■謹賀新年 2023--------------
撮影:2022年1月1日 名古屋港水族館南側からの初日の出
・明けましておめでとうございます
・昨年、ついに高齢者の仲間入りとなりました
・今年から仕事50%、趣味50%で無理せず頑張っていきます
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■TRIO KT-9900 修理調整記録 9号機-2
・2022年7月に修理調整した9号機に再び不具合が発生したそうです。
・今回の不調原因は何でしょうか?
■前回作業記録--------------------------------------------------------
・TRIO KT-9900 修理調整記録 9号機 2022年7月3日
■動作確認------------------------------------------------------------
・電源投入直後は正常に動作します、が、しかし、、
・約1分後にSTEREOインジケーターの輝度が弱くなる
・その後弱々しく明滅するようになり、ついには消灯する
・これ以降電源オンオフを繰り返してもSTEREOインジケーターは再点灯しない
・丸一日放置した後に電源投入すると当初の症状に戻る
・STEREOインジケーターが消灯したままの状態で動作確認を続けると、
・次はDDLインジケーターが消灯し音声出力が消失する
・不思議なことにMUTINGスイッチOFFの状態でも音声出力が消失する
・WaveSpectraで音声波形を見ながら動作確認してみると、
・STEREOインジケーターが消灯した後も、何とSTEREO分離は正常でした
・VCO調整で76kHz設定OK、セパレーション調整もOKです。
・そう、KT-9900の復調回路はTRIO自慢のサンプリングホールドMPXでした
・STEREOインジケーターはHA11223W-8ピン出力によって駆動されますが、
・実際のステレオ分離は別回路で行われています。
・STEREOインジケーターは点灯しなくても左右分離はできるわけです
・さらにIF BANDセレクタを操作しても NORMAL/WIDE が切り換わらない事が判明
・NARROW回路はOK、WIDE/NORMALはどちらかの回路のみ動作している模様
・こんなに不具合が同時多発するなんて??
・それぞれに個別の原因があるのか? 不具合に共通する根本的な原因があるのか?
・回路図を見ながら脳内回路を巡らせること、これが楽しいひと時です
■内部確認:STEREOインジケーターが消灯する件--------------------------
・STEREOインジケーターはHA11223W-8ピン出力によって駆動されますが、
・実際のステレオ分離は別回路で行われています
・こうなれば HA11223W 8ピン系統が調べれば良い事になります
・回路図を見ると、まず怪しいのはMPX基板 Q12とQ13
・本来は 2SC945 のはずが 既に 2SC1815 に交換済みでした
・過去4回のKENWOODサービスでの修理過程で交換されたようです
・MPX基板8番端子:STEREOインジケーター駆動電圧
・MPX基板9番端子:STEREO OPERATION LEVEL(st時0v、mono時14v)
・試しにMPX基板9番端子をGNDに落とすとSTEREOインジケーターが点灯しました
・MPX基板9番端子の電圧を確認すると不安定な電圧(1~2v)がかかっています
・MPX基板9番端子 → IF基板11番端子(STEREO信号検出回路)
・MPX基板9番端子 → スイッチ基板8番端子(MONO/AUTO/STEREO切換スイッチ)
■修理記録:STEREOインジケーターが消灯する件--------------------------
【MPX基板】トランジスタ、電解コンデンサ、IC交換
・HA11223W-8ピンに関係するトランジスタやコンデンサを次々に交換
・さらにIC6:HA11223W自体の故障を疑ってこれも交換
・しかしSTEREOインジケーターは再点灯しない
【IF基板11番端子系統】IC、トランジスタ、電解コンデンサ交換
・IC8,IC9:NJM4558D → 4558DD
・IC11:TC4011P → TC4011BP
・Q19,Q20,Q21:2SC945 → 2SC1815
・不具合は解消しない、
・そもそもIC11:TC4011の論理出力は間違っていない
【スイッチ基板8番端子系統】
・スイッチ基板8番端子に繋がるのはMODEセレクタ(MONO/AUTO/STEREO)だけ
・MONO選択時のみ+14v電源に接続する設計です
・ところが端子間抵抗を測ってみると絶縁状態であるべきところ1~2MΩを示す
・続いて端子電圧測定
・MONO=+14.2v、AUTO=+1~2v、STEREO=+1~2v
・どうやらスイッチ内部の接点がススなどで一部導通状態になっているようです
■修理記録:セレクタスイッチ内部の接点不良-------------------------
・保管しているKT-9900実験機のセレクタスイッチは未改造オリジナル状態でした
・比較のためスイッチ基板のハンダ面の写真に必要情報を書き込んでみました
・MODEセレクタ(MONO/AUTO/STEREO)は4回路4接点のスイッチです
・4回路のうち2回路分しか使われていませんが、
・過去のメーカー修理によってスイッチ内で回路が移設されています
・配線パターンが一部カットされ、ワイヤ配線が追加されている部分です
・これはまさにSTEREOインジケーターを点灯させるスイッチでした
・つまり過去において同様の故障が発生していたという事
・そういえばMPX基板のトランジスタ(Q19,Q20,Q21)が交換済みでした
・KENWOODサービスも最初にトランジスタ故障を疑ったのですね
・対策として同一スイッチ内の未使用回路に付け替える修理が施されたという事
・もっと早く気付くべきでした、、、トホホ
・同様にスイッチ内回路の付け替えをしているセレクタが他にもありました
・IF BANDセレクタ(NARROW/NORMAL/WIDE)
・これも4回路4接点のスイッチで1回路分が未使用です
・この未使用部分にNORMAL時のセパレーション調整回路が移設されていました
・もう一つのMUTINGセレクタ(OFF/20dB/40dB)は未改造ですが、
・でも内部の劣化状態は他のセレクタと同じはずです
・つまりMUTING機能やDDL不調もこれが原因かも??
■修理記録:セレクタスイッチ分解洗浄----------------------------------
・まず手始めにMODEセレクタ(MONO/AUTO/STEREO)から着手
・基板からスイッチを取り外し慎重に分解してみると
・予想通り内部は真っ黒でした。
・まずエレクトロニッククリーナー液を含ませた綿棒で磨く
・次にクリーナー液に浸した歯ブラシで端子間の隙間を念入りに磨く
・コの字型の小さな接点部品は厚目のボール紙を跨いだ状態で数往復させる
・ボール紙がサンドペーパーのような役割をするので汚れが良く落ちます
・最後にコンタクトグリスを薄く塗布して組み立てる
・基板に戻す前にテスターで端子間抵抗を確認
・結果は大成功!STEREOインジケーターが安定して点灯するようになりました
・この後、他のセレクタスイッチも順に取り外して分解洗浄しました
・どのスイッチも内部は真っ黒でした
・すべての作業を終えて動作確認してみると当初の不具合はすべて解消していました
・続いて調整作業をやり直して作業完了、いや~、疲れました
・本音を言うとスイッチの分解洗浄は面倒なので出来れば避けたい作業です
・でもオールド機を本格的にメンテナンスするなら避けられない必須作業ですね
・電球のLED化より優先度は高いと思います
■試聴----------------------------------------------------------------
・作業を終えてNHK-FMを聴いていますが良い音で受信できています
・ところで、FM多重信号に起因するDARCノイズは全く気になりません
・実は数年前からDARC未対策のL-01TやKT-9900でもDARCノイズが気にならなくなりました
・一方でDARC信号発生器(MEGURO MSG-2170)を使った実験ではDARCノイズを再現できます
・ということはFM多重放送の変調方式自体が変わったのかも?
・2015年からVICSサービスがVICS WIDEに拡張された事と関係があるのかも?
・名古屋地区だけなのか?時間帯によるのか?番組(音源)によるのか?
・もしかしてDARCノイズ問題はすでに解消したのか?
・妄想が膨らみますが皆さんのところでは如何でしょうか?