Quantcast
Channel: BLUESS Laboratory
Viewing all articles
Browse latest Browse all 568

TRiO KT-990 修理調整記録4

$
0
0

 ・2021年10月、故障した KT-990を入手しました。
 ・年末年始休暇で整備した記録です。

Kt99005

■製品情報------------------------------------------------------------

 ・オーディオの足跡 TRIO KT-990 ¥53,800円(1982年発売)


Kt99002Kt99012

■動作確認------------------------------------------------------------

 ・私はKT-990/KT-900のフロントデザインが好きです。
 ・ガラスパネルを効果的に使ったデザインが素敵だと感じます。
 ・さて、FMアンテナを接続して動作確認開始。
 ・まず選局ツマミの回転が重い。
 ・原因はフロントパネルが選局ツマミと接触していること。
 ・KT-990/KT-900でよく遭遇する不具合事例です。
 ・これは後で直すとして、、動作確認を続行。
 ・電源オン、周波数目盛りの照明は点灯するが指針が見えない。
 ・指針を照らす照明電球が切れているようです。
 ・名古屋地区のFM局を受信テスト → 82.5MHzのNHK-FM(名古屋)を79.5MHz付近で受信。
 ・およそ-3MHzの大幅な周波数ズレ。
 ・その他のFM局も約3MHz低い周波数目盛りで受信可能
 ・ズレた周波数でSメーター点灯、Tメーターインジケーター点灯
 ・STEREOランプ点灯、サーボロックランプ点灯
 ・WIDE/NARROW切換OK、出てくる音声にステレオ感あり
 ・手持ちのAMループアンテナを接続して名古屋のAM局を受信テスト
 ・Sメーターがフル点灯しAM放送を受信できました。
 ・問題はFMの大幅な周波数ズレと選局ツマミですね。

Kt99004Kt99006Kt99008Kt99009Kt99010

■内部確認------------------------------------------------------------

 ・FM4連AM2連バリコン
 ・パルスカウント検波:TR7020、TR4011
 ・MPX部:uPC1223C
 ・AM部 :LA1245
 ・LED DRIVER:AN6877
 ・フロントエンド内のトリマを回しても受信周波数が変化しない。
 ・指針の照明電球切れ、周波数窓を照らす2個の電球のうち1個切れ
 ・フロントパネル上部とボディを固定するプラスチック部品が破損

■修理記録:フロントパネル--------------------------------------------

 ・フロントパネル上部とボディを繋ぐプラスチック部品が破損。
 ・この破損はKT-900/KT-900でよく遭遇する事例です。
 ・このせいでフロントパネル上部が前傾し選局ツマミと接触しています。
 ・破損原因はチューナー上部にアンプなど重い機器を載せたこと。
 ・重量物に耐えられる構造になっていません。
 ・破損部分を強力ボンドで接着した後、透明プラ板で補強しました。
 ・でも上の重い機器を載せるとすぐに壊れそうです。

Kt99020Kt99021Kt99022Kt99025Kt99027

■修理記録:FM OSCトリマ----------------------------------------------

 ・フロントエンド内のOSCトリマを回しても受信周波数が全く変化しない
 ・FM不調の原因はやはりトリマコンデンサの容量抜けですね。
 ・過去事例に倣ってフロントエンドユニット外側に新トリマー(10pF)を直付け。
  ・外側の金属部分にある既存の穴に短めの小ネジをねじ込む
  ・ネジの周囲にハンダ吸取線を巻き付け、ハンダをたっぷり浸み込ませる。
  ・ハンダが浸み込んだ吸取線をマイナス側端子として新トリマをハンダ付け
 ・下記受信調整によってばっちり受信できるようになりました。

Kt99030Kt99031Kt99034Kt99035Kt99036

■受信調整------------------------------------------------------------

Kt99040

【FM OSC調整】
 ・TR7020-2Pin(R18右足) → 電圧計セット(Sメーター電圧)
 ・83MHz 受信 → 新TC4調整 → 電圧最大
【FM RF調整】
 ・TR7020-2Pin(R18右足) → 電圧計セット(Sメーター電圧)
 ・83MHz 受信 → TC1,TC2,TC3調整 → 電圧最大
 ・83MHz 受信 → T1調整 → 電圧最大
【クアドラチュア検波調整】
 ・TP1~TP2 → 電圧計セット(Tメーター)
 ・83MHz 受信 → L4調整 → 電圧ゼロ(Tメーター中点)
【WIDE GAIN調整】
 ・TR7020-2Pin → 電圧計セット(Sメーター電圧)
 ・83MHz Narrow受信 → Sメーター電圧記録
 ・83MHz Wide受信 → VR1調整 → 上記電圧と同じ
【高調波歪調整】
 ・音声出力端子 → WaveSpectra接続
 ・83MHz → T1(フロントエンド内)調整 → 高調波歪最小
【パルスカウント検波調整】
 ・TR4011-1Pin → 周波数カウンタセット
 ・83MHz受信 → L6調整 → 1.965MHz
【VCO調整】
 ・TP VCO → 周波数カウンタ接続
 ・SSG 83MHz 無変調 → VR7調整 → 76kHz
【PILOTキャンセル】
 ・音声出力端子 → WaveSpectra接続
 ・83MHz Wide受信 → VR6調整 → 19kHz成分最小
【セパレーション Narrow調整】※Narrow調整を先に行なうこと
 ・音声出力端子 → WaveSpectra接続
 ・83MHz Narrow → VR3調整 → 反対chへの漏れ信号最小
【セパレーション Wide調整】
 ・音声出力端子 → WaveSpectra接続
 ・83MHz Wide → VR4調整 → 反対chへの漏れ信号最小
 ・83MHz Wide → VR5調整 → 反対chへの漏れ信号最小
【REC CAL調整】
 ・83MHz受信 → 出力レベル記録
 ・83MHz受信 → VR2調整 → -6dB設定 ※422Hz
【AM受信調整】
 ・AMループアンテナ → 接続端子注意 [AM]~[GND]
 ・700kHz → L11,L12調整 → Sメーター最大点灯
 ・1400kHz → TC1,TC2調整 → Sメーター最大点灯


Kt99000

■試聴---------------------------------------------------------------

 ・全体に良い性能を取り戻したと思います。
 ・それにしても KT-990/KT-900のデザインはイイですね。
 ・照明を落とした部屋でちょっとお酒を飲みながら、いつまでも眺めていられます。

Kt99007

Viewing all articles
Browse latest Browse all 568

Trending Articles



<script src="https://jsc.adskeeper.com/r/s/rssing.com.1596347.js" async> </script>