・2019年9月初め、YAMAHA T-7の修理調整作業を承りました。
・久しぶりに見るブラックモデルです。
■製品情報-----------------------------------------------------------
・オーディオ懐古録 YAMAHA T-7 NATURAL SOUND AM/FM STEREO TUNER ¥69,800円
・Hifi Engine Yamaha T-7 Natural Sound AM/FM Stereo Tuner (1980-82)
■動作確認------------------------------------------------------------
・純正AMループアンテナ付属。
・PAL-F変換プラグを介してFMアンテナを接続して電源オン。
・赤い指針点灯、しかし指針両側の黄色いチューニングインジケーターが点灯しない。
・名古屋地区のFM局付近に合わせるとSメーターインジケーター点灯。
・およそ+0.2MHzの位置でFM放送を受信。
・微妙なダイヤル操作によってSTEREOランプが点灯することがある。
・ただしLchの音が出ない。MONO受信時もLchの音が出ない。固定/可変とも同じ。
・AMループアンテナで名古屋地区のAM局を受信。
・やはりLchの音が出ない。
■修理記録:フラットケーブル直結---------------------------------------
・ボディを開けた状態で電源オン。
・すると、つい先ほどまで受信できていたFM放送が全く受信できない??
・Sメーターインジケーターが点灯しない、、全く音が出ない??
・調べてみると、基板とフロントパネルを接続するフラットケーブルが抜けていました。
・基板側に設けられたコネクタのロック機構が壊れているようです。
・コネクタを取り外し、ケーブルを基板に直結しました。
■修理記録:チューニングインジケータ-----------------------------------
・回路図と実機を確認し、チューニングインジケーターに繋がる回路を調査。
・電圧を測定しながら怪しそうなトランジスタ、電解コンデンサを順番に確認。
・壊れていたのはTR39 2SC2021 でした。
・TR39(基板の印刷)=TR139(回路図の番号)
・TR39 2SC2021 → 2SC1815
・これで指針両サイドにチューニングインジケーターが出現しました。
■修理記録:OTS動作不良------------------------------------------------
・次なる不具合は OTS機能 が動作していないこと。
・本来は OTS オンで選局ツマミに触れるとチューニングインジケーターが暗くなるはず。
・ところが選局ツマミに指で触れてもインジケーターは明るく点灯したまま。
・OTS オフではインジケーターの輝度が連続的に変化して最適同調点が分かります。
・つまりAFC回路は正常に動作しているようなので、タッチセンサー回路の不具合か??
・回路図で選局ツマミに繋がるトランジスタ(TR24,TR25,TR26,TR27)を順にチェック。
・TR27 2SC2021 不良発見 → 2SC1815 交換
・これでOTS機構が正常動作するようになりました。
<参考>MUTE/OTSスイッチの使い方
・このスイッチを ON にすると MUTING 回路が動作します。
・T-7では同調点のドリフトを防ぐためAFC回路が組み込まれています。
・AFC回路によって近くの強い受信電波に自動同調します。
・AFCは同調点を保持するには有効ですが、最適同調点が分かりません。
・T-7では選局ツマミに触れることでAFC回路を一時的にオフにします。
・AFCが解除された印にTメーターインジケーターが少し暗くなります。
・この状態で最適同調点(左右の輝度が同一になる点)を探します。
・同調したら指を離すとAFC回路が作動し、インジケーターが明るく点灯します。
・電波の弱い放送局を受信するには OFF/MULTIPATH に切り替えます。
・OFF/MULTIPATH のポジションではAFCは強制解除された状態になります。
■修理記録:Lchの音が出ない--------------------------------------------
・VCO調整OK、STEREOランプ点灯するので38kHz抽出はできている。
・順番に調べた結果、IC105 uPD4066C の故障を発見。
・IC105 uPD4066C → TC4066BP 交換
・これによってLchの音が出るようになりました。
■調整記録--------------------------------------------------
【本体スイッチ設定】
・FUNCTION = FM
・RX MODE = AUTO DX
・MUTE/OTS = OFF
・BLEND = OFF
・REC CAL = OFF
【検波調整】
・IC111 20pin(またはR282)-GND → 電圧計セット
・ダイヤル指針83MHz付近にセット → T103調整 → 電圧ゼロ
【FM OSC調整】
・IC102 (LA1231) 13pin → 電圧計セット
・83MHz受信 → フロントエンドTC1調整 → 電圧最大
※OSCコイルL7の調整が難しいため83MHzのみで調整
【FM RF部調整】
・IC102 (LA1231) 13pin → 電圧計セット
・83MHz受信 → フロントエンドTCA,TCR1,TCR2調整 → 電圧最大
※RFコイルL1~L5の調整が難しいため83MHzのみで調整
【Mono歪調整】
・音声出力 → WaveSpectra接続
・83MHz → TC101調整 → 高調波歪最小
【VCO調整】
・IC113 1pin-14pin → 2.2MΩを介して直結
・これにより強制ステレオモードになり本体ステレオランプ点灯
・R226(19kHz TP)→ 周波数カウンタ接続
・83MHz → VR108調整 → 19kHz±10Hzに。
【ST SUB調整】
・音声出力 → WaveSpectra接続
・83MHz SUB → T112調整 → Lchレベル最大
【Stereo歪調整】
・音声出力 → WaveSpectra接続
・83MHz ST → VR101 VR102 VR103,T102調整 → 高調波最小
【Pilot Cancel調整】
・音声出力 → WaveSpectra接続
・83MHz ST → T113,VR109調整 → 19jHz漏れ信号最小
【セパレーション調整】
・音声出力 → WaveSpectra接続
・83MHz ST → VR105調整 → Lch漏れ信号最小
・83MHz ST → VR106調整 → Rch漏れ信号最小
【シグナルインジケーター点灯調整】
・83MHz 100dB → VR112調整 LED全点灯
・83MHz 0dB → VR111調整 LED全消灯
【AM OSC調整】
・ 600kHz受信 → T110調整 → シグナルメーター最大
・1400kHz受信 → AMOSC調整 → シグナルメーター最大
【AM RF調整】
・ 600kHz受信 → T109調整 → シグナルメーター最大
・1400kHz受信 → AMANT調整 → シグナルメーター最大
【プリセットチューニング上限位置調整】
・90.5MHz受信 → プリセット5に登録
・80MHz付近でプリセット5を押し指針移動開始
・このとき90.2MHz付近で自動停止するようにVR113を調整する
【プリセットチューニング下限位置調整】
・75.5MHz受信 → プリセット1に登録
・80MHz付近でプリセット1を押し指針移動開始
・このとき75.8MHz付近で自動停止するようにVR114を調整する
■試聴-----------------------------------------------------------------
・選局ツマミを指で回して FM/AMともクリアに受信できるようになりました。
・ただしモータードライブによる自動選局機能は不安定です。
・上手くメモリー登録できたり、できなかったり、、
・引き続き勉強します。