・2021年8月、TX-2000の故障品が届きました。
・受信感度が大幅に落ちているそうです。
・以下、作業記録です。
■製品情報------------------------------------------------------------
・オーディオの足跡 YAMAHA TX-2000 ¥100,000(1988年発売)
・Hifi Engine YAMAHA TX-2000 AM/FM Stereo Tuner (1988-92)
■動作確認------------------------------------------------------------
・本体に目立つキズなし。サイドウッドも綺麗な状態。
・電源オン。オレンジ色の表示点灯。輝度劣化もなく眩しいほど輝いている。
・FMアンテナ端子はF型A/B 2系統。同軸ケーブルを接続して受信確認。
・オート選局、マニュアル選局で名古屋地区のFM局を正常に受信OK。
・上り方向、下り方向ともに周波ズレなし。
・ただ、シグナルインジケーターの点灯具合がかなり低い。
・電波強度75~80dBに対してインジケーターは目盛り30程度までしか点灯しない。
・AMは手持ちの適当なループアンテナを接続して受信確認。
・名古屋地区のAM放送局をオート選局で正常に受信OK。
・AMではシグナルインジケーターが最大まで点灯する。
・FMの受信感度が低下しているのか??
■調整記録------------------------------------------------------------
■調整記録------------------------------------------------------------
・海外版サービスマニュアルを一部アレンジ。
【本体設定】
・電源投入から5分以上経過していること
・OSCコイル、IFTの調整には金属製ドライバーは使用しないこと
・まずFMセクションを調整し、次にAMセクションを調整すること
・MODE:AUTO ST
・BLEND:OFF
・IF MODE:NARROW
・RF ATT:OFF
・FINE TUNING ON → すなわちCSL停止状態
・オーディオ出力をWaveSpectra接続
【電圧確認】
・+30 → +29V±1V → ※実測+28.6V
・+12 → +12.5V±0.5V → ※実測+12.0V
・-12 → -12.5V±0.5V → ※実測-11.9V
・+ 6 → + 6V±0.5V ※実測+6.0V
【VT電圧確認】
・L17の足に DC電圧計接続
・受信周波数 90MHz → T8調整 → 24.9V
・受信周波数 76MHz → 7.3V ※確認のみ
【レシオ検波調整】
・基板上のFM S端子~GND間にDC電圧計セット
・83.00MHz受信 → T7調整 → 電圧ゼロ
【FMフロントエンド調整】
・VR10の足 DC電圧計セット
・76.00MHz受信 → T1,T2,T3,T4調整 → 電圧最大
・90.00MHz受信 → VC1,VC2,VC3,VC4調整 → 電圧最大
【モノラル歪調整】
・固定出力端子をWaveSpectra接続
・83.00MHz(mono)受信 → VC5,VR9調整 → 高調波歪最小
【PLL入力位相調整】
・83.00MHz(SUB)受信 → T10,T12調整 → Lch出力最大
【ステレオ歪調整】
・IF MODE:Narrow
・83.00MHz(stereo) → VR3,4,5,6調整 → 高調波歪最小
【ステレオ歪調整】
・IF MODE:Wide
・83.00MHz(stereo) → T5,6,13,VR1,2,7,8調整 → 高調波歪最小
【セパレーション調整】
・IF MODE:Wide
・83.00MHz(stereo) → VR13調整 → L→R漏れ信号最小
・83.00MHz(stereo) → VR14調整 → R→L漏れ信号最小
【セパレーション調整】
・IF MODE:Narrow
・83.00MHz(stereo) → VR11調整 → L→R漏れ信号最小
・83.00MHz(stereo) → VR12調整 → R→L漏れ信号最小
【パイロット信号キャンセル調整】
・IF MODE:Wide
・83.00MHz(stereo) → VR15,T11調整 → 19kHz成分最小
・左右chのバランスに注意
【シグナルインジケーター調整】
・IF MODE:Wide
・83.00MHz(stereo)80dB → VR10調整 → シグナルインジケーター全点灯
★VR10を全開にしてもシグナルメーターが40%程度しか点灯しない
★本来なら全点灯するはず?
【ブレンドチェック】
・受信中にBLENDスイッチON
・セパレーション値が左右とも悪化することを確認
【IF オフセット調整】
・FINE TUNING OFF → すなわちCSL受信状態
・D4~K3を短絡
・83.00MHzの表示が「30.0」という表示に変わる。
・VR17調整 → 周波数表示を微調整
・調整後はD4~K3を開放
※D4~K3を短絡すると登録したメモリー内容がリセットされる
AM部
【VT電圧確認】
・ 522kHz受信 → L17電圧=3.3V ※確認のみ
・1620kHz受信 → L17電圧=24.0V ※確認のみ
【RF、IF調整】
・1053kHz受信(名古屋CBCラジオ)→ PK1調整 → Sメーター最大
・1053kHz受信(名古屋CBCラジオ)→ T9調整 → Sメーター最大
★シグナルインジケーターの点灯具合以外は正常に調整できました。
■修理記録:フロントエンド Q1、Q2交換------------------------------------
・VR10全開状態でシグナルインジケーター点灯レベルテスト
・SSG 60dB → 20%
・SSG 80dB → 50%
・SSG100dB → 80%
・回路図を見ながら考察タイム
・フロントエンド → LA1266 → シグナルインジケーター駆動電圧 → LA1266-16ピン
・原因予想1:フロントエンドRFアンプQ1,Q2で十分に増幅できていない
・原因予想2:LA1266内蔵のIFアンプで増幅できていない
・まずは原因1の確認から。
・Q1,Q2に型番印字は無いがサービスマニュアルのパーツリストで確認 → 3SK101
・Q1,Q2(3SK101) → 手持ちの同等品 3SK74 交換
・結果は、、当たり!!
・シグナルインジケーターがフル点灯しVR10による点灯具合調整が可能になりました。
■試聴----------------------------------------------------------------
・再度すべての調整項目をやり直して作業完了しました。
・こちらでのランニングテストで特に問題ありません。
・それにしてもYAMAHAデザインはとにかくカッコいいですね。