・2020年7月、ST-J60故障品が届きました。
・片chの音が出ないそうです。
・以下、作業記録です。
■製品情報------------------------------------------------------------
・オーディオの足跡 SONY ST-J60 ¥54,800(1978年発売)
・Hifi Engine Sony ST-J60 FM Stereo Tuner (1979-80)
※型番は同じ、見た目も同じですが基板上の部品の配置がかなり異なります。
■動作確認------------------------------------------------------------
・発売当時に購入したワンオーナー機とのこと。
・フロントパネルはほぼ無傷、ボタン類はピカピカです。
・大切に扱われていたことがよく分かります。
・FM同軸アンテナを接続して電源オン。
・周波数表示OK、オート選局で名古屋地区のFM局を受信。
・Sメーターフル点灯、FMエアチェック信号(CAL TONE)OK。
・問題点はSTEREOインジケーターが点灯しないこと。
・それとRchの音量レベルが小さいこと。
・AMは背面バーアンテナで感度良く受信できる。
■内部確認-------------------------------------------------------------
・Alps社製フロントエンド
・IC101:LA1231 FM-IF system
・IC301:KB4437 FM-MPX ※PIONEER PA1001と同じ
・IC201:LA1240 AM System
・底面に点検口がないので部品交換は面倒です。
■修理記録:STEREOインジケーターが点灯しない---------------------------
・まずは下記調整手順に従って一通り調整してみました。
・IC301(KB4437)-15pin → 周波数カウンタセット
・83MHz 無変調 → RT301調整 → 76kHz±100Hz ※実測値75.1kHz
・RT301調整によってSTEREOインジケーターが点灯しました。
・原因は経年変化による調整ズレでした。
■修理記録:Rchの音量レベルが小さい-------------------------------------
・依頼者様のお話しでは Rchの音が出たり出なかったり、とのこと。
・こちらでの確認では Rchの音は出ているがレベルがかなり小さい。
・下記調整手順による確認でRT355に触れた瞬間、、音量レベルが急に大きくなった。
・左右の音量差の原因はRT355(Rch Output Level)のガリ(接触不良)でした。
・RT355洗浄し何度も回すことでガリが解消して音量が正常になりました。
■調整記録----------------------------------------------------------------
【VT電圧確認】
・アンテナ入力なし
・フロントエンド一番手前のTP → 電圧計セット
・76MHz → L104調整 → 3.0V ※実測3.1V
・90MHz → CT104調整 → 21.0V ※実測22.4V
【FM同調点調整】
・R115両端(IC101:LA1231横)→ 電圧計セット
・83MHz受信 → IFT101(赤)調整 → 電圧0V±10mV ※実測-420mV
【フロントエンド調整】
・IC101:LA1231-13ピン(またはRT401)電圧計セット ※Sメーター電圧
・76MHz受信 → L101,102,103調整 → 電圧最大
・90MHz受信 → CT101,102,103調整 → 電圧最大
・83MHz受信 → IFT001調整 → 電圧最大
【クアドラチュア検波調整】
・R115両端(IC101:LA1231横)→ 電圧計セット
・83MHz受信 → IFT101(赤)調整 → 電圧0V±10mV ※再調整
・83MHz受信 → IFT101(緑)調整 → 高調波歪を最小
【ミューティング調整】
・83MHz 20dB受信 → RT101調整 → MUTING ON になる位置
【Sメータレベル調整】
・83MHz 60dB受信 → RT401調整 → Sメーター全点灯位置
【VCO調整】
・IC301(KB4437)-15pin → 周波数カウンタセット
・83MHz 無変調 → RT301調整 → 76kHz±100Hz ※実測値75.1kHz
【パイロットキャンセル調整】
・音声出力 WaveSpectra接続
・83MHz(ST)→ RT301調整 → 19kHz漏れ信号最小 ※左右バランス注意
【セパレーション調整】
・音声出力 WaveSpectra接続
・83MHz(ST-Lch)→ RT303調整 → 反対ch漏れ信号最小
【OUTPUTレベル調整】
・音声出力端子 → AC電圧計セット
・83MHz(60dB)受信 → RT305調整 → Lch 0.775V
・83MHz(60dB)受信 → RT355調整 → Rch 0.775V
【REC CAL調整】
・音声出力 WaveSpectra接続
・音声出力レベル測定
・CAL TONEオン → RT402調整 → 音声出力レベル-6dB ※実測416Hz
【AM VT電圧調整】
・ 531kHz → T201調整 → ※実測1.25V
・1611kHz → CT202調整 → ※実測25.3V
【AM 受信調整】
・729kHz(NHK第一)受信 → バーアンテナ内調整 → Sメーター最大
・1332kHz(東海ラジオ)受信 → CT201調整 → Sメーター最大
・909kHz(NHK第二)受信 → IFT201,202,203 → Sメーター最大
■試聴----------------------------------------------------------------
・半固定抵抗の接触不良もよくある不調原因です。
・再調整するときは左右に大きく回してから微調整するようにしています。
・復活できて良かったです。