・2022年3月、初めて見るFM専用機が届きました。
・音声信号を専用ケーブルでアンプに接続する珍しいタイプです。
■製品情報------------------------------------------------------------
・オーディオ懐古録 SONY ST-S555ES FM STEREO TUNER ¥65,000
・オーディオの足跡 SONY ST-S555ES ¥65,000(1982年頃)
・Hifi Engine Sony ST-S555ES FM Stereo Tuner (1982-87)
■動作確認------------------------------------------------------------
・電源コードの印字は「1981」
・その割に外観は美品で目立つ傷はありません。
・フロントパネルのデザインはその後の555/333シリーズとはかなり趣が異なる。
・背面を見ると音声出力端子は通常のRCA端子ではなく専用4Pコネクタ形式。
・専用ケーブルを使って音声端子を接続、アンテナ線を繋いで受信テスト開始。
・オート選局で名古屋地区のFM局を受信できました。
・周波数ズレなし、シグナルインジケーター点灯、STEREOランプ点灯。
・シグナルインジケーターが右肩下がりに点灯するのがちょっと新鮮!
・IF BAND切換(WIDE/NARROW)OK、MUTING動作OK
・一連の受信動作は問題なさそう。
・気になる点はアンテナ切換(A/B)スイッチが反応しないことがあること。
■内部確認------------------------------------------------------------
・アンテナ2系統:B系は-20dBのアッテネーターをON/OFFできる。
・フロントエンドは5連バリキャップのパッケージ品
・IF段:WIDE/NARROW切換式、Sメーター専用回路あり
・FM同調点検出:LA1235(クアドラチュア検波)
・検波部:レシオ検波
・復調部:uPC1223C
・型番からは555/333シリーズの原点のような印象を受けますが、
・回路的にはST-J75によく似ている感じです。
・放送局名を透過照明で表示する仕組みも同じですね。
・付属の専用音声ケーブル
・音声出力専用回路(ACT:Audio Current Transfer)
・ケーブル途中にある黒い箱 → 抵抗と電解コンデンサ(BP:10uF/50v)
・AF回路最終段で「電圧→電流」変換、ケーブル内で「電流→電圧」変換
・これで音質が変わるのか? 私の劣化耳では判別不能です。
■修理記録------------------------------------------------------------
・アンテナ切換(A/B)がうまく作動しないことがある。
・最初はタクトスイッチの不良を疑いましたが、、
・インジケーター内の(A/B)表示は正常に切り換わっているのでタクトスイッチはOK
・次に切換リレーRY101横のD101電圧確認 → A:13.0v, B:0.1v → 正常
・原因はリレー接点の不良ですね。
・リレーを取り外し、透明カバーを外して接点を磨きました。
・再度取り付けて動作確認 → 切換動作は正常になりました。
■調整記録------------------------------------------------------------
【VT電圧調整】
・TP3 → 電圧計セット
・76MHz → RT601調整 → 1.8v
【FM同調点調整】LA1235クアドラチュア検波
・R127両端 → 電圧計セット
・83MHz受信 → IFT101調整 → 電圧0v
【フロントエンド調整】
・LA1235 13ピン → 電圧計セット(Sメーター電圧)
・83MHz受信 → トリマコンデンサ(2個)調整 → 電圧最大
【レシオ検波調整】
・TP1 → 電圧計セット
・音声出力 → WaveSpectra観測
・83MHz受信 → IFT102(黒)調整 → 電圧0v
・83MHz受信 → IFT102(赤)調整 → 高調波歪最小
【シグナルインジケーター点灯調整】
・RT301,RT302,RT303 → 反時計回りに回しきる
・83MHz,55dB受信 → RT301調整 → 点灯レベル 5
・83MHz,55dB受信 → RT302調整 → 点灯レベル 6
・83MHz,80dB受信 → RT303調整 → 点灯レベル10
【MUTING調整】
・IF BAND → WIDE
・83MHz,20dB → RT202調整 → MUTING作動位置
・IF BAND → NARROW
・83MHz,20dB → RT101調整 → MUTING作動位置
【VCO調整】
・TP2 → 周波数カウンタ接続
・83MHz(無変調)受信 → RT203調整 → 76kHz
※TP2に代えてR228左足で測定
【パイロットキャンセル調整】
・音声出力 → WaveSpectra観測
・83MHz受信 →L201,RT202調整 → 19kHz成分最小
【セパレーション調整】
・音声出力 → WaveSpectra観測
・83MHz受信 → RT201調整 → Lch信号最小
・83MHz受信 → RT251調整 → Rch信号最小
【オーディオ出力調整】
・R215左足 → AC電圧計セット
・83MHz受信 → RT204調整 → Lch 0.775v
・R265右足 → AC電圧計セット
・83MHz受信 → RT254調整 → Rch 0.775v
【CAL TONE調整】
・83MHz調整 → RT401調整 → -6dB / 404Hz
■試聴----------------------------------------------------------------
・セパレーション値は左右とも60dB超、とても優秀です。
・ただ専用のACTケーブルの効果は、、よく分かりません?