・2020年9月、F-120Dの故障機が届きました。
・F-120Dを見るのは随分久しぶりな感じです。
・さて、直せるか?
■製品情報------------------------------------------------------------
・オーディオの足跡 Pioneer F-120D ¥49,800(1985年頃)
・Hifi Engine Pioneer F-99X AM/FM Digital Synthesizer Tuner (1985-86)
■動作確認------------------------------------------------------------
・サイドウッドが付いたシルバーモデルです。
・全体に目立つキズも無くとても綺麗、サイドウッドには光沢艶があります。
・さて、FMアンテナを接続して電源オン、、
・あれ、、、表示部に何も表示されない!
・いや、よく見れば周波数の小数点だけ微妙に光っているような、、
・ボタン操作に対して全く反応なし
・音声端子からはザーという局間ノイズが聞こえたり、聞こえなかったり、、
・REC CALトーンが一瞬聞こえた、、と思ったらすぐ消えた、、
・これは重症ですね、、
■内部確認------------------------------------------------------------
・4連バリキャップ、WIDE/NARROW切換
・PA5008 クアドラチュア検波 FM同調点検出+Sメーター駆動
・PA5006+PA5007 パルスカウント検波+ステレオ復調
・10.7MHz×2-20.14MHz=1.26MHz
・LA1247 AMチューナー
■修理記録------------------------------------------------------------
・周波数表示が現れない、、ということはコントロール回路の不調か?
・輸出機 F-99X 回路図を見ながらまずは電源部の調査から着手。
・Q601コレクタ=13.6v → 実測13.6v
・Q605コレクタ= 5.6v → 実測 5.7v
・Q601の電圧が正常であることを確認
・次にQ605のコレクタ脚にテスター棒を当てた瞬間、、
・何と!突然周波数表示が出現、ボタン操作可能、選局できるようになりました。
・どうやら Q605 が接触不良だったようです。
・テスター棒を当てた衝撃で通電するようになったと思います。
・F-120Dの底面には点検口がありません。
・ハンダ面を確認するため基板を取り外して裏返す。
・やはりQ605にハンダクラック発見。
・電源回路全域にわたってハンダを盛り直しました。
・本機の弱点であるメモリー登録ボタンは既に補修済みでした。
■動作確認------------------------------------------------------------
・とりあえず動作するようになったのでもう一度動作確認。
・FMアンテナを接続、名古屋地区のFM局を受信できました。
・シグナルインジケーター点灯、STEREOインジケーター点灯。
・IF BAND WIDE-NARROW切換OK、REC CALトーンOK
・手持ちのAMループアンテナでAM局も受信OK。
・メモリーボタンに登録OK
・特に不具合は無さそうです。
■調整記録------------------------------------------------------------
【電圧確認】
・Q601 コレクタ電圧→ +13.6V 実測13.6V ※チューナー電源
・Q605 コレクタ電圧→ + 5.6V 実測 5.7V ※コントロール電源
・R605 リア側電圧 → +28 V 実測26.7V
【VT電圧調整】
・TP16 → 電圧計セット
・90MHz → L4調整 → 24.5V
・76MHz → 7.6V(確認のみ)
【RF調整】
・TP22 → 電圧計セット(Sメーター電圧)
・76MHz 40dB受信 → L1,T1,L5調整 → 電圧最大
・90MHz 40dB受信 → TC1,TC2,TC3調整 → 電圧最大
【IF調整】
・TP22 → 電圧計セット(Sメーター電圧)
・83MHz 40dB受信 → T2,T101,T102調整 → 電圧最大
【FM同調点調整】
・TP12~TP13 → 電圧計セット
・83MHz 70dB受信 → T103調整 → 電圧ゼロ
【パルスカウント検波調整】
・R401フロント側 → 周波数カウンタ接続 ※1.25MHz変化なし
・83MHz 70dB受信 → T301,T302調整 → 高調波歪最小
【ミューティング調整】
・83MHz 30dB受信 → VR101調整 → MUTING作動
【VCO調整】
・TP10 → 周波数カウンタ接続
・83MHz無変調受信 → VR404調整 → 38kHz
・TP10 → WaveSpectra接続
・83MHzST受信 →L402調整 → 38kHzレベル最大
・83MHzSUB信号 → L405調整 → Lchレベル最大
【パイロット信号キャンセル調整】
・固定出力端子 → WaveSpectra接続
・83MHzST受信 → L401,VR403調整 → 19kHz信号最小
【セパレーション調整】
・固定出力端子 → WaveSpectra接続
・83MHzLch信号 → VR402調整 → Rch信号最小
・83MHzRch信号 → VR403調整 → Lch信号最小
【REC CAL調整】
・83MHz1kHz受信 → 信号レベル記録
・REC CALトーン再生 → VR501調整 → -6dBに設定 ※301Hz
【AM調整】
・TP16 → 電圧計セット
・ 522kHz → L202調整 → 2.0V
・1629kHz → TC202調整 → 24.5V
・TP11 → 電圧計セット ※Sメーター電圧
・ 729kHz(NHK)受信 → L201調整 → 電圧最大
・1332kHz(東海)受信 → TC201調整 → 電圧最大
■試聴----------------------------------------------------------------
・薄型ボディの精悍なデザインがステキです。
・サイドウッドによってさらに引き締まった感じがします。
・再調整によって良い性能を取り戻しました。