・2021年7月、研究材料として寄付していただいた機種です。
・素性が良い機種なので年末年始休暇でキチンと整備してみました。
■製品情報------------------------------------------------------------
・前回(2014年)同様ですがネット上に詳細な製品情報が見当たりません。
・古いオーディオ雑誌にあった製品情報を再掲します。
・1984年発売、当時の定価45,000円。
・歪率0.0095%、セパレーション69dB。カタログ値としては驚異的な数値です。
■動作確認------------------------------------------------------------
・ボディ全体にキズは少なく質感は良いです。
・電源オン。FL管の劣化は無いようで輝度は十分。
・オート選局で名古屋地区のFM局を受信OK。
・STEREOランプ点灯、周波数ズレなし。
・AM放送も受信OK。IF BAND切換のスライドVRも効いている模様
・顕著な不具合は無さそうです。
■内部確認------------------------------------------------------------
・KT-929との比較です。
・Sメーター省略
・フロントエンドRF増幅回路が1段省略
・IF段Narrow回路省略
・DCC歪補正回路がVR2(DET)だけ、他は全部省略
・パイロットキャンセル回路省略、でもそれ以外は同じということ。
・不足部品を足せばKT-929に化けるかも?
KT-727 | KT-929 |
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■調整記録------------------------------------------------------------
【VT電圧】
・TP1~2 → DC電圧計セット
・アンテナ入力なし
・76MHz → L7 調整 → 8V ※実測 7.9V
・90MHz → TC5調整 →25V ※実測24.8V
【RF調整】
・R101後足 → DC電圧計セット(※Sメーター電圧)
・76MHz → L1,L2,L3 調整 → 電圧最大
・90MHz → TC1,TC2,TC3調整 → 電圧最大
・上記作業を数回繰り返す
・83MHz → L5調整 → 電圧最大
【検波調整】
・TP3~TP4 DC電圧計セット
・83MHz → L9調整 → 0v ※実測+0.32V
【MPX VCO調整】
・TP6 周波数カウンタ接続
・83MHz(無変調) → VR8調整 → 76kHz
【SUB CARRIER調整(38kHz)】
・音声出力をWavespectraで観察
・83MHz(SUB信号,1kHz,80dB)→ L14調整 → Lchレベル最大
【歪調整 DET】
・83MHz(MONO信号,1kHz,80dB)→ VR2:DET調整 → 二次歪最小
【SEPARATION調整】
・音声出力をWavespectraで観察
・83MHz(R信号,1kHz,80dB)→ VR 9調整 → 漏れ信号最小
・83MHz(L信号,1kHz,80dB)→ VR10調整 → 漏れ信号最小
【AM調整】
・TP1~2 → DC電圧計セット
・アンテナ入力なし
・ 522kHz → L18調整 → 実測 2.7V 確認のみ
・1629kH z→ TC7調整 → 実測20.0V 確認のみ
・LA1245-16pin DC電圧計セット(Sメーター電圧)
・ 729kHz NHK第一放送受信 → L17調整 → 電圧最大
・1332kHz 東海ラジオ受信 → TC6調整 → 電圧最大
・1053kHz CBCラジオ受信 → L19調整 → 電圧最大
■試聴----------------------------------------------------------------
・WaveSpectraで波形を見るとノイズフロアがとても低い。
・歪率やセパレーションも良好です。
・素性が良いので、オペアンプや電解コンデンサのグレードアップとか、
・省略された部品を追加してKT-929化、なんて、
・いろいろ実験が楽しめそうです。