・PIONEER TX-910 修理調整記録2 2019/6/2
・2022年9月、このTX-910で再び不具合が発生したそうです。
・以下、再修理記録です。
■不具合情報----------------------------------------------------------
・FM受信中に突然音が出なくなる
・TメーターやSメーターは正常に振れたまま
・STEREOインジケーターも点灯している
・しかし音声が出なくなる
■動作確認------------------------------------------------------------
・当方での動作確認では不具合はなかなか再現されませんでしたが、
・9月の日曜日、朝からTX-910をBGMにしながら他機の修理をしていたとき、
・ちょうどサンソンが流れてきた頃、急に音が出なくなりました
・既に6時間以上の連続動作で木製ボディも熱を帯びています
・音が出なくなったときTメーター中点、Sメーター最大、STEREO点灯したまま
・MUTINGスイッチをOFFにすると音声出力が瞬断を繰り返します
・ボディ内部からリレーの作動音がカチカチと聞こえます
・MUTINGオンにすると瞬断は止まりますがやはり音は出ません
・これはMUTING系統が怪しいか?
■修理記録:MUTING基板------------------------------------------------
・温まってくるとMUTINGが作動して音が出なくなる
・基板を温めたり冷やしたりする温度サイクル試験をやってみました
・まずは十分冷めた状態でヒートガン(小型のドライヤー)で基板を加熱
・最初に上面IF基板のMUTING-IC:PH5022A周辺に熱風噴射
・しかし不具合は発生しません
・次に裏面の小さなMUTING基板に熱風噴射
・するとすぐに音が出なくなる現象が発生しました。
・続いてエアダスターを噴射して冷却すると音声出力が回復する
・原因は小さなMUTING基板だと確信して部品交換に着手
・トランジスタ交換
・電解コンデンサ交換
・ダイオード交換
・抵抗交換
・それぞれ交換後にヒートガンで温めて動作確認を繰り返す
・ところが全部品を交換しても不具合が解消しない??
・これはおかしいぞ??
■修理記録:電源基板--------------------------------------------------
・残すはMUTING基板に繋がった電源基板しかない??
・と思って電源基板を確認、まずはヒューズの導通チェック
・すると何とビックリ! 0.5Aのヒューズが2本も切れていました!
・1本は目視で切れている状態が分かる物
・もう1本は見た目は正常だがテスターチェックで不通が判明
・最初のチェックで電圧値は正常だったので、まさかヒューズが切れていたとは!
・回路図を確認したところ2本とも並列接続の片方でした。
・ヒューズを交換して再度MUTING回路の温度サイクル試験を再開
・ヒートガンで基板を温めても音声が出なくなる症状は発生しません
・念のため意図的にヒューズ2本を外した状態でテストしてみると、
・ヒートガンに敏感に反応して音が出なくなりました
・今回の不調原因はヒューズ切れでした
・電圧は正常でもヒューズ切れによってたぶん電流不足だったと想像します。
■試聴----------------------------------------------------------------
・1973年製、もう半世紀も前の製品ですね。
・美しい青色照明に浮かび上がるTX-910は今もその輝きを保っていますが、
・当時高校一年生だった好青年はといえば、くびれたジイさんになってしまいました。