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ONKYO T-429

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 ・2020年3月初旬、ヤフオクでジャンク品を入手しました。
 ・ちょっと調べてみたい事があったので、、

T42912

■製品情報------------------------------------------------------------

 ・オーディオの足跡 ONKYO Integra T-429 ¥69,800(1981年頃)
 ・オーディオの足跡 ONKYO Integra T-429R ¥69,800 (1982年頃)
 ・ONKYO アンプ/チューナーカタログ 1981年9月版

T42902T42915

 ・T-429とT-429Rの違いは何でしょう?
 ・外観は同じ、ボディサイズも同じ。でも重量がかなり違う(429:7kg、429R:5.6kg)
 ・消費電力も微妙に異なる(429:28W、429R:27W)
 ・両機のスペックを詳細に比較すると微妙な差があります。

■回路研究:カタログより抜粋------------------------------------------

【FM帰還方式の原理】
 検波出力信号の一部を、FMサーボ回路を通して局発へフィードバック(帰還)し、局発に内蔵した超低歪率回路で局発信号を変調。変調された局発信号はミキサーで入力信号とミックスされ、IF信号が取り出されます。FMサーボ帰還量は6dBに調整されているため、このIFスペクトラム信号対は1/2に圧縮されます。従ってFM帰還方式では、
1. IF回路の帯域幅を2倍に広げたのと同じ効果があり、IF信号帯はIF回路の最も位相特性の良い部分だけ、つまりフラットな道の中央だけを通ることができます。この結果、IF回路のダイナミックレンジが拡大し、オーバー変調時の大入力に伴う広いIF信号帯に対しても優れた低歪率を維持できます。
2. オーディオアンプで低歪率のセオリーとなっているNFB(ネガティブ・フィードバック)効果を持つため、IF・検波器でのリニアリティが大幅に改善され、歪がグンと低くなります。
3. ステレオ分離用の信望もクリアーに伝送されますから、MPXでの位相のズレを抑え、セパレーションを格段に向上させました。
4. IFの広帯域化によって、完璧同調を求めたサーボロック方式の効果がさらに高まり、クオーツロックに匹敵する同調精度を得ました。
5. 受信条件の違いに応じてクオリティの最高水準を選べるIF帯域2段切換(低歪率WIDE、高選択度NARROW)を装備していますが、FM帰還(SERVO)はWIDE時のみ動作させています。
【フロントエンド】
 多局化時代を迎えたFMチューナーの受信性能は、RF相互変調に代表される妨害排除性能が問題となります。混信や妨害のない良好な状態で電波を鋭くキャッチするために、受信性能を決めるフロントエンドをダイレクト入力トリプルチューンの周波数直線型7連バリコンと、広いダイナミックレンジ・デュアルゲートMOS-FET×2のダブルバランス型ミキサーで構成。局発の出力を3端子MOS-FETによるチューンド・バッファを通してミキサーに注入します。この結果、±2.5MHzで105dB(direct)という素晴らしい相互変調妨害比はもちろん、混変調妨害をはじめ、各種妨害の排除に大きな成果を上げました。しかもアンテナ入力段をBOOSTER OUT/INの2段階切換としており、受信条件に応じて最適の感度を選べます。
【BOOSTER OUT(direct)/BOOSTER IN】
 BOOSTER OUT(direct)は強電界地域で圧倒的な性能を発揮するポジションです。入力トリプルチューンの後、RF(高周波増幅)を通さず、直接ミキサーに入ります。ダイナミックレンジを充分確保することにより、相互変調等の妨害を強力に排除し、安定でクリアーな受信が楽しめます。このときの感度は1.75uV(75Ω)です。
 BOOSTER INは弱電界地域向けポジションで、トリプルチューンの前にMOS-FETによるRF2段増幅(入力シングル同調)が入ります。0.9uV(75Ω)という高感度で働きますから、遠距離の微弱な電波も十分に受信できます。このときの相互変調妨害比は100dB(±2.5MHz)で良好な各種妨害排除性能を示しています。
【高速C-MOSスイッチングMPX】
 コンポジット信号をL・Rに分離するスイッチング信号が遅い場合、その立上り、立下りの部分で信号に影響を与えます。本機では、スイッチング阻止に高速応答のC-MOSアナログ素子を使用。またL・R分離後のサブキャリア成分のカットは、アクティブフィルターとパイロットキャンセラーを採用し、LCローパスフィルターの磁気歪によって生じる音質劣化を防止。Wスーパーサーボ方式による完全DC構成ハイスル―レート・オペアンプと相まって、PLL・MPXデコーダ全体として、歪率0.02%、セパレーション70dBという優れた性能を実現し、歪感のないクリアーな中高音を得ています。
【チューナー初のWスーパーサーボアンプ】
 インテグラのアンプ技術で定評のあるダブル・スーパーサーボアンプをMPX以降の全回路に搭載しました。この方式は、チューナー出力のプラス側とマイナス側の両端子から、出力に発生する有害なノイズや歪成分だけをMPX入力にフィードバックし、これをキャンセルするもので、同時にチューナー内部のアースラインの僅かなインピーダンスに起因する歪の発生おもシャットアウト。パワフルで歯切れの良い超低域再生はもちろん、楽器の分解能やリズム感・ハーモニーを鮮やかに捉え、チューナーの音楽性を飛躍的に高めました。

■動作確認------------------------------------------------------------

 ・フロントパネルは経年の汚れがあるものの、目立つキズはない。
 ・プッシュボタンのサビがちょっと残念。
 ・ボディ左下後部に潰れたような傷跡。
 ・左後部を落下させたような感じです。でもこの程度なら力技で修正できそう。
 ・さて同軸アンテナを接続して電源オン。
 ・周波数窓の照明点灯、3つのメーター照明点灯、指針照明点灯。
 ・IF切換、RF切換インジケーター点灯、それぞれ機能しているようです。
 ・3個のインジケーター(STEREO、TINED、LOCKED)それぞれ点灯。
 ・MUTING切換OK、AIR CHECK信号(REC CALトーン)OK。
 ・選局ツマミに手を近づけと(触れなくても)タッチセンサーが反応する。
 ・選局ツマミから手を離すとTメーターが中点に引き込まれる。
 ・このときのTメーター中点がセンターからややズレている。
 ・選局ツマミに手を触れた状態でTメーター中点とSメーター最大点が少しズレる。
 ・指針の周波数ズレはほとんど無し。
 ・選局ツマミの回転フィーリングが頼りないほど軽い。
 ・背面端子 SERVO SENSOR L/R の使い方が不明。マルチパスH/Vとは異なるみたい。

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■内部確認------------------------------------------------------------

 ・7連バリコン搭載フロントエンド。3SK73×2
 ・BOOSTER OUT RF増幅を迂回
 ・IF BAND切換 WIDE/NARROW
 ・WIDE選択時のみFM SERVO(FM帰還)が作動する
 ・Q105/HA1137W:クアドラチュア検波 → Tメーター、Sメーター駆動
 ・L106周辺にレシオ検波回路 → これが「広帯域ウルトラリニア検波器」か?
 ・「検波出力信号の一部を、FMサーボ回路を通して局発へフィードバック(帰還)」
  ・Q105/HA1137W IF-OUT(8pin) → L106 → Q511/TC4066BP → Q501/NJM4560D → R019 → OSC回路
 ・IF BAND選択と SERVO ON/OFF に応じて回路が切り換わります。
  ・NARROW → HA1137Wによるクアドラチュア検波
  ・WIDE  → 広帯域ウルトラリニア検波(レシオ検波)
  ・WIDE+SERVO → 広帯域ウルトラリニア検波(レシオ検波)+ FM帰還
 ・Q208/HA11223W:PLL-MPX IC
 ・HA11223W の復調信号出力は使われていない。
  ・「高速C-MOSスイッチングMPX」
  ・Q210/uPD4011BC,Q211/TC4066BP
 ・背面端子 SERVO SENSOR の使い方がよく分からない?
  ・SERVO SENSOR L → S1 → Q215-5pin → GND
  ・SERVO SENSOR R → S2 → Q214-3pin → GND
  ・GND
  ・取扱説明書をお持ちの方、お教えください。お願いします。

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■調整記録------------------------------------------------------------

【FM同調点調整】
 ・IF BAND NARROW
 ・R101左足に10.7MHz注入 → L103調整 → Tメーター中点
【OSC調整】
 ・76.0MHz → L007調整 → Sメーター最大
 ・90.0MHz → TC007調整 → Sメーター最大
【RF調整】
 ・BOOSTER → IN
 ・IF BAND → NARROW
 ・76.0MHz → L001,002,003,004,005,008調整 → Sメーター最大
 ・90.0MHz → TC001,002,003,004,005,006調整 → Sメーター最大
 ・83.0MHz → L006調整 → Sメーター最大
【NARROW:クアドラチュア検波調整】
 ・IF BAND → NARROW
 ・FM SERVO → OFF
 ・83.0MHz → 周波数目盛り83MHz付近のSメーター最大位置で受信
 ・83.0MHz → L103調整 → Tメーター中点
 ・83.0MHz → L104調整 → 高周波歪最小
【WIDE:レシオ検波調整】
 ・IF BAND → WIDE
 ・FM SERVO → OFF
 ・83.0MHz → L101調整 → 高調波歪最小
 ・83.0MHz → L106(左右コア)調整 → 高調波歪最小
【WIDE:FM SERVO調整】
 ・IF BAND → WIDE
 ・FM SERVO → ON
 ・83.0MHz → R109調整 → 高調波歪最小
【AFC(Tメーター中点)調整】
 ・TP SENSOR → GND ※タッチセンサー強制OFF → 解除
 ・83.0MHz受信 → R146調整 → 引き込まれたTメーター指針を中点に
【Sメーター調整】※注)
 ・TP SM → 電圧計セット
 ・83MHz L107調整 → 電圧最大
 ※注)Sメーター指針はほとんど振れません。
 ※TP SM の電圧値で判断
【VCO調整】
 ・TP201 → 周波数カウンタ接続
 ・83.0MHz 無変調 → R246調整 → 76.0kHz
【パイロットキャンセル】
 ・固定出力端子 → WaveSpectra接続
 ・83.0MHz,ST → L201,R274調整 → 19kHz信号最小
 ・左右chのバランスに注意
【セパレーション調整】
 ・固定出力端子 → WaveSpectra接続
 ・83.0MHz,ST → R212 → Lch漏れ信号最小
 ・83.0MHz,ST → R213 → Rch漏れ信号最小
【変調度調整】
 ・83.0MHz,ST → R275 → DIVIATIONメーター 100%
【REC CAL】
 ・83.0MHz,ST → 固定出力レベル記録
 ・AIR CHECK → ON → -6dB ※463Hz

T429

 ・FM SERVO オン時、高調波歪はWaveSpectra上でほとんど見えなくなります。
 ・カタログ上の効用は確かにあるようです。

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■FM文字多重放送(DARC)によるノイズ問題------------------------------

 ・実はこれが T-429を入手した目的です。
 ・「T-429/429RでNHK-FMを受信するとVICSノイズが発生する。」
 ・横浜のM氏より情報をいただきました。
 ・FM文字多重放送( DARC = Data Radio Channel )の影響によるノイズ問題です。
 ・どうやら KT-9900、L-01T、T-300V 以外にも該当機があるらしい!
 ・FM多重放送に関する情報はこちら→
  ・KENWOOD L-01T
  ・TRIO KT-9900
  ・LUXMAN T-300V
 ・上記調整作業後にNHK-FMを受信してみました。
 ・何と、聞き覚えのある「セミの鳴き声」ノイズが聞こえます。
 ・FM多重信号発生器 MEGURO DARC ENCODER MSG-2170からFM多重信号を送信
  ※L&R=80%、Pilot=10%、DARC=10%
 ・結果は、、確かにあの「セミの鳴き声」に似たノイズが発生しました。
 ・NHK-FM以外は問題ないのですが、肝心のNHK-FMでは大問題です。

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■高速C-MOSスイッチングMPX回路----------------------------------------

 ・T-429のカタログを読むと「高速C-MOSスイッチングMPX回路搭載」とあります。
 ・そして「高速スイッチング素子」としてTC4066BPの写真が掲載されています。
 ・また「高速スイッチング波形」として方形波のスペクトラム画像が掲載されています。
 ・この辺りの仕組みはTRIO/KENWOODの「サンプリングホールドMPX」とほぼ同じでしょうか?
 ・確認すると Q208/HA11223W はスイッチング信号抽出のために使われている。
 ・実際のスイッチングは後続の Q210/uPD4011BC と Q211/TC4066BP が担っている。
 ・このスイッチングの過程でFM多重信号(VICS信号)が影響すると想像します。

■SCAフィルター実験---------------------------------------------------

 ・検波信号(コンポジット信号)に含まれるFM多重信号をカットできないか?
 ・MPX回路に入る前に LCフィルター を無理やり挿入してみました。
 ・使ったのはTRIO KT-770 に載っていた赤白黄のL-15(L79-0162-05-371)
 ・たぶんコンポジット信号の68kHz以上をカットするフィルターだと思います。

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 ・別基板にフィルターを載せて配線を引き回す。
 ・この状態でFM多重信号発生器から信号送信。
 ・フィルターのオリジナル状態では多重信号ノイズが発生しました。
 ・赤白黄のコアを試行錯誤で調整してみたところ、
 ・赤色コアを右方向一杯に回したところで不快なノイズはキレイに消えました。
 ・この方法は使える!! と思ったら、、
 ・実際にNHK-FMを受信すると残念ながらノイズ感が消えません。
 ・多重信号ノイズの仕組みが違うか? フィルター設定が違うのか?
 ・とても興味深い研究テーマになりました。今後も実験を続けてみます。

■試聴----------------------------------------------------------------

 ・照明に映える周波数窓とメーター、インジケーターが美しい。
 ・ウットリ感満載でずっと眺めていられます。
 ・NHK-FMの雑音を何とかしたい、、、

T42913

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