・2020年6月、333ESXIIのメンテナンスを承りました。
・以下、作業記録です。
■製品情報------------------------------------------------------------
・オーディオの足跡 SONY ST-S333ESXII ¥49,800(1987年発売)
・SONY ES テクノロジーカタログ 1987年10月発行
・Hifi Engine ST-S730ES 海外版サービスマニュアル
■動作確認------------------------------------------------------------
・オート選局できないそうです。
・早速電源とアンテナを接続して動作確認。
・たしかにオート選局では名古屋地区のFM局をすべて素通り。
・一方でマニュアル選局では受信可能。
・シグナルメーター点灯、IF BAND切換OK。
・ただしSTEREOインジケーターが点灯しない。
・REC CALトーンOK、メモリ登録動作OK。
・AM放送は受信動作正常、出てくる音も正常です。
■内部確認------------------------------------------------------------
・試しにIFT205を回したところ、、電圧変化なし。
・ハンダ面を見ると R245 に並列にコンデンサが追加されていました。
・既にIFT205内蔵コンデンサの容量抜け対策が施されていました。
■修理記録------------------------------------------------------------
・IFT205に追加されたコンデンサーを外して再度確認。
・やはり電圧が全く変化しない。
・という事はIFT205自体の故障、内部コイルの断線か?
・IFT205(4048-4511)
・いつもなら同じ333シリーズ機から部品取りですが、今回は手持ち部品が無い、、
・そこで ひろくん様に教えていただいた方法 を実践してみました。
・手元にあったのは KENWOOD KT-5020。
・LA1266の横に L19(3004-3925)があります。
・このL19と同じ型番のIFTが KENWOOD KT-6050では L35として使われていました。
・KT-6050の回路図に L35(3004-3925)の内部構造が示されています。
・333ESXII IFT205(4048-4511)、KT6050 L35(3004-3925) 比較
・実際に移植し配線を変更したところ、FM同調点調整ができました。
・ちなみに①~⑥を直結した場合、しない場合、どちらも調整可能でした。
■調整記録------------------------------------------------------------
【FM同調点調整】
・IFT205調整 LA1235-7pin~10pin間電圧ゼロ
【VT電圧調整】
・IC803-5pin電圧測定
・90MHz L104調整 21.0V±0.2V ※調整前実測21.5V
・76MHz 確認のみ 8.0V±1.0V ※調整前実測 8.2V
【SST回路調整】
・SST調整はVT電圧調整後、かつトラッキング調整前に行うこと
・76MHz受信 RT801調整 IC802-11pin電圧 → 0V 実測1.0mV
・90MHz受信 IC802-9pin電圧 → 14V確認 ※調整前実測14.0V
【トラッキング調整】
・IC203(LA1235)-13pin(又はRT204)電圧max
・76MHz L101,L102,L103
・90MHz CT101,CT102,CT103
【PLL検波調整】
・TP201をGNDに落とす
・IFT207調整 TP202 DC電圧ゼロ ※調整前実測-45mV
・CT201調整 歪最小
【IF歪調整】
・Wide受信、MUTINGオフ
・IC203(LA1235)-13pin電圧計セット
・RT202、RT203 時計回り一杯に回す
・SSG出力20dBモノラル信号送信
・IFT201調整 電圧最大へ
・IFT101調整 電圧最大へ
・SSG出力80dBにセット
・IFT203、RT202を交互に調整 歪最小へ
・SSG出力20dBにセット、Mutingオン
・IFT202調整 電圧計最大へ
・SSG出力80dBステレオ信号送信
・IFT204、RT203を交互に調整 歪最小へ
【STEREOインジケータ調整】
・RT206 SSG出力20dBでステレオインジケータ点灯
【パイロットキャンセル】
・RT303、L301 19kHz信号漏れ最小 左右バランス確認
【セパレーション調整】
・RT301 R→L ※調整後実測62dB
・RT302 L→R ※調整後実測60dB
【Sメーター調整】
・RT204
【MUTINGレベル調整】
・RT205
【CAL TONE】
・Peak Level-3.9dB ※343Hzの波形が出ていました。
【AM調整】
・RT401 Sメーター調整
・RT402 AUTOSTOP調整
■試聴---------------------------------------------------------------
・これまでIFT205の故障事例は何度か経験しましたが、
・KENWOOD機からの移植に成功したことで対応の幅か広がりました。
・今回もまた勉強になりました。