・2022年11月、外観ジャンク級の故障機が届きました
・以下、作業記録です
■製品情報------------------------------------------------------------
・オーディオの足跡 SANSUI TU-S707X ¥54,800(1984年発売)
・オーディオ懐古録 SANSUI TU-S707X ¥54,800
・Hifi Engine TU-S77X Quartz PLL Digital Synthesizer Tuner (1983-84)
■動作確認------------------------------------------------------------
・外観は経年の汚れが目立ちます
・背面パネルに経年のホコリ、ボディ全体にタバコのヤニ汚れ
・電源コードがベタベタします
・まずは外観のクリーニングから作業スタートしました
・さて、外装が奇麗になったところでFMアンテナを接続して電源オン
・FM/AMとも周波数が表示される。輝度OK。文字瘠せなし
・UP/DOWNボタンに反応して周波数が上下に変化する
・RFセレクタ、IF切換に応じてインジケーター点灯
・REC CALトーンOK。メモリ登録OK
・オート選局で名古屋地区のFM局を受信するとすべて素通りして受信不可
・マニュアル選局ではシグナルインジケーターが弱々しく点灯して受信OK
・FMの受信感度が大幅に低下しているようです
・続いて専用ループアンテナでAM放送の受信テスト
・名古屋地区のAM放送を正常に受信しました
・AMは問題なさそうです
■修理記録:OSCトリマコンデンサ交換-----------------------------------
・後述の調整手順に従って各部仮調整したところ VT電圧に異常あり
・76.0MHz → 1.6v
・90.0MHz → 9.3v ※本来は20v前後のはず
・フロントエンド内のOSCトリマコンデンサTC5を回してもほとんど変化なし
・これはこの機種定番のTC5の故障です
・ユニット本体を取り外し、TC5を10pFの新トリマに交換しました
・交換後の再調整でFM受信が正常になりました
■調整記録------------------------------------------------------------
【VT電圧確認】右側RF基板
・フロントエンドVT端子 → 電圧計セット
・90MHz時の電圧 → TC5調整 → 23.0V
・76MHz時の電圧 → 3.3V
【FM同調点の調整】右側RF基板
・TP1-TP2 → 電圧計セット
・83MHz受信 → TC(右)調整 → 電圧ゼロ
・83MHz受信 → TC(左)調整 → 高調波歪最小
【フロントエンド調整】右側RF基板
・IC3[HA12412] 13pin → 電圧計セット ※Sメーター電圧
・83MHz受信 → TC1,TC2,TC3,TC4調整 → 電圧最大
・上記作業を数回繰り返す
※コイルL1,L2,L3,L4の間隔調整は難しいのでパス。
・83MHz受信 → フロントエンド内IFTコイル調整 → 電圧最大
【IF調整】右側RF基板
・IC3[HA12412] 13pin → 電圧計セット ※Sメーター電圧
・83MHz受信 → T1調整 → 最大電圧
【WIDE/NARROWレベル調整】右側RF基板
・IC3[HA12412] 13pin → 電圧計セット ※Sメーター電圧
・IF BAND=NARROW
・83MHz受信 → 電圧測定
・IF BAND=WIDE
・83MHz受信 → VR2調整 → NARROW時と同じ電圧
【FM LOCKED LEVEL調整】右側RF基板
・83MHz,30dB受信 → VR4調整 → 本体正面[LOCKED]オレンジ色LEDが全灯する位置
【MUTING LEVEL調整】右側RF基板
・音声出力 → WaveSpectra接続
・83MHz、20dB受信 → VR3調整 → MUTING作動位置
【AUTO STOP LEVEL調整】右側RF基板
・83MHz、30~35dB受信 → VR1調整 → オートサーチが有効な位置
【REC Level】右側RF基板
・VR5調整 460kHz -6dB
【VCO調整】左側MPX基板
・TP3[VCO] → 周波数カウンターセット
・83MHz、無変調 → L101調整 → 304.000kHz
・TP1-TP4 → 電圧計セット
・83MHz、無変調 → VR105調整 → 電圧0V±0.05V
・TP2-TP5 → 電圧計セット
接続 → VR104[PILOT OFFSET]調整 → 電圧0V±0.1V
【PILOT CANCEL調整】左側MPX基板
・音声出力 → WaveSpectra接続
・83MHz、ST信号受信 → L100、VR103L調整 → Lch 19kHz信号最小
・83MHz、ST信号受信 → VR106、VR103R調整 → Rch 19kHz信号最小
【セパレーション調整】左側MPX基板
・音声出力 → WaveSpectra接続
・IF BAND=WIDE
・83MHz ST信号受信 → VR102L調整 → 漏れ信号最小
・83MHz ST信号受信 → VR102R調整 → 漏れ信号最小
・IF BAND=NARROW
・83MHz ST信号受信 → VR101L調整 → 漏れ信号最小
・83MHz ST信号受信 → VR101R調整 → 漏れ信号最小
【AM調整】右側RF基板
・LA1245-16ピン → AM Sメーター電圧測定
・ 729kHz NHKラジオ受信 → T2調整 → 電圧最大
・1332kHz 東海ラジオ受信 → TC2調整 → 電圧最大
・AM VR1調整 → AM STOP LEVEL
・AM VR2調整 → AM SIGNAL
■試聴----------------------------------------------------------------
・トリマコンデンサー交換と再調整で復活しました
・薄型で高性能、やはりTU-S707Xはイイですね