・2019年12月、D-3300Tの故障機が届きました。
・以下、作業内容をご報告します。
■製品情報------------------------------------------------------------
・オーディオ懐古録 KENWOOD D-3300T ¥140,000円(1986年)
・オーディオの足跡 KENWOOD D-3300T ¥140,000円(1986年発売)
・取扱説明書 (国内版)PDF
■動作確認------------------------------------------------------------
・フロントパネルとサイドウッドはほぼ無傷。天板が痛んでいる。
・FMアンテナを接続して電源オン。
・表示管点灯。文字欠けや輝度劣化は見られない。
・オート選局で名古屋地区のFM放送局を受信しようとすると、、
・上り方向、下り方向ともに放送周波数を通過して受信できない。
・通過するときにTメーター、Sメーターのセグメントは点灯する。
・しかし中点から右に二本ズレた位置の赤いバーがフル点灯。
・マニュアル選局では放送周波数±0.2MHz範囲でモノラル受信できる。
・ステレオ受信不可。STEREOインジケータ点灯せず。
・Modulationを示す横バーグラフが点灯しない。
・セグメントがフル点灯するのでSメーターとしては機能している模様。
・RF切替(DISTANVCE/DIRECT)OK。WIDE/NARROW切替OK。REC CAL OK。
・FM同調点の検出ができていない感じです。
■修理記録:FM同調点が検出できない-----------------------------------
・当初は不調原因としてL9内部コンデンサーの容量抜けを考えましたが、、
・試しにL9コアを回したところ、規定値に設定できました。
・L9調整 → TP16~TP17間電圧ゼロ
・他の調整箇所もかなりズレていました。
・長期間使われていなかった個体のように感じます。
■調整記録------------------------------------------------------------
【本体設定】
・IF BAND:WIDE
・RF SELECTOR:DISTANCE
・QUIETING CONTROL:NORMAL
※(X86),(X05),(X13):基板番号
【VT電圧】
・TP6~TP7 DC電圧計セット
・アンテナ入力なし
・76MHz → L5(X05-)調整 → 3.0V±0.1V ※実測 3.2V
・90MHz → TC5(X05-)調整 →25.0V±0.1V ※実測25.8V
【検波調整】
・TP10~TP11 DC電圧計セット
・83MHz(無変調,80dBu)受信 → L12(X86-)調整 → 0.0V±10mV ※実測-0.51V
・TP16~TP17 DC電圧計セット
・83MHz(無変調,80dBu)受信 → L9 (X86-)調整 → 0.0V±10mV ※実測+0.48V
【RF調整】
・Multipath V端子 DC電圧計セット
・76MHz(1kHz,100%変調,40dBu)→ L1~4 (X05-)調整 → 電圧最大
・90MHz(1kHz,100%変調,40dBu)→ TC1~4(X05-)調整 → 電圧最大
【IFT調整】
・Multipath V端子 DC電圧計セット
・83MHz(1kHz,100%変調,30dBu)→ L10,L11,L22(X05-)調整 → 電圧最大
・83MHz(1kHz,100%変調,30dBu)→ L11(X86-)調整 → 電圧最大
【AUTO STOP調整】
・83MHz(19kHz信号,10%変調,14dBu)→ VR1(X86-)調整 → STEREOインジケータ点灯
【SIGNAL METER調整】
・(X13-)電源スイッチ後方の小さな基板
・83MHz(無変調,43dBu)→ VR3(X13)調整 → 7番目のドット(最上段)点灯
【TUNING METER調整】
・SELECTOR:MONO
・83MHz(10Hz,100%変調,80dBf) → VR2(X13)調整 → ※
※中央の縦白セグメント点灯、両側の赤縦セグメントの中点へ
【MPX VCO調整】
・TP15に周波数カウンタ接続
・83MHz(無変調,80dBf) → VR5(X05-)調整 → 76.00kHz±50Hz
【PILOT CANCEL調整1】
・音声出力をWavespectraで観察
・83MHz(19kHz信号,10%変調,80dBu)→ VR1(X05-)調整 → 19kHz信号最小
・左右chのバランス確認
【PILOT CANCEL調整2】
・83MHz(19kHz信号,10%変調,80dBu)→ L20(X05-)調整 → 19kHz信号最小
・左右chのバランス確認
【SUB CARRIER調整(38kHz)】
・音声出力をWavespectraで観察
・83MHz(SUB信号,1kHz,90%変調+19kHz信号,10%変調,80dBu)→
→ L19(X05-)調整 → Lchレベル最大
【歪調整1 DLLD】
・83MHz(MONO信号,1kHz,100%変調,80dBu)→ VR3(X86-)調整 → 歪率最小
【歪調整2 MONO】
・83MHz(MONO信号,1kHz,100%変調,80dBu)→ VR4(X86-)調整 → 歪率最小
【歪調整3 MONO】
・83MHz(MONO信号,1kHz,100%変調,80dBu)→ VR6(X86-)調整 → 歪率最小
【歪調整4 STEREO】
・83MHz(L信号,1kHz,90%変調+19kHz信号10%変調,80dBu)→ VR5(X86-)調整 → 歪率最小
【歪調整5 STEREO】
・83MHz(SUB信号,1kHz,90%変調+19kHz信号10%変調,80dBu)→ VR7(X86-)調整 → 歪率最小
【歪調整6】
・83MHz(MAIN信号,1kHz,90%変調+19kHz信号10%変調,80dBu)→ VR8(X86-)調整 → 歪率最小
【歪調整7】
・83MHz(L信号,1kHz,90%変調+19kHz信号10%変調,80dBu)→ VR9(X86-)調整 → 歪率最小
【歪調整8 NARROW】
・83MHz(MAIN信号,1kHz,90%変調+19kHz信号10%変調,80dBu)→ VR2(X86-)調整 → 歪率最小
【SEPARATION調整1 L】
・83MHz(R信号,1kHz,90%変調+19kHz信号10%変調,80dBu)→ VR4(X05-)調整 → Lchもれ最小
【SEPARATION調整2 R】
・83MHz(L信号,1kHz,90%変調+19kHz信号10%変調,80dBu)→ VR3(X05-)調整 → Rchもれ最小
【SEPARATION調整3 NARROW】
・IF BAND:NARROW
・83MHz(R信号,1kHz,90%変調+19kHz信号10%変調,80dBu)→ VR2(X05-)調整 → もれ最小
【DEVIATION調整】
・REC CAL オン → VR4(X13)調整 → 左から4番目のドットが点灯する位置
■試聴----------------------------------------------------------------
・幸いにも故障個所は無く、再調整だけで復活しました。
・フロントパネルを分解清掃したので表示窓がクッキリ見えます。
・あとは天板を再塗装すると完璧ですね。