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KENWOOD KT-1100D 修理調整記録8

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 ・2019年7月、KT-1100Dの修理調整作業を承りました。
 ・修理不能としてKENWOODサービスから返却されたそうです。
 ・学生時代に購入した思い出の品とのこと、これは何とか直したい。
 ・以下、作業報告です。

Kt1100d03_20190923122801

■製品情報------------------------------------------------------------

 ・オーディオの足跡 KENWOOD KT-1100D ¥74,800(1987年頃)
 ・KENWOOD チューナーカタログ 1986年11月版

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■動作確認------------------------------------------------------------

 ・フロントパネル、ボディとも目立つキズは無く外装の状態は良い。
 ・FMアンテナを接続して電源オン。
 ・表示管点灯。文字欠けや輝度劣化は見られない。
 ・オート選局で名古屋地区のFM放送局を受信しようとすると、、
 ・上り方向、下り方向ともに放送周波数を通過して受信できない。
 ・通過するときにTメーター、Sメーターのセグメントは点灯する。
 ・しかし中点から右に一本ズレた位置の赤いバーがフル点灯。中点を示さない。
 ・マニュアル選局では放送周波数±0.2MHz範囲でモノラル受信できる。
 ・ステレオ受信不可。STEREOインジケータ点灯せず。
 ・セグメントがフル点灯するのでSメーターとしては機能している模様。
 ・RF切替(DISTANVCE/DIRECT)OK。
 ・WIDE/NARROW切替OK。REC CAL OK。メモリボタン動作OK。
 ・手持ちの適当なAMループアンテナでAM放送の受信確認。
 ・AM放送はオート選局、マニュアル選局とも正常に受信。

Kt1100d501

■調整記録------------------------------------------------------------

【VT電圧】
 ・TP6~TP7 DC電圧計セット
 ・アンテナ入力なし
 ・76MHz → L14調整 → 3.0V±0.1V ※実測 2.8V
 ・90MHz → TC1調整 →25.0V±0.1V ※実測23.8V
【検波調整】
 ・TP10~TP11 DC電圧計セット
 ・83MHz受信 → L9調整 → 0.0V±10mV
 ・TP12~TP13 DC電圧計セット
 ・83MHz受信 → L12調整 → 0.0V±10mV

 ※VT電圧OK。
 ※L9調整で電圧ゼロに設定できない → L9故障

■修理記録:検波回路基板交換-------------------------------------------

 ・L9が載っている検波回路基板を取り外す。
 ・検波回路基板のハンダ面にアクセスするにはシャーシを分解する必要あります。
 ・この検波回路基板はKT-7020やKT-V990とほぼ同じものです。
 ・部品取りして保管していたKT-7020の検波回路基板をそのまま移植。
 ・組み立てて通電すると、L9調整が出来るようになりました。
 ・取り外した基板はL9を補修して次回別の修理に利用します。

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■調整記録------------------------------------------------------------

【VT電圧】
 ・TP6~TP7 DC電圧計セット
 ・アンテナ入力なし
 ・76MHz → L14調整 → 3.0V±0.1V ※実測 2.8V
 ・90MHz → TC1調整 →25.0V±0.1V ※実測23.8V
【検波調整】
 ・TP10~TP11 DC電圧計セット
 ・83MHz受信 → L9調整 → 0.0V±10mV
 ・TP12~TP13 DC電圧計セット
 ・83MHz受信 → L12調整 → 0.0V±10mV
【RF調整】
 ・R67左側 DC電圧計セット=Sメーター電圧
 ・83MHz → L1,L4,L7,L18調整 → 電圧最大
【IFT調整】
 ・R64右側端子 DC電圧計セット=Sメーター電圧
 ・83MHz → L10調整 → 電圧最大
【AUTO STOP=MUTING調整】
 ・83MHz 30dB → VR1調整
【TUNING METER調整】
 ・83MHz → 本体左側小基板VR2調整 → ※
  ※中央の縦白セグメント点灯、両側の赤縦セグメントの中点へ
【SIGNAL METER調整】
 ・83MHz → 本体左側小基板VR3調整 → ※
  ※バーグラフの点灯レベル調整
【MPX VCO調整】
 ・TP14 → 周波数カウンタ接続
 ・83MHz → VR4調整 → 19.00kHz±50Hz

 ※ここまで順調に調整できたが、VCO調整で異常発見。
 ※TP14で19kHzが確認できない。なぜか 1.8kHz を示す??
 ※VR4を回しても変化なし。
 ※ステレオ分離できずSTEREOインジケータも点灯しない。

■修理記録:MPX回路調査と修理-----------------------------------------

 ・LA3350 の各足の電圧測定。
 ・LA3350 1pin(Vcc) を確認すると何と0v。なんと電圧が全くかかっていない。
 ・すぐ横にあるIC11(NEC 78L12)3端子レギュレーターから12vが出ていません。
 ・IC11を指で触ってみると、火傷するほど物凄く熱い!!
 ・ホント、飛び上がるほど熱かったです、、
 ・電源を切って回路調査したところ、IC11横の C92(220uF/16v)が短絡していました。
 ・C92 220uF/16v → 220uF/25v 交換
 ・これでLA3350が動き出し、TP14で19kHzが観測できるようになりました。

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■調整記録------------------------------------------------------------

【MPX VCO調整】
 ・TP14 → 周波数カウンタ接続
 ・83MHz → VR4調整 → 19.00kHz±50Hz
【SUB CARRIER調整(38kHz)】
 ・音声出力をWavespectraで観察
 ・83MHz SUB信号 → L25調整 → Lchレベル最大
【歪調整1 DLLD】
 ・83MHz(MONO,1kHz,80dB)→ VR3:DET調整 → 歪最小
【歪調整2 MONO】
 ・83MHz(MONO,1kHz,80dB)→ VR4:MONO2調整 → 二次歪最小
【歪調整3 MONO】
 ・83MHz(MONO,1kHz,80dB)→ VR6:MONO3調整 → 三次歪最小
【歪調整4 STEREO】
 ・83MHz(L/R,1kHz,80dB)→ VR5調整 → 歪最小
【歪調整5 STEREO】
 ・83MHz(SUB,1kHz,80dB)→ VR7調整 → 歪率最小
【歪調整6 NARROW】
 ・83MHz(MAIN信号,1kHz.80dB)→ VR2調整 → 歪率最小
【SEPARATION調整 WIDE】
 ・IF BAND:WIDE
 ・83MHz → VR2調整 → L信号もれ最小
 ・83MHz → VR3調整 → R信号もれ最小
【SEPARATION調整 NARROW】
 ・IF BAND:NARROW
 ・83MHz → VR1調整 → 信号もれ最小
【DEVIATION調整】
 ・83MHz(mono信号,1kHz,100%変調)→ 本体左側小基板VR4調整 → 100%位置

 ※次なるトラブル、ステレオ分離後のRchの音量レベルがやや小さい。

■修理記録:オペアンプ交換--------------------------------------------

 ・次なるトラブルは左右の音量レベルが異なること。
 ・ステレオ分離後のRchの音量レベルがやや小さい。
 ・IC9,10 (4560D) → 4558DD → これによって音量レベルが同一になりました。
 ・ついでに同じ型番のIC5,IC6も交換
 ・IC5,6 (4560D) → 4558DD 交換

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■調整記録------------------------------------------------------------

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【AM簡易調整】
 ・TP6~TP7 DC電圧計セット
 ・アンテナ入力なし
 ・522kHz → L20調整 → 実測 1.5V 確認のみ
 ・1629kHz→ TC2調整 → 実測 8.0V 確認のみ
 ・ 729kHz NHK第一放送受信 → L21調整 → Sメーター最大
 ・1332kHz 東海ラジオ受信 → TC3調整 → Sメーター最大
 ・1053kHz CBCラジオ受信  → L22調整 → Sメーター最大

■試聴----------------------------------------------------------------

 ・同調できない原因は検波基板 L9内部コンデンサーの容量抜け。
 ・STEREOランプが点灯しない原因はMPX回路 C92短絡でした。
 ・左右の音量レベル差は IC9,10の不調でした。
 ・再調整によって良い性能を取り戻したと思います。

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