,100%変調,30dB)→ L10調整 → 電圧最大
【AUTO STOP=MUTING調整】
・83MHz(1kHz,100%変調,30dB)→ VR1調整
【TUNING METER調整】
・SELECTOR:MONO
・83MHz(1kHz,100%変調,80dB) → 本体左側小基板VR2調整 → ※
※中央の縦白セグメント点灯、両側の赤縦セグメントの中点へ
【SIGNAL METER調整】
・SELECTOR:MONO
・83MHz(1kHz,100%変調,80dB) → 本体左側小基板VR3調整 → ※
※バーグラフの点灯レベル調整
【MPX VCO調整】
・TP14に周波数カウンタ接続
・83MHz(無変調,80dB) → VR4調整 → 19.00kHz±50Hz
【SUB CARRIER調整(38kHz)】
・音声出力をWavespectraで観察
・83MHz(SUB信号,1kHz,80dB)→ L25調整 → Lchレベル最大
【歪調整1 DLLD】
・83MHz(MONO信号,1kHz,80dB)→ VR3:DET調整 → 歪最小
【歪調整2 MONO】
・83MHz(MONO信号,1kHz,80dB)→ VR4:MONO2調整 → 二次歪最小
【歪調整3 MONO】
・83MHz(MONO信号,1kHz,80dB)→ VR6:MONO3調整 → 三次歪最小
【歪調整4 STEREO】
・83MHz(L/R信号,1kHz,80dB)→ VR5調整 → 歪最小
【歪調整5 STEREO】
・83MHz(SUB信号,1kHz,80dB)→ VR7調整 → 歪率最小
【歪調整6 NARROW】
・83MHz(MAIN信号,1kHz.80dB)→ VR2調整 → 歪率最小
【SEPARATION調整 WIDE】
・IF BAND:WIDE
・83MHz(R信号,1kHz,80dB)→ VR2調整 → L信号もれ最小
・83MHz(L信号,1kHz,80dB)→ VR3調整 → R信号もれ最小
【SEPARATION調整 NARROW】
・IF BAND:NARROW
・83MHz(1kHz,80dB)→ VR1調整 → 信号もれ最小
【DEVIATION調整】
・83MHz(mono信号,1kHz,100%変調)→ 本体左側小基板VR4調整 → 100%位置
【AM簡易調整】
・TP6~TP7 DC電圧計セット
・アンテナ入力なし
・522kHz → L20調整 → 実測 1.5V 確認のみ
・1629kHz→ TC2調整 → 実測 8.0V 確認のみ
・ 729kHz NHK第一放送受信 → L21調整 → Sメーター最大
・1332kHz 東海ラジオ受信 → TC3調整 → Sメーター最大
・1053kHz CBCラジオ受信 → L22調整 → Sメーター最大
■QUIETING CONTROL 調整スライドVR不良-----------------------------------
・セパレーション調整時にスライドVRの不良に気が付きました
・本体正面左側にあるQUIETING CONTROL調整VRに接触不良があります
・左右のブレンド量を調整するVRですが、通常は一番右側(NORMAL)にセットします
・この位置でセパレーションが最大になるように調整するのですが、
・ところがこのVRツマミに触れるだけでセパレーションが大きく変動します
・多分これもVR内部のヤニ汚れが原因と思います
・エレクトロニッククリーナーで洗浄して改善しましたが、完治したかどうかは?
・同型ジャンク機を入手できればスライドVRを丸ごと移植した方がよいです
■修理記録:FM OSCトリマコンデンサ交換------------------------------------
・調整を終えて試運転を始めた途端、突然シグナルインジケーターが消失し受信不能に
・オート選局、手動選局ともに全く受信できない、これはどうしたことか?
・ボディを開けてVT電圧を測定してみると、、
・76〜90MHzの全区間で+27vを示してまったく変化しない
・TC1を回してみると接触不良のように電圧が定まらない
・調整時に感じたように★TC1の劣化 → Pasasonic製10pFに交換しました
・交換後はVT電圧がビシッと決まり受信状態が安定しました
■試聴----------------------------------------------------------------
・外観はキレイに清掃してもタバコのヤニ汚れは厄介ですね
・煙がボディ内部に侵入して可動部があるパーツに影響を及ぼします
・実は私、喫煙歴15年です。35歳頃に禁煙して約30年経ちました
・人間の肺の中もアメ色状態と想像すると、、恐ろしい、、