・2021年10月末、不調になったというD-3300Tが届きました。
・画面表示がついたり消えたりするそうです。
■製品情報------------------------------------------------------------
・オーディオ懐古録 KENWOOD D-3300T ¥140,000円(1986年)
・オーディオの足跡 KENWOOD D-3300T ¥140,000円(1986年発売)
・取扱説明書 PDF
■動作確認------------------------------------------------------------
・FMアンテナを接続して電源オン、、しかし周波数などの表示が点灯しない。
・メモリ切換インジケータ(A or B)だけ点灯。AとBの切換操作は可能。
・しかしそれ以外はどのボタンを押しても反応なし。
・ボディを軽く叩いてみると、、、何と周波数表示が出現しました。
・ショックに反応して点灯したり消えたりします。
・点灯したと思ったら数分で消灯することもあり。
・これは電源系統に接触不良、部品劣化か??
・さて、受信できる状態で名古屋地区のFM放送局を受信テスト。
・オート選局上り方向、下り方向とも周波数ズレなく受信可能でした。
・RF=DISTANCEではSTEREOランプ点灯し受信OK。
・一方でRF=DIRECTではシグナルインジケータが点灯せず受信できない。
・これは受信感度が低下している感じでです。
■修理記録:電源回路ハンダ修正----------------------------------------
・メイン基板と表示部基板を接続するコネクタ【CN5】で電圧チェック。
【CN5】
7:(GND):0v
6:(18v):2.7v ←★電源回路Q28(2SD868)エミッタ電圧
5:( 5v):4.9v
・本来18v前後の6番端子の電圧が低い。
・回路図を辿ると電源回路Q28(2SD686)エミッタ電圧
・Q28(2SD686)を指で触ると表示が点灯したり消灯したりします。
・グラグラ状態なので不調原因はこれですね。
・ハンダ面を確認しQ28(2SD686)とその周辺のハンダを盛り直しました。
【CN5】
7:(GND):0v
6:(18v):17.4v ←★
5:( 5v):4.9v
■調整記録------------------------------------------------------------
【本体設定】
・IF BAND:WIDE
・RF SELECTOR:DISTANCE
・QUIETING CONTROL:NORMAL
※(X86),(X05),(X13):基板番号
【VT電圧】
・TP6~TP7 DC電圧計セット
・アンテナ入力なし
・76MHz → L5(X05-)調整 → 3.0V±0.1V ※実測 3.1V
・90MHz → TC5(X05-)調整 →25.0V±0.1V ※実測25.2V
【検波調整】
・TP10~TP11 DC電圧計セット
・83MHz(無変調,80dBu)受信 → L12(X86-)調整 → 0.0V±10mV ※実測-40mV
・TP16~TP17 DC電圧計セット
・83MHz(無変調,80dBu)受信 → L9 (X86-)調整 → 0.0V±10mV ※実測+167mV
【RF調整】
・Multipath V端子 DC電圧計セット
・76MHz(1kHz,100%変調,40dBu)→ L1~4 (X05-)調整 → 電圧最大
・90MHz(1kHz,100%変調,40dBu)→ TC1~4(X05-)調整 → 電圧最大 ★
★【TC3】の反応が過敏で最大電圧位置を特定できない
■修理記録:フロントエンド トリマコンデンサ交換-----------------------
・TC1~TC4:サービスマニュアルのパーツリストで仕様を確認 → 11pF
・TC3を手持ちのトリマコンデンサ新品(10pF)に交換して再調整
・続いてTC1,TC2,TC4を新品(10pF)に交換しながら再調整を繰り返す。
・交換後はRF調整で気持ちよく最大電圧に調整できました。
※TCは1個交換して再調整、次の1個を交換してまた再調整、、の繰り返し。
※一気に全数交換するより慎重に1個づつ交換しています。
■調整記録(再)------------------------------------------------------
【IFT調整】
・Multipath V端子 DC電圧計セット
・83MHz(1kHz,100%変調,30dBu)→ L10,L11,L22(X05-)調整 → 電圧最大
・83MHz(1kHz,100%変調,30dBu)→ L11(X86-)調整 → 電圧最大
【AUTO STOP調整】
・83MHz(19kHz信号,10%変調,14dBu)→ VR1(X86-)調整 → STEREOインジケータ点灯
【SIGNAL METER調整】
・(X13-)電源スイッチ後方の小さな基板
・83MHz(無変調,43dBu)→ VR3(X13)調整 → 7番目のドット(最上段)点灯
【TUNING METER調整】
・SELECTOR:MONO
・83MHz(10Hz,100%変調,80dBf) → VR2(X13)調整 → ※
※中央の縦白セグメント点灯、両側の赤縦セグメントの中点へ
【MPX VCO調整】
・TP15に周波数カウンタ接続
・83MHz(無変調,80dBf) → VR5(X05-)調整 → 76.00kHz±50Hz
【PILOT CANCEL調整1】
・音声出力をWavespectraで観察
・83MHz(19kHz信号,10%変調,80dBu)→ VR1(X05-)調整 → 19kHz信号最小
・左右chのバランス確認
【PILOT CANCEL調整2】
・83MHz(19kHz信号,10%変調,80dBu)→ L20(X05-)調整 → 19kHz信号最小
・左右chのバランス確認
【SUB CARRIER調整(38kHz)】
・音声出力をWavespectraで観察
・83MHz(SUB信号,1kHz,90%変調+19kHz信号,10%変調,80dBu)→
→ L19(X05-)調整 → Lchレベル最大
【歪調整1 DLLD】
・83MHz(MONO信号,1kHz,100%変調,80dBu)→ VR3(X86-)調整 → 歪率最小
【歪調整2 MONO】
・83MHz(MONO信号,1kHz,100%変調,80dBu)→ VR4(X86-)調整 → 歪率最小
【歪調整3 MONO】
・83MHz(MONO信号,1kHz,100%変調,80dBu)→ VR6(X86-)調整 → 歪率最小
【歪調整4 STEREO】
・83MHz(L信号,1kHz,90%変調+19kHz信号10%変調,80dBu)→ VR5(X86-)調整 → 歪率最小
【歪調整5 STEREO】
・83MHz(SUB信号,1kHz,90%変調+19kHz信号10%変調,80dBu)→ VR7(X86-)調整 → 歪率最小
【歪調整6】
・83MHz(MAIN信号,1kHz,90%変調+19kHz信号10%変調,80dBu)→ VR8(X86-)調整 → 歪率最小
【歪調整7】
・83MHz(L信号,1kHz,90%変調+19kHz信号10%変調,80dBu)→ VR9(X86-)調整 → 歪率最小
【歪調整8 NARROW】
・83MHz(MAIN信号,1kHz,90%変調+19kHz信号10%変調,80dBu)→ VR2(X86-)調整 → 歪率最小
【SEPARATION調整1 L】
・83MHz(R信号,1kHz,90%変調+19kHz信号10%変調,80dBu)→ VR4(X05-)調整 → Lchもれ最小
【SEPARATION調整2 R】
・83MHz(L信号,1kHz,90%変調+19kHz信号10%変調,80dBu)→ VR3(X05-)調整 → Rchもれ最小
【SEPARATION調整3 NARROW】
・IF BAND:NARROW
・83MHz(R信号,1kHz,90%変調+19kHz信号10%変調,80dBu)→ VR2(X05-)調整 → もれ最小
【DEVIATION調整】
・REC CAL オン → VR4(X13)調整 → 左から4番目のドットが点灯する位置
■試聴----------------------------------------------------------------
・フロントエンドのトリマコンデンサ交換によって受信感度が大幅アップしました。
・最近、電源基板のハンダ不良が多い気がします。