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YAMAHA T-9 修理調整記録4

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 ・2020年8月、T-9の故障品が届きました。
 ・選局ツマミが空回りして指針が移動できないそうです。
 ・さて、直せるでしょうか。

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■製品情報------------------------------------------------------------

 ・オーディオの足跡 YAMAHA T-9 ¥98,000(1979年頃)
 ・オーディオ懐古録 YAMAHA T-9
 ・Hifi Engine YAMAHA T-9 FM Stereo Tuner (1979)

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■動作確認------------------------------------------------------------

 ・外装に目立つ傷なし、とても奇麗な状態です。
 ・フロントパネルに経年の汚れがありますが洗浄すれば汚れは落ちそう。
 ・さて、PAL形式のアンテナ端子にアダプタを介してF端子で接続。
 ・電源オンと同時に内部から「カチッ」とソレノイド作動音が聞こえる。
 ・選局ツマミは滑らかに回転するが、しかし指針は全く移動しない?
 ・これでは動作確認も何もできない。

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 ・電源オフにすると選局ツマミの回転によって指針が滑らかに移動します。
 ・SSG基準信号83.0MHzを受信するため指針を83MHzに合わせた状態で電源オン。
 ・こんな作業を繰り返して最適受信位置を探りました。
 ・結果、指針82.7MHzの位置で83.0MHzを最大感度で受信可能と判明。-0.3MHz受信ズレ
 ・このときSTEREOインジケーター点灯、実際のステレオ感あり
 ・RX切換、REC CALなど切換操作と各インジケータ点灯OK
 ・FM受信機能は働いているようです。

■内部確認------------------------------------------------------------

 ・ボディを開けてソレノイド周辺の動作を確認。
  ・電源オンと同時にソレノイドもオンになる。
  ・ソレノイドがオンになる → フライホイールのクラッチが外れる。
  ・これが選局つまみが空回りする原因です。
  ・つまり電源オンと同時にモータードライブによる自動選局状態になっています。
  ・本来ならモーターが回転して指針を移動させるのですが、、
  ・実際にはモーターは回転していない → 指針が動かない。
 ・このような状態でした。

■修理記録:ソレノイド駆動トランジスタ交換----------------------------

 ・基板上のソレノイド周辺回路を調査
 ・電源オンと同時にソレノイド駆動電圧が発生する。
 ・ソレノイドが常時オンになる原因を探る
 ・ソレノイド駆動用トランジスタTR13(2SD400)が怪しいか?
 ・取り外してチェック → hfe=6 これは故障ですね
 ・これを同型中古部品に交換して電源オン、、 当たり!
 ・ソレノイドの動作が正常化し選局ツマミの回転で指針が移動するようになりました
 ・シグナルインジケーター点灯、STEREOランプ点灯、受信動作は正常のようです。
 ・しかし肝心の音が出てきません??

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■修理記録:内蔵電池撤去----------------------------------------------

 ・確認のため Q503 LA7200 23pin (MUTE)をGNDに落とす。
 ・するとFM受信音が聞こえてきました。
 ・つまり音が出ない原因はMUTINGが解除されないから。
 ・過去にもT-9で同じ事例がありました。
 ・そのときは内蔵電池を取り外すとMUTINGが解除されました。
 ・今回も同様に内蔵電池を取り外したところ、、正解でした
 ・MUTINGが解除されFM受信音が出てくるようになりました。
 ・内蔵電池を外すことととMUTING解除の因果関係はよく分かりません?
 ・とりあえずFMチューナーとして正常に動作するようになりました

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■調整記録-----------------------------------------------------------

【本体切替ボタンの設定】
 ・RX MODE : AUTO DX
 ・MUTE/OTS : OFF
 ・BLEND : OFF
 ・REC CAL : OFF
【検波コイル調整】
 ・IC110[IG03210] 20Pin → 電圧計セット(Tメーター電圧)
  ※20pin代用ポイント → すぐ右側22k抵抗
 ・電波入力なし → T105調整 → 電圧ゼロ(Tメーター中点)
 ・指針を76MHz~90MHzまで移動し中点がほぼズレない事を確認
【OSC調整】
 ・ダイヤル指針 → 目盛り83.0MHz位置にセット
 ・83.0MHz,無変調,70dB → TCo調整 → Sメーター最大
  ※Loは調整不可のためトリマーのみで調整。
  ※83MHz付近では指針と目盛りがピッタリ合いますが、両端ではややズレます。
【RF調整】
 ・83.0MHz,70dB,無変調 → TC1,TC2,TC3,TC4,T102調整 → Sメーター最大
  ※L1,L2,L3,L4 調整が難しいのでノータッチ
【IF歪調整】
 ・83.0MHz,70dB,1KHz,100%変調 → TC101調整 → 高調波歪最小
 ・同上 → T102,T103,T104,TC101,VR102,VR103調整 → 高調波歪最小
【VCO調整】
 ・TP19kHz → 周波数カウンター接続
 ・83.0MHz,70dB,無変調 → VR108調整 → 19KHz
【38kHz SUB調整】
 ・83.0MHz,70dB,1KHz,100%変調,SUB信号 → T113調整 → Lchレベル最大
【パイロット信号キャンセル調整】
 ・SSG 83.0MHz,70dB,PILOT信号 → T114調整 → 19KHz漏れ最小
【セパレーション調整】
 ・83.0MHz,70dB,1KHz,100%変調,ST → VR105,VR106調整 → 反対信号漏れ最小
【Sメーター調整】
 ・83.0MHz,100dB → VR110調整 → LED全点灯
 ・83.0MHz, 0dB → VR109調整 → LED全消灯
【デジタル周波数調整】
 ・2階基板 VR103横のTPを10kΩ抵抗を介してGND接続
 ・VR103調整 → 周波数表示(小数点第一位)を微調整
【プリセットチューニング上限位置調整】
 ・90.5MHz受信 → プリセット5に登録
 ・80MHz付近でプリセット5を押し指針移動開始
 ・このとき90.2MHz付近で自動停止するようにVR113を調整する
【プリセットチューニング下限位置調整】
 ・75.5MHz受信 → プリセット1に登録
 ・80MHz付近でプリセット1を押し指針移動開始
 ・このとき75.8MHz付近で自動停止するようにVR114を調整する

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■試聴----------------------------------------------------------------

<メモリボタンの動作状況>
 ・電源オンと同時に メモリAボタン点灯
 ・Bボタンを押しても切換不能
 ・1~5のどれかボタンを押すとMUTING作動し音が出なくなる
 ・選局ツマミのクラッチが外れ指針の移動ができなくなる
 ・電源再投入で復旧します
<メモリ登録しようとすると>
 ・電源オンと同時に メモリAボタン点灯
 ・選局ツマミを回してFM局を受信
 ・MEMORYボタンと1~5のどれかボタンを押すとMUTING作動
 ・選局ツマミのクラッチが外れ指針の移動ができなくなる
 ・電源再投入で復旧します

 ・手動選局チューナーとしては正常に機能します。
 ・デジタル周波数表示やインジケーターも点灯します。
 ・ただメモリー登録やモータードライブによるプリセット選局は不可です。
 ・T-9/T-7については引き続き宿題です。

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