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TRIO KT-8300 修理調整記録5

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 ・2022年9月、KT-8300の故障機が届きました
 ・以下、作業記録です。

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■製品情報------------------------------------------------------------

 ・オーディオの足跡 TRIO KT-8300 ¥63,000(1978年発売)
 ・Hifi engine Kenwood KT-815 AM/FM Stereo Tuner (1979-80)

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■動作確認------------------------------------------------------------

<依頼者様からお聞きした不具合情報>
 ・過去2度のメーカーサービスでの修理歴あり
 ・最近受信が不安定になり、雑音が入るようになった
 ・3度目の修理依頼したところ部品が無いとの理由で返却された
<当方での確認事項>
 ・FMアンテナを接続して電源オン、電球切れは無さそうです。
 ・名古屋地区のFM局で受信テスト開始
 ・二つのメーターが大きく振れて受信できますが、
 ・Tメーター中点とSメーター最大点が一致しない
 ・Tメーター中点から少しずれた位置でSTEREO点灯
 ・メーターの振れ方は正常ですが、出てくる音は雑音が酷くて聞けたものではない
 ・指針の移動に伴って「カサカサ」と別ノイズあり
 ・これはたぶんバリコン軸の接触不良か?
 ・それからMUTINGが作動しない。局間ノイズが垂れ流し状態
 ・LOCK/TUNEインジケーターが点灯しっぱなし
 ・本体底面にメーカーサービスの修理記録シールが貼ってありました
  ・1984年11月22日 修理内容記載なし
  ・2002年 4月 3日 修理内容記載なし

■内部確認------------------------------------------------------------

 ・パルスカウント検波部:HA1137W+MC1496+TR4010
 ・MPX:HA11223W
 ・ICやトランジスタの足が真っ黒
 ・バリコン軸の接点部分に緑青色のサビが浮き出ている
 ・修理歴があるとの事なので、ハンダ面を見ながら該当箇所を探しました
 ・修理箇所はすぐに分かりました。
 ・リレー(HITACHI L-23)前後の回路がジャンパ線で直結されています。
 ・部品(リレー)が入手不可だったためやむを得ずリレー前後を直結したようです
 ・メーカーサービスでは汎用部品は使わない(使えない?)のですね

■修理記録:リレー交換------------------------------------------------

 ・同型リレーがないかとジャンク箱の中を探したところ、
 ・分解して基板だけ保管している KT-1000 の基板にありました
 ・これを取り外してKT-8300に移植したころMUTINGが作動するようになりました
 ・まずは第一段階クリア

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■修理記録:接点洗浄---------------------------------------------------

 ・真っ黒に変色したICやトランジスタの足を硬めの歯ブラシで磨く
 ・次にエレクトロニッククリーナー液を歯ブラシに吹き付けて磨く
 ・特に足の付け根付近を丹念に磨く
 ・続いてフロントエンド内、バリコン軸の接点を爪楊枝の先端で清掃
 ・次に最近不具合事例の多い切換スイッチの接点不良対策を実施
 ・と言ってもフロントパネルのプッシュスイッチを操作してON/OFFを繰り返すだけです
 ・何度も何度も、何度も何度もON/OFFを繰り返す、、すると、、
 ・FM音声に被っていた酷い雑音が徐々に消えていきました
 ・やはりスイッチ内部の接点が黒化し接触不良を起こしていたようです
 ・スイッチの隙間からエレクトロニッククリーナーを噴射しさらにON/OFFを繰り返す
 ・この対策によって動作確認時の酷い雑音はキレイに解消しました。
<お詫び>
 ・IF BAND切換(WIDE/NARROW)スイッチを何度も操作していたところ、、
 ・スイッチのロック機構を壊してしまいました。
 ・押し込んだ状態を保持できなくなりました
 ・常時WIDE受信の状態で、NARROW受信状態を保持できないということです
 ・指先でスイッチを押し続けていればNARROW受信できます。
 ・通常はWIDE受信だけでも問題なさそうですが、
 ・スイッチ故障もよくある事例なので気を付けていたのですが、、申し訳ありません。

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■調整記録------------------------------------------------------------

【FM OSC調整】
 ・マルチパスV端子 → 電圧計セット(Sメーター電圧)
 ・83MHz 受信 → TCo調整 → 電圧最大
【FM RF調整】
 ・マルチパスV端子 → 電圧計セット(Sメーター電圧)
 ・83MHz 受信 → TCA1,TCA2,TCR1,TCR2調整 → 電圧最大
【Tメーター調整1】
 ・SSG 83MHz 1kHz 60dB
 ・83MHz M0NO → T2調整 → Tメーター中点
【Tメーター調整2】
 ・SSG 83MHz 1kHz 60dB
 ・83MHz M0NO サーボロックON → VR10調整 → Tメーター中点
【Sメーター調整】
 ・SSG 83MHz 1kHz 60dB
 ・83MHz MONO → VR4調整 → Sメーター「目盛り4.8」
【WIDE GAIN調整】
 ・SSG 83MHz 1kHz 60dB
 ・83MHz MONO NARROW受信 → Sメーター目盛り位置を確認
 ・83MHz MONO WIDE受信 → VR1調整 → SメーターNARROWと同じ位置
【DISTORTION調整】
 ・固定出力端子 → WaveSpectra接続
 ・SSG 83MHz 1kHz 60dB
 ・83MHz MONO → L8(フロントエンド内)調整 → 歪最小
【パルスカウント検波調整】
 ・R91左足 → 周波数カウンタセット
 ・SSG 83MHz 無変調 60dB
 ・83MHz受信 → T6調整 → 1.96MHz
【MUTING調整】
 ・SSG 83MHz 1kHz 30dB
 ・83MHz MONO → VR2調整 → MUTING開始位置確認
【VCO調整】
 ・R97後足 → 周波数カウンタ接続
 ・SSG 83MHz 無変調 60dB
 ・83MHz受信 → VR5調整 → 76kHz
【パイロットキャンセル調整】
 ・固定出力端子 → WaveSpectra接続
 ・SSG 83MHz 60dB Pilot信号
 ・83MHz ST受信 → VR6調整 → 19kHz信号最小
【WIDE セパレーション調整】
 ・固定出力端子 → WaveSpectra接続
 ・83MHz WIDE Rch → VR7調整 → 反対chへの漏れ信号最小
 ・83MHz WIDE Lch → VR8調整 → 反対chへの漏れ信号最小
【NARROW セパレーション調整】
 ・固定出力端子 → WaveSpectra接続
 ・83MHz NARROW L/R → VR9調整 → 反対chへの漏れ信号最小

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■試聴---------------------------------------------------------------

 ・IF BAND切換スイッチを壊してしまいましたが、受信動作は復活しました。
 ・フロンパネルを分解清掃したのでフロントマスクが輝いています。
 ・WIDE受信専用機としてご活用ください。

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