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PIONEER F-700 修理調整記録3

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 ・2021年12月、PIONEER F-700の故障機を入手しました
 ・元箱とオリジナル取説が付属する逸品です
 ・長らく放置状態でしたがようやく整備完了しました

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■製品情報------------------------------------------------------------

 ・オーディオの足跡 Pioneer F-700 ¥65,000(1979年発売)
 ・Hifi Engine PIONEER F-700 (1981)
 ・F-700/F-500カタログ 1980年4月版
 ・F-700 取扱説明書

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■動作確認------------------------------------------------------------

 ・電源コードの印字は1979
 ・電源オン、周波数窓の照明点灯。二つのメーター照明点灯
 ・しかし名古屋地区のFM局は全く受信しない
 ・Sメーターは全く振れない
 ・指針に組み込まれたTメーターインジケーターも点灯しない
 ・信号発生器に繋いで100dBの電波を注入したところ
 ・Sメーターが大きく振れてSTEREOランプ点灯
 ・IF BAND WIDE/NARROW切換OK
 ・ところが2~3分経過したところSメーターが感度を失う
 ・信号発生器の出力を最大120dBにしてもSメーターは全く振れない
 ・これはどういうことだ??

■内部確認------------------------------------------------------------

 ・ボディ後方開口部付近に溜まった大量の埃をエアと刷毛で清掃
 ・フロントパネルを分解してパネル裏面まで徹底清掃
 ・プッシュボタンの青緑色のサビ落とし
 ・Sメーターの照明電球が交換済み

■修理記録:ヒューズ抵抗交換-----------------------------------------

 ・電源電圧確認 規定値+13v → 実測+12.7v ★異常なし
 ・過去の故障事例からまず疑うのはヒューズ抵抗の劣化です
 ・フロントエンド内部のヒューズ抵抗を実測してみました
  ・R6 (22Ω) → 680Ω
  ・R7 (22Ω) → 1.8kΩ
  ・R15(22Ω) → 822Ω
  ・R17(22Ω) → 245Ω
  ・R24(22Ω) → 1.2kΩ
  ・R25(22Ω) → 2.5kΩ
 ・フロントエンド以外にもヒューズ抵抗がありました
  ・R152(22Ω) → 620Ω
  ・R160(22Ω) → 330Ω
  ・R163(22Ω) →1.2kΩ
 ・原因はこれか! と思って全数交換
 ・新品に交換したところSメーターが大きく振れるようになりました
 ・STEREOインジケーター点灯してFM放送を受信できるようになりました
 ・しかし、、電源投入からしばらく経つとSTEREOインジケーターが消灯
 ・その後音声出力も消失、音が出なくなる
 ・このときSメーターは大きく振れたままの状態
 ・MUTINGオフにしても音が出ない、局間ノイズも出ない
 ・ただマルチパスH端子からは受信音が聞こえる

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■修理記録:電源回路の抵抗交換----------------------------------------

 ・基本はやはり電源回路の確認、そう思って詳細に確かめたところ、
  →PA4006-12pin(Vcc):規定値+12v
  →電源投入直後は+12vを示すが徐々に+7.8vまで低下する
  →+9vを下回った辺りで音が出なくなる
  →電圧低下によってPA4006が機能停止して音が出なくなる、、という状態
 ・電源回路の電圧はチェックポイント:±13v(実測12.7v)で正常値でしたが、
 ・PA4006に繋がる電源系統は上記チェックポイントを通らない独立系統
 ・電源回路を詳細に追いながら部品定数をチェックしたところ異常個所(R172)発見
  →+13vを生成する回路のR172(4.7Ω/2w)の抵抗値が実測21.1Ω
  →試しにR172を同等品に交換したところこれが大正解!
  →抵抗値増大で電圧低下、PA4006が機能停止に至っていたようです
 ・修理後はSTEREOインジケーターが点灯したままFM放送を正常に受信し続けます
 ・以下の調整作業の後、24時間のランニングテストでも異常なしでした

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■修理記録:電解コンデンサ交換--------------------------------------

 ・最初はMUTING回路の故障が怪しいと思って電解コンデンサなどいくつか部品交換
 ・さらにPA3007とPA4006 を取り外して足の裏側まで洗浄しました
 ・ついでにほとんどの電解コンデンサを交換しました

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■調整記録------------------------------------------------------------

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【同調点調整】
 ・TP3~TP4 → 電圧計セット
 ・無信号 → T5調整 → ±0v
【FM OSC調整】
 ・IF BAND=NARROW
 ・目盛り位置76MHzに指針セット
 ・76MHz 無変調 70dB 受信 → L6調整 → Sメーター最大
 ・目盛り位置90MHzに指針セット
 ・90MHz 無変調 70dB 受信 → TC6調整 → Sメーター最大
【RF調整】
 ・IF BAND=NARROW
 ・目盛り位置76MHzに指針セット
 ・76MHz 無変調 40dB 受信 → L1,L2,L3,L4,L5調整 → Sメーター最大
 ・目盛り位置90MHzに指針セット
 ・90MHz 無変調 40dB 受信 → TC1,TC2,TC3,TC4,TC5調整 → Sメーター最大
 ・83MHz 100%変調 40dB 受信 → L7調整 → Sメーター最大
 ・83MHz 100%変調 40dB 受信 → VR1調整 → Sメーター最大
 ・VR2近くの2個のFET(Q4,Q5)S端子 → 電圧計セット
 ・83MHz 100%変調 40dB 受信 → VR2調整 → 0v
 ※VR1:相互変調調整
 ※VR2:キャリアバランス調整
【IF調整】
 ・IF BAND=NARROW
 ・目盛り位置83MHz付近でSメーター最大位置に指針セット
 ・83MHz 100%変調 40dB 受信 → T1,T4調整 → Sメーター最大
 ・Sメーターの目盛りを記録
 ・IF BAND=WIDE
 ・VR3調整 → Sメーターの目盛りをNARROW時と同じ位置に
【FM同調点調整】※クアドラチュア検波
 ・IF BAND=WIDE
 ・83MHz 100%変調 70dB 受信 → T4調整 → Tメーター中点 ※確認のみ
【ミューティング調整】
 ・VR4調整
【Sメーター振れ調整】
 ・VR5調整
【パルスカウント検波調整】
 ・TP8~TP7(GND) → 周波数カウンタ接続
 ・83MHz 100%変調 70dB 受信 → T7調整 → 1.26MHz
 ・音声出力端子 → WaveSpectra接続
 ・83MHz 100%変調 70dB 受信 → TC7調整 → 歪率最小
【変調度メーター調整】
 ・IF BAND=WIDE
 ・83MHz 100%変調 70dB 受信 → VR6調整 → Deviationメーター100%
【REC LEVEL調整】
 ・83MHz 100%変調 70dB 受信 → 信号レベル記録
 ・REC LEVEL オン → VR12調整 -6dB設定 ※実測278Hz
【VCO整】
 ・IF BAND=WIDE
 ・TP9 → 周波数カウンタ接続
 ・無信号 → VR7調整 → 76Hz
【STEREO歪率調整】
 ・音声出力端子 → WaveSpectra接続
 ・IF BAND=WIDE
 ・83MHz 100%変調 70dB 1kHz ST受信 → T1調整 → 歪率最小
 ・83MHz 100%変調 70dB 400Hz ST受信 → L29調整 → 歪率最小
 ・IF BAND=NARROW
 ・83MHz 100%変調 70dB 400Hz ST受信 → T4調整 → 歪率最小
【パイロット信号キャンセル調整】
 ・IF BAND=WIDE
 ・音声出力端子 → WaveSpectra接続
 ・83MHz ST信号 60dB 受信 → VR8調整 → 19kHz最小
 ・左右バランスに注意
【セパレーション調整】
 ・IF BAND=WIDE
 ・83MHz ST 1KHz 80dB 受信 → VR9調整 → Lch漏れ最小
 ・83MHz ST 1KHz 80dB 受信 → VR10調整 → Rch漏れ最小
【セパレーション調整】
 ・IF BAND=NARROW
 ・83MHz ST 1KHz 80dB 受信 → VR11調整 → L/Rch漏れ最小

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■試聴----------------------------------------------------------------

 ・電源回路の故障箇所に辿り着くまでちょっと時間がかかりました
 ・でも照明に浮かび上がる周波数窓を眺めていると苦労が吹き飛びます
 ・いつまでも眺めていられる不思議な魅力です

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