・2020年11月、研究材料のST-J55が届きました。
・発売当時に購入されたワンオーナー品とのこと。
・長期間保管後に電源投入したら動作不調だったそうです。
・さて、直せるか?
■製品情報------------------------------------------------------------
・オーディオの足跡 SONY ST-J55 ¥49,000(1979年頃)
・Hifi engine SONY ST-J55 AM/FM Stereo Tuner (1979-81)
■動作確認------------------------------------------------------------
・電源コードの印字:1980
・外観は ST-J75 に似ている感じ。
・外観は経年の汚れ、多少の擦り傷。フロントパネルはほぼ無傷。
・電源オン、周波数表示点灯。
・FMアンテナを接続して名古屋地区のFM局で受信チェック。
・オート選局上り方向ではFM局を受信できない。
・オート選局下り方向は-0.1MHzの周波数で受信OK。
・ただしSTEREO受信不可、モノラルのみ。
・これはFM同調点が大幅にズレている感じ。
・一方のAMは、背面バーアンテナで名古屋地区のAM局を受信できない。
・AMの局間ノイズも出ない。
■内部情報------------------------------------------------------------
・Alps製フロントエンド。トリマコンデンサとコイルが見える。
・IC101:LA1231N クアドラチュア検波
・IC301:KB4437 PLL-MPX (=PIONEER PA1001A)
・IC201:LA1240 AM Tuner
・RT101:Sメーター調整
・RT301:パイロットキャンセル
・RT302:VCO調整
・RT303:セパレーション調整
・RT401:REC CAL調整
■調整記録------------------------------------------------------------
【VT電圧確認】
・アンテナ入力なし
・フロントエンドユニット一番手前のTP(B2) → 電圧計セット
・76MHz → L4調整 → 3.0V ※実測2.8V
・90MHz → CT104調整 → 20.0V ※実測19.4V
【FM同調点調整】
・TP1~TP2間 → 電圧計セット
・83MHz受信 → IFT101(赤)調整 → 電圧0V±10mV ※実測-2.5V
【フロントエンド調整】
・IC101:LA1231-13ピン → 電圧計セット ※Sメーター電圧
・76MHz受信 → L1,L2,L3調整 → 電圧最大
・90MHz受信 → CT1,CT2,CT3調整 → 電圧最大
・83MHz受信 → IFT調整 → 電圧最大
【クアドラチュア検波調整】
・TP1~TP2間 → 電圧計セット
・83MHz受信 → IFT101(赤)調整 → 電圧0V±10mV ※再調整
・83MHz受信 → IFT101(緑)調整 → 高調波歪最小
【Sメータレベル調整】
・83MHz 60dB受信 → RT101調整 → Sメーター全点灯位置
【VCO調整】
・TP4 → 周波数カウンタセット
・83MHz 無変調 → RT302調整 → 76kHz ※実測値76.7kHz
【パイロットキャンセル調整】
・音声出力 WaveSpectra接続
・83MHz(ST)→ RT301調整 → 19kHz漏れ信号最小 ※左右バランス注意
【セパレーション調整】
・音声出力 WaveSpectra接続
・83MHz(ST)→ RT303調整 → 反対ch漏れ信号最小
【CAL TONE調整】
・音声出力 WaveSpectra接続
・音声出力レベル測定
・CAL TONEオン → RT401調整 → 音声出力レベル-6dB ※実測416Hz
【AM VT電圧調整】
・フロントエンドユニット一番手前のTP(B2) → 電圧計セット
・ 522kHz → T201調整 → 1.3V ※実測1.02V
・1602kHz → CT202調整 → 25V ※実測24.2V
【AM 受信調整】
・729kHz(NHK第一)受信 → バーアンテナ内コイル調整 → Sメーター最大
・1332kHz(東海ラジオ)受信 → CT201調整 → Sメーター最大
・909kHz(NHK第二)受信 → IFT201,202,203,204調整 → Sメーター最大
■AMバーアンテナ不調--------------------------------------------------
・背面のAMバーアンテナを動かすと受信出来たり出来なかったりします。
・特に上下方向に移動すると顕著に現象が現れます。
・バーアンテナ内部の配線が接触不良のようです。
■試聴----------------------------------------------------------------
・不調原因はFM同調点の大幅なズレでした。
・再調整の結果、FMは良い音で受信できるようになりました。
・特にセパレーション値は両chとも60dB以上を示します。
・AMはちょっと難ありですがFMライフは満喫できます。