・2020年12月、高級チューナー T-106 をお預かりしました。
・アキュフェーズ製では珍しくAM受信回路を搭載している機種です。
・そのAM回路は「シンクロナス検波」を採用しています。
・シンクロナス検波とは SANSUI TU-X1 と同じ「同期検波」のことです。
■製品情報------------------------------------------------------------
・オーディオの足跡 Accuphase T-106 ¥145,000(1984年1月発売)
・Hifi Engine Accuphase T-106 AM/FM Stereo Tuner
■動作確認------------------------------------------------------------
・シャンパンゴールドモデル。
・フロントパネルに目立つキズなし。
・FMアンテナを接続して電源オン。
・メーター照明点灯、周波数表示点灯。
・周波数ツマミを回すとFM=0.1MHz単位、AM=9kHz単位で周波数が変化する。
・周波数の変化に応じて「ピッ」「ピッ」と電子音が鳴る。
・左側メーター:MULTIPATH/DEVIATION(切換式)、右側メーター:SIGNAL
・Tメーター代わりに[TUNED]点灯。[STEREO]点灯。
・周波数ズレなく名古屋地区のFM放送局を正常に受信。
・IF BAND切替(NARROW/NORMAL)OK、MUTING動作??
・MUTING ONの状態であっても -0.1MHzの周波数で受信できる。
・しかもSTEREOランプも点灯する。
・これはFM同調点がズレている感じか?
・手持ちのAM用ループアンテナで名古屋地区のAM放送を受信。
・AM放送は特に問題なさそう。
・メモリー登録はFM/AMともOK。
・可変出力VRにガリ無し。
■内部確認------------------------------------------------
・DGL(Differential Gain Linear)検波
・IF回路にクリスタルXTAL(13.1MHz)があります。
・13.1MHz-IF信号(10.7MHz)=2.4MHz ※ダウンコンバート周波数
・T1横のC35で観測可能
■調整記録------------------------------------------------
【電圧確認】
・+15 → +13.9v
・+ 5 → +5.01v
・+5.6→ +5.71v
●FM部
【本体設定】
・MUTING OFF
・FILTER OFF
・SELECTIVITY NARROW
【VT電圧】
・フロントエンド右端端子(写真参照)~GND DC電圧計セット
・アンテナ入力なし
・76MHz → OSCコイル(L6)調整 → 2.9v → 3.0v
・90MHz → OSCトリマ(TC6)調整 → 18.8v → 20.1v
【RF調整】※フロントエンド内部調整
・76MHz 無変調 40dB → L1,L2,L3,L4,L5調整 → Sメーター最大
・90MHz 無変調 40dB → TC1,TC2,TC3,TC4,TC5調整 → Sメーター最大
・83MHz 無変調 40dB → IFT調整 → Sメーター最大
【検波調整】
・音声出力をWavespectraで観察
・83MHz 80dB → T2調整 → 高調波歪最小
・83MHz 80dB → T1調整 → 高調波歪最小
【IF GAIN調整】
・83MHz 60dB → VR1調整 → NORMAL/NARROWでSメーター振れ同じ
【SIGNAL METER調整】
・83MHz 40dB → VR2調整 → Sメーター= 40
・83MHz 100dB → VR3調整 → Sメーター=100
【MUTING調整】★手順を見直しました
・MUTING ON
・83MHz 20dB → VR7調整 → MUTING作動位置へ
・83MHz 20dB → VR8調整 → 左右に大きく回してMUTING作動範囲の中間位置へ
※VR7(SIGNAL MUTE)
※VR8(TUNE MUTE)
【STEREO歪調整】
・音声出力をWavespectraで観察
・83MHz 80dB → IFT調整 → 高調波歪最小
【MPX VCO調整】
・TP9に周波数カウンタ接続
・83MHz(無変調,80dB) → VR12調整 → 76kHz
【PILOT CANCEL調整】
・音声出力をWavespectraで観察
・83MHz ST変調 80dB → T3,VR5調整 → 19kHz信号最小
【SEPARATION調整】
・音声出力をWaveSpectraで観測
・83MHz(R/L信号,1kHz 80dB)→ VR6調整 → もれ信号最小
【DEVIATION調整】
・83MHz(STEREO 100%変調)→ VR9調整 → DEVメーター100%
●AM部
【VT電圧】
・J3~GND DC電圧計セット
・アンテナ入力なし
・ 522kHz → T205調整 → 0.9V → 1.5v
・1611kHz → VC1調整 → 19.6v → 21.8v
【RF調整】
・ 522kHz → T201,T202調整 → Sメーター最大
・1611kHz → VC3,VC2調整 → Sメーター最大
・ 999kHz → T203調整 → Sメーター最大
・ 999kHz → T204,VC4調整 → 歪み最小
【Sメーター調整】
・VR201 メーター振れ調整
【AM同期検波位相調整】
・TP204、TP205をWavespectra接続
・ 999kHz(1kHz)受信 → VR202調整 → リサージュ波形を正円に
※同期検波の調整方法は試行錯誤の結果です。間違っているかも?
※AMの上限周波数が今回も1611kHzでした。
※MUTING調整でVR7とVR8の調整法を見直しました
※VR7(SIGNAL MUTE)
※VR8(TUNE MUTE)
■試聴----------------------------------------------------------------
・特に故障個所は無かったです。
・各調整ポイントのズレを修正しておきました。
・シャンパンゴールドのフロントマスクが素敵です。