・2019年12月末、また一台、昭和の香り漂うオールドチューナーを入手しました。
・埃まみれの超ジャンク品でしたが、丁寧に整備した記録です。
■製品情報------------------------------------------------------------
・オーディオの足跡 Pioneer TX-80 ¥42,800(1971年頃)
・HifiEngine Pioneer TX-800 AM/FM Stereo Tuner (1971-72)
・70年代初頭のPIONEER製チューナー系譜
・1969年 TX- 90 (\49,800)、TX- 70(\39,800)、TX- 50(\24,000)
・1971年 TX-100 (\60,000)、TX- 80(\42,800)、TX- 60(\33,800)
・1973年 TX-910 (\75,000)、TX-810 (\53,000)、TX-710 (\43,000)
■動作確認------------------------------------------------------------
・全体にヤニ汚れ、でもフロントやボディに目立つキズはない。
・残念な点は背面AMバーアンテナの台座が破損していること。
・電源オン、二つのメーター照明点灯。指針の照明が点灯しない。
・Sメーター最大点とTメーター中点が一致しない。
・-0.2MHzほどの周波数ズレで名古屋地区のFM放送を受信。
・STEREOインジケーターが常時点灯、AM受信に切り換えても常時点灯。
・MUTINGが作動しない。
・AM放送は破損したバーアンテナで受信OK。
・両chとも可変出力端子から「バリバリ」という酷い雑音が聞こえる。
・FM/AMとも同じ雑音が聞こえる。
・一方、固定出力端子はFM/AMとも雑音なし。
■内部確認------------------------------------------------------------
・シリーズ上位機 TX-100と比較すると随分簡略化されている印象です。
・Alps社製FM4連AM3連のフロントエンド
・セラミックフィルター → レシオ検波 → ディスクリートMPX
【基板番号】
・W11-044 FM FRONTEND
・AWE-002 FM AM UNIT
・AWK-002 AF UNIT
・W16-034 POWER UNIT
【電源電圧】
・B1 + 6.5v
・B2 +27.5v
・B3 +11.8v
■修理記録:指針電球交換------------------------------------------------
・指針基部に埋め込まれた照明電球(Position Lamp:8v/50mA)。
・ジャンク部品箱に同型電球がありました。
・指針電球の交換は神経を使う作業です。
・フロントパネルは分解清掃して輝きを取り戻しました。
■修理記録:STEREOランプ常時点灯----------------------------------------
・輸出機の回路図でSTEREOインジケーター周辺をチェック。
・電圧変化を確認すると怪しいのはQ19(2SC968)か?
・Q19(2SC968) → 2SC968新品交換
・これでSTEREOインジケーターの点灯消灯が正常になりました。
■修理記録:MUTING不調-------------------------------------------------
・輸出機の回路図でMUTING回路周辺をチェック。
・Q16(2SK30) → 2SK246 交換
・C55,57(3.3uF/16v) → 3.3uF/50v 交換
・故障していたのはQ16(2SK30)でした。
・ミューティング動作が正常になりました。
■修理記録:可変出力の雑音---------------------------------------------
・FM/AMとも同じ症状なので故障個所はAF基板のどこか。
・固定出力端子(RE OUT)、可変出力端子(OUTPUT)
・AF基板入力端子 [1番 → Lch]、[13番 → Rch] ○雑音なし
・AF基板RECOUT端子 [6番 → Lch]、[ 8番 → Rch] ○雑音なし
・AF基板OUTPUT端子 [2番 → Lch]、[12番 → Rch] ×雑音あり
・Q5,Q6(2SC871) → 2SC1815 交換
・Q7,Q8(2SC870) → 2SC1815 交換
・壊れていたのはQ7(2SC870)でした。
■調整記録-------------------------------------------------------------
【OSC調整】
・76MHz受信 → TCo
・90MHz受信 → Lo
【RF調整】
・76MHz受信 → LA,LR1,LR2
・90MHz受信 → TCA,TCR1,TCR2
【レシオ検波調整】
・無信号 → T2上段コア調整 → Tメーター中央へ
・83MHz受信 → T2下段コア調整 → 高調波歪最小
・83MHz受信 → フロントエンドIFT調整 → 高調波歪最小
【FM Sメーター調整】
・83MHz受信 → T1調整 → Sメーター振れ最大
【ミューティング調整】
・83MHz,20dB受信 →VR1調整 → MUTING作動位置へ
【19kHzコイル調整】
・83MHzSUB信号 → T6調整 → Lch最大レベル
【セパレーション調整】
・VR2調整 → 反対ch漏れ最小
【AM調整】
・OSC調整 T4,AM3
・RF調整 バーアンテナ,T3,AM1,AM2
【AM Sメーター調整】
・T5調整 → Sメーター振れ最大
■試聴----------------------------------------------------------------
・約50年前、つまり半世紀前の製品ですね。
・入手時とは見違えるほどキレイな個体に仕上がりました。
・ノスタルジックな雰囲気がイイ感じです。
・高音質とは言えませんが、BGM用途なら充分使えます。