・2023年3月、ワンオーナーのKT-8000故障機が届きました
・不具合がいろいろあるそうです
・以下、作業記録です
■製品情報------------------------------------------------------------
・TRIO KT-8000 取扱説明書
・1976年 KT-9700 \150,000円 初のパルスカウント検波搭載機
・1977年 KT-9900 \200,000円 パルスカウント検波機の最高峰
・1977年 KT-8000 \ 69,800円 中級機で初のパルスカウント検波
・1978年 KT-8300 \ 63,000円 KT-8000の後継機。
■動作確認------------------------------------------------------------
・外観は経年の汚れがあるものの目立った外傷はない
・電源スイッチがONの位置で固着しておりビクとも動かない
・所有者にお聞きしたところ電源プラグの抜き差しでON/OFFしていたそうです
・周波数窓の照明点灯するが、Sメーター周辺がちょっと暗い、電球切れか?
・FMアンテナを接続して動作確認開始
・Sメーターは大きく振れるが、Tメーターが右端に常時振り切れた状態で不動
・放送局周波数付近でSメーター最大を示して受信OK
・ただSTEREOランプ点灯しない、実際のステレオ感もない
・mutingオンにすると音が消える
・Wide/Narrow切換OK、インジケーター点灯
・MPX filter切換OK、インジケーター点灯
・問題はTメーター、ステレオ受信できない件、あと電源スイッチですね
■修理記録1:Tメーター不動--------------------------------------------
・Tメーターが右端に振り切れたまま不動。
・まずはTメーターを駆動するHA1137Wを確認
・FM同調点調整のL14を回してもTメーターがまったく動かない
・どうやらL14内部のコンデンサが容量抜けしているようです
・対策として内部コンデンサーを除去してから33pFと39pFを並列追加
・これでTメーターが動くようになりました。
・以下の再調整によってTメーターの動作が正常になりました。
・同時ににmuting動作も回復、VCO調整でSTEREOインジケータも点灯
・不具合が一挙に解消しました
■修理記録:電源スイッチ----------------------------------------------
・電源スイッチがONの位置で全く不動、、無理に動かすとシャフトが折れそう、、
・分解保存しているKT-8100の電源スイッチを流用しようと考えましたが
・取り付け方法が全く違うので残念ながら流用不可でした
・フロントパネルを分解してスイッチを取り外して内部確認
・スイッチ内部の動きを観察、、ONの位置で固着している
・隙間からマイナスドライバーを差し込んで強引に動かしたら、、動きました!
・エレクトロニッククリーナーを少量噴射してON/OFF繰り返し
・エアー噴射で乾燥させた後、機械的な可動部にグリスを少量塗布
・電源スイッチON/OFF動作が復旧しました
■修理記録:可変出力端子の接触不良------------------------------------
・ステレオ受信できるようになったので再度動作確認したところ、
・可変出力端子から激しいガリ音が出ていることが判明
・固定出力端子からは正常な音声が聞こえてきます
・背面パネルを分解して端子のハンダ面を確認すると
・予想通りハンダクラック発見、
・すべての端子のハンダを盛り直しました
■その他:予防措置-----------------------------------------------------
・左端の照明電球が点いたり消えたり、、寿命を迎えているようです
・8v/0.3A 同等品に交換しておきました
・次に真っ黒に変色したICやTRの足をクリーニング
・バリバリ雑音の原因になるバリコン軸のクリーニング
・さらに予防措置として HA1457 → HA1457W 交換
・最後に指針を蛍光オレンジ色で再塗装
■調整記録------------------------------------------------------------
【FM OSC調整】
・90MHz → TC7調整 → Sメーター最大
・76MHz → L7間隔調整 → Sメーター最大
※L7調整は難しいので83MHzの一点調整実施
【RF調整】
・90MHz → TC1~6調整 → Sメーター最大
・76MHz → L1~6調整 → Sメーター最大
・83MHz → L11,L12,L13調整 → Sメーター最大
【FM同調点(HA1137W)調整】
・83MHz → L14調整 → Tメーター中点
【IF調整】
・IF BAND=Wide
・83MHz → L12調整 → Sメーター最大
・IF BAND=Narrow
・83MHz → L13調整 → Sメーター最大
【2nd IF調整】
・L16調整 → TPにて1.96MHz確認
【Wide Gain調整】
・IF BAND=Narrow
・VR2中央位置に設定 → Sメーター記録
・IF BAND=Wide
・VR1調整 → 記録したNarrow Sメーターと同値に
【Sメーター調整】
・83MHz受信 → VR3調整 → Sメーター振れ調整
【MPX部調整】
・VR7:パイロットキャンセル調整
・VR6:VCO調整 TP(R133前足)にて76kHz確認
・VR4、VR5:セパレーション調整
■試聴--------------------------------------------------------------
・電球色に映える周波数窓とアルミパネルのコントラストがイイですね。
・トリオ製チューナーの魅力です。