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TRIO KT-1000 修理調整記録2

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 ・2020年11月、KT-1000の故障品が届きました。
 ・KT-1000を見るのは久しぶり、、
 ・以下、作業記録です。


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■製品情報------------------------------------------------------------

 ・オーディオの足跡 TRIO KT-1000 ¥69,800(1980年頃)
 ・オーディオ懐古録 TRIO KT-1000 FM/AM TUNER ¥69,800円
 ・Hifi engine KENWOOD KT-1000 AM/FM Stereo Tuner (1980-82)

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■動作確認------------------------------------------------------------

 ・全体に経年の汚れ。
 ・フロントパネルのガラス板が選局ツマミ付近で割れている。
 ・FMアンテナを接続して電源オン。
 ・周波数窓の照明点灯。メーター照明も点灯。
 ・名古屋地区のFM放送で受信テスト。
 ・82.5MHzのNHK-FMが80.5MHz付近で受信できる。
 ・目盛り90MHz付近で東海ラジオのFM補完放送(92.9MHz)が受信できる。
 ・約2MHz程度の周波数ズレ。
 ・ズレた目盛り位置でSERVO LOCKランプとSTEREOランプが点灯。
 ・RF切換、IFバンド切換でインジケーター点灯。
 ・固定/可変端子ともOK。
 ・REC CALトーンが聞こえない。
 ・付属の純正AMループアンテナでAM受信を確認。
 ・高い周波数CBCラジオ(1053kHz)、東海ラジオ(1332kHz)の受信感度が弱いかも?

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■内部確認------------------------------------------------------------

 ・FM5連、AM3連フロントエンド
 ・TR4011:Pulse Count Detector
 ・TR7020:Quadrature Detector & IF Down Convert
 ・HA11223W×2:PLL FM Stereo Demodulator with Pilot Cancel
 ・LA1245:AM Electronic Tuner
 ・ハンダ面を見ると多数の部品が空中配線で追加されています。
 ・これは初期型ですね。

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■修理記録:約2MHzの周波数ズレ---------------------------------------

 ・フロントエンドOSCトリマ(TC5)を回しても全く変化なし。
 ・完全に容量抜けしています。
 ・対策としてバリコンユニット上に10pFトリマを外付けしました。
 ・約2MHzの周波数ズレをは後述のOSC調整で修正できました。

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■調整記録------------------------------------------------------------

【FM OSC調整】
 ・83MHz受信 → フロントエンドTC5調整 → Sメーター最大
 ※OSCコイルL5調整不可のため83MHzのみで調整
【FM RF部調整】
 ・IF BAND NARROW
 ・83MHz受信 → フロントエンドTC1,TC2,TC3,TC4調整 → Sメーター最大
 ・83MHz受信 → フロントエンドT1調整 → Sメーター最大
 ※L1~L4調整が難しいため83MHzのみで調整
【IF調整】
 ・IF BAND NARROW
 ・音声出力 → WaveSpectra接続
 ・83MHz → L3調整 → Sメーター最大
【Tメーター調整】
 ・IF BAND NARROW
 ・83MHz受信 → Sメーター最大かつ高調波歪最小位置にて受信
 ・L4調整 → Tメーター中点
【Sメーター調整】
 ・83MHz受信 → 別基板VR1調整 → Sメーター振れ具合調整
【Wide Gain調整】
 ・83MHz受信 → VR1調整 → Wide/Narrow Sメーター振れ具合を同じ位置に
【2nd OSC調整】
 ・IC4(TR4011)-1pin → 周波数カウンタ接続
 ・83MHz受信 → L6調整 → 1.965MHz
【Pilot Cancel調整】
 ・音声出力 → WaveSpectra接続
 ・83MHz ST → VR11,L17調整 → 19kHz漏れ信号最小
【VCO調整】
 ・R153後足 → 周波数カウンター接続
 ・83MHz → VR10調整 → 19kHz±10Hz
【SCA調整】
 ・IF BAND WIDE
 ・音声出力 → WaveSpectra接続
 ・83MHz ST+DARC信号 → VR8調整 → Lch:DRAC信号によるノイズを最小
 ・83MHz ST+DARC信号 → VR9調整 → Rch:DRAC信号によるノイズを最小
【SUB信号調整】
 ・83MHz,SUB信号 → L16調整 → Lch出力レベル最大
【セパレーション調整/wide】
 ・IF BAND WIDE
 ・音声出力 → WaveSpectra接続
 ・83MHz ST → VR5調整 → Lch漏れ信号最小
 ・83MHz ST → VR6調整 → Rch漏れ信号最小
【セパレーション調整/narrow】
 ・IF BAND NARROW
 ・音声出力 → WaveSpectra接続
 ・83MHz ST 60dB → VR7調整 → 漏れ信号最小
【オートブレンド調整】
 ・IF BAND NARROW
 ・音声出力 → WaveSpectra接続
 ・83MHz ST 30dB → 別基板VR2調整 → 漏れ信号中位
【REC CAL調整】
 ・83MHz受信 → 出力レベル測定
 ・VR2調整 → 上記レベル-6dBに設定 ※404Hz
 ※当初基準音が確認できなかったのはVR2の接触不良だったようです
 ※VR2を大きく回したところ基準音が出現しました。
【AM OSC調整】
 ・ 600kHz受信 → L12調整 → シグナルメーター最大
 ・1400kHz受信 → AMTC3調整 → シグナルメーター最大
【AM RF調整】
 ・ 600kHz受信 → L11,L13調整 → シグナルメーター最大
 ・1400kHz受信 → AMTC1,2調整 → シグナルメーター最大
【AMメーター調整】
 ・VR3 Sメーター振れ具合調整
 ・VR12 Tメーター中点調整

 ※当初の動作確認ではREC CALトーンが聞こえなかったのですが、
 ※上記【REC CAL調整】でVR2を回したら音が出るようになりました。
 ※VR2の接触不良だったようです。

■SCA調整について-----------------------------------------------------

 ・KT-1000にはSCA調整用の VR8、VR9 が実装されています。
 ・これを調整することでNHK-FMのVICSノイズを低減できます。
 ・NHK-FMを聴いてノイズを感じるときはここを調整します。
 ・測定器がなくても聴感で分かります。

■修理記録:突然バリバリノイズ発生-----------------------------------

 ・作業を終えリスニング環境に置いて動作確認を始めました。
 ・当初は良い音で受信できていたのですが、、、
 ・3時間ほど経過した頃、突然激しいバリバリノイズ発生、爆音です。
 ・でもTメーターとSメーターの振れ具合は正常、SERVO LOCKランプも点灯。
 ・STEREOランプが明滅している状態。
 ・このときマルチパスH端子から出てくる音も同じ状態。
【原因調査と修理】
 ・IC8(TR4011)-7pin → 酷い雑音な音が聞こえる
 ・IC8(TR4011)-1pin → 1.96MHzが観測できない
 ・パルスカウント検波が機能していない → L6の故障か?
 ・保管しているKT-1000の基板から同じL6を移植。
 ・雑音が消えて再び良い音で受信できるようになりました。

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【L6修理法】代わりのL6がない場合
  ・L6の内蔵コンデンサー除去
  ・温度補償型18pFを外付け

■試聴----------------------------------------------------------------

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 ・L6交換後、再々調整によって良い音で受信できるようになりました。
 ・最後に割れていたフロントパネルのガラス板をジャンク機から移植。
 ・このKT-1000やKT-900、KT-990のフロントデザインは好みです。

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