・2021年4月、333ESGの故障機が届きました。
・不調原因はPLL回路のヒューズ抵抗不良でした。
・以下、作業記録です。
■製品情報------------------------------------------------------------
・オーディオの足跡 SONY ST-S333ESG ¥49,800(1989年発売)
・1987年10月発行「SONY ES テクノロジーカタログ」
■動作確認------------------------------------------------------------
・サイドウッド無し、フロント下部の操作パネルカバー無し。
・選局ツマミに目立つ打ち傷、さらに回転軸が曲がっている。
・このため選局ツマミが楕円を描くように歪んで回転する。
・ボディ外観もキズや汚れが目立つ。
・FMアンテナを接続して電源オン。
・表示部点灯。文字欠けや輝度劣化は感じられない。
・IF BANDやRF切換などボタン操作に応じてインジケーター点灯OK。
・オート選局で名古屋地区のFM局を受信するとすべて素通りして受信不可。
・上り方向、下り方向ともにオート選局不可。マニュアル受信も不可。
・MUTINGオフにしても局間ノイズが聞こえない。全くの無音。
・付属のAMループアンテナで名古屋地区のAM局をテスト受信。
・AMはオート選局で受信OK。
・このAMループアンテナは純正品とは違います。
・REC CALトーンは聞こえる。
・Lch端子に接触不良あり、音が出たり途切れたり。
・これはなかなか手強そう、、
■修理記録:PLL検波回路のヒューズ抵抗交換------------------------------
【FM同調点調整】
・IC251(LA1235)7pin~10pin間電圧計セット
・83MHz受信 → IFT251調整 → 電圧ゼロ ※調整前実測+3.8V
★この調整によってオート選局ができるようになりました。
【PLL検波調整】
・TP271 電圧計セット
★IFT272調整 → +4.2V 変化なし
・PLL検波調整で IFT272を回してもTP271の電圧が+4.2Vのまま変化しない。
・回路図に示される規定電圧値を見ながら IFT272周辺の電圧チェック。
・電圧値が明らかにおかしい、、原因は?
・調べてみると ヒューズ抵抗R292(100Ω 1/4W)が断線状態でした。
・ヒューズ抵抗の在庫が無かったので 試しに100Ω抵抗に交換。
・すると IFT272調整で TP271電圧がゼロに設定できました。
・さらに正常なFM受信音が聞こえてきました。
・念のため他のヒューズ抵抗もすべて確認しましたが不良は無かったです。
・この後ヒューズ抵抗(100Ω 1/2W)を購入して再交換しました。
■修理記録:ハンダ修正------------------------------------------------
・Lch端子の付け根にハンダクラック確認。
・アースバーにもハンダ割れ多数確認。
・これは333シリーズ定番の不具合箇所です。
・不良個所のハンダを盛り直してクラック修正。
■調整記録------------------------------------------------------------
【FM同調点調整】
・IF BAND = WIDE
・IC251(LA1235)7pin~10pin間電圧計セット
・83MHz受信 → IFT251調整 → 電圧ゼロ
【VT電圧調整】
・フロントエンド内JW8 電圧計セット
・アンテナ入力なし
・90MHz → L104調整 → 21.0V±0.2V ※調整前実測21.1V
・76MHz → 確認のみ → 8.0V±1.0V ※調整前実測 8.1V
【トラッキング調整】
・IF BAND = NARROW
・IC251(LA1235) 13pin(又はR261右足)電圧計セット
・90MHz受信 → CT101,CT102,CT103 → 電圧最大
・76MHz受信 → L101,L102,L103 → 電圧最大
【PLL検波調整】
・IF BAND = WIDE
・TP201を短絡 ※これによってIF回路をパス
・TP271 電圧計セット
・IFT272調整 → 電圧ゼロ ※調整前実測+4.2V
・CT271調整 → 歪最小 ※Wavespectraにて波形確認
・TP201を開放
【IF歪調整】
・IF BAND = WIDE
・MUTING = OFF
・IC251(LA1235) 13pin(又はR261右足)電圧計セット
・RV201、RV202 時計回り一杯に回す
・SSG出力40dBモノラル信号送信
・IFT201調整 → 電圧最大
・SSG出力40dBステレオ信号送信
・IFT202調整 → 電圧最大
・IFT101調整 → 電圧最大 ※IFT101フロントエンド内
・RV201、RV202 回転範囲の中央位置に回す
・SSG出力80dBモノラル信号送信
・IFT203調整 → 歪最小へ
・SSG出力80dBステレオ信号送信
・IFT204調整 → 歪最小へ
【STEREOインジケータ調整】
・IF BAND = WIDE
・MUTING = OFF
・SSG83MHz 出力20dB
・RV251調整 → ステレオインジケータ点灯
【MUTINGレベル調整】
・IF BAND = WIDE
・MUTING = ON
・SSG83MHz 出力25dB
・RV252調整 → MUTING調整
【IF NARROWゲイン調整】
・IF BAND = NARROW
・RV203調整 → NARROWゲイン調整
【Sメーター調整】
・RV241調整
【パイロットキャンセル】
・RV303、L301 19kHz信号漏れ最小 左右バランス確認
【セパレーション調整】
・RV301 R→L ※調整後実測64dB
・RV302 L→R ※調整後実測68dB
【CAL TONE】
・Peak Level-6dB 398Hzの波形が出ていました。
【AM調整】
・RV401 Sメーター調整
・RV402 AUTOSTOP調整
■試聴---------------------------------------------------------------
・FM同調点以外も各調整ポイントが大きく外れていました。
・選局ツマミの回転軸、フロントパネル下部のカバー、サイドウッド、
・これだけ揃えることができれば一人前の動作品になれそうです。