・2022年9月、初めて見る機種が届きました。
・外観はT-300Vとよく似ていますが本体サイズが一回り小さめ。
・と言ってもT-300Vが大き過ぎるのでT-550Vが一般的なコンポサイズです。
■製品情報------------------------------------------------------------
・オーディオの足跡 LUXMAN T-550V ¥57,500(1976年5月発売)
■動作確認------------------------------------------------------------
・ウッドケースには擦り傷打ち傷多数、表面は経年の汚れでくすんでいる感じ
・フロントパネルは経年の汚れが目立つので後で分解清掃します
・背面端子にFMアンテナF端子がないのがちょっと残念。
・300Ω端子にアンテナを接続して動作チェック開始
・電源オン、周波数窓とメーター、指針の照明点灯
・名古屋地区のFM局をSTEREO受信できました
・MUTING動作OK
・ただ僅かに周波数ズレ、Sメーター最大点とTメーター中点が一致しない
・AMは外部アンテナなしでクリアに受信OK
・たぶん内部にバーアンテナを内蔵しているみたい
・FM/AMで指針の照明色は変わらない
・特に大きな問題は無さそうです
■内部確認------------------------------------------------------------
・Alps社製一体型フロントエンド:FM4連、AM3連バリコン
・IFバンド切換なし、CF×2 → LM703、TA7061P → レシオ検波
・uPC554C:MPX and Mute switching
・PLL化される以前のスイッチング式復調回路
・AMはディスクリート構成
・STEREOインジケーターの電球が交換済みのようです
・手元にWL-550(輸出機)の回路図があったのでT-550V実機と比較しました
・上面基板番号:YXR-19030BD
・何と基板番号が同一、載っている部品もほぼ一致。
・相違点は、、
→IFアンプuPC555 → LM703(カンタイプ)
→T-550Vで実装されていない部品が何点かある
→回路図では固定抵抗R318(10kΩ)→ T-550V 可変抵抗(5kΩ)
・WL-550とT-550Vは発売時期がかなり違うのに同一構成とは、ちょっと驚きです
■修理記録-------------------------------------------------------------
・特に故障個所は無さそうですが以下の処置を行いました
→バリコン軸の接点洗浄
→切換スイッチの接点洗浄
→基板全体の洗浄
■調整記録-----------------------------------------------------------
・WL-550のサービスマニュアルを参考にして調整手順を組み立てました。
・MUTING → off、NOISE → normal
【OSC調整】
・90MHz受信 → CT104調整 → Sメーター最大
・76MHz受信 → L104 調整 → Sメーター最大
【RF調整】
・90MHz受信 → CT101,CT102,CT103調整 → Sメーター最大
・76MHz受信 → L101,L102,L103 調整 → Sメーター最大
・83MHz受信 → T101調整 → Sメーター最大
【IF調整】
・83MHz受信 → T201調整 → Sメーター最大
・83MHz受信 → T202調整 → Sメーター最大
【レシオ検波調整】
・音声出力 → WaveSpectra
・83MHz受信 → T203上部コア調整 → Tメータ中点確認
・83MHz受信 → T203下部コア調整 → 高調波歪最小
【FMミューティング調整】
・83MHz,20dB受信 → VR201調整 → MUTING作動位置へ
【FM Sメーター調整】
・83MHz70dB受信 → VR202調整 → Sメーター振れ最大
【MPX調整】
・FM stereoポジション
・NOISE → normal
・音声出力 → WaveSpectra
・83MHz,SUB信号受信 → T204,T206調整 → Lch信号レベル最大
・83MHz,L/R信号受信 → T205調整 → 反対chへの漏れ信号最小
【AM調整】
・ 600kHz受信 → T207,T208調整 → Sメーター最大
・1400kHz受信 → CT105,CT106,CT107調整 → Sメーター最大
・ 900kHz受信 → T209,T210,T211調整 → Sメーター最大
・VR2調整 → AMミューティング、AM Sメーター調整
※AM受信時もミューティングが効きます
※基板にR318(10kΩ)と印刷のある位置にVR204(5kΩ)可変抵抗があります
※レシオ検波で得られたコンポジット信号が裏面のFM同調点検出回路に繋がっています
※FM同調点からMUTING動作の判定に使われるようですがVR204の設定法が分かりません。
※試行錯誤の末に可変抵抗の中点に設定しておきました。
■DARC信号実験--------------------------------------------------------
・T-300VではNHK-FM受信時にDARC信号によるノイズが盛大に発生しました。
・そこで信号発生器でFM多重信号を生成して実験しました
→ MEGURO DARC ENCODER MSG-2170 。
→ L+R=80%、Pilot=10%、DARC=10%
・実験の結果、T-550VではDARC信号による影響は観測されませんでした。
・実際にNHK-FMを聴いても気になるノイズはありません。
・同じ回路の WL-550 もDARCノイズは無いと思われます。
■試聴---------------------------------------------------------------
・T-300Vで気になったDARC信号による影響はありません。
・これならオールドチューナーとしてまだ活躍できます。