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KENWOOD L-01T 修理調整記録9

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 ・2022年12月、L-01Tのメンテナンス作業を承りました。
 ・以下、作業記録です。

L01t04_20230129083701

■製品情報------------------------------------------------------------

 ・オーディオ懐古録 KENWOOD L-01T ¥160,000(1979年)
 ・オーディオの足跡 KENWOOD L-01T ¥160,000(1979年頃)
 ・Hifi engine KENWOOD L-01T FM Stereo Tuner (1980-82)

L01t01L01t08

■動作確認------------------------------------------------------------

 ・外観はとても綺麗な状態です。
 ・これで10台目ですが、今までに見たL-01Tで最も状態が良いです。
 ・FMアンテナを接続して電源オン。
 ・オレンジ色照明点灯、球切れなし。いつ見ても惚れ惚れする美しさ。
 ・各種インジケーターランプもすべて点灯。
 ・フロントのアクリルパネルが本来の透明感を保っている感じで美しい。
 ・名古屋地区のFM放送局を受信チェック。
 ・僅かな周波数ズレがあるもののFM放送受信OK。STEREOランプ点灯。
 ・WIDE/NARROW切換、NORMAL/DIRECT切換OK、MUTING動作OK。
 ・MUTINGオフの状態で指針を76MHz~90MHz区間を移動させてみると
 ・78MHz付近より下の周波数でバリバリノイズ発生。バリコン軸の接触不良です
 ・気になるのは78MHz以下のバリコン軸の接触不良
 ・致命的な不具合はありません。

■修理履歴------------------------------------------------------------

 ・修理シールなし

■内部確認------------------------------------------------------------

 ・ボディを開けると基板上にはびっしりと埃が堆積していました。
 ・まずはエアーで吹き飛ばし、柔らかい刷毛と筆で基板の清掃。
 ・ヤニ汚れが無いのでこれだけでキレイになります。
 ・LA1231やHA11223Wの足は黒化している事例が多いのですが本機はピカピカでした。
 ・ハンダ面を見ても修理痕は見当たりません。

■修理記録:バリコン軸清掃--------------------------------------------

 ・指針を移動するときに発生するガリガリノイズの対策です。
 ・原因は回転するバリコン軸と軸受け部の接触不良です。
 ・接触部の固化した古いグリスを爪楊枝で丹念に除去し、コンタクトグリスを薄く塗布。
 ・76MHz~90MHz区間を何度も往復させて新しいグリスを馴染ませる。
 ・この作業によって83MHz以下のガリガリノイズが解消しました。

■調整記録------------------------------------------------------------

L01t30

【FMフロントエンド】
 ・OSC調整83MHz → OSC coil
 ・トラッキング調整76MHz → L1,L2,L3,L4,L5,L6
 ・トラッキング調整90MHz → TC1,TC2,TC3,TC4,TC5,TC6
 ・IFT調整 → L17,L19,L21 → Sメーター最大
【Tメーター調整】
 ・LA1231Nクアドラチュア検波調整 → L6調整 → Tメーター中央
【ミューティング調整】
 ・83MHz 20dB受信 → VR2調整 → MUTING作動
【WIDE GAIN調整】
 ・Narrow受信 → Sメーターレベル記録
 ・Wide受信 → VR1調整 → Narrow受信時と同レベルに
【Sメーター調整】
 ・83MHz受信 → VR3調整
【第2IF調整】
 ・83MHz受信 → L8調整 → TP=1.96MHz ※実測1.65MHz
【VCO調整】
 ・83MHz無変調 → VR6調整 → TP(R117) → 76kHz
【Pilotキャンセル】
 ・83MHz ST受信 → VR7,L16調整 → 19kHz漏れ最小へ
【ステレオ歪調整】
 ・83MHzST受信 → フロントエンドL21調整 → 高調波歪最小へ
【SCA調整】
 ※今回はノータッチ
 ※詳細は後述
【ノイズアンプ調整】
 ・離調状態 → VR4調整 → Q6(2SC2785)エミッタ電圧 → 8V
【SUB調整】
 ・83MHz L-R信号受信 → VR8調整 → Lch最大
 ・同上  → VR9調整 → RchレベルをLchと同じに揃える
【セパレーション調整】
 ・83MHzST受信 → Wide VR10→Rch、VR11→Lch ※実測値:概ね60dB前後
 ・83MHzST受信 → Narrow VR1(X13-2690基板) ※実測値:概ね50dB前後

■試聴----------------------------------------------------------------

 ・外観がキレイで故障個所なし、調整だけでよい性能を取り戻しました。
 ・NHK-FMを聴いてもDARCノイズ(FM多重放送に起因するノイズ)は気になりません。
 ・聞いている時間帯によるのか、番組によるのか、地域によるのか??

L01t02_20230129083701

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