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SONY ST-S333ESA 修理調整記録4

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 ・2023年5月、333ESAの故障機がやって来ました
 ・既に修理が試みられた個体で多くの部品が交換済みだそうです
 ・しかし不具合が解消しない、という事で修理を引き継ぐことになりました
 ・さて、直せるでしょうか?

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■製品情報------------------------------------------------------------

 ・オーディオの足跡 SONY ST-S333ESA ¥55,000(1991年発売)
 ・Hifi engine SONY ST-770ES? FM Stereo / FM-AM Tuner (1991-92)

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■動作確認------------------------------------------------------------

 ・ブラックボディにサイドウッドなし
 ・ボディに擦り傷多数、ボディを留めるネジがステンレス製新品に交換済み
 ・さて、FMアンテナを接続して電源オン
 ・表示部は周波数などの情報がはっきりくっきり表示される
 ・オート選局で名古屋地区のFM局を受信を試みると、
 ・上り方向、下り方向ともにすべての局を素通りして受信不可
 ・手動選局を試みるもやはり受信不可
 ・以下の機能切換スイッチは反応するが、どのポジションでもFM受信不可
  →アンテナ切換 A/B OK
  →RF切換 Distance/Normal OK
  →IF切換 Wide/Narrow OK
  →MUTING切換 ON/OFF OK
  →BAND切換 FM/AM OK
  →REC CAL OK
 ・一方適当なループアンテナを接続してAM受信を試みると
 ・オート選局で名古屋地区のAM放送を受信できました
 ・AM受信はOK、問題はFM受信ですね

■内部確認------------------------------------------------------------

 ・既に修理が試みられた個体なので修理箇所を確認
  →電源回路の電解コンデンサがオーディオクラス品に交換済み
  →MPX回路も黄色い積層セラミックコンデンサに交換済み
  →ヒューズ抵抗も多くが交換済み
  →メモリ保持用キャパシタ交換済み
  →フロントエンド内JW8にTPが増設済み(VT電圧測定用?)
  →TP201 ジャンパピンに短絡用プラグが刺さったまま
【VT電圧】
 ・76MHz→ 8.0v
 ・90MHz→21.0v 
 ※L104で調整可能、問題なし
【FM】
 ・IC251(LA1235)13ピン ※Sメーター電圧が確認できない
【TP201 短絡状態】
 ・ここは調整時に一時的にショートしますが通常はオープンです
 ・ジャンパプラグを抜いたところ、奇妙な高調波歪が発生しました
 ・プラグを挿したり抜いたりすると同じ奇妙な歪が再現します
 ・何か変ですね
【一番大きな電解コンデンサC905】
 ・電源回路のC905、オリジナルは2200uF/63v
 ・これが6800uF/63vに交換済みでした
 ・ただ背が高すぎて5mmほど天板上に飛び出しています
 ・ボディをネジ止めすると基板に無理な力が加わった状態になります

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■修理記録:電源部電解コンデンサ再交換--------------------------------

 ・C905(6800uF/50v) → 3300uF/63v(FG)
  ※背が高くて上蓋に干渉するため
 ・C915( 470uF/63v) → 470uF/35v(FG)
  ※直径が太すぎて隣のIC911に接触するため

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■修理記録:フロントエンド内のコイルL108断線--------------------------

 ・フロントエンド部の電源電圧を確認したところL108(100uH)の断線を発見
 ・フロントエンド回路に電源電圧が届いていない状態でした
 ・これを手持ち部品100uH(緑色)に交換
 ・この処置によってFM放送を受信できるようになりました
 ・気を良くして調整手順に従って各部再調整を進めました
 ・ところが受信感度が低い、シグナルインジケーターの点灯具合が低い
 ・対策として定番の劣化部品CT101,CT102,CT103(10pF)を交換
 ・さらにLA1235周辺電解コンデンサ交換
 ・ついにはLA1235自体を交換、でも解消しない、、これはおかしい??

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■修理記録:ヒューズ抵抗R207(10Ω)交換--------------------------------

 ・ヒューズ抵抗は確認済み、不良品は交換済みという事で引き継ぎましたが、
 ・念のため未交換のヒューズ抵抗を再点検したところ
 ・未交換R207(10Ω)の不良を発見、抵抗値は実測で2MΩでした
 ・これではIFアンプ(IC201)が作動していなかったわけです
 ・ヒューズ抵抗は手持ちが無いので普通のカーボン抵抗で代用しました
 ・受信感度が大幅アップして正常受信になりました

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■修理記録:その他----------------------------------------------------

 ・メモリ登録内容が1日持たずに消失する
 ・C605キャパシタが大型に交換済みなのにメモリ内容を保持できない?
 ・調べてみたら交換済みのR626ヒューズ抵抗のハンダ不良でした
 ・プリント配線と上手く接続できていなかったようです
 ・ハンダ付けをやり直して復旧しました
 ・ついでにタンタルコンデンサC604(10uF/6.3v)を電解コンデンサ(10uF/50v)に交換
 ・その他、劣化していたPLL検波回路のトリマCT271を20pF(赤色)に交換

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■調整記録------------------------------------------------------------

【FM同調点調整】
 ・IF BAND = WIDE
 ・IC251(LA1235)7pin~10pin → 電圧計セット
 ・83MHz受信 → IFT251調整 → 電圧ゼロ ※実測 1.12V
【VT電圧調整】
 ・フロントエンド内JW8 → 電圧計セット
 ・アンテナ入力なし
 ・90MHz → L104調整 → 21.0V±0.2V ※調整前実測21.1V
 ・76MHz → 確認のみ → 8.0V±1.0V ※調整前実測 7.9V
【トラッキング調整】
 ・IF BAND = NARROW
 ・IC251(LA1235) 13pin(又はR261右足)→ 電圧計セット
 ・90MHz受信 → CT101,CT102,CT103 → 電圧最大
 ・76MHz受信 → L101,L102,L103 → 電圧最大
【PLL検波調整】
 ・IF BAND = WIDE
 ・TP201を短絡 ※これによってIF回路をパス
 ・TP271 → 電圧計セット
 ・83MHz受信 → IFT272調整 → 電圧ゼロ ※調整前実測326mV
 ・CT271調整 → 歪最小 ※Wavespectraにて波形確認
 ・TP201を開放
【IF歪調整】
 ・IF BAND = WIDE
 ・MUTING = OFF
 ・IC251(LA1235) 13pin(又はR261右足)→ 電圧計セット
 ・RV201、RV202 時計回り一杯に回す
 ・83MHz 40dBモノラル信号受信
  ・IFT201調整 → 電圧最大
 ・83MHz 40dBステレオ信号受信
  ・IFT202調整 → 電圧最大
  ・IFT101調整 → 電圧最大 ※IFT101フロントエンド内
 ・RV201、RV202 回転範囲の中央位置に回す
 ・83MHz 80dBモノラル信号受信
  ・IFT203調整 → 歪最小へ
 ・83MHz 80dBステレオ信号受信
  ・IFT204調整 → 歪最小へ
【STEREOインジケータ調整】
 ・IF BAND = WIDE
 ・MUTING = OFF
 ・83MHz 20dB受信 → RV251調整 → ステレオインジケータ点灯
【MUTINGレベル調整】
 ・IF BAND = WIDE
  ・MUTING = ON
  ・83MHZ 25dB受信 → RV252調整 → MUTING作動位置へ
【IF NARROWゲイン調整】
 ・IF BAND = NARROW
 ・83MHz 80dB受信 → RV203調整 → NARROWゲイン調整
【Sメーター調整】
 ・83MHz受信 → RV241調整 → Sメーター点灯レベル調整
【パイロットキャンセル】
 ・83MHz ST信号受信 → RV303,L301調整 → 19kHz信号漏れ最小 ※左右バランス確認
【セパレーション調整】
 ・83MHz ST信号受信 → RV301 R→L ※調整後実測72dB
 ・83MHz ST信号受信 → RV302 L→R ※調整後実測66dB
【CAL TONE】
 ・Peak Level-6dB 392Hzの波形が出ていました。
【AM調整】
 ・RV401 Sメーター調整
 ・RV402 AUTOSTOP調整

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■試聴----------------------------------------------------------------

 ・最初から調整をやり直して受信動作を確認しました
 ・良い音で受信できるようになりました

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■おまけ--------------------------------------------------------------

・過去に解体処分したESG/ESA用のパーツが残っていたので流用しました

【電源コード】
 ・現状はコードがグロメットより細いので抜け落ちる不安があります
 ・そこでESA用の電源コードに交換しました
 ・コード側面に1992の印字があります
【天板取り付けネジ】
 ・ESGから取り外したネジですがESAも同じです
 ・見映えが良くなりました
【サイドウッド】
 ・ESA用のサイドウッドを装着しました
 ・キズが多いですが無いよりマシです

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